磯田道史のレビュー一覧
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歴史学者磯田道史さんの歴史エッセイ。
元禄期に書かれた「土芥寇讎記 どかいこうしゅうき」という書物があり、これは幕府隠密の秘密諜報をまとめたものという説があるとのこと。これを殿様の通信簿と称して、その中から、選りすぐった7名の殿様の人事評価的な紹介をされています。そして、さすがマル秘文書で現存は、1冊のみという貴重品なのです。
この著者は、子供の頃からの歴史通(家系的にも恵まれて)で、高校生の時には、古文書を古文書として読んでらしたというので、歴史通の方にも面白く読めるエッセイかと思います。
浅野内匠頭が女色を好むとか、池田綱政は、子供が70人いたとか、そちら方面の報告は、なかなか厳しかった様ですね。池田藩の側室の様子が書かれており、側室は「長局」という部屋に住まわせていて、部屋が7つ並んでいたそうです。だから定員7名。そこを真面目に一日づつ一週間?これを読んだ時、乙一のzooだったか、7つの部屋に監禁されて順番に殺される話をすぐ思い出してしまった。
譜代大名の悲哀とか、家康のしたたかさとか、
日本史が苦手で、全く面白さを伝えられそうにないので、退散します。
著者あとがきにある、膨大な史料の中から今の日本人の世代的な変移を観察できる、という日本史を若い頃修得しとくべきですね。 -
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ネタバレエマニュエル・トッド 新ヨーロッパ大全 速水先生の言葉を借りれば、この本は西側ヨーロッパ全域を構成する16カ国を483の地理的単位に分け、国境を取り払ったこの単位ごとに観察を行うことにより、一国内の差異を、ヨーロッパ内の特徴として捉えました
誰もが経済合理性に基づいて行動すると考えがちですが、そうではありません。速水先生はこう言っていました。磯田くん、インド行ってみたらわかるよ。人は、経済合理性には行動していない。伝統や習慣や宗教に基づいて生きていると
日本の場合、農奴は存在せず、独立自営の傾向の強い、小百姓の家族農業がおのずと盛んになり、経済社会が自発的に出来上がりました
鷹山は、これだけ手を尽くしたにもかかわらず、多くの領民が死んだのを悔やみ、去年、痘瘡流行、国民夭折につき、年始御儀式を略殺すと、翌年の祝賀をやめました -
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大河ドラマの影響で、様々な徳川家康関連本が出版されていますが、テレビ番組等で活躍する著者がこれまでと異なる視点から家康の戦略を述べた一冊。
著者の視点は明確で、冒頭で次のように述べています。
○家康は、三河の弱小大名であったのに、なぜ・どうやって天下を手に入れ、しかも260年も続く、政権を築けたのか?
○読者の参考になるように、家康のその「弱者の戦略」をみてもらう
大まかに歴史を振り返りながら、キーワードは「武威」と「信頼」だという視点で解説されており興味深い内容です。この戦略により天下統一を果たしたわけですが、その支配のあり方が現在の日本に影響しているということがよく言われるわけですが、逆に、日本の国民性がこうだから、家康の考え方、支配の仕方で統一できたとも言えるのではないかと感じてしまいました。
さて、今回の大河でも史実かどうかという意見がよく聞かれます。本書を書くにあたり、著者のスタンスが個人的に納得いくものでしたので、そのまま引用しました。
○大切にしたい視点
専門家の難しい歴史書は「史実」の追求に血眼になります。それをあまりやりすぎると、読者が置いてけぼりになってしまいます。史実も大切ですが、史実には必ず「尾ひれ」がつきます。学者は必ず、その尾ひれを切り捨てるトリミングをしてしまいます。「素朴一次史料主義」というやつです。当時の一次史料だけを確かな史料とみなし、後世の史料や伝聞の記録を全部捨てます。見向きもしません。
しかし、それでは、かえって歴史の真には迫れないのです。というのも、歴史は伝えられるなかで尾ひれがつきますが、その尾ひれのつきかたにこそ、歴史時代の人々の心があらわれる面もあるからです。
<目次>
はじめにー家康はどうしたのか!
