あらすじ
なぜ信長は殺されたのか? 教育パパ家康が子どもたちに学ばせたものは? 江戸時代の教育事情は?
『武士の家計簿』『無私の日本人』など、著書が続々と映画化されている気鋭の歴史家が、広く、深く、日本史を見わたせるような歴史のトピックを厳選。かろやかな語り口を楽しむうちに、いつのまにか日本の歴史のたどり方が身につくエッセイ集。
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歴史家磯田道史さんの随筆集。
歴史に名を残す信長、秀吉、家康などの為人やエピソードあり、からくり儀右衛門など政治に直接関係のなかった人のエピソードそして学び、昔の人の日記などから暮らしぶりや生き方をわかりやすく解説してくれたり、歴史の中での離婚の位置付けや名前の由来の歴史などなど、いろんな角度から歴史って面白いなと思わせてくれる本。
古文書などは自分で読み解けないけど、この本が読み解いてわかりやすく解説してくれるので知識が広がります。
儀右衛門の時代は道楽という心豊かな言葉があり、朝から晩まで勉強に関係のないことで夢中になっていても親御さんが暖かく見守ったことで自由に力を発揮し現在の東芝の土台ができたという話は、親になった今大事にしたい考え方。
あとは、武士道を重んじて世の中のために善を尽くしている立派な方も、家族は犠牲にしていたなど、歴史の中のエピソードだけではわからないことがたくさんあるなぁと感じています。
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薄く、短い文章の中に歴史に埋もれがちな大切な話がたっぷりと書かれてある。有名人だけでなく、庶民がどうあったのかや、結婚や離婚はどうだったのか。ものすごく知って得する一冊。
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様々な文化が花開いた江戸を中心に、その前後の歴史も交えて綴るエッセイ。興味深い話題がコンパクトにまとめられているのも道理、新聞連載を書籍化したものなのだ。『殿様の通信簿』『武士の家計簿』のプロットとなる話題があり、早速それらを読みたくなった。夏目漱石が出てきた時には、そう言えば漱石も幕末の生まれであり、その作品には江戸言葉が濃いことを思い出した。
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2024.09.30
歴史エッセイとして面白い。
だけど江戸の備忘録はちょっと中身とずれてない?
そんなところしか文句つけられない面白い視点を提供してくれる。
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お馴染み磯田先生の、楽しんで読みながら歴史の勘どころを押さえる事ができる、江戸雑学集。
家康始め代々の徳川将軍、戦国期から江戸時代にかけての名のある有名武将や大名、幕末期の英雄たちのエピソードも興味深かったが、それ以上にこの時代の社会を支えた名もなき市井の人々の生き方に惹かれた。江戸時代のおじいちゃんと孫の会話、相撲今昔物語、寺子屋事情や江戸の会談集など、可笑しくて何処となくホッとする逸話も満載。
貧しく過酷な生活ではあっても、それぞれの立場で良く働き、正しく生きたこの時代の人々に学ぶところは多い。自分も姿勢を正して「しっかり生きなければ」とあらためて思う。
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随筆集というより雑学集に近い。江戸時代に関する話がおもしろく、かつ簡潔明瞭に書かれている。あとがきを見て新聞の連載がもとになっていると知り、納得した。同じくあとがきに「学術的なものを書く場合であっても、誰にでも伝わる達意の文章を心がけたいと思う」とあるが、この本はまさにそれを体現している。
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<目次>
略
<内容>
朝日新聞土曜版に連載の記事をまとめた本の文庫化(原本は2008年刊)。磯田さんは古文書をきちんと読めこめる稀有な人。江戸時代あたりが専門だが、現代的なテーマとつないで解読することができる。なので、この本の内容も現代的なところでは古いが、歴史的な古びていないので信憑性が高い。文庫版のあとがきに書かれている、取り上げたテーマの解説がいい。
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タイトルで想像していた江戸時代に起こったエピソードを記したもの、とはちょっと違った。
必ずしも江戸時代に限らない。
何しろ夏目漱石の奥さんのことまで書いてあるのだから。
でも今の日本は、敗戦で劇的に姿を変えた部分と、それでも変わることのなかった部分があり、この本を読んでいると日本人に生まれたことがむふむふと嬉しくなる。
昔から、そして世界で一番へその緒を大事にする日本人なんて書かれた暁には、ご先祖様とも子孫たちともへそで繋がっている気がしてきます。(今の私のへそは人工物ですが)
徳川将軍家の起床時間は朝6時、大名は7~8時、天皇は8時ころに起床していたらしい。
現在の重役出勤なんてのとは逆で、将軍が一番早起きだなんだって。
信長と親しかった細川幽斎が信長が滅んだわけを語っている。
一度敵対したものは謝ろうが家来になろうが許そうとせず、一度でも信長の不興をかった家臣は殺されると思いこみ、次々に背いたのだって。
さて、大河はどう切り込んでくるのかな?
