矢部嵩のレビュー一覧

  • 魔女の子供はやってこない
    矢部嵩は狂っている。あまりにも鬼才。グロテスクで、趣味が悪い、ここまで読者を不快にさせる描写の旨さは感服する。それでいて謎の読後の清涼感! 絶対読むべきです。
  • 〔少女庭国〕
    「女子中学生といういきものの観察記録」

    表題作はどこか感傷的で儚い小品。補遺からが世界観の本番だった。
    残酷で不条理で、たくさんの死と生が積み重なっていく様子がドライな文体で綴られていく倒錯感。ちょっと他じゃ味わえない感覚ですね。
    殺し合い、人肉食、奴隷制度……まーグロいしエグいし目を背けたくなる...続きを読む
  • 魔女の子供はやってこない

    危険

    ゆっくり読み進めていこう、と思って読み始めましたがそんな暇はありませんでした。描写のグロさや文体等賛否両論あると思いますが自分はとても好みです。著者の他作品を先に読んでからこちらを読みました。その中ではポップでキャッチーめな作品だと思います。時折刺さる言葉と体に悪そうな甘さ、脳天突かれるような刺激に...続きを読む
  • 保健室登校

    学校

    中学校という閉鎖的な空間のことを思い出しました。勿論この作品の世界はかなり歪んでいるので現実世界と照らし合わせるのは難しいですが、スクールカーストをよく理解し書かれているんだなと思います。保健室に集まる子達みんな大好きです。
  • 紗央里ちゃんの家

    怖い

    最初から最後まで登場人物達が狂っていて怖い。文体も相まって、誰が「まとも」なのか分からなくなる。あまり強いオチがあるわけではないが、終盤の展開や臨場感はとてもスリルがあった。
  • 〔少女庭国〕
    卒業式会場へ続く通路を歩いていた少女は、ふと暗い石造りの部屋で目覚める。この部屋には二つの扉があり、片方にしかドアノブがない。ドアには以下のような文面の張り紙がある。「ドアの開けられた部屋の数をnとし死んだ卒業生の人数をmとする時、n‐m=1とせよ」。扉を開けると次の部屋にも少女がおり、張り紙があり...続きを読む
  • 魔女の子供はやってこない
    ※殆ど自分語りになります。

    知人に渡された本の中で、約8670日生きてきて、これ程までに自分の価値観形成に至るに語る本に近しい書物はありませんでした。私の今迄の人生が何かの設問だとして、間違いなくこの一冊は参考書となり得るものです。また、今後の私の人生の参考書にもなりそうです。

    作中で書かれてい...続きを読む
  • 紗央里ちゃんの家
    死体の部分部分を家中あらゆる隙間から見つけてた僕がそのときは恐怖よりも高揚が勝っていたくらいなのに、夜ホラー映画観て怖がっているところが面白かった。象徴的な場面だなと思った。そこにあるものの気配は微塵も感じないのに、ずっと不在はなずの紗央里ちゃんの実在感。不在の紗央里ちゃんのことを読者にずっと考えさ...続きを読む
  • 魔女の子供はやってこない
    無垢な子供の血みどろ魔法ファンタジー。何もかもが壊れているが、壊れているのが正常なので万事OK。でも失敗は失敗、後悔は後悔となり罪を償う、その事自体も肯定してくれる優しさですよ。地獄は来ない。みんな歩いていきましょうね。
  • 保健室登校
    登場人物はだいぶ変だし読みにくいしなんだけど、そこが好き。
    血みどろ場面でも爽やかで甘酸ぱっささえ感じる。
    これがツボというものかと実感。
    何より作者のあとがきが一番不思議だった。
  • 〔少女庭国〕
    脱出できるのは一人だけ。
    デスゲームであり、シチュエーションノベルであり、文明勃興記であり、青春小説であり、実験小説であり…百合でもあるのか。
    無限に増殖する少女。殺すか殺されるか死ぬか生きるか。不条理を超えた先にある感慨。ともかくとんでもない作品。
  • 〔少女庭国〕
    卒業式会場に向かっていた中三の羊歯子は、気づくと暗い部屋で目覚めた。部屋は四角く石造りだった。部屋には2枚ドアがあり、内一方には張り紙がしてあった。
    "卒業生各位 下記の通り卒業試験を実施する。ドアの開けられた部屋の数をnとし、死んだ卒業生の人数をmとする時、n-m=1とせよ。時間は無制限とする"
    ...続きを読む
  • 〔少女庭国〕
    ドアの開けられた部屋の数をnとし死んだ卒業生の数をmとする時、n-m=1とせよ。
    卒業試験として課された命題だけを見ると、脱出ゲーム、デスゲーム、バトルロワイヤルなどが想像されますが、そういうものも含めた人類史のような一冊でした。
    意外な広がりもありつつ、核心には触れない。映画CUBEを見たときの感...続きを読む
  • 〔少女庭国〕
    脱出ゲーム的な話かと思いきや、なんだか世界が発展する縮図を見たかのように感じ、小説を読んではいるのだが、何か他のことが頭の片隅にずっとへばりつくような小説。

