磯田道史のレビュー一覧
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【単に江戸は歴史の中のものだけでなく、私たちが生きる現代にも脈々と流れている点も考えねばなるまい】(文中より引用)
現代を代表する歴史の語り手である磯田道史が、日本史の面白さや巷間には知られていない小話について紹介する作品。日本のアイデンティティから江戸の街中に落ちた隕石の話まで、多様な分野の多様な話を収めています。
どっしり構えて対面する歴史ではなく、ちょこっと脇に控えて手に取りたくなるような歴史の面白さを教えてくれる一冊。一次資料をかき分けた著者でなければわからない好奇心をくすぐるエピソードが満載で、日本史熱に日を付けてくれる嬉しい体験ができるかと。
磯田氏が出演しているNHKの『英 -
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江戸時代というのは、戦乱のようなことが無かったことから、様々な社会制度や経済活動が色々と進歩して種々の文化が花開いた平和な時代であったが、その他方で地震や洪水や火山噴火、更に年が壊滅的被害を受ける大規模火災というような災害が相次いだ時代という一面も在った。
地震や火山噴火や大規模火災というような出来事の衝撃、被害状況の伝聞、現場や近くに居合わせた場合の経験というようなことに関しては種々の記録も伝えられていて、それが現在も研究されている。そういう種々の記録の中に、少し異色かもしれないが、非常に興味深いモノが在る。「欧州の人達が綴ったモノ」である。
江戸時代を通じて、「欧州の人達」と言えば、公に滞 -
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時代は幕末。新しい時代を築くべく行動を起こした若きリーダー達(坂本龍馬や高杉晋作など)ではなく、歴史上無名の一介の士族・猪山家がこの激動の時代をどう生き抜いたかが家計簿と手紙のやり取りから手に取るように見える。
"歴史とは過去と現在のキャッチボールである”
テクノロジーによって日々目まぐるしく進化する今の世の中をどう生き抜けば良いのかという問いを持って本書を読んだ時、過去から返ってきたボールに学びを得た。幕末という激動の時代に生きた士族の運命は、世襲によって得た肩書や特権の上にあぐらをかいていた者と、”既存の組織の外に出ても、必要とされる技術や能力をもっている”者で大きく分かれた。 -
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ネタバレ勉強熱心な長州藩では、とかく抽象的な議論がまかり通るため、しまいには成否に関係なく討ち死にしても良いと言う話になりがちでした
斉彬の考え方は、大雑把に言えば、アジアは西洋から辱めを受けてはならない、日本は一つとなって西洋列強に立ち向かわなければならない、と言うものでした
西郷はせっかちな人に多い、味の濃い、塩辛いものが好きでした
西郷の目的は、最初から朝鮮を攻めとろうと言うのではなく、朝鮮も共に近代化しよう言うことにあったと思います
古文書を読むとき、どういう目的でその資料が作られたか、きちんと見る必要があります
要するに、結局は人であり、人間が世の中を動かしている。制度や法律の類ではなく、人 -
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2019/3/10
引き続き磯田道史さんの日本史の本を読んでみました。天災〜の本の内容とかぶる内容もあったけれど、こっちの方が出版された年が早かった。とりあえず細かいことは気にせずに読んでみたけれども、やはり古文書通の磯田さんの解読と考察はすごく面白い。
歴史から学んでいくということはまさに磯田さんが実践していることなんだろうなと改めて実感させられました。
古文書というとものすごく古い紙に書かれたなんだかよく分からない字がたくさん書いてあって全然読めるわけがないと思いがちかもしれないが、昔の内容が書かれているものは全て古文書であり、それには時代が経過している、していないは関係ないのだと思った。 -
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過去日本に起きた天災、災害について古文書から読み解き、昔の人の経験や教訓をこれからの自分たちに生かして行こうという筆者の思いが前面に詰まった一冊。
歴史というと、小中学校では覚えることがたくさんあって、よく分からない政治のことやら人物やらできごとやらを一生懸命覚えてテストして…これに歴史を学ぶ意義を見出して一生懸命取り組めって到底無理な話だなぁと思いながらとりあえず授業は受けてたけど、磯田さんのこの本を読んで、歴史を学ぶことというのはこういうことなんじゃないかなと思わされました。
当時の人々の生き様、そこにあった苦労や経験の結晶として古文書が現代にも多く残されているのであり、一次史料からそうし -
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2019/02/17
普段テレビでよく見かける歴史研究家の磯田さんのこの本がずーっと自分の家に置いてあって、多分親が読んでいたんだろうと思っていたけど、そんなに興味が湧かずスルーしてました。でも、ある時、部分的にたまたま手にとって読んでみたらすごく深い内容でこれは面白いぞと読み進めているうちにあっという間に読み終わってしまった感じです。
この本のすごいところはとにかく磯田さんの徹底的な研究姿勢と古文書に関する半端ない知識、古文書という一次資料から読み取ったことを現実と照らし合わせて的確に検証していることだと思います。
歴史は繰り返すってよく聞くけど、昔の人の記録をじっくりと読むことで現代の生活 -
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2010/6/25 予約 7/3 借りる。7/5 読み始める。7/16 読み終わる。
2010年12月4日 映画公開です。
古本屋で見つけた古文書は、ある優秀な下級武士の30年にわたる几帳面な家計簿だった。
それを読むことで、幕末から明治を生き抜く武家の暮らし、その頃の世間の物価など いろいろなことがわかってくる。
これは すごく面白い本です!
これまで時代劇や時代物の小説で、?だったこともすこし納得。目からウロコ。
さらに、著者の 「あとがき」 に感動。
・ 「歴史とは過去と現在のキャッチボールである」、過去に問いかけ、過去と対話する。
・ 社会変動の時代を生き抜いたのは、今いる組織の -
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はしがき 「金沢藩士猪山家文書」の発見
第一章 加賀百万石の算盤係
わかっていない武士の暮らし/「会計のプロ」猪山家/加賀藩御算用者の系譜/算術から
くずれた身分制度/御算用者としての猪山家/六代 猪山左内綏之/七代 猪山金蔵信之
/赤門を建てて領地を賜る/江戸時代の武士にとって領地とは/なぜ明治維新は武士の領
主権を廃止できたか/姫君様のソロバン役
第二章 猪山家の経済状態
江戸時代の武士の給禄制度/猪山家の年収/現在の価値になおすと/借金暮らし/借金整
理の開始/評価された「不退転の決意」/百姓の年貢はどこに消えたか/衣服に金がつか
えない/武士の身分費用/親戚づきあいに金がかかるわけ