村山早紀のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ『魔女たちは眠りを守る』が初読みであった村山早紀さんの作品である本作上巻は、とても辛い現実に遭遇した主人公が暗闇から光へ導かれる所までが綴られている。
銀河堂書店という百貨店の六階にある書店で働く(自覚していない)カリスマ書店員の青年が、ある万引き事件によって世間から冷たい視線を浴びせられることになる。守りたかった自分の担当コーナー、多くの人に読んでもらいたかった本、ずっと一緒に働きたかった書店員の同僚と悲しくも別れる決断をし、ある書店を目指して旅をする。それが『桜風堂書店』
村山早紀さんらしさなのか、人の悲しみも温かみも優しい言葉で綴られていて、また本屋さんの辛い実情にも触れていて、なん -
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Posted by ブクログ
七瀬という魔女の主人公を取り巻く短編集。
ほとんどの話が「死んでしまった人物や生物との交流」に主眼を置いていおり、ノスタルジーに近い感傷を喚起させる。
絵本を思わせる平易でやさしいタッチの描写は、洗練された文章とは言えないかもしれないが児童向け作家出身の作風がよく表れていて印象的だった。
反面、迫害されてきた人々や人間に場所を奪われた生物たちが登場する一方で、人の醜い面に対してスポットを直接当てることがないため、かなり角が取れた話になっているなと思った。
登場人物がみなクリーンすぎる、と言ってもいいかもしれない。
悪人の存在は描写されず人間はひたすら庇護を受けるばかりで、「人間に対して甘す