第1章 「境目の土地」三河という運命
第2章 信長から学んだ「力の支配」とその限界
第3章 最強の敵・信玄がもたらした「共進化」
第4章 二つの滅亡 長篠の合戦と本能寺の変
第5章 天下人への道 -
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ネタバレNHK BSプレミアム の英雄たちの選択が好きです。
もう、↓のとおり。
古めかしい書物の中に、無名ながらこれは素晴らしいと思える人物に出会ったとき、宇宙の彼方までいけるほどに深遠な哲学的な言葉に触れた時、ぶっ倒れるほどの感動をおぼえる。
きらめくような一行をみつけだし、誰も知らない真実を見てしまった瞬間がたまらない。そのために生きているようなものである。
人は必ず死ぬ。しかし、言葉を遺すことはできる。人間が物事を真摯に思索し、それを言葉に遺してさえいれば、それは後世の人々に伝わって、叡智となる。この叡智の積み重なりが、その国に生きる人々の心を潤していくのではないか。
読書以上の充足感を私はまだ知らない。 -
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日本で起きた、地震、津波、噴火、台風、洪水、土砂災害、感染症、の歴史を知る。
未来の予測はできないが、起これば戦争よりも多くの死者が出てしまう自然災害。
1855年の安政江戸地震で浅草、本所・深川あたりは多くの家屋が崩れた。
1923年の関東大震災では、10万人以上の死者を出したが、墨田区だけで火事で4万人近くが死んでいる。
その20年後は、戦争で空爆を受け再度ひどい目に遭っている。
私の住まいの近辺は迷路のような狭い道だらけだが、両国・錦糸町、本所・深川の辺りは東西南北きれいに区画整理された街並みになっている。
この碁盤のように修復された道は、かつて地震と戦争でボロボロにされたことを物語っている。
今年の夏もコロナの猛威に加え豪雨と熱波に襲われている。
墨田区は全域が海抜0メートル地帯で、自宅の近所には海抜-0.6メートルなんて看板もある。
荒川の決壊か、かつて経験したことのない大雨に遭うと一帯が水浸しになるだろう。
東京に住んでいて怖いのは、
・東京直下型地震でのインフラ麻痺、建物の倒壊、火事、東京湾の津波・高潮
・富士山噴火の火山灰によるインフラ麻痺(特に水)、各種機械の故障
・(これは私だけかも知れないが)浜岡原発の事故による放射能汚染
南海トラフ地震が発生すると大阪でも4mの津波に襲われる可能性があるらしい。
そうなると大阪駅や新大阪駅あたりまで津波が到達する。
南海トラフ地震による東京への直接被害に関してはわからなかった。
東海道の交通マヒによる影響が大きいようだ。
本書では、熱波・干ばつと寒波・大雪については触れられていなかった。
台風による高潮、洪水、強風。
ゲリラ豪雨、線状降水帯、竜巻、落雷。
土砂災害、土石流、地滑り、崖崩れ。
年々狂暴化しているこれらの災害に要注意ですね。
我が家は防災グッズはいろいろ揃えているが、最近は確認と見直しをしていない。
非常用トイレと紙おむつは買い足しておいた方がいいかも。
戦争なんかしている場合ではないよ。 -
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コロナが流行しだした2020年の段階で、歴史家の磯田さんが日本の感染症の歴史を振り返った一冊。
歴史は未来の予言書だなぁ。
攘夷思想はコレラを持ち込んだ西洋人への嫌悪感から。ゼロコロナ政策を続ける中国で、クラスター発生源になりうる海外から入ってくる外国人を嫌がるのも歴史の繰り返し。
スペイン風邪だって、3度大きな流行の波があったなら、コロナだって、何度も流行は繰り返す。
21年には収まっていて欲しいという思いも感じる本書でしたが、まだまだ収まらない2022年に読んだ。
原敬だってスペイン風邪にかかったんだから、岸田さんがコロナにかかるのも織り込み済みかな。 -
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ネタバレ映画化もされた『武士の家計簿』の著者でNHKの歴史系番組への出演などでも有名な磯田道史先生による2019年6月11日に鎌倉女学院高等学校にて行われた特別授業の講義録と「ビリギャル」小林さやかさん及び名古屋のアパレルショップ店長で歴史好きの外山莉佳子さんとのミニ対談付き。
いわゆる歴史の授業ではなく、磯田先生による「歴史学」の講義で分かりやすく、かつ奥が深い。
どうしても学校の授業では暗記科目になりがちな「歴史」についていろいろな例えや事例を用いて解説してくれる。
印象に残ったのが、タイトルにもなっている「歴史とは靴である」、「歴史的にものを考えると、前より安全に世のなかが歩けます。歴史はむしろ実用品であって、靴に近いものではないか」
「時代小説」→「史伝文学」→「歴史小説」→「時代小説」の説明。浅田次郎さんが、「知り合いの会社の社長と社員の不倫をそのまま書けないが、江戸時代の町家とか藩の家老と女中さんの話にしたら書けるんだよ」という言葉にその違いがハッとさせられた。
「教養」とは「ムダの積み重ね」「年季の入ったムダ」、一回覚えて忘れた状態を教養という、最初から触れたことがない人間とでは雲泥のちがいがある(内田百閒のことばだそう)、このことは磯田先生は特に重視しているようで、巻末の小林さやかさんとの対談でも、「読んで忘れた状態を僕は教養って呼んでいるんです。あらゆる本を読んで、過去をさかのぼって、世間的にいう歴史を勉強しておくと、なにが起きてもどんな話になっても楽しめます。」と言っている。
歴史とは他者理解、自分と違う時空のヒト・モノ・コトを一生懸命理解しようとする営みである。自分を重ねすぎると歴史ではなく願望になってしまう、色見眼鏡になってしまい、自分が見たい歴史を見ようしてしまう。