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相変わらず磯田さんはすごい!
古文書の翻訳家、それも興味深いものばかりを厳選している。どれだけの古文書を読み尽くせばここまで行けるのか、感心させられる。
相場の格言
思い入れ違いの節は早速手仕舞、40-50日は休むべし!売りならし、買いならしは厳禁!
まず、損失の見積もりをすべし!
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今をときめく歴史学者・磯田道史さんの本。
『武士の家計簿』や『殿、利息でござる!』(そういや羽生結弦くんも出演していた)などの原作を書いた方。
古文書を、まるで新聞を読むようにスラスラ読めるという磯田さんが、古文書から拾い上げた色々な人物のことをわかりやすく紹介してくれている。
この本を読んで良かったのは、東芝の祖になった「からくり儀右衛門」こと田中久重について知れたこと。
9歳で金庫の鍵構造と同じ物を独自に作ったことから始まって、文字書き人形を作り、蒸気機関を作り、蒸気船を作り、アームストロング砲を作り、自転車を作り、通信用電信機を作り……。
こんなレオナルドダヴィンチみたいな天才が幕末の日本にいたのね。知らなかった。
これだけでもこの本を読んだ収穫があった。
他にも、大田垣蓮月(まるでマザーテレサじゃないか)とか、上杉鷹山(今の政治家に見習ってほしい)とか、教科書では習わないような歴史上の人物の興味深い話がたくさん。
「秀吉は権力や財力で何でもできると思っており、稲荷大明神を脅したことさえある」っていう話もツボだった。何ていうおっかないことを……。だから滅びたんじゃないのか。お稲荷さんは怒ると怖いんだぞ。
とりあえず、からくり儀右衛門について書いた本を探そう。
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歴史に関する短い随筆がずら~りと。索引付きの親切仕様。
ぱらぱらとめくって、ぽちぽち読むのが楽しい。
だが、短いながらも興味をそそる内容、多し。
江戸時代の左利き、早起きと朝寝坊、長かった披露宴、識字率、
江戸庶民と名字・・・目から鱗の話が多く、愉しかったです。
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実は今でも九州は全国平均より子だくさんであり、過去300年日本人に流れる「九州人の血」はどんどん濃くなっているのです 結局信長は他の能力が優れているのに人を信用せず人に信用される能力がなかったため、天下を取れなかったのではないか 家康最大の異才は何が一番大切なのかことなのか物事の優先順位を看破できたことである 政治は国民へのまなざしが大切。政治家が傷をいたわるように国民を見る国そんな国は必ず栄える。逆に政治家が国民をゴミのように無視する国。そんな国は必ず滅ぶ 寺田寅彦は漱石から2つのことを教わったと書いている。自然の美しさを自分の目で発見すること。人間の心の中の真なるものと偽なるものを見分け、そうして真なるものを愛すること。この2つである
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朝日新聞の土曜版に連載したものを書籍化したもので、60編のものが纏められている。全て短編なので、要領よく纏められており、読みやすい。
「日本人の識字率」では、日本人の読み書き能力が高いのは「江戸時代の遺産」であると教えられてきたが、どうもそれは怪しいとの事。江戸時代の識字調査はないが、明治の初めに長野県のある地域で行われた調査では、
・数字も名前も書けない:35%
・出納帳がつけられる:15%
・手紙や証書が書ける:4%
・公文書に差支えない:2%
・新聞論説を理解できる:2%
つまり、
自分の名前が書ける程度の識字率は65%
新聞を読んで政治論説が理解できる人は2%
ということで、一般の日本人が活字を読んで政治や社会を理解できるようになったのは、ここ百年ほどのことだそうです。
また、その識字率に関する戦国時代のエピソードが面白い。本田作左衛門という奉行が、三河で百姓が守るべきことを書いた高札を三河中に建てたが立てたが少しも守られない。そこで百姓を捕まえてきた時に、奉行はその百姓の顔をじっとみて、その後放免した。そして国中に建てた高札を全部取り換えた。
新しい高札には「○○すると、さくざえもんがきるぞ」とひらがなで分かりやすく書いた。すると犯罪が一気に減ったそうだ。
