小説 - 講談社作品一覧

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  • 鬼の蔵 よろず建物因縁帳
    3.8
    1~10巻693~847円 (税込)
    盆に隠れ鬼をしてはいけない――。それが山深い寒村に佇む旧家・蒼具家の掟。広告代理店勤務の高沢春菜は移築工事の下見ため訪れた屋敷の蔵で、人間の血液で「鬼」という文字が大書された土戸を発見する。調査の過程で明らかになるのは、一族で頻発する不審死。春菜を襲いはじめた災厄を祓うため、春奈は「因縁切り」を専門とする曳家・仙龍に「鬼の蔵」の調査を依頼する。
  • 僕が死ぬまでにしたいこと
    4.0
    生まれたときからロス(損)している世代と言われているけれど、 そろそろ本当の自分の人生を起動したいーー。 40歳、フリーランスのライター、正規雇用経験なし、未婚。 たった一人の肉親である母を亡くしてから、漠然とした喪失感を抱えていた。 ある日、偶然再会した元同僚の「死ぬまでにやりたい10のこと」リストの作成を手伝ってから、 少しずつ世界が変わり始める。 --「ロスジェネ世代」と言われた自分たちは、いったい何を「ロス」してしまったのだろうか。 すべての人生を肯定する、注目若手作家の話題作! 文庫化に際し『ロス男』より改題。
  • 猫のエルは
    4.1
    数多くの猫たちと共に暮らし、作家の眼と深い愛情とで彼らを見つめ続けてきた町田康さんだからこそ書けた、五つの猫の物語。作中の愛すべきユニークな猫たちをヒグチユウコさんがイラストに描き起こした、猫を愛するすべての人に贈る珠玉の作品集。猫の眼で、世界はこんなふうに見えています。〈収録作品〉諧和会議/猫とねずみのともぐらし/ココア/猫のエルは/とりあえずこのままいこう(全5編) 数多くの猫たちと共に暮らし、作家の眼と深い愛情とで彼らを見つめ続けてきた町田康さんだからこそ書けた、五つの猫の物語。 作中の愛すべきユニークな猫たちをヒグチユウコさんがイラストに描き起こした、猫を愛するすべての人に贈る珠玉の作品集。 猫の眼で、世界はこんなふうに見えています。 〈収録作品〉 諧和会議 猫とねずみのともぐらし ココア 猫のエルは とりあえずこのままいこう (全5編)
  • 虚構推理 逆襲と敗北の日
    4.4
    <シリーズ累計400万部突破!> 「それは巨大で、凶暴で、獰猛で、何より場違いな幽霊だった」 警察に呼び出された琴子と九郎。二人と因縁深い桜川六花が、奇妙な連続転落死事件に居合わせ、容疑者になっているという。 六花が二人を前に語ったのは、異郷の野獣キリンの霊による殺戮劇だった。琴子たちは彼女の無実を証明すべく調査を始め、事件の背後にある悍ましい「呪い」の存在を知ることとなる――。 アニメの2期も制作決定! 絶好調の本格ミステリ大賞受賞作シリーズの最新作! 【虚構推理シリーズ】 『虚構推理』 『虚構推理短編集 岩永琴子の出現』 『虚構推理 スリーピング・マーダー』 『虚構推理短編集 岩永琴子の純真』 New『虚構推理 逆襲と敗北の日』
  • 警告(上)
    4.2
    『ザ・ポエット』『スケアクロウ』で凶悪な連続殺人犯に対峙した新聞記者のジャック・マカヴォイ。それぞれの事件を著書にした彼はLAタイムズを辞め、消費者問題を扱うニュース・サイトの記者になっていた。 ある日、一度だけ面識のある女性が殺され、マカヴォイに殺人容疑がかけられる。自分が犯人ではないことを知っている彼は、被害者がデジタル・ストーキングされていたとの情報から、独自に事件を調べ始める。 マカヴォイはかつての恋人であり、現在は探偵・調査事務所を運営している元FBI捜査官のレイチェル・ウォリングに協力を依頼するが――。 「コナリーの不屈のジャーナリスト探偵ジャック・マカヴォイを主人公とするあらたな刺激的な作品、本書は、何年も気づかれずに狩りをつづけてきた残忍な連続殺人犯を暴きだす。世界的な犯罪小説作家のひとりが最高の形で描いた作品であり、スピード感があり、息をのむほどサスペンスに満ちあふれている」 ――ウォーターストーンズ書店
  • 青の呪い 心霊探偵八雲
    4.3
    ぼくは貴女のために 殺人犯になった 早朝の教室、呪われた絵画、先生の死体―― 一気読み!のち驚愕! 圧倒的筆力の青春×特殊設定ミステリー ☆☆☆ 殺人の朝、学校にいたのは君だった。 共感覚をもつ琢海は、“青い”声をした少女・真希と 呪われた絵を調べることに。 その矢先、美術室で先生が殺害される。 真希に関する秘密を抱えた琢海の前に、 孤高のクラスメート・斉藤八雲が現れ――。 累計700万部突破シリーズの異色作にして最高傑作!〈文庫書下ろし〉
  • 夜獣
    -
    ふと魅かれた女のせいで殺人事件に巻き込まれたゴルフ練習場の食堂のボーイ、彼を容疑者として追う警察、新聞記者が、それぞれ事件を追う! 天下の名宝である30カラットのダイヤを巡る連続殺人と、深まる謎。本格ミステリー。
  • 魔婦の足跡
    -
    贋札造り、偽装化石師、偽真珠造りという3人の前に、突然姿を現し、そして消える可愛い魔婦。秘密の島に逃れる3人に、死の影が迫る! ゴジラ原作者による傑作サスペンス。
  • 毒薬と宰相
    -
    青年宰相の名で知られ、戦後、謎の自殺を遂げ悲劇の主人公となった、ある公爵の死因の秘密を描く、ミステリー・タッチの表題作など、全9編の傑作短編集。
  • 中年女
    -
    小ぎれいで素人くさく、何となく御しやすい感じを男に与えるトキは、39歳の未亡人である。村の男たちは、トキの女を意識して蝟集する。彼女の噂は消えることがないが、噂の実体を掴んだものはいない。村人は、未亡人という名に拘束を与えることに、満足があるようだった。しかし、トキは、女であることを十二分に生かして生き泳いでゆく。愛欲のむなしい絆を描いた、巨匠の珠玉長編小説。
  • 染められた感情
    -
    熱海の温泉旅館に勤める聖子を自活させようとする勝又の愛と、勝又にすがる聖子の愛。相克を繰り返す愛、巨匠円熟の筆。傑作恋愛小説。
  • 樹影
    -
    布施学園理事長の布施英之は、布施家へ養子に入る前、実家の女中・雪子に子供を生ませる。英男である。英男は、別府の愛育園で育つ。20年目に再会した時、雪子と英男は浦和にいたが、雪子が前夫と関係を続けているのを知り、英男は家出して別府に戻る。折も折、英之の妻はガンで死亡。反対派の策謀により学園を追われた英之は、布施家を去る決意をして、英男を別府に訪ねる……。豪壮な邸宅に住む裕福な人々も、逆境に耐えていきる貧しい人々も、みな三尺の影をひきずって生きている。その孤独な影を、哀調豊かに描いた話題の長編小説。
