磯田道史のレビュー一覧
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「紙の新聞の時代は終わった、これからは偏向も忖度もしていないネットメディアの時代だ!」とかなんとか喧しい昨今ですが、読もうと思っていた情報以外にも目がいって引き込まれるのは新聞購読のよいところで、読売に連載されている「古今をちこち」はふと目にとまって以来大変面白く、今は掲載を楽しみにしている記事の一つです。
さて、本書はその連載をもとにまとめられた単行本ですが、通して読んでみると、著者の古文書に対する熱意とフットワークの軽さには改めて驚かされます。ここだな、と踏んであたってみると、あっと驚く新史料が歴史に新たな視点を与えてくれる。また、周りから特ダネが実によく舞い込んでくる。研究とは足で稼ぎ -
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この国に連綿と続く意識とは
明治維新によって、日本は欧米以外の国で唯一、近代化に成功した国である。それゆえに、長い日本の歴史の中で、近世(江戸時代)から近代(明治時代)への転換は革命ともいえる社会構造の大きな分岐的であったと多くの日本人が考えていると思う(学校で習う日本史もそういう文脈で明治維新を捉えていたような気がする。)。しかし、本書では、日本には古代から変わらない「国の核心」があるという。対談形式で「国の核心」に迫る本書を通じて、学生時代とは異なる視点で日本の歴史を学びなおすことができたと思う。
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ネタバレエマニュエル・トッド 新ヨーロッパ大全 速水先生の言葉を借りれば、この本は西側ヨーロッパ全域を構成する16カ国を483の地理的単位に分け、国境を取り払ったこの単位ごとに観察を行うことにより、一国内の差異を、ヨーロッパ内の特徴として捉えました
誰もが経済合理性に基づいて行動すると考えがちですが、そうではありません。速水先生はこう言っていました。磯田くん、インド行ってみたらわかるよ。人は、経済合理性には行動していない。伝統や習慣や宗教に基づいて生きていると
日本の場合、農奴は存在せず、独立自営の傾向の強い、小百姓の家族農業がおのずと盛んになり、経済社会が自発的に出来上がりました
鷹山は、これだけ手 -
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大河ドラマの影響で、様々な徳川家康関連本が出版されていますが、テレビ番組等で活躍する著者がこれまでと異なる視点から家康の戦略を述べた一冊。
著者の視点は明確で、冒頭で次のように述べています。
○家康は、三河の弱小大名であったのに、なぜ・どうやって天下を手に入れ、しかも260年も続く、政権を築けたのか?
○読者の参考になるように、家康のその「弱者の戦略」をみてもらう
大まかに歴史を振り返りながら、キーワードは「武威」と「信頼」だという視点で解説されており興味深い内容です。この戦略により天下統一を果たしたわけですが、その支配のあり方が現在の日本に影響しているということがよく言われるわけですが、逆 -
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日本で起きた、地震、津波、噴火、台風、洪水、土砂災害、感染症、の歴史を知る。
未来の予測はできないが、起これば戦争よりも多くの死者が出てしまう自然災害。
1855年の安政江戸地震で浅草、本所・深川あたりは多くの家屋が崩れた。
1923年の関東大震災では、10万人以上の死者を出したが、墨田区だけで火事で4万人近くが死んでいる。
その20年後は、戦争で空爆を受け再度ひどい目に遭っている。
私の住まいの近辺は迷路のような狭い道だらけだが、両国・錦糸町、本所・深川の辺りは東西南北きれいに区画整理された街並みになっている。
この碁盤のように修復された道は、かつて地震と戦争でボロボロにされたことを物語っ -
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コロナが流行しだした2020年の段階で、歴史家の磯田さんが日本の感染症の歴史を振り返った一冊。
歴史は未来の予言書だなぁ。
攘夷思想はコレラを持ち込んだ西洋人への嫌悪感から。ゼロコロナ政策を続ける中国で、クラスター発生源になりうる海外から入ってくる外国人を嫌がるのも歴史の繰り返し。
スペイン風邪だって、3度大きな流行の波があったなら、コロナだって、何度も流行は繰り返す。
21年には収まっていて欲しいという思いも感じる本書でしたが、まだまだ収まらない2022年に読んだ。
原敬だってスペイン風邪にかかったんだから、岸田さんがコロナにかかるのも織り込み済みかな。