「よい政(まつりごと)はわかりやすい言葉からと言うことらしい」等々の類のことが満載された一冊で、暇な時の肩の凝らない読書にお勧めです。
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江戸の歴史にまつわる短文集。
江戸時代の識字率が高かったという話を無条件に信用すべきでない、という「日本人の識字率」は印象的だった。
たしかに、いわれてみると何をもって「識字」する状態だとみなすかは問題だ。
自分の名前や数字くらい読めたという人は6割を超えても、それが書ける人は約四割と下がり、出納帳がつけられる人となると十五パーセントくらいだとのこと。
当時の他国の状況との比較は具体的にされていなかったけれど、これまで「江戸時代の識字率は高かった」と無条件に信じてきたから、ショッキングな話だった。
江戸時代の左利きの割合はどれくらいか。
天皇、将軍、大名は何時くらいに起きていたのか。
こんな、ちょっとした、しかし調べるのが大変そうな話がたくさん出てきて、楽しい。
(漱石や鏡子夫人の起床時間をめぐる夫婦喧嘩の話も出てくるが…)
この間読んだばかりの、冲方丁「光圀伝」ともかかわる内容もあった。
家康が子どもたちに水練を熱心に仕込んだこと。その結果、尾張の徳川光友、水戸の徳川光圀など、大変な水練の達人が生まれたとのこと。
特に、光友が江戸の人々の前で、八丁堀に飛び込み、立ち泳ぎをしたまま食事して見せたという「昔話」のエピソードには、無性に笑える。
「光圀伝」では水戸藩(佐々介三郎)が作ったとされる「土芥寇讐記」。
当然のことながら、ここでは編者不明。
ああ、よかった。冲方さんのフィクションを信じ込んでしまうところだった。
タイトルだけ知っていた、磯田さんの「殿様の通信簿」は、この本に依るものだそうだ。
今度見かけたら読んでみよう。
Posted by ブクログ
教科書には載っていないけれど
知っていたら歴史が面白くなりそうなエピソードがたくさん載っている。
多少偏っている感があり特に幕末は西軍寄りな雰囲気はあったが、初心者の方でも楽しめると思う。
信長が大蛇を探す話や、
秀吉がお稲荷さんを弾圧したり
竜宮城にお願いをしたりするエピソードが面白い。
家康が騎馬と水泳を大事にしたというのもなるほどと思った。
岩槻城の太田美濃守資正が犬好きで軍用犬を飼っていた
というのも、先見の明があるように思う。
鷹山の話で、当事者意識という表現がわかりやすかった。
罪人が出るのは自分のせいであると考えるのは
非常に繊細だが、それくらいの当事者意識を持って
政治家には政治に当たって欲しいと思ってしまった。
江戸時代は変わり者がやりたいことをやれて
一見無駄に見えるものに寛容だったというのが
なんだか羨ましい。
からくり儀右衛門こと田中久重の両親が、
家のことは無頓着で良いと言ってくれるところがすごい。
蓮月尼が自分の為に棺桶を用意しておいて
普段は米櫃にしていて、しかも困った人がいたら
棺桶を譲ってしまうというのに驚く。
とかく日本は子育てに向いていないなどと言われるが
それは飽く迄現代の話で
日本人の子供好きは世界的にみても類例のないぐらいで可愛がられて微笑ましいと外人が記録している
というのは誇らしくもあり、現代が残念にも思えた。
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戦国から江戸時代を中心に、古文書に書いてあるエピソードを紹介した本。1つのテーマが3-5ページくらいで軽く読める。偉人や有名人の逸話から無名の人の話まで色々。特に江戸時代の教育や、結婚と離婚の日本史、貧乏神、蚊帳など、昔の風俗の話が面白かった。
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軽妙な語り口で面白かったが、複数の文章をそのまま切り貼りしたようで重複が多く、読みづらかった。書籍化するにあたって上手く編集できなかったものか。ただ、歴史的な人物だけでなく、名もなき人々や行政のあり方も取り上げられており、トピックのチョイスが秀逸。特に、昔の祖父と孫の関係には、現代に通ずるものを感じてほっこり。江戸の銃管理や政府のサイズの話も面白かった。
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歴史ふむふむエッセイ。「江戸の備忘録](文春文庫)磯田道史。
「武士の家計簿」の作者として有名な、歴史学者さんです。
正直に言うと、軽く楽しめればいいや、というくらいの衝動買いだったのですが、かっちりと期待通りでした。
