村山早紀のレビュー一覧
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七瀬という魔女の主人公を取り巻く短編集。
ほとんどの話が「死んでしまった人物や生物との交流」に主眼を置いていおり、ノスタルジーに近い感傷を喚起させる。
絵本を思わせる平易でやさしいタッチの描写は、洗練された文章とは言えないかもしれないが児童向け作家出身の作風がよく表れていて印象的だった。
反面、迫害されてきた人々や人間に場所を奪われた生物たちが登場する一方で、人の醜い面に対してスポットを直接当てることがないため、かなり角が取れた話になっているなと思った。
登場人物がみなクリーンすぎる、と言ってもいいかもしれない。
悪人の存在は描写されず人間はひたすら庇護を受けるばかりで、「人間に対して甘すぎるのではないか」とすら思ってしまった。 -
Posted by ブクログ
NetGallyで、村山早紀さんの「100年後も読み継がれる 児童文学の書き方」を読ませてもらいました。4月22日発売予定。
私は小さい頃から本を読むのが好きだけれど、書く方はできないと思っていて。題材をもらって文章にすることはできそうな気がするものの、自分で新しく物語を創るってことはできる気がしない。何も思いつかないから。
そんな私にも書けるようになるヒントがあったりするかなー?と思いながらこの本を読んだけれど、やっぱり難しそうだなと改めて理解しました(笑)。物語が自然と降ってくるようなことがない私には、そういう才能はないのでしょう。
物語を作る上での具体的な段取りやテクニックというよりも、作家の覚悟や気概、心構えについて多く説明してくれている感じ。
テーマの選び方や展開のコツなんかが解説されているのかなと思っていたので、そういうのがほとんどなかったのは残念。でも作家生活の実態や、印税のこと、向いている人向いていない人についての説明などは興味深く、とても参考になった。
最後に短編「トロイメライ」が載っていて、そこには作者の注意書きや思惑などがコメントで書き足されている。最初に通して読んでから、コメントを見て確認しつつ再読してみた。いろいろなことが考慮された結果こういう構成になっているんだなあと面白かった。 -
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風早の街の港のそばの丘の上、ほおずき通りという古い商店街の近くに、美しい本を作る謎めいたルリユール工房があると。
そこではどんなに古く傷んだ本でも、元通りに直してくれるのだと。
その工房にたどりつくことさえできたならば、きっと直してくれると。
ルリユールという仕事・技術についてや、瑠璃や智史の複雑な家族の事情や、謎めいたクラウディアや黒猫たちなど、盛りだくさんで悪くない雰囲気の話ではあるが、話のテンポといい内容といい、私にはあまりピンと来なかった。
おばあちゃんの見舞いや頼まれた家事を放っておいて工房に行ってばかりで良いのかなどと気になるんだな。
ルリユールという仕事・技術について初めて知ったが、そのディテールがもっと物語の中に組み込まれて描かれていたらと思った。
そんなことは他の専門的な本で読めと言われそうだが、せっかくの主題の技術が魔法の結果というのはちょっと残念。 -
Posted by ブクログ
いつものように、登場人物の切ない願いをそっと抱きとめる不思議なコンビニのお話である。
「雪柳の咲く頃に」は凝った作り。
中学生の心優しい少年、淳が瀕死の老猫を助けられず、小さい時から見守ってくれていたタバコ屋のおじいさんとも死に別れる。
なのに、なぜか魔神が封じ込められた壺を拾ってしまい、他の誰かが喰われてしまうことを恐れて困惑する…。
たそがれ堂に行って「解決」するのだけれど、そういう形でか、とちょっとびっくり。
シリーズも七巻ともなると、作者さんもいろいろと趣向を凝らすのだなあ、と思った。
番外編は『百貨の魔法』とのコラボ。
二人の少年が願いをかなえてもらおうと夜の星野百貨店に潜伏する話。
仲たがいをしていた瑛太と想という少年が、塾の「えのじい」先生の病気を治してもらおうと思い立つというハートウォーミングな話。
これも、星野百貨店の魔法の猫が出てきたら、たそがれ堂が出てこなくても願いがかなってしまうのでは、と思うのだが…。
ファンにとってはたまらない作品だろう。