あらすじ
祖母が風邪で死んだと知らされた小学5年生の僕。叔母夫婦の家からは従姉の紗央里ちゃんの姿も消え、叔母たちの様子はどこかおかしい。僕はこっそり家中を探し始める。第13回日本ホラー小説大賞長編賞受賞。
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怖い
最初から最後まで登場人物達が狂っていて怖い。文体も相まって、誰が「まとも」なのか分からなくなる。あまり強いオチがあるわけではないが、終盤の展開や臨場感はとてもスリルがあった。
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死体の部分部分を家中あらゆる隙間から見つけてた僕がそのときは恐怖よりも高揚が勝っていたくらいなのに、夜ホラー映画観て怖がっているところが面白かった。象徴的な場面だなと思った。そこにあるものの気配は微塵も感じないのに、ずっと不在はなずの紗央里ちゃんの実在感。不在の紗央里ちゃんのことを読者にずっと考えさせる工夫が凝らしてあって、気付けばそれが紗央里ちゃんの魅力になっている。そこに描かれていないのに。
家族じゃない。親戚が親戚じゃないときどんな感じか知らない……という中途半端な距離にある「親戚」というものの無気味さ、潜在的な怖さを形象化した傑作。
福満しげゆきの表紙も好き
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表紙は福満の文庫で。
ホラーは好きで好んで読むが、これは「薄いな。すぐ読めそう」という理由だけで手を出した。結果、新しい扉を開くことになった。
他のどの作家とも違う、古典にもネットにも寄っていない。あえて…あえて本当にあえるなら筒井か? でもそれも違う。
謎解きもない。小学5年生の男の子が死体を探す。でもいちばんこわいのはそこじゃない。
毎食のご飯がカップ焼きそば。
降り続ける雨。
何度でも洗われるお皿。
食べたいウィンナー。
臭くても言ってはならない他人の家。
他人? 親戚? 家族とは?
おそらく、この作者は本質を知っているのだ。
だけど、言ってもまた仕方のないことだということも知っている。
ものを書くことで、少しでも自分が「異質な世界」に伝わったらいいと。主人公の父親の叫びは作者なのだ。なぜ、自分が異次元に生きているのかどうしても納得がいかないのだ。否、もうあきらめているのかもしれない。
私がそうだから。
秀逸なきちがい小説に出逢えて幸せだった。しばらくぶりに一気読みさせて頂きました。
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作中で、異常でないものを探すことが難しい。
にも関わらず、まるでどこかに整合性が残っている様な、秘密が隠されている様なきれぎれな状態で話は進行し、読者は何一つ縋るよすがが無いまま作品に突き放される。メタファーや何かの意図はどうやらありそうなのだが、恐怖ではなくこの作品全体を取り巻く生理的な嫌悪感が、読者の作品考察の意志を削ぐ。
この特異さを自分は読書体験としてそこそこ楽しんでしまった。
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小学生の主人公が父と共に親戚の家を訪れ、亡くなったお祖母ちゃんの詳細や従姉の紗央里ちゃんの不在などを訝しむうちに、洗面所で謎の指の欠片を見つけてしまうという、登場人物全員が異常かつ狂った文体で淡々と語られる物語が不気味だった。ラストは…
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小説が映画や漫画と違ってすごいところは、そこに人がいると書けば人がいることになり、地の文に主観ぽいことを書けばそれは登場人物の思考になり、カギカッコをつければ話したことになり、そしてある程度の制約はあるもののそれが現実のものとして認められるためのハードルが限りなく低いところで、この小説はそういった小説の得意分野を存分に活かしたテキストになっているので良かった。
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やべぇこれは。ホラーゲームをやってて、それをyoutubeで実況してるのを見てるような、微妙に他人事のような。そういう、なぜか分からないけど、でも自分は絶対に大丈夫っていう奇妙な安心感があるけど、でも怖いもんは怖い、ていうか気持ち悪い。稲川淳二も、怖いなー、嫌だなーって言わずにはいられない。不快だ。あーしかも夜寝る前に読み終わってもはや今晩悪夢を見ることは避けられない。しかしそれもまた大人の快楽の一つなのだ。ガキは小便漏らすからダメだ。
