磯田道史のレビュー一覧
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ネタバレ歴史家磯田道史さんの随筆集。
歴史に名を残す信長、秀吉、家康などの為人やエピソードあり、からくり儀右衛門など政治に直接関係のなかった人のエピソードそして学び、昔の人の日記などから暮らしぶりや生き方をわかりやすく解説してくれたり、歴史の中での離婚の位置付けや名前の由来の歴史などなど、いろんな角度から歴史って面白いなと思わせてくれる本。
古文書などは自分で読み解けないけど、この本が読み解いてわかりやすく解説してくれるので知識が広がります。
儀右衛門の時代は道楽という心豊かな言葉があり、朝から晩まで勉強に関係のないことで夢中になっていても親御さんが暖かく見守ったことで自由に力を発揮し現在の東芝の土台ができたという話は、親になった今大事にしたい考え方。
あとは、武士道を重んじて世の中のために善を尽くしている立派な方も、家族は犠牲にしていたなど、歴史の中のエピソードだけではわからないことがたくさんあるなぁと感じています。 -
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「歴史学は生きている。我々の命をも守りうる現代に必要な学問である。」筆者の強い信念の元書かれた本書は防災史に残る名著であろう。
歴史研究は決して過去のものではない。現代の目から過去を見つめることにより、未来に活かしていく学問。そんな筆者の考えが本書から伝わってくる作品。
地震や火山活動には周期がある。人の一世としては短くとも地球から見ればあまりに短い。何千年、何万年のサイクルで見ると、繰り返される大きな地殻変動がある。東日本大震災でも津波が由緒ある神社の鳥居の手前でピタリと止まる場面が多くの場所で見られたという。それもそのはず、過去の人々は苦い経験を基に新たな集落を築き神を祀る、それが長い年月の間に忘れられてきた歴史を繰り返している。そんな実例を筆者は多くの土地を取材し実例を挙げていく。
本書は2013年から2014年の新聞連載。当然、東日本大震災の記述が多い。古文書を紐解くと過去にも同様な災害が起こっている例の実に多いこと。人はまだ過去から学び続ける必要がある。
本書の後書き、筆者は3つの危機を記す。第一は地震津波など地学的危機。第二は風水害、高潮、土砂崩れなど気象学的危機。そして
「第三に、世界の人的交流の進展やテロの可能性が高まり、抗生物質耐性菌・インフルエンザ・出血熱などの感染症学的的危機も高まってきている。第三の医療・健康・感染症対策については、ここでは述べることができなかった。」
筆者の予想は残念ながら的中し、世界は新型コロナウイルスによる感染と未曾有の経済不況に不況に見舞われている。
本書刊行より後の話だが、筆者は今スペイン風邪その他過去の感染症の古文書を読み解き先人たちの苦闘と克服の過程を各種メディアに提供している。歴史学のあるべき姿を実践する姿勢には感銘を受ける。今後のさらなる活躍に期待しつつ、この本を多くの方に読んでいただきたいと思う。
素晴らしい一冊でした。 -
購入済み
日本史の探偵手帳
作者の知性、教養、好奇心、研究研鑽の蓄積が溢れている好書で興味深く知的刺激に満ちている。一般公式歴史書には出てこないこれらの貴重な歴史事実は古文書を無数に発掘して読みこなす作者でなければ得られない情報の宝庫で一般読者がこれを容易に読めるのは大変に幸運なことだ。
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磯田道史さんは、巨人の菅野智之投手にそっくりだ。ぜひ、写真を見比べてほしい。ひょっとして二人は親戚ではないかと思ったりする。実は秘密の兄弟、親子だったりして。ずっと以前からこのことが気になって仕方がなかった。磯田さん自身は、春風亭昇太に似ていると言われたらしいが、どうかなあ。
さて、本の方は全くもって素晴らしいというしかない。小学生のころから古文書を読み始めたというだけあって、あちらこちらに出没しては、古文書を発掘し、新しい歴史の一幕を解読してくれる。そこ知的興奮たるや半端ではない。磯田さんは古文書の巨人だ。私が付箋を付けたところは非常にたくさんあるのだが、一部を書いておく。
・三方ヶ原の戦いで徳川家康に送られた織田信長の援軍は3000とあるが、そんなはずはない。家康が十分な援軍を受けて敗れたことを隠蔽するためであるかもしれない。「前橋酒井家旧蔵問書」によれば2万とある。
・秀吉の大陸征服のために肥前名護屋城に日本中の大名・重臣・兵卒までが集結して対外戦争をやったため、天下・統一国家日本の現物を日本中の人間が見てしまった。日本は一つとの国民国家思想の形成の前処理がここで済んだ。
・香道は、香木の希少性からあまりに貴族的で和歌の教養が要る芸道として発達してきたため、茶道ほどには気楽に学ぶ人がおらず、家本流派もその数が少ない。保護が必要な芸術かもしれない。
