磯田道史のレビュー一覧

  • 日本史の探偵手帳

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    ネタバレ

    著者は最近はマスコミに売れに売れ、毎週どこかのテレビ局に出演している影響で堕落したのか、出版される本は、新聞の連載で書き散らしたものを集めた雑文が読き、同じ歴史学者の本郷和人の方がじっくりと読ませるような感じがしていた。
    しかしこの本は、最近としてはやっとまともな姿に戻った感じがした。

    面白かったのは、「江戸から読み解く日本の構造」で、中国の科挙と日本の世襲(宗族と小家族)との比較でその弊害を見ると、どっちもどっちという感じがした。
    日本では1000年も続いた武士の時代の後に、最後の300年で世襲制が完成された。このシステムを著者は、信長・秀吉・家康が完成させた「濃尾システム」と呼んでいる。

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    2019年05月19日
  • 天災から日本史を読みなおす 先人に学ぶ防災

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    過去の古文書や言い伝えから、日頃の天災に対する備えの重要さを説く。

    時が経つとどうしても忘れがちになるが、備えを怠ってはいけない。

    本の中身については、一つ一つのエピソードというか事例について、もっと深く記述してほしい。できれば、いろんな学者で、一つの事例を掘り下げ、その災害の全貌を描くようなものがあると面白い。

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    2019年05月18日
  • 素顔の西郷隆盛(新潮新書)

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    西郷隆盛についてはいろいろな見方がある。この本はその理解しにくい西郷の人物像がわかりやすく書かれており読んでよかった。

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    2019年05月12日
  • 龍馬史

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    坂本龍馬の生涯を追いながら、幕末の社会、経済、政治を解説した1冊。最近、テレビなどでもよく見る著者だが、史実を丁寧に押さえつつ歴史を解説してくれるので納得がいく。また、史実を踏まえたうえで、時には大胆にご自身の考え方を述べるのもとても分かりやすい。
    本書でも、龍馬を美化しすぎず、淡々と史実にのっとって、彼の行動やその業績を評価している。龍馬暗殺についても、黒幕なしと断言するその分析に、納得感がある。

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    2019年05月12日
  • 素顔の西郷隆盛(新潮新書)

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    ★★★2019年5月★★★


    『武士の家計簿』などの著作で知られる、磯田氏による西郷論。西郷こと吉之助少年は、周囲から「ややこしい奴」だと思われていたらしい。自らの高い志のため、妥協する事がなかったからだろうか。


    君主斉彬の死、自らの入水自殺未遂、弟吉二郎の死、多くの出来事が西郷に影響を与えた。命知らずの西郷はこうして形成されてゆく。


    西郷は征韓論者であったかという議論については、西郷は積極的な征韓論者ではなかったと筆者は述べる。


    岩倉らが欧州視察に赴いた際の留守政府が非常に優秀だったという考えは、井沢氏の意見と一致。そもそも「留守」政府という言い方自体がおかしいという考えには僕

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    2019年05月06日
  • 天災から日本史を読みなおす 先人に学ぶ防災

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    天災は忘れた頃にやってくる、昔の人の言い伝えは言いえて妙ですね。私に関するものでは、1995年の阪神大震災、それを忘れた頃に実際に18階の勤務先で体験した、2011年の東日本大震災です。

    この本では天災という視点から、磯田氏が日本史を解説してくれています。日本史という一つの流れを色々な切り口で眺めてみると、また違った面白さを発見することが出来ます。

    以下は気になったポイントです。

    ・江戸時代の大名時計の目盛りは、一刻(約120分)を10分の1に刻んだものが多い、聖職者が鐘をついて時刻を下々の者に知らせる時間知識のエリートの地位を失った時こそが、近代社会の到来である(p3、4)

    ・天正地

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    2019年05月06日
  • 無私の日本人

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    かつて実際した日本人で私利私欲を捨てて、ひたすら人のために活動した人達の物語。