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こういう不条理ホラー好きだ。
キュートな乙一って感じ。
従姉妹の家に父親と遊びに行った少年が次々と紗央里ちゃんか祖母かわからない「かけら」を探して集める。
2泊3日、出てくる御飯はすべてカップやきそば。
登場人物全員いい感じに外れてました。
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後味の悪さ的な意味で★4つです。
内容自体は正直★1つとか1・5個くらいじゃないだろうか。
ふとホラー読みたくなって本屋をうろつき手頃な値段とページ数だったので購入。
すぐ読み終わりましたがページを捲る度にドキドキとかワクワクなんてもんはなくてただ、だんだんとダメな方向にしか向かっていかない感じ。
見てるこっちがちょっと溜息出るくらいに。
結局誰も救われてなくてどっちの家族もどうかしてるよ、といった感想であります。
でもこんな猟奇的な事にならないにしても多かれ少なかれこうゆう事を考えてる?人はいるのかもしれない。
所詮外側の人間は内側の人間の中にも入れないし解れないって事。
もう少し文が解りやすいというか上手ければなあ…
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いとこのさおりちゃんの家に行って、
いつもと違う叔父さん叔母さんとおじいちゃん
見つけなくていいものを見つけてしまい
止めればいいのにやめない
結局主人公も周りも狂ってる
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認識のズレという恐怖。あからさまな殺人現場はなにかのミスリードかと思いきや、単純にみんなぶっ壊れてて終始気持ち悪いだけという徹底ぶりは嫌いじゃない。けどさすがにワンアイディアすぎかなあとは思う。グロとか妙なユーモアとか叔父さんの幼児性とか細かい小ネタはあるにしても。単純にこのワンパンチと薄さで680円は高いよ。
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最後まで意味のわからない作品。
ミステリー要素を求めると不完全燃焼で終わるので注意です。
登場人物全員おかしい。
普通だと思ってたけど、何気に全てを見て見ぬふりしてるお父さんが地味にいちばんヤバいのかもしれない。
結局おばあちゃんがなんで死んだのかも、バラバラにされてたのかも、何もかもわからないし、グロいし気持ち悪いし胸糞悪いし誰にも勧められない笑
でも、この気持ち悪さを共有したい…笑
Posted by ブクログ
ひたすら気持ち悪い小説なんだけど、なぜか読む手は止まらない。
視覚的なグロさもさることながら、会話がかなり気持ち悪くて恐怖をより助長させていた。
面白くないわけじゃないけど、まぁ人には勧められないし、また読み返したいとも思わない。
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真剣に読んだら頭がおかしくなる。
でも真相に読めば読むほど可笑しくてケラケラ笑えてくる。
えなんなのこれは意味がわからないわからないのがおかしいの。でも好きだからいいか。やきそば食べたい。
Posted by ブクログ
小5男子の視点で語られる、親戚の紗央里ちゃんの家に泊まりに行った際の異常な出来事を描く。
まともなのは最初の3ページだけ。あとは主人公も含め頭のおかしくなりそうな描写が続く。
事件としてはあり得なくはないのに、登場人物の言動だけで凄絶ホラーに。
Posted by ブクログ
ただ違和感の中を読みすすめ、いつの間にか終わっていた。
こういった作品が流行った時代なのかと思ったら意外と最近だったことが少し意外でした。
Posted by ブクログ
今まで読んだホラーの異常性って私の中で大体二分化されるんだよね。
正常が異常を作る場合(人工)と、異常がそのまま表に出される場合(天然)。
後者に近いのではないかなと思う。
作られた異常は筆者の「これ気持ち悪いでしょう?怖いでしょう?」が強く感じられすぎて楽しめなくなるんだけど、この作品は筆者の自己顕示欲もあまり感じられなくて、そこは良い。
異常な親類縁者がいるとなるとその血を引く父親も、その子供である主人公も…と想像させる所が上手いと思った。
理由が明かされず謎のまま終わってホラーが成り立つなら、如何様にも恐ろしいもの生み出せそう!なんて。
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よく分からずに終わる部分が多いけどそこが良いんでしょうね。
