磯田道史のレビュー一覧
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防災について、歴史に学び、先人の教えを遺し伝えることは不可欠。そのために歴史書を発掘し明らかにしていくのも重要。当地で伝えていくメッセージにもなりそうだ。
例えば富士山が噴火するときには5年前から軽い地震が増え、二か月前から富士山中だけの火山性地震が毎日続いたと、宝永噴火のときのことが記されていたり(p.44)、噴火後振動は4日間、火山灰は12日間続いたという記録も貴重(p.56)。和歌山で、津波の前に、井戸の水が枯れたという前兆現象を濱口が指摘していたというのも興味深いし(p.172)、三陸で東日本大震災で神社が流されなった、鳥居の位置まで水がきたという話も(時々きくような話だが)メッセージとして重要である(p.186)。
他にも、静岡の土砂災害の履歴を古文書から調べたり伊賀忍者の子孫の方の厚意で文書からため池決壊の記事を見つけたりと、研究プロセス自体も面白い。
また、地震が豊臣政権崩落のきっかけになったともいうが(p.31-32)、現代にあっても民主党政権のときに東日本大震災が起こり、そしてその舵取りを誤った菅首相ら民主党の衰亡を招いたのだとも振り返りたくなる。
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あとがきに、大学のときの歴史学の授業で水本邦彦先生が「歴史学というのは、なにも政治史だけのものではない。動物の歴史だってあるし、トイレの歴史だってある。自然の歴史もある。地震や噴火などの歴史は現代にもつながる生きた歴史である」というようなことを話したという。歴史は生きているし、歴史に学ぶことは、時間スケールの災害との対峙にあってこそ本当に本質的だと思った。 -
Posted by ブクログ
はじめに ではこんな文章がある。教科書で学ぶ歴史は「歴史のココを見ろ」と指定されたミカタ。ちょっと大人になって司馬遼太郎などの歴史小説を読むのは「団体バスツアー」の歴史のミカタ。歴史の本当のおもしろさはある程度歴史知識ができた時点で、大人の人生経験をもとに、自分のみたい歴史の部分を「自分のミカタ」で見るところにある。
井上章一と磯田道史の対談の本だったが、楽しく読めた。
日本は中継ぎとはいえ、女帝が多い(8人10代)というのは意外だった。
本当にさまざまな観点から歴史は捉えられるんだなと、いうのが感想。ただ、やっぱり対談形式は内容が薄い気がしてしまう。 -
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歴史社会学等を専攻する磯田道史氏による、司馬遼太郎自身と作品から日本史を学ぶことについて書いた本。
確かに未だ多くの人に読まれ、そしてその世界に飲み込まれ、あたかも自身がその時代に共に生きている感すら思わせる司馬作品自身は、文学としての評価だけでなく、その影響や、国家観、日本人とは何かといった我々の根源的なところまでも深く浸透することに対し、余りにも多くの問いかけと学びがある。
また司馬遼太郎から入る日本史というスタイルも多数いるのではなかろうか。かくいう私も知らない人物については、これがその人物の全てではないと気をつけてはいるものの、その膨大な資料の読み込みと、物事と人物への透徹した洞察力で、気がつけば司馬遼太郎に導かれている。
また司馬作品を読みたくなること必至な一冊。 -
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ネタバレ「武士は食わねど高楊枝」の秘密。
武士がどのように家計を管理していたか、どれくらいの収入があり、どれくらいの支出があったか。時代劇を見ていてもよくわからないし、あまり考えたこともなかった。この本は、加賀藩のある武家一家の財政管理のまとまった記録を元に、江戸末期から明治にかけての武士の生活を紐解いた本である。
そもそもきちんと記録を付けていたのが、おそらくこの記録者が算盤で職を得ていた人だからというのが面白い。計算能力は世襲じゃないし、武士の中ではあまり好まれない技能だった。でも猪山家はその力を磨き、出世の道を駆け上がり、厳しい家計をなんとかしたのだ。
武士は儀式や付き合いにお金がかかる。でも武士であるためには欠かせない出費である。それをなんとか工面して体面を維持していた猪山家。明治維新で士族の多くが今までのやり方から抜け出せず、新たな生き方にも苦労した。猪山家は学問の力で海軍に入り収入を得る。家禄を手放すタイミングや資産運用も考えて動いている。その結果、大きな時代の変化を抜け出せている。
社会のシステムが変わっても活かせる力。猪山家の記録からはそれが時代の大転換を生き抜くポイントになったと考えられる。AIに仕事を奪われると心配している自分たちもそのような社会システムが変わっても必要とされる力を見抜いて磨いていきたい。 -
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ネタバレ教科書には載っていないけれど
知っていたら歴史が面白くなりそうなエピソードがたくさん載っている。
多少偏っている感があり特に幕末は西軍寄りな雰囲気はあったが、初心者の方でも楽しめると思う。
信長が大蛇を探す話や、
秀吉がお稲荷さんを弾圧したり
竜宮城にお願いをしたりするエピソードが面白い。
家康が騎馬と水泳を大事にしたというのもなるほどと思った。
岩槻城の太田美濃守資正が犬好きで軍用犬を飼っていた
というのも、先見の明があるように思う。
鷹山の話で、当事者意識という表現がわかりやすかった。
罪人が出るのは自分のせいであると考えるのは
非常に繊細だが、それくらいの当事者意識を持って
政治家には政治に当たって欲しいと思ってしまった。
江戸時代は変わり者がやりたいことをやれて
一見無駄に見えるものに寛容だったというのが
なんだか羨ましい。
からくり儀右衛門こと田中久重の両親が、
家のことは無頓着で良いと言ってくれるところがすごい。
蓮月尼が自分の為に棺桶を用意しておいて
普段は米櫃にしていて、しかも困った人がいたら
棺桶を譲ってしまうというのに驚く。
とかく日本は子育てに向いていないなどと言われるが
それは飽く迄現代の話で
日本人の子供好きは世界的にみても類例のないぐらいで可愛がられて微笑ましいと外人が記録している
というのは誇らしくもあり、現代が残念にも思えた。