    3人紹介されてますが、一番有名なのは穀田屋十三郎のエピソードだと思います。

    私は観てませんが「殿、利息でござる!」というタイトルで映画化されています。

    予告編だとひたすらテンション高めの音楽で楽しげな雰囲気を醸し出してますが、原作は悲壮感漂ってます。

    仙台藩の吉岡宿はこれと言った特産もなく、米作と宿街の収益によって細々と生活していた。
    時代は江戸時代。
    参勤交代の莫大な費用負担によって農民の生活は苦しく、さらに夫役によって疲弊していた。
    仙台藩は救済のため公的補助的なものを出したが、吉岡宿は家老に与えたれた

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    2019年03月31日
  • 江戸の備忘録

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    今をときめく歴史学者・磯田道史さんの本。

    『武士の家計簿』や『殿、利息でござる!』(そういや羽生結弦くんも出演していた)などの原作を書いた方。

    古文書を、まるで新聞を読むようにスラスラ読めるという磯田さんが、古文書から拾い上げた色々な人物のことをわかりやすく紹介してくれている。

    この本を読んで良かったのは、東芝の祖になった「からくり儀右衛門」こと田中久重について知れたこと。

    9歳で金庫の鍵構造と同じ物を独自に作ったことから始まって、文字書き人形を作り、蒸気機関を作り、蒸気船を作り、アームストロング砲を作り、自転車を作り、通信用電信機を作り……。

    こんなレオナルドダヴィンチみたいな天才

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    2019年03月29日
  • 素顔の西郷隆盛(新潮新書)

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     西郷隆盛という人がいなかったら、今のこの国のかたちはなかったかもしれない。

     しかしそのキャラクターは子供のように自然体すぎる。人にはない大きな愛と力を持ちながら、ときには全てをほりだして逃げ、脱力し、自然へと帰っていってしまう。

     子供みたいな純真な側面がありながら、策謀をはじめるといくらでも悪辣なことを思いつく頭脳、自分が思う世の中を創ると決めたら、それに必要な作業へと変換できる天才的な革命家、人を選ぶ時の抜群の上手さ(西南戦争時の桐野、篠原らは例外?)、そして理不尽な身分制や差別に対する怒り、いずれ人は死ぬのだという諦観。

     「人間、いかに大きな仕事をしても、後を残さないことこそ

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    2019年03月23日
  • 無私の日本人

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    日本人をよく知ろうシリーズ。教科書に載ったりするような人ではないけれど、地域のため、人のため、国のために尽力した3人の史実を描いたもの。伊達藩吉野宿の極貧の民を救うべく、全財産を投げ打って資金を集め、藩に貸し付け、金利を取るという前代未聞の策を実現した穀田屋十三郎。このエピソードは映画化もされている。史上最高の儒者、詩文家と言われた中根東里。西郷の江戸攻めの際、自重をもたらした影の張本人と言われる大田垣蓮月。なんでも金で解決しようとしたり、成長のみが成功であり幸福であるという価値観や強迫観念。このままではもう保たないというぼんやりとした懸念を持っている所に、こう行った無私、憐憫の情、献身、謙虚

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    2019年03月21日
  • 「司馬遼太郎」で学ぶ日本史

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    司馬遼太郎の作品を振り返りながら、戦国時代、江戸時代、明治、大正の日本の歴史の流れを振り返る。それにより、司馬遼太郎が、昭和初期の軍部の独走と戦争への流れを、一連の歴史の中で起きるべくして起きたものと捉えていたことがわかる。
    最近、よくテレビなどでも著者をみかけますが、きっちりと史実を押さえ、自分なりに整理されているからこそ、これだけわかりやすく解説ができるのでしょうね。歴史学者だから当然と言えば当然なのですが、学者というとそうでもない人も多そうだから。

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    2019年03月14日
  • 日本史の探偵手帳

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    大好きな磯田先生が日本史探偵の手帳を公開するように江戸時代の隕石落下、美容整形の発祥とはなどを。歴史を暗記物から自己の判断材料に役立つよう学ぼうと。