  • 情熱の市
    -
    清純で穢れを知らぬ娘・マリ子は、母の友人の一人息子で、現在は家を飛び出して麻薬密売業者の手先になっている青年・多賀一郎に会って、深い愛着を覚え、彼に自首をすすめて、更生の道へ導こうとするが、ふとした行き違いから、麻薬をもっていたマリ子だけが疑われて、留置されてしまい、一郎は逆に、密売業者の手で大阪へつれさられる。警察を出たマリ子は、家に戻らず、ストリッパーになってまで一郎を救おうとするが、麻薬業者たちの泥沼は、いよいよ深く一郎を引きこんでいく....…。清純な愛で愛する男を救わんとする乙女を襲う、激しい運命の起伏を描く、炎のロマン。
  • 女拓物語
    -
    堂堀不動産の独身社長・堂堀進六は、男盛りの36歳。生まれは群馬県の貧農の六男坊だが、中学卒後、すぐ上京。兜町の証券会社の小僧をふりだしに、たちまち株で2億円のボロ儲けをして独立した。金には強いが滅法女にヨワイ進六は、自ら「風俗研究科」と称して、女の拓本蒐集を男子一生の悲願とする。東名高速をぶっとばす車の中でのホステスとのカーセックス、全共斗女子大生との同志的「結合」、さては、ガラスの床に座って用をたす女を見上げる猟奇的女研究など……。一盗二卑に徹することを色道修行の信条として、進六は今日も変った女めざして夜の街に出陣する……。
  • 朱乙家の人々
    -
    夫の面前で何人もの男を転々とする妻、それでも平然と微笑する夫、そんな異常な環境の中で幸福をつかむ妹……。異色の愛欲文学。
  • 黒の魅惑
    -
    裕福な家庭の子女が多く通う、一貫校の名門大学の中にあって、田辺信男は、大学から入った上京組だった。大原陽子は、学内でも有名な才色兼備の人だが、彼女が付き合い始めた有坂淳は、どこか陰のあるプレーボーイでよくない噂がある。ある日、陽子の落としたイアリングを信男が拾ったところから、3人の愛が絡みはじめる……。日本が高度成長期に入る時代の、ハイソサエティーな学生生活を活写した傑作。
  • 午後の微笑
    -
    神保羊子は、雑誌の編集の仕事をしている。取材で知り合った作曲家・郷雪生の、芸術家ぶらないナイーヴであたたかな人柄に魅かれ、病気で寝込んだ郷を放っておけずに、徹夜で看病する。その夜以来、郷の胸のなかにも、羊子の姿が強く灼きついて、お互いに愛しあうようになる。そして、結婚の約束をしたふたりの前に、郷が貧乏な留学生であった昔の恋人の密石麗華が、今は実業家の国分夫人となって出現する……。虚偽を許さない若い娘の心に写った「傷ついた世代」の苦悩を通じて、つねに裏切り合いながら救いを求めている、人間の魂の深部とさまざまな愛の想いを、鮮やかに、綿密画のように描きあげた長編小説。
  • 侠骨一代
    -
    関東大震災の翌々年に入隊した、飛田二等兵。2日目にはもう、二年兵たちを相手に大立ち回りをやらかした。除隊後は、宿無しとなったところから這い上がり、あらくれ者を束ね、労働者として教育し、やがて、国家事業を請け負うようになる。昭和のフィクサーで、任侠映画「唐獅子牡丹」シリーズのモデルとなった人物、飛田勝造(東山)の波乱万丈の半生を描く! 高倉健主演の同題映画の原作小説。
  • 乾いた湖
    -
    大学生の卓也は左翼運動崩れ、女子大生を相手に怪しげな闇斡旋をしている。一方、財閥の御曹司・道彦は、怠惰な生活を送っている。汚職の責任を取らされる自殺した父を持つ葉子は、世の中を見返すために、女優として成功するも、道彦が運転する自動車で事故死してしまう……。卓也が相手をする女たち、ゲイ・バーのジャニー、クラブのマダム・文枝など、多彩な人物が登場する、長篇風俗小説。
  • 海の蝶
    -
    柿本精器の社長夫人・羊子は生来、その美貌に加え、奔放な性格の女性だった。結婚前からすでに男関係があり、結婚後もやまなかった。夫の礼介はこれを知ると激怒し、以来、妻に復讐するかのように隠れて放蕩する。そして、10余年が過ぎた。だが、羊子の乱行はやまなかった。息子の章は、自然にうとんじられた。章にとって心の結びつきは、家庭教師である22歳の青年だけになる。青年と秘かに愛し合っていた女中の喜久乃が、主人の欲望によって犯され、動顛し泣き喚く姿を、少年の章は不安そうに眺めていた……。愛欲の中に潜む人間の業を捉えた、力作長編。
  • 炎の氷河
    -
    高校の仲良し3人の女性がたどる、それぞれの波乱の人生と恋と、そして株をめぐる復讐の物語。なにか重苦しい情念に突き動かされる!
  • 悪の公式
    -
    赤石定造は、香港で人を買った。定価1円。彼はその男に500ポンドの保険をかけ、阿片を吸わせ女を抱かせることによって彼の精力を涸らし、1週間めに殺すことに成功した。保険金で定造は教会を建て、カトリック信者を装いながら、教会を阿片と売春の巣窟に作りあげた。こうして手始めの「銭」を掴んだ定造は、貿易商社を設立して帰朝し、KK赤石を造りあげ、悪の公式、つまり殺人・脱税・不正輸出などなどによって、あくなき「銭」への欲望を果していく。しかし「悪の公式」は、やはり万能の公式ではない……。「銭」を得るために手段を選ばぬ資本主義の公式を鋭くあばく、長編悪漢小説。
  • 愛と悲しみの時
    -
    期待とおそれに充ちた新婚の宿で、千江子は夫の庄一郎から、彼が戦傷のため男性の機能を喪失していることを打ちあけられた。しかし千江子は、肉体の結びつきよりも精神の交流にこそ真の愛があると信じ、結婚生活をつづけることを誓う。だが、庄一郎の肉体の欠陥は、精神の歪みをも招いていて、夫のいわれのない嫉妬に彼女は苦しめられる。そして、みたされない不自然な夫婦生活の渇きから、千江子は、彼女に言い寄る夫の下僚のプレイボーイ・石川に次第にひかれてゆく……。結婚生活における肉体の占める意味を抉り、奔放な現代愛欲図を描いた長編小説。
  • ファッション・モデル
    -
    戦後10年、夏のモードに選ばれ、ドレスに身をまとい、ステージを歩く美女たち……。新時代の職業=ファッション・モデルを中心に、現代社会風俗を著者独特の犀利な筆で描いた興味深い力作。
  • 往復書簡 『遠くからの声』『言葉の兆し』
    -
    1997年から1999年、オスロ・仙台と東京間で交わされた、『遠くからの声』。東日本大震災直後の喪失感の中で文学・人生・世紀末に思いを巡らせた『言葉の兆し』。
  • 松尾芭蕉を旅する 英語で読む名句の世界