    他のどんな小説とも似ない、ある種奇妙で独立しているなぁと感じる。

    人が増えれば増えるほど厄介だけど、快適な生活はできるのだと実感。支え合い...続きを読む
  • 〔少女庭国〕
    〈ドアの開けられた部屋の数をnとし死んだ卒業生の人数をmとする時、n-m=1とせよ。時間は無制限とする〉という卒業試験に放り込まれた中3女子たちのお話。
    〔少女庭国〕よりも〔少女庭国補遺〕からが本番でした。
    大叙事詩…勃興と滅亡を繰り返す中3女子たち。
    世界には部屋と扉と中3女子しかなくて、生きてい...続きを読む
  • 保健室登校
    起こってる出来事は荒唐無稽なスプラッタなんだけど、そこに至るまでの学生たちの考え方や動きは妙にリアルというか。
    普通の中学生が普通に思う「行事で仕切りたがるやつうぜー」とか「運動神経鈍いやつ体育祭で邪魔」みたいな等身大の感情のままネジが外れて人がバタバタ死んでいくのが、謎のリアリティがあって奇妙な読...続きを読む
  • 保健室登校
    『紗央里ちゃんの家』よりの基本路線は同じで、趣味の悪いグロテスクな出来事をまるで日常茶飯事かのように淡々とこなす登場人物たち、明らかに筆が乗りすぎているグロテスク描写、ドロドロ崩壊してムンクの叫びみたいになる会話文など絶好調で、ただ本作に至ってその露悪趣味が突き抜けてメータ振り切り1周回ってむしろリ...続きを読む
  • 魔女の子供はやってこない
    『〔映〕アムリタ』シリーズを思い起こさせるような「自己同一性に対する挑戦」的テーマが随所で匂わせられるが、そこまで踏み込むことなく程よいところで戻ってきてくれる。いや、厳密には戻れてはいないような気もするが、そこらへんの"正常の定義"が読んでいると次第に分からなくなってくる。
    現実感のない会話のやり...続きを読む
  • 紗央里ちゃんの家
    小説が映画や漫画と違ってすごいところは、そこに人がいると書けば人がいることになり、地の文に主観ぽいことを書けばそれは登場人物の思考になり、カギカッコをつければ話したことになり、そしてある程度の制約はあるもののそれが現実のものとして認められるためのハードルが限りなく低いところで、この小説はそういった小...続きを読む
  • 〔少女庭国〕
     文句なしに面白い矢部嵩。才能が羨ましい。どうしてこんな奇妙な設定を思いつくのか、普段何を考えてる人なのか頭の中見てみたい。

     この本SFで紹介されてるのか……。SF?か、ある空間に閉じ込められた女子中学生の奇妙(凄絶!)な話。

     この本を読む前に「サピエンス全史」読んでたけど、ちょうどアレと同...続きを読む