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    2019年03月09日
  • 日本史の探偵手帳

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    歴史に名高い武田軍団であるとか、海道一の弓取りと言われた家康が、なぜ強かったのか。あるいは日本一の兵、真田幸村はどのようにその知性を高めたのか。古文書から読み解かれる日本の教育システムは刺激的だった。人がどう育てられたのか。どんな集団が強かったのか。まぁ、やっぱりどのように人を育てるというのは大事なんだね。

    後半、雑多な印象もあったけど、くノ一とか美容整形とか、歴史の流れ以外の場面も知ることができて面白かった。

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    2019年02月17日
  • 日本史の内幕 戦国女性の素顔から幕末・近代の謎まで

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    古文書から読み解く歴史のウンチク色々。
    埋蔵金から家康くんから大河ドラマから江戸の大火から、物凄く幅広く、物凄く雑学だ。もとい、博識だ。古文書の話をこんなに面白く書く人もいない。
    「武士の家計簿」とか「殿、利息でござる!」の原作者なのね。どうりで面白いはず。中公新書久々のあたりでした。

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    2019年02月01日
  • 無私の日本人

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    多分、小説の範疇

    映画タイトルのインパクトが大きすぎて思わず手にとったものの、積読になっておりました。
    小説の文体としてはいささかひっかかるところがないわけでもないのだが、素直な筆致で読み進んでしまう。

    淡々と描かれてゆく光景に、あるとき突然ぐっと胸を掴まれてしまう。喉がつまり、あふれるものを必死でこらえなければいけない。人々のなんの気ない行動に心揺さぶられる。

    積読にしておくにはもったいない作品でした。いや、もしかして今読んだからこそ良かったのかもしれませんが。

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    2019年01月20日
  • 日本史の探偵手帳

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    磯田の専門は、社会経済構造に注目する史学ということなので、資料を丹念にいっぱい集めて、それらの関係性を構築するというのがメインの手法なのだろう。
    その途上で行き当たったネタと、磯田が小さい頃から個人的に興味を持っていたテーマをかけ合わせて、人も驚く多様な視点で、歴史上の有名人物や「常識」を面白おかしく解説してくれるので、飽きない。
    また、アベノミクスと荻原重秀まで関係するので、読者層はますます広がりそうだ。

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    2019年01月12日
  • NHK英雄たちの選択 江戸無血開城の深層

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    特に目新しい新事実はないが、最新の情報でアップデートされた幕末本。西南戦争で鹿児島の判事が停戦要望を明治天皇へ出したという、新資料も掲載されているが天皇へは届かず事態への影響はまったくない。司馬遼太郎本を読んだあとに、小説から歴史の世界にもどるのに良いかも。

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    2018年12月30日
  • 天災から日本史を読みなおす 先人に学ぶ防災

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    ネタバレ

    第一、事前に家族で地震時にどうするか話し合っているかで生死が分かれる。第二、いちど逃げたら、忘れ物を取りに家に戻ってはならない 松林はかえって危険。巨大津波では松はすぐに根こそぎ抜けて流され、人や住宅に襲いかかるのだと言う

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    2018年12月30日
  • 天災から日本史を読みなおす 先人に学ぶ防災

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    歴史という学問が現代や未来をどのように生きていくかの羅針盤となるものだということを啓蒙する優れた著作。歴史好きな私としては主語が「天災」よりも「歴史」の方がよかったが、それにしても素晴らしい仕事だと感じました。

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    2018年12月28日
  • 素顔の西郷隆盛(新潮新書)

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    ネタバレ

    大河ドラマと一緒に、1年かけて少しずつ読んでみました。西郷がなぜこんなに愛されているか、とても面白く読ませてもらいました。

    傷のある金の玉(西郷)と、まったく傷のない銀の玉(大久保)という表現がぴったり!
    ドラマとともに楽しめました。

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    2018年12月28日