しそさんのレビュー一覧

あの成瀬が帰ってきました。
芯のある成瀬の周りには不思議と面白い人が現れます。成瀬のファンの女子小学生、クレーマーの主婦、観光大使の女子大生など、地域の人からの視点で描かれた成瀬は成瀬らしくてほっこりします。成瀬の言動を通して図らずも悩みに向き合う語り手に共感します。最後は大学で離れ離れになってしまった幼馴染の島崎視点ですが、彼女と成瀬の関係はやはり特別だと感じられて安心しました。
成瀬がこれから自分の道を爆進するところを見られるのを楽しみにしています。

上巻終盤でタイムリープの法則が発見されて、下巻はするすると読めてしまいます。
あの時の思わせぶりな友人の態度はここから繋がっていたのかといくつも気づきがありました。
結末が冒頭に繋がることを示して終わりかと思いましたが、おまけの章でしっかりと着地が描かれていました。
ミステリとしても恋愛小説としてもSFとしても良い意味で軽めでバランスが良く読みやすい作品でした。長く愛される理由がわかります。

90年代に刊行されたライトノベルの新装版です。
20年以上の時を経て装い新たに刊行されるなんて大変面白いんだろうなと期待して読み始めました。
記憶を失いタイムリープするようになってしまった女子高生と、謎解きに協力することになる賢い同級生の男子高校生の物語です。
タイムリープの法則を発見したかと思われるところで上巻が終わり、続き気になります。

二人が出会った頃の様子が山本視点で描かれている短編です。
明らかに小林から執着されているのに気づかない山本の鈍感さが良いです。
行為のときの書き文字のセリフが良い味を出しています。

ウルジの元を離れたらラムダンは貿易船で新たな道を模索します。ラムダンがいなくなった苦しみから逃れるように仕事に没頭するウルジは、兄からけしかけられて、何をするつもりなのか。
思ったよりも早く二人が再会して嬉しいです。一緒にいると傷つけあってしまうのに、一緒にいたい二人がいじらしいです。

表紙のブライダル衣装が素敵な7巻です。
プロポーズ予告をされてソワソワして過ごす棗が可愛いです。互いの存在によって互いを高め合っていて理想的な恋人です。
ついに遠距離恋愛が始まってしまい、どんな物語の展開になるのか楽しみです。

新人賞を受賞した棗と斗真はパリでの研修に行くことになります。棗の側にいることが第一の斗真が今後のキャリアのことを考えて悩む姿を意外に思いました。斗真の重たい愛と、棗の猪突猛進な愛で物理的な距離をモノともせず仲良くいてほしいです。

ハッピー・オブ・ジ・エンドが完結しました。ハッピーエンドでした。
マヤに千紘との平穏な生活を壊された浩然は、マヤに復讐をします。浩然の不安定さや千紘への執着に切なく思いました。千紘の健気さや深い愛情に浩然が救われて良かったです。

失踪していた在寅の消息がわかり、どうして彼が店の金を持ち出していなくなったのかが明らかになります。今まで周囲の期待に応えようと自我を押さえていた人間が弾けるとこうなるという見本のようでした。どこか晴れやかな在寅の姿に寂しような嬉しいような複雑な気持ちです。
一方その頃虎三郎は平瀬男爵から娘との縁談を勧められ……。虎三郎と時子はものすごくポジティブなので安心して見ていられます。

准教授・高槻彬良の推察シリーズ7巻は異世界に繋がるエレベーター、沼の主、人魚の肉の物語が収められています。
どの怪談も結局人間の仕業によるものでしたが、怪異の存在がたしかにあってゾクゾクします。
もう一人の高槻が明らかに出やすくなっていて、何か恐ろしいことが起こる前兆なのではないかと不安に思います。高槻も深町も人であり続けるための理由がたくさんあり何があっても大丈夫だと思うので、刺激的な事件を楽しみです。

らくたしょうこ先生の作品が好きなので購入しました。
レンタルタマちゃんなんて可愛いタイトルですが、ゆるふわ日常系ではなく、貧困や暴力の中で生きる孤独な青年の小さな幸せの物語でした、泣きました。壮絶なバックグラウンドをもつ登場人物ですが、らくたしょうこ先生の優しいタッチでマイルドに仕上がっています。
恋愛ではなく愛の物語だと思いました。

2015年から2019年までに書かれた短編と書き下ろし一編が収録されています。
特典の短編なのでそれぞれのCPの甘いエピソードが多いです。大自然の中での青◯にはさすがに驚きました……。

