磯田道史のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
当代随一の人気歴史家が、日本史の謎の数々に迫る。古文書の中から見えてくる、本当の歴史の面白さがここに!
というキャッチフレーズの本
まず「まえがき」に磯田先生のアツーイ思いが満載でなかなか唸らせる
【「まえがき」抜粋】
日本史の内幕知りたい
そう思うなら、古文書を読むしかない
歴史教科書は政府や学者さんの願望に過ぎない
古文書は一次情報にあたる
ここが肝心である
情報化社会、ネットの社会になって、情報検索が容易になり、同じ情報をコピーして共有するようになった
そのため歴史小説を読んでも面白いものが少ない
ドラマもそうで、新味を見せようとすると、現実離れした架空の作り話にするほかない
そうしたコピペとフィクションの歴史が巷には触れている
~くぅ!熱い!いいですねぇ♪
このまえがきで読もう!と思ったのでまさに掴みはOKですね(笑)
【面白かったトピック】
・物見役(偵察)は士気を下げないため、敵の数を半数くらいに報告する
・家康は三方ヶ原の戦いで逃げ延びた際、暗闇の敗走中、左右に馬を走らせたお供の刀に痰唾を吐き続け、後日それを証拠にその者たちを賞した
・浜松東照宮…浜松は家康だけでなくまだ無名の秀吉が16〜18歳まで過ごしていた
浜松でも主人に「なに一つ主人の心にかなわぬことがない」と完璧な勤めぶり
・「築山殿」家康の最初の正室
本来の正室時代の名前は「駿河の御前」
岡崎の築山御殿に隔離されつけられた別称が「築山殿」
・江戸期の婚礼マニュアル、宝くじの先祖は大阪の「富くじ」、昭和初年の「二重まぶたの整形手術」が現代の費用とそう変わらない!
・寺子屋のおかげで江戸の知識レベルの身分格差は小さかった
・全人類の日本人が占める人口の割合
弥生時代→0.03%
江戸時代→5%
2000年→2%
2100年→0.75%
かつ江戸時代のGDPはアメリカの1.75倍!
・中根東里と司馬遼太郎
中根東里という儒者
「徳川開闢以来、稀有の才」
にも関わらずおのれの名が残らぬよう作品を燃やす
なんとも謙遜的なつつましい立派な日本人である
(「無私の日本人」を読まなくては)
【この本の一番のお気に入り】
■我々は「本が作った国」に生きている
・江戸日本は世界一の「書物の国」で硬軟様々な本が流通していた
・頼山陽の『日本外史』、『通議』
・実用的で面白いのが『吉原細見』
今で言う風俗情報誌、吉原の妓楼や遊女が細かく紹介され(遊廓内の案内図、遊女の格付けや料金まで有り!)
・江戸、京、大阪などの大都市だけでなく、各藩、各地域の村々にまで書物が行き渡っていた(庶民の家に多くの書物があった→これが江戸日本の特徴)
・寺子屋などで使われていた教科書をはじめ、職業の心得や礼儀作法を書いたもの、健康な生活への指南書がベストセラーとなった→職業知識や礼儀作法、健康知識などのインフラを築いた
・日本人の基礎教養は、長い時間をかけて「本」が作り上げた
読書によって人格形成された歴史的人物が日本を動かした=本が彼ら動かしていた
~現代の日本の基盤を作って下さった先祖先輩に感謝である
他国では恐らく庶民にまで書物が浸透していなかったのであろう
寺子屋も然りですな
(こういう言い方をあまり大っぴらにするのは宜しくないかもしれないが)日本国民の民度の高さを感じる
現代、本を読まない日本人が増えている…ということは、すなわちこの逆の現象になる
末恐ろしさを感じる
(恐らく皆さんも同じだと思うが)日頃本を読む時間を捻出するのに苦労している
よく言われるのが隙間時間の活用であり、「移動時間」が主な隙間時間と言われている
平日電車通勤しているのだが、電車乗車時間が有難いことに(?)たったの6分しかない!
