磯田道史のレビュー一覧
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このような本をつい手に取ってしまうのも、パンデミックと災害に、非日常という点で一脈通じるところがあるからだろう。
ワーヘナールによる明暦の大火の記録はまさにパニック映画さながら。江戸で大火事に巻き込まれるオランダ人一行だなんて本当に絵になるのではないか。そこまで直接的に災害に巻き込まれた商館長は他にはいないものの、頻発する余震の描写など東日本大震災後の日々を思い出させる。
江戸の町が焼けても焼けても懲りずに瞬く間に再建される様子も。日本人の災害に対する一種の無常観は、同時代のオランダ人から見てもなにか特異なものに見えたようだ。
オランダ人(この本の著者はベルギーの方ですが)と江戸の災害と -
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中編「穀田屋十三郎」「中根東里」「大田垣蓮月」の3作品所収
「穀田屋十三郎」は最近、映画「殿、利息でござる!」になっている
この中編も感動したけれども、「中根東里」に強く惹かれた
中根東里
天才詩人と言われていても(当時、江戸時代は漢詩であるが)後世に名を知られず
作品がほとんど遺されていず、生涯もあまりわかっていない人らしい
作者の磯田さん「じゃあ、どうやって調べて、書くのか?」
という疑問がわくが、文学研究者で社会経済史的な史料を読みこなす術にたけた方
『武士の家計簿 「加賀藩御算用者」の幕末維新』
と、これも映画でブレイク「武士の家計簿」の原作者でもあり
司馬遼太郎さんの -
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発売当初、書評欄で紹介されてから気になっていた本で、書店でいったい何回手に取っては棚に戻すを繰り返したことか。
日本史を題材にした小説を読みたいと思い、司馬遼太郎作品は、「竜馬が行く!」のほかは挫折の連続。小説の途中で、司馬氏の説明、独演が挟み込まれるのに抵抗有り。本当に魅力的な作品を知りたくて、尚且つ、司馬歴史観満載の日本史をひも解く作品として読むならば、という心構えを教えてくれる本として手にとった。
結果、読みたい本として挙がってきたのは、「花神」「峠」。
こうやって誰かに解説を加えてもらうと興味が勢いづいて、本を読もうという気持ちが倍増するから不思議。 -
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ネタバレタイトルで想像していた江戸時代に起こったエピソードを記したもの、とはちょっと違った。
必ずしも江戸時代に限らない。
何しろ夏目漱石の奥さんのことまで書いてあるのだから。
でも今の日本は、敗戦で劇的に姿を変えた部分と、それでも変わることのなかった部分があり、この本を読んでいると日本人に生まれたことがむふむふと嬉しくなる。
昔から、そして世界で一番へその緒を大事にする日本人なんて書かれた暁には、ご先祖様とも子孫たちともへそで繋がっている気がしてきます。(今の私のへそは人工物ですが)
徳川将軍家の起床時間は朝6時、大名は7~8時、天皇は8時ころに起床していたらしい。
現在の重役出勤なんてのとは -
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ネタバレ面白かった。経済関連の話はあまり得意ではなく、というのもお金って増やして商品増やして消費を増やして、その先のビジョンって何なの?って思っててそれがなんかよくわからないからなんだけど、
経済状況をこうやって、家計簿っていうふうに残すことで、その当時の暮らしや思想や価値観を丸ごと残すことが出来るんだ、と思って、それは経済の特筆すべきところだなあと思った。
出費と収入をおさえれば、どんな仕事をしていたのか=その社会の産業 も、何の浪費をしていたのか=その当時の流行やサービス もわかるし、出産グッズやちょっとした買い物で家族の歴史が追える。特にこの本では丁寧な解説もあって、当時の人がどんなことを考 -
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ネタバレ著者は最近はマスコミに売れに売れ、毎週どこかのテレビ局に出演している影響で堕落したのか、出版される本は、新聞の連載で書き散らしたものを集めた雑文が読き、同じ歴史学者の本郷和人の方がじっくりと読ませるような感じがしていた。
しかしこの本は、最近としてはやっとまともな姿に戻った感じがした。
面白かったのは、「江戸から読み解く日本の構造」で、中国の科挙と日本の世襲(宗族と小家族)との比較でその弊害を見ると、どっちもどっちという感じがした。
日本では1000年も続いた武士の時代の後に、最後の300年で世襲制が完成された。このシステムを著者は、信長・秀吉・家康が完成させた「濃尾システム」と呼んでいる。