磯田道史のレビュー一覧
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日本史に関わってくる天災についての本。当たり前の話だが、日本が地震大国と言うのは大昔からなのだと改めて実感する。その時々の経験や知恵が生かされ、また別の分野にも影響を与え次の代へと繋いでゆく。それらが後の天災への対応に役立った例も多々ある。つくづく歴史というものは馬鹿にできない。
それを残すために必要なものは何か、地縁なのである。今回の金沢地震で強制移住の話が議論されてきた時期があったが、そんな事をしてしまえは過去からの繋がりをみすみす絶ってしまい取り返しのつかないことになる可能性もある。
歴史とは何か、歴史について考えるとはどういうことか、机上で唸るだけでなくフィールドワークも大事であると実感した本。 -
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歴史学者として活躍する著者が、江戸幕府で作り上げた平和の仕組みがどのように崩壊していったかを紹介した一冊。
前著「徳川家康 弱者の戦略」の続編として位置付けられているものです。
戦国時代を終わらせ、平和な時代を築くために徳川家康公は様々な仕組みを作りました。それが時代の変化に対応できず、どのように崩壊していったかが非常に分かりやすく描かれています。一方で、この平和の時代が長く続いたことで、近代になってからも、国民に影響を与えたことも多くあります。
これらを学ぶことで、多くのことを今後に活かすことができます。これこそが歴史を学ぶ醍醐味であると改めて認識することができました。
▼歴史と我々が地続きなのを認識するのは、大切なことです。徳川家康の生涯は、令和の日本に参考となるものを多く含んでいます。
▼家康の徳川政権は長い平和をもたらしました。しかし、時代が下ると、家康が想定しなかった問題も出てきます。家康がよかれと思って作った制度が、時代の変化で、かえって幕府を苦しめることにもなりました。これが「家康の誤算」です。
▼「陸軍奉行並」や「海軍奉行並」は、奉行ではないが、同等の実権を持つ者です。本当は指揮官ではないが、指揮官ということにする。これは日本人が得意とする、「見立て」を活用したアイデアといえますが、優秀な人材を抜擢できるようにするための、いわば「抜け道」です。
▼人物を見るときには、「環境(出身や家格)の影響でその地位にいるのか、本人の力でその地位にいるのか」を考えるのは、歴史を見るときのポイントの一つです。
▼徳川家康がつくった「仕組み」は日本の庶民の心のうちにまで影響しています。実際のところ、人間の歴史は脳内にある、「信じ込んでいるもの」「信じ込まされているもの」で動いていきます。ですから思想や宗教の分析が、歴史の真相に迫るには大事になるのです。法律や制度・契約も人間の「造り事」「約束事」ですから、実は思想や宗教倫理に近いものです。
▼徳川時代の安定の背景には、庶民までが家・家族を持てた点があった気がしてなりません。親や主君から、つまり、上から身分という役割と序列が与えられ、その「身」の「分」を守っている限り、人並みの生活も、老後の安定も与えられたのです。
▼徳川政権は戦国を勝ち抜いた結果できた軍事政権です。男性優位の理屈で社会観念が出来上がりやすく、近代になっても、この国にその観念が持ち越されてしまった面があります。
▼明治以降も、政治家や官僚は「国のため」とよく言いました。しかし、近代の役人や政治家は、徳川時代の武士ほど、君主(天皇)や国家に対して純ではありません。この点は、歴史を見るうえで理解しておくべきです。立身したい。昇進したい。勲章がほしい。あわよくば爵位をもらって華族に列したい。そんな「身を立て、家を興す」ための損得勘定が「立身出世」の時代となった近代の軍人・官僚・政治家には、強く見られます。昭和の戦争で日本は負け、焼け野原になってしまいました。政治家・軍人・官僚・教育者のよくない面が、いちばん露出してしまった時代です。
<目次>
第1章 家康はなぜ、幕藩体制を創ることができたのか
第2章 江戸時代、誰が「神君の仕組み」を崩したのか
第3章 幕末、「神君の仕組み」はかくして崩壊した
第4章 「神君の仕組み」を破壊した人々が創った近代日本とは
第5章 家康から考える「日本人というもの」 -
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ネタバレ<目次>
①はじめにー家康はどうしたのか!
弱小大名が生き延びて天下をとった弱者の戦略
②第1章 「境目の土地」三河という運命
徳阿弥の素性を鑑みるに、家康も熊野比丘尼と
同様に情報・諜報を駆使する能力を有していた
③第2章 信長から学んだ「力の支配」とその限界
絶大な力なき自分を強くする「武威」を上手く
喧伝する諜報能力の高さが信長の弱さを見抜く
④第3章 最強の敵・信玄がもたらした「共進化」
信玄の強さの秘密「物見・透破・築城」を取り
入れ(滅亡後に家臣団採用)家康は強くなった
⑤第4章 二つの滅亡 長篠の合戦と本能寺の変
長篠は勝頼の猪突猛進じゃなくて戦略的に背後
を突いて、突進せざるを得なかったわけだ
⑥第5章 天下人への道
秀吉の権威だけに縋った石田三成に代表される
五奉行が常に家康を追い落とす策謀をしていた
と考えるのもアリだなと思った
大河ドラマどうする家康終了前に読めてよかった
新書なのに徳川家康が生き延びた理由が見えた
「三河の弱小大名がどうやって天下を手に入れた」
このキーワード、自分をプロデュースして「武威」
「信頼」を周囲に喧伝し続けた生き様だと思った
史実も適時専門家も紹介しつつ最新説を披露をしつ
つ、その追求をし過ぎずに、当時の物語に表される
人物像を二次史料が暴きだしているのも一興 -
Posted by ブクログ
「紙の新聞の時代は終わった、これからは偏向も忖度もしていないネットメディアの時代だ!」とかなんとか喧しい昨今ですが、読もうと思っていた情報以外にも目がいって引き込まれるのは新聞購読のよいところで、読売に連載されている「古今をちこち」はふと目にとまって以来大変面白く、今は掲載を楽しみにしている記事の一つです。
さて、本書はその連載をもとにまとめられた単行本ですが、通して読んでみると、著者の古文書に対する熱意とフットワークの軽さには改めて驚かされます。ここだな、と踏んであたってみると、あっと驚く新史料が歴史に新たな視点を与えてくれる。また、周りから特ダネが実によく舞い込んでくる。研究とは足で稼ぎ、人脈で成り立つもの。象牙の塔にこもるだけでは新発見は生まれないものなのですね。
基本的には歴史のピンポイントを深掘りする話が多く、一冊を通した大きな流れが見つけづらいのは単行本としてはつらいところ。大河ドラマでも見てから、そういえばあの辺の話のウラは本当はどうなっているのだろう、と本書をめくると楽しいかも知れません。まあ、今年は観ていないのですが。 -
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この国に連綿と続く意識とは
明治維新によって、日本は欧米以外の国で唯一、近代化に成功した国である。それゆえに、長い日本の歴史の中で、近世(江戸時代)から近代(明治時代)への転換は革命ともいえる社会構造の大きな分岐的であったと多くの日本人が考えていると思う(学校で習う日本史もそういう文脈で明治維新を捉えていたような気がする。)。しかし、本書では、日本には古代から変わらない「国の核心」があるという。対談形式で「国の核心」に迫る本書を通じて、学生時代とは異なる視点で日本の歴史を学びなおすことができたと思う。