食べられる魔物が少ないダンジョン地下3階でライオス一行は、さまざまな魔物と出逢います。
生ける絵画の中でライオスが見た過去や人物が物語において重要そうに見えましたが、それよりも食事が大事です。今回は手の込んだ料理はなくシンプルなものが多かったですが、相変わらず美味しそうなゲテモノ料理でした。

町田そのこ先生の作品が好きなので新刊を楽しみにしていました。
葬儀社芥子実庵を中心に物語が描かれる短編集です。
語り手は作品ごとに違っていますが、最初と最後の物語は芥子実庵に務める同一の女性視点で語られます。彼女の考えや物事の捉え方の変化がこの本の面白さのひとつだと思いました。
どの物語にも死が描かれ、語り手はその死に向き合うことで自分らしく生きることに悩み前に進みます。
この本を読んで改めて人生は取捨選択の連続で失ったものの大きさを感じて苦しく思うことがありますが、自分の大切なものを大切にできるようになりたいと思いました。

アニメ放送記念で期間限定無料になっていたので読みました。
ダンジョンに潜り魔物を食す架空グルメ漫画です。
ゲテモノグルメの料理動画を見ているような面白さがあります。
人が死んでも生き返らせることができるので、過剰な悲壮感がなくて良いです。

心が読めることが黒沢にバレたら嫌われるのではないかと不安に思う安達。
嫉妬で黒沢が暴走したときに、ついに秘密を打ち明けます。
誠実に事実を伝えた安達も、素直に受け入れた黒沢も人ができていて感動します。
柘植と湊の関係はまだまだ進みませんが、信頼関係が築かれていて、この後が楽しみです。

顔しか評価されない日々に悩む若手イケメン俳優のフカイウミは、幼少期に自分の演技を褒めてくれたヤマを偶然見つけ、人気絶頂の中俳優を引退！？
モブがギャグ漫画みたいだし、主人公のウミも狂気に満ちていて全体的に様子がおかしい漫画です。
ウミからの執着にほだされてしまうヤマが常識人に見えます。何ともクセになるラブコメディでした。

おつとめ明けの鬼柳は不運なことに、通行人蛇田を轢いてしまう。蛇田が回復するまで鬼柳は彼の世話をすることになるが、彼らの周りに何やら不穏な気配が……。
作者買いです。今作はREVERSEのスピンオフ作品で、REVERSEの真壁が登場します。また真壁と浮島のその後が描かれた短編が収録されています。
硬派で口数少ない鬼柳と、お人好しな蛇田の不器用だけど愛情に満ちた行動や仕草にときめきました。

作者買いです。
危機的状態に陥ると性的興奮を抱いてしまう警察官の浮島は、捜査の過程で出会った怪しい男真壁にその癖がバレてしまい関係を持ちます。
快楽に弱く、お人好しで正義感が強い浮島が可愛いです。二人の性質上激しく乱暴な描写が特徴的な作品ですが、最後は糖分ありです。
作品の内容とは関係ありませんが、真壁がヒソカみたいな顔で大変良いです。

交際を始めた新と潤太はすごくラブラブですが、互いに相手を満たせていないのではないかと不安に思っています。
終始ラブラブで、甘える潤太がとても可愛いです。
新は爽やかお兄さん風ですが絶倫執着攻めで恐ろしかったです。
ゆいつ先生の描く美しい線が大好きです。

レンタルお兄さんといういかがわしいアルバイトをする大学生の新が甘えてみたいコワモテ高校生の潤太を甘やかす溺愛ものです。
仕事の客として会った二人は仕事を超えて会いたい気持ちがすぐに膨らみ親密になります。上巻では二人が特別な関係になるまでが描かれています。
潤太が可愛くて魅力的ですが、新はいまいち掴めないキャラクターです。下巻でさらに理解が深まることを期待します。

DEADLOCK season2の2作品目で、今回はロブとヨシュアがメインの物語です。ディックとユウトがメインの前作のようなアクション要素はまったくなく、ロブとヨシュアの関係や内面にフォーカスされています。
年齢差や性格の違いから、まるで先生と生徒のような関係の二人が初めて大きな困難にぶつかります。
大切な人に尽くして格好つけたがるロブの気持ちがよくわかりますが、心を曝け出したことで二人の仲がさらに深まり幸せな気持ちになりました。
ロブとヨシュアはディックとユウトが理想のパートナーと言いますが、互いに影響を受けて成長し続けられるロブとヨシュアもすごく素敵なパートナーです。