    -
    芭蕉の名句の多くは旅の中で生まれた。「奥の細道」をはじめ、春夏秋冬の旅で詠まれた80句を選び、的確で美しい英訳と現代語訳、親しみやすい解説で芭蕉の新たな魅力を伝える、最良のガイドブック! ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
  • ビザール学園
    3.0
    1巻1,771円 (税込)
    【bizarre 怪奇な、奇妙な】 奇怪な学園ドラマを読み進んでいくうちに、いつの間にかモラルや正義や良心が解体され、私の心の中に本物の地獄が形成されていた。―黒沢 清(映画監督・「クリーピー 偽りの隣人」、2020年度キネ旬ランキング1位・ベネチア映画祭監督賞「スパイの妻」〉 学園にはびこる陰鬱とした空気感と生徒たちの間で囁かれる不気味な噂を巡って、どんどんスト-リーに引き込まれていきます。―人気YouTuber キリン考察系〈チャンネル登録数185万人〉 実を言うとこんな学園で教えるのは、私も嫌だ。『クリーピー』よりも、もっと“ビザール”で恐ろしい世界を描いてみた。そんな恐怖に満ちた学園の雰囲気をお召し上がれ。―前川裕(著者) 名監督・黒沢清で映画化された衝撃的デビュー作『クリーピー』以来、 一貫して猟奇事件/サイコな人間をえぐるショッキングなミステリー作品を発表し続ける著者が放つ、 虚飾と嘘に塗れた進学校を舞台にした、薄気味悪さ最高の学園猟奇ミステリー。 大手予備校の人気講師から転身し東京郊外の進学校・綾西学園へ転任した男性教師・三隅。 赴任時に彼を迎えた校務員・高木の嫌な雰囲気に、三隅は過去のトラウマ的記憶を呼び起こされる。 学校の実態は、理事長の下僕のような管理職や体罰肯定の体育教師が幅を利かせる表向きとは正反対の時代遅れな組織。 さらに生徒たちに蔓延する、この学園は呪われているという噂。 噂の裏には学校敷地内での忌まわしい未解決事件があった。 そしてついに女子学生がその禁忌の場所で、むごたらしく死んでいるのが発見される……
  • どこか或る家 高橋たか子自選エッセイ集
    値引きあり
    5.0
    すべて素顔の私。私らしい文章40篇を厳選――小説の中に表われる作家の分身……。自身そのように小説を書いてきたけれど、それは、<私>という人間そのものでは、決してない。おさない頃の京都の記憶、日々の生活を楽しんだ鎌倉、親しい友との旅、出会い、そしてパリでの霊的体験……。書きつづってきた文章の中から、40篇を選び出してみた、ほんとうの<私>をわかっていただくために。 ◎高橋たか子「今、人生の最終段階にいる私は、私という者が大体どういう者であったかを、すくなくとも、すでに書いたエッセイをざっと並べる形において、わかっていただきたい、と思う。大体、と書いたが、全体は神のみぞ知る。<「著者から読者へ」より>
  • 薔薇はよみがえる
    5.0
    孤独なオフィス・ガールの懐に、ふと飛び込んできた1通の手紙が巻き起こす、若い男女の運命を描く。藤澤氏特有の青春文学。
  • 妖蝶記
    -
    はるかゴビ砂漠の発掘現場から、ひとりの男が古生物学者・曾根の館を訪れた。男はいわくありげに巨大で薄汚れた1匹の瀕死の蝶を差し出すが、曾根はすぐに打ち捨ててしまう。しかし蝶は、館の温室に隠れ棲み、やがて美しい少女に姿を変えて、曾根の前に姿を現した。化身の妖しい魅力の虜となった曾根だが、少女の目的はただ一つだった……。映画「ゴジラ」の原作者として知られる小説家が、異形と異能のものたちの蠱惑的な姿を流麗な筆致で描く、4編の幻想譚集。
  • 密航
    -
    川口と有賀は、予科練上りの米軍通訳という経歴も同じだったし、年齢・性格も似かよっていた。粗暴な米軍人に対する共通した反感が惹き起したある事件を契機に芽生えた友情は、お互いの体内に欝積していく若さと可能性の残滓を確認しあうことで、さらに強固なものとなっていった。二人の若者にとって、未知の可能性はアメリカにしかないもののようであった。綿密な計画がたてられ豪華船に忍び込んだ二人は、満月のハワイ沖で、デッキから相次いで海中に身を躍らせた……。既成社会のモラルの中で、なお若者のエネルギーの純粋性を主張する、著者の野心作5篇を収録。
  • 瓢庵先生捕物帖
    -
    町医者を営む瓢庵先生が大活躍! 人情あり、喧嘩あり、殺しありの時代小説。横溝正史が生んだ人形佐七も登場し、本格探偵小説としての読み応えも充分!
  • 地球喪失
    -
    生物化学研究所の若き学究・宮原は、街の暗がりで焦っていた。手に持つスーツケースには、たとえようもない邪悪なものの幼生が収まっていたから。追っ手をかわし、早くこれを処分しなければ、人類に明日という日はなくなる。しかし、それはあまりに巨大な力へのはかない抵抗にすぎなかった……。映画「ゴジラ」の原案を担い、怪獣という存在を生み落とした怪奇小説家が、遊星から来た圧倒的な恐怖にあらがう人々を、ミステリータッチで描き出す。
  • 太陽がみつめる
    4.0
    運は気まぐれなものである。8回表、中屋投手の乱れから、海城高校の1点のリードが危うくなったとき、早崎監督の頭に閃いたのは、度胸のいい刀根英一郎一塁手をリリーフに使うことだった。作戦は当たった。以来、刀根は大型の速球投手として腕をあげ、別所投手の再来とまで注目されるようになった。尊敬するプロの尾上捕手とも口をきく機会をえたが、これは高校野球にあるまじき卑劣な陥穽からだった。プロのスカウトが美辞をつらねて寄ってくる。巧妙なスカウト、刀根家の困惑……。英一郎の心の窓は、いつか同級生の清子に開かれていた……。文壇随一の野球通たる著者の力作。
  • 泉はかれず
    5.0
    一代で堀江酒造株式会社を築き、大阪の財界でも女傑でとおっている堀江ギンは、孫娘の晴子に早くも結婚の相手をみつけるのに、夢中だった。当の晴子は、まだ学生だから、将来の夢と考えている。しかし、堀江家は、代々、女が家を継いで発展してきたから、晴子にもいい養子を、というギンの持論で、ともかく、晴子は見合いをした。相手は、汽船会社の重役のぼんぼん。奇妙なことに、その青年よりも、ちょっと変わっていて口の悪い脇村のほうが、晴子には好ましく印象づけられた。そして、だましうちの見合いよりも、晴子に瓜二つの美しい弓子の登場が、彼女の心を強くゆさぶった……。
  • 女人の館
    -
    禁男の館に集った世代の違う女性たちが、封建社会に抗して奔放に生き、様々の人生劇を展開する、現代恋愛白書。読売新聞に連載され、三國連太郎・北原三枝で映画化もされた傑作長編。