これを演劇で観てみたいなと思いました。小劇場で。叔母さんの登場シーンで客席に緊張感が走る空気とか味わいたい。
Posted by ブクログ
何が気持ち悪いのかがわからない、とにかく文章が気持ち悪い、書いてある事が気持ち悪い、紗央里ちゃんの家族が気持ち悪い、この世界は現実なのかすら怪しく感じてくる、もしかしたらあの世なのかとも思えてくる
結局何だったのか?何を見せられたのかわからなかった
薄目の本なのに濃密で気持ちが悪い世界が広がってる
正に気持ち悪さ濃縮還元て感じの1冊でした(褒め言葉です)
Posted by ブクログ
グロテスクなものに耐性のあるサイコパス気質な主人公とその周囲の人たちの物語。
描写が妙に生々しくて読んでると気分が悪くなるかも。
世界観が狂ってるから常識なんて一切なし。
普通落ちてたおばあちゃんの指なんて口にいれないよ。
Posted by ブクログ
家族と親戚の距離感をホラーで表現したらこうなるのかあという感想。ホラー的には僕が余りにも冷静に死体を探しまくるところがハイライト。何を冷静に足とか指とか舌とか見つけちゃってんのおおおおお。そして拾った指をポケットに仕舞うなああああああ。って突っ込みながら読んでました。でも叔母さん達がおばあちゃんを殺してバラバラにして家中に隠していた理由も不明のままだし、唯一のまともな大人と思われていた主人公の父も心が壊れていたことが判明するし、そして紗央理ちゃんはあんな訳の分からない家に戻って大丈夫なのか?!謎多き小説でした。
Posted by ブクログ
書店で気になって購入。
怖い…というより船酔いみたいな気持ち悪さ。グロい割には主人公の少年が淡々としてるので、そこはあまり(人によると思うけど)気にならないけれど、文体や『奇妙さ』が当たり前にある居心地の悪さ。
理屈とか伏線回収とか好きな人はモヤっとするかもしれないけれど、訳が分からない不気味さが好きな人は気持ちよく酔えるのかもしれない。
個人的に1番不気味だったのは、なぜか突然ルビがめちゃくちゃ振られたページ(笑)
それまで振られてなかった簡単な漢字にもルビ!!ミス?と思ったけど、初版どころか四刷目なのでわざとなんだろうな。なんの意図が…気持ち悪い(笑)
あと警察の自販機の件が解決してなくて気になる。
おじいちゃんが言ってた『猫』も気になる。
姉ちゃんの言葉遣い(もはや『おれ』って言ってたけど)も気になる(笑)
床下収納はおじいちゃん。ベッドも本棚も筆箱もおじいちゃん?魂の話がなんだか切ないな。
昔行ってた親戚の家を思い出した。
時々行くくらいじゃ、『内側』のことなんて分かんないよね。一見平和に見えても。
おかーさんとおねーちゃんはせめて正常であって欲しいなぁ。少年、頑張れ。
どうでもいいけど、夕飯前に途中まで読んでしまって気持ち悪くなったのに、トマトケチャップライスに鶏肉炒めを食べてしまった。作りながら色々連想してしまいつつ完食です。読む時間、大事。
Posted by ブクログ
何か仕掛けがあるような気もするがあるんだかないんだかかわからずじまい。
角川ホラー文庫を読んだのは15年ぶりくらいだけど、たまにはこういうのもいいか。
Posted by ブクログ
【本の内容】
叔母からの突然の電話で、祖母が風邪をこじらせて死んだと聞かされた。
小学5年生の僕と父親を家に招き入れた叔母の腕は真っ赤に染まり、祖母のことも、急にいなくなったという従姉の紗央里ちゃんのことも、叔母夫婦には何を聞いてもはぐらかされるばかり。
洗面所の床からひからびた指の欠片を見つけた僕はこっそり捜索を始めたが…。
新鋭が描いた恐ろしき「家族」の姿。
第13回日本ホラー小説大賞長編賞受賞作、待望の文庫化。
[ 目次 ]
[ POP ]
異色ホラーということでいえば、矢部嵩さんの『紗央里ちゃんの家』。
真っ赤に染まった叔母さんのエプロン、家中に漂う異臭、見つけてしまった指の欠片。
夏休みに叔母さんの家を訪れた「僕」の視点で淡々と描かれていく、日常の中にあるおどろおどろしい不条理。
笑えるほど恐ろしい。
最悪だけど最高。
これは、正常な感覚を麻痺させる“魔力”を持った一冊です。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
内容がどうこうよりも文体からして気味が悪い。
ここまで雰囲気が気持ち悪い文体は初めてかもしれない。
グロさとか薄気味悪さだけを求めるならオススメしたい一冊である。
句読点やら会話文での「?」などを用いていないのもその薄気味悪さの要因の一つであると考える
Posted by ブクログ
歴代のホラー大賞作品より比較的会話文が多く、長編と言いながらも割と短いので、読みやすいかと思います。
ただ、その読みやすさが欠点にもなると言えます。
どうも、恐怖を安易に狙い過ぎてるのでは??
