磯田道史のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
私は気に入った文章がある時はページの隅を小さく折るのだが、本作は最近の中で最も多くの端折りがあった作品である。所々で出てくる作者の歴史観に興味を引かれ、かつ日本人の本質、何より日本史を知ることの最も面白い部分を再認識させてくれた。
ただ、1つの作品としては、前半の『穀田屋〜』と後半の2作の色合いが大きく違いすぎるように思える。前者は映画になっただけあって、ストーリーに大きな魅力があり、その中で私欲のない日本人が描かれる。一方で、後者はある種、特異な人物の一生を淡々と描くもので、タイトルに合致しているのはこちらだが、少し退屈に感じられ、その特異性に感情が寄せきれない感じがした。