  • 禁猟区(上)
    -
    情痴と愛欲の渦の中に、絢爛と咲き誇るあだ花にも似た女性の姿を、心憎いばかりに描破した、巨匠快心の力作長編――美貌で男を狂わせる女・虹子は一代で成り上がった醜い顔形の実業家・百武達郎の世話になりながら、菓子会社の宣伝マン・薬王寺温と交際、温の二度目の妻を追い出して,憧れの結婚にまで持ち込み、子まで成すが、まったく妻としてのことができず、薬王寺家では浮いた存在になる。浮き上がった虹子は、旧知の小村雪が経営する銀座の「クラブ雪」で働き出し……。普通の価値観で生きることができない魔性の女と、その周辺で悪戦苦闘する男たちを描く。<上下巻>
  • 還らぬ海
    -
    下田・葉山間のヨットレースで3隻のヨットが遭難し、一瞬のうちに、津田は弟と古い友人の秋吉を失った。彼は、1年前、秋吉の妻・昌子と背徳の関係にあった。複雑な感情を胸に秘めて遺体を捜索する津田と昌子……。そして、一周忌を過ぎた大潮の夜、海で死んだ人々の姿が現われるという白浜の漁村の伝説をたよりに、秋吉の母親と津田と昌子は邂逅する。しかし、微妙な愛憎の襞も、喪われたものを悼む感傷も、灰色の海は呑みこんでいく。――男性的叙情の世界を描いて他に比類ない、石原文学の傑作「還らぬ海」のほかに、「貧しい海」「獅子の倒れた夜」「白い小さな焔」「灰波」を収録。
  • 海の地図
    -
    晶子は、啓介と、若く物憂い逸楽の夏を、海浜で過していた。ある夕方、残照の中を、喪の半旗を掲げたヨットが、入江に入った。渚へおりた晶子は、初老の船長・外村に出会い、なぜか全身に戦慄を感じた。やがて晶子は、父と外村が、今は亡き母をそれぞれ愛し、叔母もまた外村を愛していた、という隠された過去を知る。ある日、ヨットで沖へ出た啓介と晶子は、突然の嵐で遭難し、偶然、外村のヨットに救われる。外村は、かつて愛した女の遺児との邂逅に運命の手を感じ、晶子もますます、外村に魅かれていった。二人はかたく唇を交すのだが・・・・・・。長編ロマン小説。
  • 黄金の椅子
    4.0
    百万の富を持つ孤独な老実業家をめぐる3人の妖精たち。則子、笛子、花枝のいずれに、黄金の椅子は待っているのか? 流行大衆作家の傑作長編。
  • 汚れた夜
    -
    雨の井ノ頭公園の池に車が落ち、その中で女が死んでいた。残された男もののライターから、婚約者の秋月という男が浮かびあがったが、彼にはアリバイがあった。罠のにおいがした。そのにおいを頼りに、ひとりの刑事が動き始めた。すると、秋月のシロを証明した女が殺され、つづいてその女の部屋で、もうひとり中年の男の屍体が発見された。行方をくらました秋月は、いったい被害者なのか、加害者なのか? ……手さぐりで事件の核心に迫ろうとする刑事の行動の軌跡によって、戦争の傷痕と政治の腐臭とを、生き生きと描き出した、本格的な社会推理小説である。
  • 雲の白い日に
    -
    静岡・清水港が見える斜面に腰を下ろし景色を眺めている、3人の女子高生。といっても卒業式は昨日終わっていて、一人はお見合い結婚が決まっていた……。彼女たちの恋愛と成長を描いた表題作と、「永遠の横顔」を収録。
  • やどかりの詩
    -
    人工授精に使用する精子を提供するアルバイトをする神立晋の精子で、性交なしに妊娠する、看護師のレン。自分の産んだ子が神立晋の子と分かった、名門家庭の妻・三鈴。そして、レンを愛するようになる晋の友人で路上でヤドカリを売る佐治、三鈴の夫・加瀬、医師・四宮……。彼ら彼女らが織りなす愛憎のドラマと、それを横目で見ている小説家・信夫倫太郎は……。力作感あふれる長篇小説。
  • おゝい、雲!
    -
    健哉、三和子、十郎の3人の大きな子供たちを抱えてやもめ暮しの西條健吾は、秀れた才能を持つ建築家だが、純粋さの故に世に容れられない。子供たちは、ふとしたことから三島家の美しい2姉妹と知り合い、姉妹の母で未亡人の建築雑誌社社長・房子と父親との恋愛を嗅ぎつける。しかし、房子に横恋慕する評論家・江見は、スポーツランド設計に情熱を燃やす健吾を卑劣に中傷する……。それに対して、両家の子供たちは、その友人たちと協力して陰謀に立ち向い、親たちの婚約を実現させようと活躍する……。恋と夢にあふれたエネルギッシュな若者と理解ある親たちとの、明るいパンチのきいた長篇。
  • 青年の樹
    -
    東大に入学した坂木武馬は、さまざまな人生を背負った友人たちを持った。赤坂の有名な料亭の娘で、母親が汚職事件に巻き込まれている明子。やくざの大親分の長男として、跡目相続を迫られている和久。高校野球のヒーローだったのに、なぜかマウンドを踏もうとしない杉。見えない糸が彼らを結びつけ、青春の地図は苦悩と友情とで、複雑に彩られて行く。「本当の青年になれ、そしていつまでも青年であれ――」という父の希望を、若い樹の養分として、冒険を恐れずに生きる武馬を通して、行動派作家の思想を見事に昇華し、さまざまな苦悩に満ちた人生を歩む若者たちの、友情と恋と冒険を爽やかに描く青春ロマン。東宝で映画化された傑作。
  • 小説 ブルーピリオド 1
    -
    2021年アニメ化の大人気作品が読みやすいノベライズになりました! マンガ大賞、第44回講談社漫画賞一般部門を受賞した名作、『ブルーピリオド』。 世渡り上手だけど、実は努力型の主人公・八虎。ある日、一枚の絵に心を奪われてから、絵を描く道に進むことに……。 絵を描かない人にもおもしろい、あまり世間に知られてこなかった美大受験が舞台。 全力で勝負する、熱き青春ストーリーが小説になりました。 朝読にも、おすすめです! ●著者紹介 著者:時海結以 長野県生まれ。遺跡の発掘や歴史・民族資料の調査研究職にたずさわった後、作家デビュー。おもな著書に、『紫式部日記 天才作家のひみつ』『ちはやぶる 百人一首恋物語』『小説 ちはやふる 中学生編(全4巻)』(すべて講談社)ほか。日本児童文学者協会、日本民話の会所属。 原作:山口つばさ 東京都出身。 四季賞2014年夏のコンテスト佳作受賞。「アフタヌーン」にて連載中の『ブルーピリオド』で、マンガ大賞2020、第44回講談社漫画賞一般部門を受賞。 ●主な内容 友達が多くて、勉強もできて、何一つ不自由なく見える、八虎。 でも心の中では、むなしさも感じていた――。 そんなある日、出会った一枚の絵が、八虎を変える。 とつぜん志望校を美術系大学の最難関「東京藝術大学」に定め、奮闘する日々が始まった! 大ベストセラーの美大漫画『ブルーピリオド』が120%楽しめる、ノベライズ! 藝大受験編、前編!