そのため、どうしても長編的な本や先が気になりすぎるミステリーは読みづらい
しかしながらこの本はこの6分+電車待ちの数分の時間に読むのに非常に適していた!(全て3〜4ページの内容)通勤のおともにピッタリである
それはともかく、マニアなことに熱心な方の本は本当に面白い
深堀マニアさんが大好きである
年々小説を読まなくなり、どうしてもノンフィクション系の内容の本に比重が集まっていく
地道にご自身の足で歩いて、目でみて、身体を張って書いた本というのはやはり面白いのである
マニアックであればあるほど、その人の経験でしか書けない価値のある内容になるのだ
こういった真実を追求した内容の本に対し、「内容が薄い」、「期待外れだ」という意見も多いみたいであるが、現実、真実ってそんな派手なもんじゃない…と思うのである
偽りの派手なことよりも地味ながら味わい深い真実の良さがわかるのも、年を重ねた醍醐味だと感じている
(確かに本の宣伝文句はちょっと盛り過ぎかも(笑)これに惹かれて読むとガッカリするかも…)
磯田先生が15歳で古文書の解読を始めたことにも感動
好きなことしか仕事にできないでしょ?ってホリエモンが言いそうなことをふと感じた
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Posted by ブクログ
江戸時代の武士、農民、町人、また、職業別の給料や物品の値段が今の貨幣に換算していくら位だったかを紹介し、そこから当時の暮らしや文化を解説していく。
「遠山の金さん」の年収は3億円以上、卵は1個315円、大工は年収800万円以上、伊勢参りの一行は250万円以上を散財したなど、興味深い事例が紹介されている。しかも、当時の浮世絵や名所図絵、イラスト、江戸東京博物館にある展示模型など、豊富なカラー資料が、満載でわかりやく、気軽に読める内容になっている。
自分としては、現在との値段比較はともかく、解説されている暮らしぶりや経済事情に注目して読んだ。わかったことの幾つかを箇条書きしておく。
・江戸時代の貴重な動物性タンパク源は、鶏肉や卵であり、なかには鶴やトキを食したという資料もあった。
・手軽に食べられる外食産業として、道路脇などに屋台を出す「立ち売り」と、棒手振りで有名な「振り売り」があり、「立ち売り」には、天ぷら、そば、寿司、うなぎの蒲焼き、団子など様々な屋台があった。
・江戸の人口は参勤交代でお供の武士が単身赴任することなどにより、男性の方が圧倒的に多く、男性文化が盛んになった。
・長屋の大家が共同便所の糞尿を売ったり、生ゴミを回収して、新田開発の埋め立てや肥料に活用したり、火事の廃材を転用するなど、リサイクルやものを大切にする暮らしがあった。
・醤油、味噌、漬け物、鰹節など発酵食品が江戸時代に開花した。
わざと、こぼれ話的な軽い読み物にしてあるが、巻末に示されてある主要参考文献一覧を見ると、さすがだなと思った。
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Posted by ブクログ
・ナショナリズムとパトリオティズムの違いは、お家自慢のたとえで考えてみるとよくわかる
・ナショナリズムは、何ら自分の努力で手に入れたわけではないのに、家柄を自慢し、他の家をバカにする。
・パトリオティズムは、自分はたまたま名家に生まれついたのだから、一層きっちりして周りから尊敬される家にしよう。
・明治期の日本がお手本にしたドイツはヨーロッパでは後進国で、市民社会がまだできておらず、君主の権力が非常に強いものだった。日本の国情によく似合っていた。つまり「ドイツ」という服を着て歩くのが一番華々しく自分の体にも合った。
・大隈重信や福沢諭吉はイギリスの服がいいと言ったが、伊藤博文によって追い出された。
・天皇の国家がドイツの服を着て大日本帝国を名乗った。この服に合わせた「軍隊ブーツ」が一度履いたら死ぬまで踊り続ける「赤い靴」だったのが落とし穴だった。 -
Posted by ブクログ
私は気に入った文章がある時はページの隅を小さく折るのだが、本作は最近の中で最も多くの端折りがあった作品である。所々で出てくる作者の歴史観に興味を引かれ、かつ日本人の本質、何より日本史を知ることの最も面白い部分を再認識させてくれた。
ただ、1つの作品としては、前半の『穀田屋〜』と後半の2作の色合いが大きく違いすぎるように思える。前者は映画になっただけあって、ストーリーに大きな魅力があり、その中で私欲のない日本人が描かれる。一方で、後者はある種、特異な人物の一生を淡々と描くもので、タイトルに合致しているのはこちらだが、少し退屈に感じられ、その特異性に感情が寄せきれない感じがした。