・ヨーロッパでは、啓蒙主義の時代というのがあり、17~18世紀に、宗教権威を世俗の君主や知のエリートが否定して、合理的な思想をつくりあげる。しかし、同時期の江戸時代の日本では、エリートばかりか、庶民がけていきょういくですでに子弟の啓蒙を完了していた。日本は、今日においても、一般人の常識的知識の発達した国である。江戸時代の歴史が財産になっているといえる。
・日本では仮名交じりの木版出版文化で、本で女性や庶民へ実学が広がった。識字率の高い、労働力の質の高い社会ができあがった。いわば本こそが日本を作ったといってよい。
・長州も薩摩も、松陰や西郷が動かしているように見えて、実は本が彼らを動かしていた。取り込み性という日本人の特性がいかんなく発揮されている。漢学、国学、蘭学、洋学、何でもどん欲に取り込んでいく日本社会では、昔から本が主役であった。
・松陰は「幽因録」で、蝦夷を開墾して諸侯を封じ、間に乗じてカムチャッカ、オホーツクを奪い、琉球を参勤させ、朝鮮を攻めて人質を取り朝貢させ、さらに満州、台湾、ルソンを収めよと提言した。朝鮮は日本が攻めなければ、必ず列強が来るという、当時の厳しい状況下での松陰の理屈であった。 -
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【単に江戸は歴史の中のものだけでなく、私たちが生きる現代にも脈々と流れている点も考えねばなるまい】(文中より引用)
現代を代表する歴史の語り手である磯田道史が、日本史の面白さや巷間には知られていない小話について紹介する作品。日本のアイデンティティから江戸の街中に落ちた隕石の話まで、多様な分野の多様な話を収めています。
どっしり構えて対面する歴史ではなく、ちょこっと脇に控えて手に取りたくなるような歴史の面白さを教えてくれる一冊。一次資料をかき分けた著者でなければわからない好奇心をくすぐるエピソードが満載で、日本史熱に日を付けてくれる嬉しい体験ができるかと。
磯田氏が出演しているNHKの『英雄たちの決断』を毎週見ています☆5つ -
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大河ドラマ「葵、三代」を見て、秀忠の娘、珠姫が加賀の前田家に嫁ぐシーン、涙なくしては見れなかった方は多いのではなかろうか。輿入れはわずか3歳。その珠姫の行く末をこの本で知るとは思っていなかった。珠姫の夫は前田利常。前だけ3代目であり、前田利家の孫。彼がどんなかはともかく、夫婦仲は睦まじかった。2人が話をすると笑いが耐えなかったという。16歳で初産その後8人も子をなしたというと仲が良くてよかった、とほっと胸をなでおろしたくなるが、そうは問屋がおろさない。珠姫は徳川の仮想敵たる前田家に嫁いたのだから実は従者は徳川のスパイといっていい。珠姫だってそんな役割を期待されているのに敵(利常)と仲良くするものだから、なんと乳母は激しく叱責したという。乳母は一計を案じ利常を近づかせないようにしたという。悲しみくれた姫はどうやら癌になり(ここは本来孤独と関係はなかろうが)24歳の若さで逝去。悲嘆の利常、乳母を憎むこと凄まじく、蛇責めの拷問にて処刑したという。色々と悲しい側面が伺えるエピソードである。
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江戸時代というのは、戦乱のようなことが無かったことから、様々な社会制度や経済活動が色々と進歩して種々の文化が花開いた平和な時代であったが、その他方で地震や洪水や火山噴火、更に年が壊滅的被害を受ける大規模火災というような災害が相次いだ時代という一面も在った。
地震や火山噴火や大規模火災というような出来事の衝撃、被害状況の伝聞、現場や近くに居合わせた場合の経験というようなことに関しては種々の記録も伝えられていて、それが現在も研究されている。そういう種々の記録の中に、少し異色かもしれないが、非常に興味深いモノが在る。「欧州の人達が綴ったモノ」である。
江戸時代を通じて、「欧州の人達」と言えば、公に滞日することが許されたのは<オランダ商館>の人達位なものである。そのオランダ商館の商館長の大切な役目の一つに、「日記」と呼び習わされているというが、業務関係のメモから交際の状況や慣例、諸々の見聞等に関して「詳細な報告記録を綴る」ということが在ったのだという。
この歴代の商館長の手による「日記」はオランダで研究史料として大切に保存されているというが、本書の著者はそれらを紐解いて、商館長が綴った事柄に依拠しながら彼らの経験や同時代の見聞を整理して説いている。そして本書では、内容の一部に、江戸時代の色々な事情に関する解説的内容も付されている。
本書では4代将軍家綱の頃から11代将軍家斉が登場というような時期に至るまで、17世紀半ばから19世紀初め頃までの時代に歴代の商館長が綴った“災害”を取上げている。