  • 葛藤
    3.0
    愛して、恨んで、それが人。 生まれたばかりの我が子を誘拐され、失意を拭えぬまま夫婦だけの生活を続けてきた三好紗英は、16年後ある女子高生と出会う。少女は誘拐された自分の娘なのではないか? しかし、たとえ我が子だったとしても、今さら名乗り出ては少女を混乱させ心に傷を負わせてしまうかもしれない。 少女の幸せと、喪失を抱え生きてきた自分の希望を天秤にかけ、紗英がとった行動は……。
  • 流旅の花
    -
    片山津から京へ出て、バー「きぬがさ」に勤める和江に、じわじわと押し寄せる黒い影……。由緒ある禅寺・燈全寺の老師・碩堂、老師の妾でバーのマダム・歌子、謎の男・竹橋勝弘、彼を追う刑事たち……。疑うことを知らぬ和江の眼にも、次々と腑に落ちない出来事が見えてくる。そして突然、仏像偽造事件や贈賄事件が明るみに出され、雲水の承学に捧げた和江の純愛も、2人の支えとなるはずの天徳院の千手観音像も、虚しいものになってしまう。古都の裏側に繰り展げられる色と欲の澱んだ関係、その渦中に翻弄されながらも強く生きようとする女を、スリラー風に描き上げた力作長篇。
  • 目白三平の秘密
    -
    サラリーマン生活20数年、国鉄本社の厚生局に勤務する一級課員三十六号俸の目白三平。その日常のおかしみと淡い悲哀、ときとして起こる突拍子もない出来事を描く人気シリーズの7作目。妻に買い物を言いつかった洋装店で目撃した中年男の苦境に同情したために、目白三平は都内を走り回る羽目になるが……という表題作はじめ、11編を収録。
  • 目白三平の四季
    -
    昭和30年頃の国鉄に勤めている目白三平は、シマリ家でやり繰り上手の奥さんと素直な2人の男の子と暮らしている。当時の安月給でつつましくも明るく暮らすサラリーマンの生活が、ユーモラスなタッチで描かれている。
  • 命の森
    -
    東都学園大学部Jクラスに新入学した若者たちは、夢と希望にあふれていた。保守党政治家を父とする空手の名人・勝見明、元華族の娘で皇太子妃候補と騒がれたこともある美貌の冴子、日本復帰を叫ぶ沖繩青年・当麻、社長と呼ばれる謎の男・加納、なぜか彼の姿に脅える葉子、ラグビー部の乱暴者・片桐一派……。だが、明るく甘美であるはずの青年たちの、前途は困難である。当麻と冴子は許されぬ恋に苦しみ、勝見と葉子の燃えるような愛も、葉子の暗い秘密のゆえに、苛酷な運命の波に翻弄されていく……。短く華麗に花火のごとく生きて燃え尽きる若い命を、アクションドラマ・タッチで描いた青春長篇。
  • 飛べ、狼
    -
    次々と驚異的に記録更新をする天才テスト・ドライバーの邦光良二は、16歳で浅間の二輪レースで優勝して以来、スピードに憑かれていた。自分の運命を賭け、「何かを、この手で捉える」ために危険なレースに挑み、愛する女にも、信頼する助手にも裏切られながら、彼はヨーロッパのレースに参加する。そして、チャンピオンに挑戦する2度目の機会が、ザールで訪れた……。――先を走るチャンピオンを追う。何周目か、赤いフェンダーが後方にすっとんだ。が、その瞬間……。栄光と死を賭けて生きる孤独のレーサーを描く表題作のほか、「虚無と貞節」「鉛の部屋」「リキとタクとルリ」「悪い娘」を収録。
  • 買占め
    -
    山協証券営業部長の美川道三は、熱海の旅館業者・大林、山県たちと組んで、北千住に工場をもつ東部ゴムの株の買い集めに狂奔した――。減配をうわさされるような業績のふるわない不良会社の株を、なぜ、美川たち一派は買いまくっていったのであろうか……。地下鉄工事にからむ工場買収で、33億円という大金が手に入るという情報をひそかににぎった大林たちが、東部ゴム乗っ取りのための株集めの先鋒として、美川をもひきこんだのであったが……。資本主義の裏側に仕組まれた巨大企業の利潤追求のカラクリに敢然と挑戦する、一匹狼の物語を巧みに描く野心的長編。
  • 怒りの像
    -
    南海の孤島に戦死した父の遺書が、戦後の混乱のなかで異なる人生を歩んでいた兄弟を再会させた。伯父に引き取られた兄の洋一は、大学生活を送っていたが、弟の寛二は、街のチンピラの群に身を投じていた。しかし、寛二には、この世の不正を許せぬ正義の血がたぎっていた。彼の意気を買う人々や兄の支持のなかで、寛二は、街のダニどもに果敢な挑戦を決意した。戦うからには勝たねばならぬ。巨大な圧力に抗し、執拗な妨害にめげず、寛二は、無謀ともいえる闘いをつづけていく……。悪に対する純粋な怒りと人間の不屈の闘志を、一人の若者に托して謳い上げた、長篇小説。
  • 都会の白鳥
    4.0
    病院勤めの若い外科医・梅原と、彼の友人でドンファン型の演出家・五十嵐。その二人をめぐって展開する愛の葛藤。恋と野望にゆがむ青春を描く、長編大ロマン。
  • 誰かが呼んでいる
    5.0
    仲のいい二人の若い女性が、赤い糸で結ばれていたそれぞれの伴侶、つまり赤い糸で結ばれている「誰か」を見つけるまでを描いた、傑作恋愛小説。
  • 青髯殺人事件
    5.0
    医学部学生の康子が素人探偵役で事件を解いていく! 新聞記者と老刑事というワトソン役も用意してある、短篇連作ミステリー集。サラッと読ませる職人技が見事!
  • 青草に坐す
    -
    初めて男女共学という、かつてない革新的教育が生まれた時代の、青年男女の哀歓を健康的に描いた家庭小説ーー船乗りの新庄啓作には2人の子供、快活な女学生の翠と中学生の誠がいる。啓作の妹の節子が結婚に失敗し、新庄家の居候になっていたこともあり、翠は周囲の大人たちの恋愛事情に巻き込まれていくことに……。美空ひばり主演で映画化もされた群像劇。
  • 青春とはなんだ
    -
    正義派で八方破れの高校教師。アメリカ帰りと6尺豊かな巨体にものをいわせて、学校改革に獅子奮迅。文壇の鬼才・石原慎太郎氏が、スーパーマン教師を描き、テレビ化・映画化で大評判の痛快青春小説ーー早春のある日、山々に囲まれた小さな町の高校に、若い英語教師が、赴任してきた。病気で休職している親友の後がまに推されて、やってきた野々村健介だ。田舎町には、さまざまな青春があった。侠気から友人の不良行為の罪をかぶって退校になった少年もあれば、ロメオとジュリエットのように、親に許されない恋人たちもいた。そして学校には、おきまりの派閥争い。野々村は、それらの渦の中で、青春の姿を、自分のからだで逞しく描いて行った。……現代に見失われた、純粋な生き方を、スピーディな筆致で、明るく彫り上げた、石原文学の記念碑的な作品。
  • 人喰鮫
    4.0
    イギリス人の青年が、いまだ開発が始まったばかりのにオーストラリアに渡り、不思議な縁と運に導かれて、釣り上げた鮫の腹の中から見つけた小箱の中にあった、ひと月前のロンドン・タイムスの記事から、オーストラリアの羊毛の高騰を予見し、大富豪になった。そして最後に、日本人の鮫釣り男と大航海に出る計画を語り合う、という綺譚。描写が的確で重層的で読み応えのある傑作。
  • 人魚と野郎
    -
    軽井沢の森の奥深く、ニンフのように一人ひっそりと暮している杏子の山荘に、ある日、2人の若者がとびこんでくる。天才的オートバイ・ライダーの片倉譲介と弟分の三次である。杏子と譲介は、一目で惹かれ合うが、譲介はある事情から新案オートバイのパテントを手放さねばならず、失意のまま山の開拓地にひっこんでしまう。一方、杏子は祖父の思いもよらぬ遺言で、コバルトを産出する鉱山を相続するが、その権利を狙う陰謀のために、危険に曝され……。汚れを知らぬ美しい娘と、荒々しく勇敢な若者との、ロマンチック・アクション長篇。
  • 新樹の丘
    -
    六甲山上の別荘地で静かに暮らす堀田夫婦の家に、久しぶりに訪れた若い友人・能登。偶然にもその日は、長患いで没した隣家主人の初七日であり、能登こそ、かつては病人を抱えて苦労する隣家の妻・郁代を気に掛け、手助けしていた、この地の巡査だった。その日から郁代へのひそやかな能登の思いと、郁代の妹の女子高校生・しのぶたちの恋愛がからんだ、恋と事件のめまぐるしい連鎖が始まる。進駐軍の闊歩する戦後間もない神戸を舞台に、中間小説の名手が熱気に溢れた世相を生き生きと描く。
  • 若草の歌
    -
    美人でしとやかな千秋と、愛らしくドライな元子は、東京西郊の住宅地で繁昌している、そば屋の二人娘である。中学卒業と同時に、二人とも、「手に職を持つこと」を望んで、理容師になる。そして、実力とPRと親バカを利用して、ささやかな店を持ったが、青春の街道は、照る日ばかりではなかった……。「紀ノ川」「有田川」など、女の歴史を才筆で辿った作者は、この作品で、現代女性の生き方を、軽妙なタッチで、輪切りにした。若い女性の、職業・恋愛・結婚・親子問題などが、精妙に織り込まれた、ユニークな青春小説。
  • 黒い環
    -
    おれのことを、人はセイントと呼ぶ。聖人のようにわがままに、気ままに生きているからだ。職業は、カメラマン。ボリビアで祭りを撮ったとき知り合った、バロン加納という怪人物が東京に現われたことから、おれは姿のない奴から、命を狙われる羽目におちいった。そして、あの忌わしい戦争の尾を引く財宝さがしの殺人ゲームに、巻き込まれることになった。仲間と敵が、信じられないようなつながりを持っていて、おれをガンジガラメにした。……行動人・石原慎太郎が、現代の「英雄」の危険なゲームに託して、ムキだしの人間群像を描き切った、アクション・ノベルの巨篇!