スモーキーネクターでやらかして追放された桜次郎と、彼に並々ならぬ執着をもつ監督者の壱真のカップルの物語です。
スモーキーネクターのような甘々な感じではなく、獣の衝動や暴力性が全面に出ていて、読んでいてドキドキハラハラします。
手がつけられない桜次郎も家の都合でこんなワガママに育ってしまったのかと考えると気の毒に思います。これから壱真の監視下で、愛情を感じながら幸せに生きられることを祈ります。

廉と夏稀は幼馴染。無知な夏稀に廉が自慰のお手伝いをしたことで、歪な関係がずるずると続いています。夏稀の無知につけ込んだ罪悪感から関係を進められない廉と、モテる廉に世話を焼いてもらって申し訳なく思う夏稀のすれ違いにじれったくさせられます。
無知なのに無意識にえっちな夏稀に翻弄されてしまう廉に同情します……。
二人の関係の進展が楽しみです。

花嫁としての資格を問われコーイチに試練が続きます。
体格差のある濃厚なプレイだけでなく、ファンタジーな世界観を固める設定が細かくてじっくり読んでしまいます。陰謀渦巻くストーリーの展開が楽しみです。

DEADLOCK season2で、本編の正統な続編です。
外伝や番外編でディックとユウトの二人を見ていましたが、ドンパチするハードボイルドな二人は本当に久しぶりです。
英田先生があとがきでも記しているように、番外編でのディックはユウトへの愛で可愛らしく見えることが多かったので、本作品で強くて格好良いディックの活躍を読んで改めて惚れ直しました（読者もユウトも）。
新作長編がこれからも読めることを祈っています。

ムリ婚。の続編が読めるとは驚きました。
心を通じ合わせた百貴と千景の生活が描かれる2巻です。相変わらずのラブラブ新婚バカップルでにっこりしてしまいます。
百貴との生活のためにアルバイトを始めた千景ですが、その内容は……？
すれ違いとも言えないような小さな喧嘩や、新婚旅行を通して二人の仲がますます深まります。
さらに続編も連載されるようで楽しみです。

2010年から2014年頃までの特典番外編が収められています。新規ファンなので嬉しく思います。
二つ目の外伝のカップルのロブとルイスも登場し賑やかな短編が多いです。みんなでパーティーをするようなハッピーな話も好きですが、ディックが昔の恋人のことを思い出すような切ない話も良いです。

DEADLOCK外伝の2作品目はわんこ系年下警察官×殺人事件の容疑者の売れっ子小説家年上受けです。猫のようなルイスが素直になるのが可愛いです。
ディックとユウトのようなハードボイルドアクションではありせんが、ミステリとして楽しめます。殺人事件の結末は悲しいものですが、ルイスの心の傷がダグの献身で少しずつ癒されることを祈ります。

2007年から2011年までに発表された様々な特典短編集です。新規読者なのでもう手に入らない短編がまとめて読めてとても有難いです。
本編では見られない日常やイベントの様子が見られて楽しかったです。

カラオケ行こ。の二人にまた会えて嬉しいです。
東京の大学生になった聡実がファミレスでアルバイトをします。狂児と連絡をとっていて嬉しいですが、距離を置こうとしていて哀しくなります。
上下巻同時発売ではないので、下巻が待ち遠しいです。

DEADLOCKでユウトを献身的に支えてくれたロブが主役の外伝です。相手はディックの同僚の無愛想で美人なヨシュア。不器用なヨシュアはロブの愛情に包まれて柔らかくなっていきます。
ポジティブで魅力的なロブには幸せになってほしいと思っていたので、外伝で描かれてよかったです。

14歳という大人になりかけの年齢だから感じる感覚が尊いです。
互いのカラダの違いを認識したり、人からどう見られるのかを気にしたり、これからもっと成長していく二人が楽しみです。

ナユタの安全と引き換えにチェンソーマンになることをやめたデンジは、このまま普通の幸せな生活を送っていて良いのかと悩みます。
欲望に忠実なところがデンジらしくて素敵です。

DEADLOCK一旦完結です。続編があるのでその中で読者にもディックの本当の名前が明かされるのでしょうか。
ユウトとディックが愛し合っているのに臆病になってなかなか気持ちを伝えられないところを焦ったく思いましたが、しっかりハッピーエンドでよかったです。