本当に軽いエッセイ集で、記憶に残ったところで言うと、
●江戸時代は、武家も庶民も離婚率が高かった。再婚率も。結婚の4割は離婚していた。
「離婚は恥、結婚は一度が当たり前」という価値観が当たり前になったのは、明治時代、修身教育以降であろう、という話。
●日本は地域によって貧富の差が激しかった。簡単に言うと西日本は、気候、風土的に、米と麦の二毛作ができた。
東北はできなかった。これがかなり決定的な差だった。だから西日本の方が出生率も高かった。つまり、西日本の方が人口も増えた。
●江戸時代から日本は識字率が世界と比べて抜群に高かった、という通説がある。けれども、半分は間違っている。
明治時代に長野県で取った調査によると、「自分の名前を読めて書ける」というレベルなら、相当な率になったが、
「手紙や証書が書ける」レベルは4%。「新聞を読んで論説が理解できる」レベルは2%だったという。
一般の日本人が政治や社会を理解できるようになったのは、ここ100年ほどのことである、と、磯田さんは書いています。
まあでも、考えようによっては今でも…。
●八百屋の根本長造。囲碁がうまかったが、接待のためにわざと負けていた。「八百長」の語源。
みたいなあたりは、「へ~」と面白かったです。
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「実語教」やスケートの羽生選手が出演して話題になった殿、利息でござる!の原作「無私の日本人」から検索していてたどり着きました。武士の家計簿、殿様の通信簿などが代表作なようです。明治維新が評価されている割に、江戸時代350年間は評価されていない気がして勉強し直しています。読み物として素直に面白かったです。問題は一次資料を自分で読みたくなってしまうところですね。
Posted by ブクログ
歴史好きには見逃せない、戦国末期から幕末までを網羅した歴史随筆集。
江戸城無血開城をめぐる西郷隆盛と勝海舟との会談の裏には、西郷に決断を促した女性(78歳の尼さん)の存在があったとか。
幕末の発明王からくり儀右衛門が西洋に生まれていたら、天才工学者として、名をの残していただろうとか。
歴史教科書には記されない逸話の数々。
歴史的事実を述べながら、現代にちくり一言も。
江戸時代の寺子屋教育は、子供が能動的に自分の手と口を動かして成り立つ「手と口の学び」であった。しかし、現代は「目と耳の学び」であり、自分で勝手にやる創造的な人間や発想は生まれにくくなっていると。
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歴史トリビア集。江戸時代の教育に関する件(くだり)は興味深い。それにしても、何百年も昔に日記やら家計簿やら残していてくれて現代に甦るとは不思議な縁である。
また最近の歴史・時代小説作家が史料を読み込んでいないとの指摘は当たっていると感じる。
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面白くてためになる歴史随筆集
奇怪を好んだ信長、神仏を脅した秀吉、大将のつとめは逃げることと心得ていた家康……。気鋭の歴史家が日本史の勘どころを伝授する。 (親本は2008年刊、2013年文庫化)
本書は朝日新聞の土曜版に連載した文章を元にしてまとめた歴史随筆集であるという。巻末の索引が嬉しい。基本典拠を明記してあるが、もう少し丁寧に書いて欲しかった。(連載中は無理であろうが書籍化するならねえ。余白のスペースが目立つし)
例えば、信長の好奇心について、「太田牛一の信長公記」と「朝野雑載」の逸話が載せられているが「朝野雑載」とは何か誰の著書かはわからない。
ググってみると早稲田の古典籍データベースが出てきて、著者「市島謙吉」とある。ところがこれは市島春城 [撰]の著者ということらしく、さらにググると「朝野雑載」は貝原益軒の著書だという。
貝原益軒はwikiによると1630〜1714の人で1648年に仕官したという。信長は1582年に死んでいるから、およそ60年位のタイムラグがあることになる。同時代の「信長公記」と時代の異なる「朝野雑載」を並列に扱ってもよいのだろうか。
著者は専門家なので、当然そこら辺を加味して史料を使われていると思う。しかし大半の読者は素人なので混同する恐れがあるのではないか。そこで「朝野雑載」が誰の著書でいつ成立したか注釈があった方が親切だと思う。
そこまでしていただけると、さすがプロの仕事は違うと次回作への購買意欲に繋がるのであるが。