  • 飢える魂
    -
    一代で身上を築いた暴君・芝直吉が50歳の時に嫁いできた27歳の令子が、猟色家の立花烈と関係を持つという物語と、病妻を持つ下妻雅治と関係を持つ未亡人の小河内まゆみという、2つの不倫の物語。大人の感覚を持つ登場人物たちの肉体と精神の揺れを、堂々たる筆致で描いた力作。小林旭がデビュー作となった映画の原作。
  • まことはうその皮
    -
    騙りの老人を捉えたばかりに、娼婦と甥との恋に巻き込まれ、周囲をだますハメとなった一教師を通して、虚像と実像の人間をえぐる長編力作。
  • ヒマワリさん
    -
    新聞記者の恋人を都会に残し、僻村へ赴任した新米保健師・小日山ヒロ子。明るく情熱に燃える彼女のニックネームは「ヒマワリさん」。貧困と無知により衛生観念に乏しく、病気になったら神頼みのその村に、保健衛生のタネを少しずつ蒔いていく「ヒマワリさん」と、周囲の人々が繰り広げるヒューマン・ドラマ。1965年公開の吉永小百合主演映画『明日は咲こう花咲こう』の原作小説。
  • うるさい妹たち
    -
    元テスト・パイロットで実業家の山村陽之介は、ふとしたことから、あるグループと知り合った。それはビート族と呼ばれる10代のグループで、啓子、桃子、サチ子、国江、男の子・ジローたちだ。彼らは、教室でも平気でペッティングを試みたり、疾走する車に全裸で乗り、スピードに興奮するなど、その行動は奔放だが、意外な明るさがあり、青春がある。だが山村は、このグループに、自分の娘・尚子が近づいていることを知り、驚く。尚子は、陽之介に向い、父さんが母さん以外の女性と交渉を持っても別に不潔じゃないという……。おそるべき10代の生態を描いた長編力作小説。
  • あさ潮ゆう潮
    -
    波静かな瀬戸内の海の自然を背景に、巡航船「セト丸」で一緒に高校に通った仲良しグループ「セト丸組」の友情を描く!
  • みぎがわ
    -
    1巻1,408円 (税込)
    ギターを手に歌う少女のシンデレラストーリー。 彼女のデビュー・活躍の裏には、1人の男の子の存在があった―― 「私の音楽でだれかを救う『英雄』になりたい」 YOASOBI「夜に駆ける」の原作が生まれた小説・イラスト投稿サイト「monogatary.com」(運営:ソニー・ミュージックエンタテインメント)から、 新たなアーティストが誕生! 「普通がいちばん」をモットーに生きてきた高校3年生の智也。 代わり映えのしない日々を過ごしていたが、ある日の放課後、通学路の土手で、ギターを手に歌うリカに出会った。 リカの歌は、もっと多くの人に聴かれるべきだ。 彼女のために力を尽くす智也だったが――。 青春時代、かけがえのない相手と出会った2人の感動の物語。 「monogatary.com」主催「モノコン2020」優秀作品、待望の書籍化。
  • R.I.P. 安らかに眠れ
    3.8
    1巻1,672円 (税込)
    優しかった兄が、三人もの自殺志願者を殺めた――。世間から極悪人と糾弾される村瀬真也。連続凶悪事件を犯した兄が語り始める不可解な動機を解き明かそうと、妹の薫子は奔走するが、一線を越えてしまった真也の「知らなかった一面」に衝撃を受ける。自殺志願者を次々殺めた男の告白から見えてきた真実とは――。行きすぎた正義と、無関心な親切は、どちらが正しいのだろうか。誰もが目を逸らしたくなる問題に、著者自身も懸命に向き合い書き下ろした長編小説。
  • パラソルでパラシュート
    3.8
    1巻1,672円 (税込)
    企業の受付に勤める29歳の美雨は、人生に惑い、未来にも漠然とした不安を抱えていた。そんな中で出会った、売れないお笑い芸人、亨。彼が気になり始める美雨だったが、ままならない恋愛事情は、亨の相方との「奇妙」な三角関係に発展し……。
  • 私たちは空になれない
    4.5
    1巻1,562円 (税込)
    「時は確実に、私を大人へ押し出そうとしている。」 衝動的に、姉の形見のペンダントを、川に放ってしまった「育音」。 そんな時に声をかけてきたのが、青年「沖田」だった。 レンタル役者を生業としている彼に、「育音」は「共犯者」を演じてもらいたいと願う。 「沖田」の仕事を手伝い、かかわるうちに、「育音」の想いは次第に変化して―― 「俺に演じてほしいのはどんな役?」「共犯者」 切ない衝撃が胸を打つ、メフィスト賞作家快心の傑作青春ミステリー!