DEADLOCK続編のDEADHEATではユウトがディックと再開することを期待して出所後FBI捜査官となっています。監獄の外でのユウトとディックの再会はロマンティックでした。健気なユウトに絆されるディックがちょろいいです。
新たなキャラクターも、前作から引き続き登場するキャラクターも大変魅力的です。
巨悪の存在を仄めかして今作は幕を閉じたので、続編での畳み方が楽しみです。

友人の勧めで購入しました。
無実の罪で投獄された青年がFBIとの取引で監獄内に潜むテロリストを探すという大変ワクワクするシナリオでした。
明らかに怪しい、魅力的なキャラクターばかりでした。
続編での再会が楽しみです。

周りから大人っぽいと思われている中学生二人のピュアなラブストーリーです。
彼らよりも大分年上の読者のわたしは、初々しくて可愛らしいなと感じますが、当人たちは恥ずかしがったり悩んだりとにかく真剣で眩しく見えます。
二人の関係がどのようになっていくのか楽しみです。

ハピエンで安心して読めました。
ジーンの愛情表現豊かなところが素敵です。
パベルの牙の特性上、パベルとアウラのカップリングの物語が切なくてよかったです。
ジーンの牙の特性は合意があればBL的には非常に美味しいですが、繰り返すと抗体ができることを考えると効果は弱まっていくのでしょうか。

知人の勧めで購入しました。鯛野先生らしさを感じる線の細めの美人受けです。
寄宿舎を舞台に描かれる吸血鬼もので、上巻では不慮の事故で正体を露呈してしまったジーンと、初めての感情に心乱されるユキがすれ違っています。
切なげな描かれ方をしていますが、おそらくハピエンなので安心して読めます。

思い込みの強い刈谷さんは誰にでも優しい青野くんに恋をしてしまい、無事お付き合いをすることになりますが、青野くんは事故で亡くなってしまいます。
死んだ後も刈谷さんには青野くんの姿が見えていて……。
個性的なキャラクターが魅力的です。青野くんと刈谷さんの恋の行方が気になります。

番宣バラエティ番組出演で初共演するシゲと慎。慎と多々良の親しげな様子にシゲの独占欲が暴走します。
健気な慎と仄暗いシゲの落差が面白いです。

関係を進めたシゲと慎ですが、慎の知名度が上がったことで世間からの視線とシゲの独占欲が高まります。
当て馬っぽい先輩が慎の笑顔に頬を染めてしまっていて心配です。

芸能界俳優もので、王子様系執着攻めと悪役顔口下手受けの秘密の恋愛を描く物語です。
すでに恋人関係にある二人がどのような展開を見せるか楽しみです。

もともと同人で拝見していた作者様の商業作品ということで購入しました。
柔らかな線で描かれる優しい世界が美しいです。
ただの幼馴染だと思っていたアルとミロが互いを意識して徐々に特別だと気づく過程にキュンとします。
これから先の未来の話もぜひ読みたいです。

不思議な老女メアリが亡くなり、彼女が残したイギリス児童文学とそこに挟まれたレシピをもとに彼女の足跡を辿る連作短編集です。
物語の中に出てくるお菓子は特別魅力的に見えます。好奇心をそそられる登場人物の気持ちがよくわかります。
もうここにはいないメアリや潔子をきっかけに人間関係があたたかく繋がっていく優しい物語でした。

光に挑むために構成を変更する大胆な選択をしたいのり。
あんなに自信のなさそうだったいのりが試合の度に成長した姿を見せてくれて感動します。
ジュニアでの活躍も楽しみです。

桐山と二階堂との対局に決着がつきます。二人は特別な関係だと改めて感じさせられました。
あかりや島田など魅力的なキャラクターばかりです。

館シリーズ三作目の迷路館の殺人。
今回は枠物語（額縁小説）の形式で書かれた物語で、内容の仕掛けの多さもあって過度にテクニカルな実験的な作品なのかなと思いました。
違和感を覚えていたのに作中作の作者の思い通りにミスリードさせられてしまい、タネが明かされる一文でハッとさせられました。
軽快で読みやすく読んでいて飽きないコンパクトな作品でした。
電子書籍版には解説が載っていなくて残念です。

山田ノノノ先生の描く青春dom subユニバースです。
ツンとした中に優しさのある御門が須藤に出会ってありのままの自分を受け入れられるようになっていくのが感動的でした。涙もろい須藤が可愛いです。