「17世紀半ばから19世紀初め頃」と一口に言うが、十分に長い期間で、歴代の商館長も大勢であり、商館の業務や周辺事情も変わっていて、各商館長が書き綴ったモノにもそれぞれに特色が見受けられる。また商館長も“人間”であるのだから、各々の性格や生い立ちや経歴から来る考え方が綴られたモノに反映されていて興味深いという側面も在る。そういうことで、本書は商館長による災害の経験と見聞とを軸にした、「列伝:オランダ商館の人達」という物語を想わせるような面白さも含んでいると思う。
本書で改めて意識せざるを得なかったが、本当に驚く程に多く火災や地震の報が在って、商館長地震が経験した例も枚挙に暇が無い。そして商館長達が驚きを交えながら綴っていることでもあるが、災害を被った都市等は急速に復興をしている。更に何度も被災と復興を繰り返しながら街の歴史が刻まれているとさえ言える状況だ。
「17世紀半ばから19世紀初め頃」にはオランダや周辺の国々―長崎のオランダ商館には、オランダ以外の出身者も在った…―から日本へは、日本での滞在制限を度外視しても、簡単に訪ねられるのでもない。そういう場所での活動故に商館長は詳しい報告記録を求められたということになる。それが本書のような研究に見事に活きている…そして同時に、どんなに便利な世の中になっても、簡単にいくことが叶うでもない場所に在るという機会が生じたなら、可能な限り色々な記録を行って、それを公にすべきであろうというようなことも思ったが…
何れにせよ、本書は「17世紀半ばから19世紀初め頃」という“江戸時代”を「少し違った切り口」で鮮やかに見せてくれる、なかなかの労作だ。著者や、彼を補佐した様々な関係者に敬意を表しながら、一読の価値が高い一冊として広く御薦めしたい。
積み重ねられた専門的な研究の成果を、幅広い層の“門外”の人達にも判り易いように整理して、知識を拡げる…「新書」というようなモノが持つ役割なのだと思うが、本書はそういう役割を確りと果たしてくれる!! -
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時代は幕末。新しい時代を築くべく行動を起こした若きリーダー達(坂本龍馬や高杉晋作など)ではなく、歴史上無名の一介の士族・猪山家がこの激動の時代をどう生き抜いたかが家計簿と手紙のやり取りから手に取るように見える。
"歴史とは過去と現在のキャッチボールである”
テクノロジーによって日々目まぐるしく進化する今の世の中をどう生き抜けば良いのかという問いを持って本書を読んだ時、過去から返ってきたボールに学びを得た。幕末という激動の時代に生きた士族の運命は、世襲によって得た肩書や特権の上にあぐらをかいていた者と、”既存の組織の外に出ても、必要とされる技術や能力をもっている”者で大きく分かれた。これからどんな時代が来ようと、求められる人材というのは変わらないのだろう。これだけは誇れるという技術や能力を磨き続ければ、未来を恐れることはない。 -
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ネタバレ勉強熱心な長州藩では、とかく抽象的な議論がまかり通るため、しまいには成否に関係なく討ち死にしても良いと言う話になりがちでした
斉彬の考え方は、大雑把に言えば、アジアは西洋から辱めを受けてはならない、日本は一つとなって西洋列強に立ち向かわなければならない、と言うものでした
西郷はせっかちな人に多い、味の濃い、塩辛いものが好きでした
西郷の目的は、最初から朝鮮を攻めとろうと言うのではなく、朝鮮も共に近代化しよう言うことにあったと思います
古文書を読むとき、どういう目的でその資料が作られたか、きちんと見る必要があります
要するに、結局は人であり、人間が世の中を動かしている。制度や法律の類ではなく、人間が物事を動かしていることに核がある -
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2019/3/10
引き続き磯田道史さんの日本史の本を読んでみました。天災〜の本の内容とかぶる内容もあったけれど、こっちの方が出版された年が早かった。とりあえず細かいことは気にせずに読んでみたけれども、やはり古文書通の磯田さんの解読と考察はすごく面白い。
歴史から学んでいくということはまさに磯田さんが実践していることなんだろうなと改めて実感させられました。
古文書というとものすごく古い紙に書かれたなんだかよく分からない字がたくさん書いてあって全然読めるわけがないと思いがちかもしれないが、昔の内容が書かれているものは全て古文書であり、それには時代が経過している、していないは関係ないのだと思った。もちろん古い資料ほど貴重で探し出すのが大変ではあるが…。
そんな歴史の面白さを教えてくれる、文字通り、タイトル通りの本である。