  • 倉橋惣三物語 上皇さまの教育係
    5.0
    1巻1,595円 (税込)
    子供は自ら育つ――自発性を大切にし、子供たちの中に眠る可能性を信じた倉橋惣三の教育が、 今の時代にこそ求められている。 “日本のフレーベル”、“近代幼児教育の父”と呼ばれる倉橋惣三は、 大正期から昭和にかけて活躍した教育者。 昭和3年からは昭和天皇、皇后陛下へのご進講が始まり、 上皇陛下が皇太子でいらした幼少期に、教育係を務めた人物である。 少年時代、運動が苦手で不器用なうえ、引っ込み思案だった惣三の心を開いてくれた、下町の子供たち。 導いてくれた恩師や、夢を語り合った生涯の友。 さまざまな出会いが、惣三という人間を作っていく。 学生時代から幼児教育に興味を持ち、やがて教育者となった惣三は、 激動の時代にあっても、変わらず「子供の友達」であろうとした。 幼児教育の改革を次々行っていく一方で、息子との関係に悩む一人の親でもあった。 遺された日記をはじめとする貴重な資料をもとに描く、感動の物語。
  • ハヅキさんのこと
    3.7
    かりん、という琺瑯の響き。温泉につかったあと、すっぴん風に描く眉。立ち飲みで味わう「今日のサービス珈琲」。 48歳、既婚者で「中途半端」な私が夢中になった深い愛――。さりげない日常、男と女の心のふれあいやすれ違いなど、著者独自の空気が穏やかに立ち上がる。虚と実のあわいを描いた掌篇小説集。
  • 閉店時間
    5.0
    華やかな都会の夢をはらむ、白亜の殿堂・東京デパート。そこに働く松野紀美子、藤田節子、牧サユリの3人は、高校のクラスメートで、いまでも仲がいい。だが4年の歳月は、彼女たちをかなり違った色合いに染めあげていた。意地っぱりの紀美子、古風な節子、派手好きなサユリという性格の延長だけでなく、4階の高級呉服売場、地階の食料品売場、エレベーター係といった職場の影響にもよるらしい。そこから三人三様の恋が、そして当然、将来がひらけていくのだった。現代の花形企業であるデパートの内幕と、3人の女店員の恋愛模様を、清新な筆致で描いた長篇。
  • 風は緑に
    5.0
    外国映画会社宣伝部の一雄とTV局報道部勤務の圭助をめぐってる、ファッション・モデルの彩子、アナウンサーの三千代、幼稚園の先生の牧子たちとの恋模様。だが、牧子はアメリカ文学者と不倫し、彩子を狙うスポンサーが現れて……。華やかな都会の第一線で活躍する男女の、恋愛の苦悩と情熱を描いた、青春の感動的ロマン!
  • 姫君千一夜
    -
    上州沼田藩主の姫でわがまま娘のお美紀さまは、藩を脱出し、浪人の潮田又十郎と仙太を家来として、江戸を目指す。人情あり、恋愛あり、笑いありの珍道中。
  • 転落の歌
    -
    あまりにも醜い母のおこないを、真砂子は見た。少女の胸に汚点となった或る夜のこと。母は次々と男をかえ、生活はすさんだ。そして真砂子までも、母の男の餌食にされていく。家出、住み込み女中、そして場末のバー……。真砂子の汚濁にまみれた生活。それは、母から享けた淫らな血のせいだったかも知れない。やがて、銀座にでた真砂子は、ガイドをよそおうコールガール組織に巻きこまれる。麻薬の足かせでしばられ、肉を削りながら、ネオンの海にただよう少女・真砂子。混濁する意識のなかで、彼女は罪深い母をのろい、血をうらんだ……という表題作など、全10編。
  • 朝な朝な
    -
    女流評論家の高輪薫が海外旅行中、ローマに留学している一青年から故国の一女性への贈物を預ってきたことから、幸福をもとめるその女性の運命がひらけて行く――華道創美流の機関誌「創美」の編集部につとめる仙波雅子は、母のつよい希望で掛川昇と見合するが、初恋の人・松尾三郎の愛情を確めたことから、周囲の人びと、とくに副編集長・石井志奈子などの鞭撻で、幸福をつかみとる……。華麗なフランス情艶絵画をくりひろげるような愛欲を描いてベテランの作者が、仙波雅子の愛と行動のうちに現代娘の一典型を、ヨーロッパ帰りの女流評論家・高輪薫の眼をとおして描く大作。
  • 誰も知らない
    4.0
    女たらしで有名な大会社の御曹司・英太郎と、その親友の清司。そして、英太郎の妹、清司との結婚に踏み切れない幾代、清純な娘・麻子、英太郎との肉体関係で結ばれた柳子たちの、それぞれの愛の行方は……。そして、脳溢血で倒れた父親のロボットとして会社運営に携わる英太郎は麻子と結ばれ、清司は幾代と、柳子は知らぬ顔して別の男と結婚して……。
  • 大豪記
    -
    大力無双の野人の怪童は、熊野詣りの美女・梢を山賊から救って町に出たが、加藤清正に見いだされ、無類の大活躍! 豪放磊落、野生児の時代雄編。
  • 戦国愛染峡
    -
    長篠の戦いの敗退から6年、武田勝頼が治める甲斐の国は、ひたひたと周囲を圧し始めた織田・徳川連合の影に揺れていた。武士の身分を隠して、上杉の越後から情勢を見極めに来た、若き遣い手・朝井若狭之介は、人心が迷い乱れるなか、武田家忠臣の娘・小弓の、毅然と使命に生きる姿に惹かれていく。陣営内の裏切りや策謀に苦しむ小弓たち一族を、必死に助ける若狭之介だったが、武田家滅亡への潮流には抗いようもなかった……。「きんぴら先生」など現代小説で著名となった鳴山草平、得意の時代ものの本作で、戦国末期の若者たちの、鮮烈な心情を抒情豊かに描き出す!
  • 川向うの白い道
    -
    女子学園の先生を今は嘱託でしている老男性教師の、六甲山麓の家に下宿する卒業生2人のところに、同級生たちが集まってくる。そこに出入りする男たちとの出会い、そして様々な恋愛……。それぞれの成長と恋愛の物語。
  • 青春海流(上)
    -
    いのしし先生こと青年教師・猪村彪吉を軸心に、恩師・大加田老先生の姪・英子、かつての教え子・鳥井魚子、阿良夢代、鮎川葉子が織りなす、青春の哀歓賦。<上下巻>
  • 青春の言葉
    -
    風見京子、鳥羽ヤス子ら、3人の女子高生は、瀬戸内の島のお寺に勉強合宿へ。そこで、浜でキャンプをしていた医大生の汐見、寺田、矢部と知り合うことになる。京子は汐見に恋心を抱くのだが、父親が怪我をしたとの連絡が入り、しぶしぶ戻ることに……。若い男女の嫉妬うずまく中、大人たちの事情も絡んでいき……。新藤恵美の主演により映画化されている作品。
  • 小説関根名人
    -
    明治から昭和にかけて活躍した「近代将棋の父」こと、十三世名人・関根金次郎。生まれは千葉の宝珠花で、子どものころから将棋が強く、人呼んで宝珠花小僧。10代前半で上京、十一世名人伊藤宗印に弟子入りし、その後、若手花形棋士となった青年金次郎は、師匠に勧められ修業の旅に出る。そこには、人情、恋、そして勝負の日々が待っていた……、という表題作のほか、天野宗歩(留次郎)の青年期を描いた「勝負一代男」、「勝負師 木村義雄」も収録。
  • 女の旅路
    5.0
    30代なかばの荘一は、7年間連れ添った妻を病気で亡くしてしまった。そして荘一は、なんとか切り替えようと旅に出た先で、美しい人妻・藤堂萌子に出会う。だが、妻の妹の美也子は、姉より「自分が死んだら荘一と結婚してくれ」という旨の遺書を受け取っていたのだ。荘一は藤堂萌子に惹かれていくのだが……。愛憎、まさに絡まる物語!
