磯田道史のレビュー一覧
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ネタバレ帯には「小説や教科書ではわからない魅力」とある。
著者ご本人も、まえがきで「教科書的な、表向きの歴史理解にとどまって、歴史常識を維持したい方は、読まれないほうが良い本かもしれない」と述べている。
自分はどちらかというと、「歴史は暗記」というイメージを持ち続けていた。これは学生時代の教師が良くなかったのだと、本書を読んでやっとわかった。小学校や中学校の先生が、著者のような先生だったら、きっと歴史の授業は楽しくて仕方がなかっただろう。
著者は、古文書を読める。ダイレクトにその時代と接点を持つ。誰かから聞いた間接的な情報ではなく、自分の目で直接真実を追求し、そこから見えてくるものをさらに深堀していく。
通りいっぺんの教科書の歴史は無味乾燥だが、本書を読めば、生々しい当時の真実にアプローチする著者とまるで一緒に古文書を読んでいるかのようで、もっと言えば時代をさかのぼってその時代の現場までいってしまったようなリアリティを感じることができる。
卑弥呼の時代には卑弥呼の時代の現実があり、家康の時代には家康の時代の現実があったんだな。今とは異なる戦国時代のトイレの実情があったんだな。戦いだけが歴史ではなく、能にも、香にも、生け花にも、そういう文化的なものにも歴史というものがあるんだな。・・・とそういう風に、リアリティを感じさせてくれるのが、磯田氏の歴史であるなと思う。 -
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元禄時代に大名の行状を秘かに幕府隠密が探索した報告書「土芥寇讎記」から史実が見える?!徳川光圀、浅野長矩、池田綱政、前田利常、内藤家長、本多作左衛門などの事実だと思われる逸話が楽しい。夜毎に悪所に通い、酒宴遊興甚だしという光圀だが、事実は?刃傷事件を招いた浅野長矩は「矩」を越えてしまい歴史に名を残してしまった人、更にこの報告では色に溺れていたバカ殿を放置していた内蔵助は稀代の悪臣として非難されている!一方、遊び人でバカ殿と言われたという岡山藩・池田綱政の書からは知性が垣間見えてくる!、前田家3代の利常と彼を養子にした2代の兄・利長の悩み。家康の遺言で「お前を殺そうと思ってきた」とまで言われた利常。そして徳川何するものぞという姿勢の3代の豪快さ、蛇攻めの残忍さが印象的。バカ殿を演じるために鼻毛を伸ばしていたのは実は、馬鹿将軍に会いに行くのに、わざわざ鼻毛などぬけるか!との本心だったとのこと。内藤家の初代家長の光成軍の犠牲になった豪快な姿と、損な役回りになった延岡という領地。作左の忠義ぶりは、衆目の見守る前で、家康に「わしの間違いに気づいてくれたこと、かたじけなく思う」と、詫びさせた場面が感動的!
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実は今でも九州は全国平均より子だくさんであり、過去300年日本人に流れる「九州人の血」はどんどん濃くなっているのです 結局信長は他の能力が優れているのに人を信用せず人に信用される能力がなかったため、天下を取れなかったのではないか 家康最大の異才は何が一番大切なのかことなのか物事の優先順位を看破できたことである 政治は国民へのまなざしが大切。政治家が傷をいたわるように国民を見る国そんな国は必ず栄える。逆に政治家が国民をゴミのように無視する国。そんな国は必ず滅ぶ 寺田寅彦は漱石から2つのことを教わったと書いている。自然の美しさを自分の目で発見すること。人間の心の中の真なるものと偽なるものを見分け、そうして真なるものを愛すること。この2つである
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朝日新聞の土曜版に連載したものを書籍化したもので、60編のものが纏められている。全て短編なので、要領よく纏められており、読みやすい。
「日本人の識字率」では、日本人の読み書き能力が高いのは「江戸時代の遺産」であると教えられてきたが、どうもそれは怪しいとの事。江戸時代の識字調査はないが、明治の初めに長野県のある地域で行われた調査では、
・数字も名前も書けない:35%
・出納帳がつけられる:15%
・手紙や証書が書ける:4%
・公文書に差支えない:2%
・新聞論説を理解できる:2%
つまり、
自分の名前が書ける程度の識字率は65%
新聞を読んで政治論説が理解できる人は2%
ということで、一般の日本人が活字を読んで政治や社会を理解できるようになったのは、ここ百年ほどのことだそうです。
また、その識字率に関する戦国時代のエピソードが面白い。本田作左衛門という奉行が、三河で百姓が守るべきことを書いた高札を三河中に建てたが立てたが少しも守られない。そこで百姓を捕まえてきた時に、奉行はその百姓の顔をじっとみて、その後放免した。そして国中に建てた高札を全部取り換えた。
新しい高札には「○○すると、さくざえもんがきるぞ」とひらがなで分かりやすく書いた。すると犯罪が一気に減ったそうだ。
「よい政(まつりごと)はわかりやすい言葉からと言うことらしい」等々の類のことが満載された一冊で、暇な時の肩の凝らない読書にお勧めです。