単語を繰り返したり、悲鳴でページのほとんどを埋める手法なんかはネット小説にありがちというか。。。
やはりそういった点では、歴代の作品と比べられてしまうのが惜しいなと思います。
***
この作品は、恐怖の追及というよりも、家族の在り方というか、『人間関係のモヤモヤ』を描く事に重点が置かれているのではと感じました。
タイトルにもなっているのに、従姉妹の紗央里ちゃんは家に居ない。叔母さんはなぜか血だらけだし、親戚一族はその後も何やら不審な行動ばかり。
少年はそれらに疑問を抱きつつも、その狂気をどこか受け入れてしまっている。親戚という微妙な関係故に、不審に思っていてもあまりつっこんではいけない、と、空気を読んでしまう。
そのうち感覚がだんだん麻痺し、新たに死体の一部を見つけても驚かなくなり、狂ってるものを狂ってると認識しなくなる。。。
終盤のある人物の発言にはゾクリとしました。
例え家族であっても所詮は他人なのだと。無関心になってしまうのは致し方ない事なのだと。
家族とは、なんだかんだで自分が一番かわいい「一人の人間」が「ただ同じ場所に集まっているだけ」なのではないか。
純粋に『後味の悪さ』を求めるなら、おすすめです。
Posted by ブクログ
福満さんの表紙でジャケ(?)買い。
いかにもな表紙だなぁ、と思ったら実は内容にものすごく忠実な表紙でちょっと笑った。
文体とか、グロ描写とか、狙いすぎている上にあまりうまくない感じ。内容はまぁそこそこ面白かった。ラストでちょっと哲学的な感じになって、少しびっくり。
Posted by ブクログ
き、気持ち悪っ…そんな物口に入れるんじゃありません!!雰囲気は世にも奇妙な物語みたいな感じ。終盤のお父さんの行は必要だったのか解らないけど、全部どうでもいいと言って吐くお父さんは実は一番まともなんじゃないかとも思える…気がする。
Posted by ブクログ
もう既に不気味だとかいうレベルではないような気がする。なんだこれ。ひたすらグロい。食事中、思わずこの話の内容を思い出して、気持ち悪くて戻しそうになったほどグロテスクな内容。
ホラー小説は全くと言っていいほど読まないのですが、読み終わった後、軽い気持ちで手に取った自分を叱咤しました。カルチャーショック。こういう書き方もあるんだなあ、といくつか感心するところがあって新鮮でした。
幽霊だけがホラーじゃないとは分かってはいたけれど、これがホラーというジャンルだということに驚いています。
なんていうか、所々出てくる小学生らしからぬ主人公の行動が不気味。主人公がゲーム感覚で部屋中を探していくようにしか見えない。私がもしこの家にやって来たら、同じように狂ってしまうかもしれないと思った。ただ気持ち悪いだけな読後感。
私みたいにホラー小説をあまり読んだことがない人、または気持ち悪いのが苦手な人にはお勧めできないかも。