  • 朱よりも赤く
    -
    長野・小諸の高原をスピードにのって走る車では、都会のおしゃれな5人の男女の若者が大騒ぎしている……。それぞれの青春と恋愛を明るく描いた、恋愛小説の傑作長編。
  • 砂の花
    -
    真実の愛を求めて、男から男へとわたって歩いた女優・彰子が、払わねばならなかった代償は、あまりにも大きかった。彼女を捨ててアメリカへ去った第1の男・大滝のあとに現われた第2の男・石垣は、戦争で受けた心の翳をいつまでも暗くひいている男であった。彰子から捨てられたと思った石垣は、自殺。傷心の身を岐阜の実家へと戻った彰子の前に現われた第3の男・朝吹は、アル中の病身であったが、彰子との愛に男としての再起なるかとみえた。が、二人の間に横たわる壁は厚かった。そして、女優として舞台復帰を夢みる彰子……。現代女性の一面を、多彩な筆で描く、石原慎太郎の傑作長篇。
  • 剣法奥儀
    -
    各流派には、それぞれの奥儀がある。一刀流「青眼崩し」、柳生流「八重垣」、知心流「雪柳」、天心独明流「無拍子」など、各流の秘太刀を生み出す剣豪の、妖気ただよう決闘を描く、五味康祐氏の傑作。
  • 禁断
    -
    いまは亡き恋人の愛艇「ロドイスカ」に乗ってヨットハーバーを出た由紀子は、人けのない夜の海に投錨して、ひとり静かに故人の日記を読む。過ぎ去りはしたが、永劫に喪われることのない日々が再現し、彼女はいまなお、彼とともにいた。さりげない最初の出逢い、生まれて始めての接吻、神がそれを希んだような性の儀式、そして至醇な陶酔と怖れと……。不倫と人は言うが、千億に一つの幸福感にみたされて、由紀子は舫いのロープを切り、海の涯へ、二人だけの世界へ漂っていくのだった。妻子ある新鋭作曲家と若い女子医学生との恋に、現代の性とモラルの真意を探る、石原文学の傑作。
  • わが愛と命の記録
    -
    将来の伴侶と決めた同僚の教師・中村謙一に伴われ、彼の実家をたずねた中川タミ子は、この結婚に反対する彼の両親から、ひどい侮辱を受けて席を立った。よく晴れた夜空にまたたく何千、何万の星、その孤独な光は人間の孤独に似てはいるが、人間には星にない愛情がある。家を捨ててきた中村とその夜タミ子は近くの温泉に一泊し、進んで契りを結ぶ。昔気質の人格者だが、女癖の悪い彼女の父、二号さんが公認されている中村の家、そんな生活だけは、と笑い合った二人だが……。一時代前の女の赤裸々な記録を通して、現代の若い男女に愛と結婚のモラルを訴える力作長編。
  • マギの恋
    -
    平吉は「夢見る男」だった。この人生に、小説と詩を書くこと以外に、真剣になることはない、と思い込んでいた。マギと呼ばれる小屋の2階で、彼は隣りの娘・トシ子と愛を誓い合った。トシ子は美人ではないが、純粋な心の持ち主だと、平吉は自分にいいきかせていた。しかし、結婚してやがて子供が生まれようとする頃、彼の描いていたトシ子の像が、風化された土人形のように崩れてしまう日がやってきた……。津軽地方の土の香りを漂わせつつ、人生への暖かい眼と鋭い諷刺を識り込んだ、巨匠の名作である。他に、若い愛をテーマにした好短篇11篇を収録。
  • そんな筈がない
    5.0
    医学部の学生で、元警察官の父を持つ滝口康子が、次々と事件の真相を推理。新聞記者の小島純吉、康子の父に昔お世話になった老刑事の真田らも活躍する、4編の連作ミステリー小説集。
  • かぎろい頌
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 幻の板画集! 棟方志功・保田與重郎の遺志を継いで集成、刊行! ――日本浪曼派の総帥・保田與重郎が詠んだ和歌を、昭和23年から20余年間も彫り続けた板画家・棟方志功。棟方・保田とも鬼籍に入ったが、50作で纏める計画は遂に「未完成板画集」となった。故人の遺志を継ぎ、改めて全国的規模で調査・収集を敢行し、判明した32柵で編む、初めての作品集。 ◎棟方志功  「かぎろい頌」は、保田氏のつくられた歌を五十くらいつくって、一本にしようではないか、というので、制作にかかりました。―(略)―まだ未完ですが、五十首完成ののち、好きに出来たものを発表しようと思っています。<昭和31年刊『板画の道』より> ◎保田與重郎  棟方さんが私の歌を彫ったのは戦後になってからのことだが、以来、折にふれ長期にわたって、私の歌を板画にしてくれた。―(略)―私の歌にふれた作品は、彼の各時代の手法が現われていて、作品年譜を見るようで、おもしろい。<昭和51年刊『グッドバイ棟方志功』より>
  • 0時間の男
    -
    千鳥が渕マンションの一室で、パール・ホワイトの受話器から、悩ましい女声の秘密指令をうけると、刈谷は過去を忘れ、未来を考えない男になる。現在の、この0時間に命をかけるのだ。「人狩り特急」では、在日米軍航空医療班細菌主任・小関博士の身辺警戒を命ぜられて、奇妙な誘拐事件のからくりを暴き、「深海魚作戦」では、ジュネーブ宝石商殺しの真犯人、日本の宝石界を牛耳るリュー将軍一味を捕え、「金髪特攻隊」では、外人旅行者相手のニセの旅行小切手偽造組織に挑戦する。ナポレオン・ソロばりの、秘密国際刑事警察機構・ICPOの日本特派員の、胸のすく大活躍!
  • 晴れたり曇ったり
    4.0
    「不純で鈍感な大人。けっこうわたしは、好きだ」「ときどきスランプは、やって来る」「さくら餅の、あの葉っぱはどうするのか」「寝そべってものを読む癖のある子供だった」……日常のこと、読書のこと、子供のころの思い出。優しさと可愛さと愉快さが同居する、心が温かくなるエッセイ集。未収録の一編も書籍初収録!
  • 『篤姫』と島津・徳川の五百年 日本でいちばん長く成功した二つの家の物語
    -
    将軍家御台所『篤姫』誕生の真の意味とは? 幕末の勝者・島津と戦国の覇者・徳川を同時並行で論じる! ――鎌倉時代から南九州を治め、幕末に栄光の時を迎えた島津家。室町時代から東海に活躍し、江戸幕府を開いた徳川家。はたして、それは対立の歴史だったのか……。幕末に島津斉彬の養女として、将軍・家定に嫁した天璋院篤姫。徳川と島津の雪解けのように言われる縁組だったが、江戸期の徳川・島津関係は、関ヶ原の遺恨による敵対関係では決してなかった!? 両家の創始から現代まで、著者ならではの斬新な論で、数多くのエピソードを鋭く紐解いてゆく。歴史ノンフィクション。 ※本書は2000年3月、同朋社より刊行された『葵の呪縛』を改題、大きく加筆・訂正、再編集し、文庫化したものです。
  • 神様 2011
    4.0
    1巻1,045円 (税込)
    くまにさそわれて散歩に出る。「あのこと」以来、初めて――。 1993年に書かれたデビュー作「神様」が、2011年の福島原発事故を受け、新たに生まれ変わった――。「群像」発表時より注目を集める話題の書! 2011年。わたしはあらためて、「神様2011」を書きました。原子力利用にともなう危険を警告する、という大上段にかまえた姿勢で書いたのでは、まったくありません。それよりもむしろ、日常は続いてゆく、けれどその日常は何かのことで大きく変化してしまう可能性をもつものだ、という大きな驚きの気持ちをこめて書きました。――<「あとがき」より>

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