貴志祐介の作品一覧
「貴志祐介」の「新世界より」「新世界より 全3冊合本版」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「貴志祐介」の「新世界より」「新世界より 全3冊合本版」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
京都大学経済学部卒。1996年『ISOLA』で第3回日本ホラー小説大賞長編賞佳作を受賞し、同作で作家デビュー。代表作『黒い家』で1997年第4回日本ホラー小説大賞を受賞。『青の炎』、『新世界より』、『悪の教典』など多くの作品を手がける。映画化された作品も多い。
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ビジネス・実用
Posted by ブクログ
全巻を通して、とにかく没入感の凄い物語だった。長い作品ではあったけれど、それを感じさせないほど世界に引き込まれ、読み終えたあとの満足感も大きい。
下巻では絶望的な状況がこれでもかというほど続く。追い詰められていく登場人物たちの心情や、その場の空気まで伝わってくるような風景描写には凄まじい臨場感があり、読んでいるこちらまで息苦しくなるようだった。
中でも、真理亜と守の最期はあまりにも救いがなさすぎて辛かった。物語が終わってみれば、幼なじみだった5人のうち3人が犠牲になっている。その事実を改めて考えると、本当にやるせない。
そして何より印象に残ったのが、人間とバケネズミの関係だった。
もちろん、野弧丸が行ったことは到底肯定できないほど残虐だった。それでも、人間がそれまでバケネズミをどのように扱ってきたのかを考えると、単純に「野弧丸が悪だった」とは思えなかった。
人間はバケネズミの生殺与奪の権利を握り、自分たちの都合次第でコロニーそのものを消滅させることさえできる。そんな圧倒的な力を持つ存在に支配される側からすれば、生き残るために反逆を企てること自体は理解できる。
それにもかかわらず、人間たちは「バケネズミが自分たちに逆らうはずがない」と高を括り、彼らをぞんざいに扱い続けた。
先史文明が滅びてから1000年もの時間が経っても、圧倒的な力を手にした者が弱者を支配し、その反発によって再び争いが生まれる。結局、人間は歴史から何も学んでいないのではないか。そんな人類の愚かさを感じた。
そして最後に明かされる、バケネズミの正体。
彼らが「呪力を使えない元人間」だったという事実を知った瞬間、それまで見てきた世界の意味が一変した。
自分たちの社会を維持するために、同じ人間だった者たちを人間ではない存在へと変え、支配する側と支配される側を作り上げた。その事実には、人類の愚かさというより、もはや絶望すら感じた。
誰が善で誰が悪なのか、簡単には割り切れない。
平和な社会を守るためなら、どこまでが許されるのか。
人間とは何なのか。
壮大な物語を楽しませながら、最後にはそんな問いまで突きつけてくる作品だった。
読み終えた今、この長い物語を最後まで読んで本当によかったと思う。
Posted by ブクログ
上巻で抱いていた世界への疑問が少しずつ明らかになり、この社会がなぜ子供たちをあれほど厳格に管理しているのか、その理由が見えてきた。
やっていることだけを見れば教育委員会はあまりにも残酷で、到底受け入れられるものではない。それでも、呪力を持つ人間が存在するこの世界の過酷な現実を知ると、すべてを単純に「悪」と切り捨てることもできない。現代の倫理観だけでは推し量れない世界なんだと感じた。
そして何より、真理亜がいなくなったことが本当にショックだった。
世界の真相をもっと知りたい。この先どうなるのかも気になる。それなのに、真理亜のことを考えると続きを読むのが怖い。
上巻では「この世界の謎を知りたい」という気持ちが強かったけれど、中巻を読み終えた今は、早季たちがこれからどうなってしまうのかという不安の方が大きくなっている。
ここまで物語に感情を持っていかれるとは思わなかった。
怖い。でも、下巻を読まずにはいられない。