古市憲寿のレビュー一覧
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今の世界情勢とつい照らし合わせずにはいられない。
戦時中の日本にたくさんあったであろう物語のひとつ。日本にもこんな時代があった。そして、戦時中であっても、コロナ禍であっても、そのどちらでなくても、人や世間というものはあまり変わらないのかもしれないな、と思った。
そこにちょっとだけがっかりしつつ、それでも涼子と勇二、そして優一の存在に明るい希望を感じながら読み進めた。
古市氏の小説は初めて。
表紙をめくった1ページ目で、読み進めていく先々で、人に対しての誠実さを感じた。
テーマとは裏腹にとても優しい物語だった。
そして驚いたのが参考文献の数。
物語に対して感じた優しさや誠実さは著者自身が持って -
Posted by ブクログ
非認知機能や幼児期教育にコストをかけることの重要性など比較的話題になりやすい研究の話もそうですが、特に妊娠可能年齢や出産後の女性が抱える問題についてはとても悩ましいと感じさせてくれるものであったように思います。母乳を絶対視したり、ベビーシッターを否定するという人は流石に多数派ではないと思いますが、自分の育児論を絶対視して他の人を縛るのは筋違いというものかと改めて思える内容でした。自分と他人の境界線。
同じ話多かったですし、ホットドッグプレスの話そんなに掘り下げる必要あるのかと笑ってしまいましたが、とても学びがあると思います。
子どもの発見、日本の歴史を読み直すといった本に書かれているような過去 -
Posted by ブクログ
物語の構造が良いなと思った。
プロローグで始まり、物語が終わり、エピローグでプロローグに戻る。
しかし、小説を読み終わるとプロローグの同じ情景が違って見える。
そういう仕掛けのある構造は物語としてストンと落ちる。
話としても対照的な兄弟の物語。
終戦中、帝国男子の規範を目指す頭の固い弟勇二と、仏文科に進み自由な思考の持ち主の兄雄一。
その間にいるのは、やはり自由な思考を持つ女子、涼子。
戦争は進み、やがて雄一は学徒出陣の一員として航空機整備兵となる。
一方、非国民のレッテルを張られて村八分に置かれる涼子に対して、勇二は何もやましいことはないのに非難の目を誰かに向ける世間に対 -
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古市憲寿さんの本は初。
ピックした理由は、「NHK100分de名著」が好きなので。タイトルから読んでみないわけにはいかなかった。
確かにタイトル通り、読むだけならば各章10分で消化できます。(自分の場合書き入れたりラインマーカーしたりするので20分ぐらい。)
ただ、全12章一挙に120分で読めるかというと、ダメでした。各章ごとにジャンルなどが多様なので、7章まで読み通したところで、頭がパンク。
以下、各章ごとに読んだ感想を、ネタバレしない形で。頭から順に各章読み終わった時点のもののため、振り返りや手直しはしていません。
はじめに
ピエール・バイヤール『読んでいない本について堂々と