磯田道史のレビュー一覧
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<目次>
はじめに 歴史は「ミカタ」だ
第1章 歴史が動く時
第2章 歴史は繰り返されるか
第3章 歴史の表と裏
第4章 日本史の特徴
第5章 時代で変わる英雄像
<内容>
井上章一さんの「ミカタ」三部作の第三弾。第1弾は『日本史のミカタ』(本郷和人さんと)、第2弾は『世界史のミカタ』(佐藤賢一さんと)。2作目は読んでないが、井上さんのちょっとずれた「ミカタ」がこの本でも随所に出ている。今回の磯田さんは、井上さんの職場の部下(京都の日文研)。ちょっとやりにくそうだが、史料にまっすぐ向き合っている磯田さんなりの、歴史のミカタが随所に現れ、なかなか面白い。最後のほうに書かれているが、「歴史は時代によって(ミカタが)変わる」ことを意識することと、日本人に多いらしい「つまらない完璧さ」をいかに排除するか。もののミカタの多面性を、歴史からも伝えたいと思います。 -
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ネタバレ磯田先生、侮っていました。
ちょっと目新しい視点で歴史をちょいちょいとつまむ、タレント学者だとばっかり思っていたら、結構本格的に「災害史」「防災史」を研究していらっしゃいます。
災害のあった地の古文書を探して読む。
土地の古老に先人の言い伝えを聞く。
地図を見て、災害の中心地と被災地の距離を測ったり地形を分析したりして、実際に起こったであろう災害の規模を割り出す。
地名の由来を調べる。
コツコツと研究されています。←なに様?
文章が読みやすいだけではなく、構成も上手なので、ちゃんと歴史の本になっているのもうまいと思います。
災害について書かれている本にこういう言い方は良くないのでしょうが、読んでいて、続きがすごく気になるほど面白かったです。
2014年に書かれた本ですが、あとがきを読んでショックを受けました。
”これから備えるべき自然の危機は三つある。第一に、地震津波などの地学的危機。第二に、地球温暖化に伴って台風や集中豪雨が激化することによる風水害・高潮・土砂崩れなどの気象学的危機。そして、第三に、世界の人的交流の進展やテロの可能性が高まり、抗生物質耐性菌・インフルエンザ・出血熱などの感染症学的危機も高まってきている。”
こんなに以前に知る人は知っていたのに、全然無策だよなあ。 -
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磯田先生の本は「「司馬遼太郎」で学ぶ日本史」に続いて2冊目です。
本書は、龍馬を知れば幕末が見えてくる、として、幕末史は複雑だが、龍馬を主人公にして見てゆけば、それが何であったのか、はっきりした像が見えてくるはずだとしています。
色々書かれてありましたが、一番面白かったのは龍馬暗殺に関してですね。
新選組黒幕説とか色々あるようですが、磯田先生が現存する史料から虚心坦懐に調べれば下手人は見回組で、指示を出したのは会津藩幹部だということです。
他に興味を惹かれたのは、紀州藩船明光丸と海援隊のいろは丸が衝突して沈没した「いろは丸」事件で、龍馬が紀州藩との交渉に際し鉄砲類も乗せていたと「はったり(嘘)」を言って巨額の賠償金をぶんどったことですね。
龍馬には褒められない一面もあったということです。 -
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司馬遼太郎の作品は戦後の復興期から日本人の心を捉えて離さず、彼の作品により脚光が集まった歴史上の人物も多数存在する。
その一方で、司馬史観と呼ばれる、彼特有の歴史の捉え方は、彼の作品の影響力の大きさから、誤った事実を普及しているとして、否定的に捉えられることも多かった。
その司馬史観について、歴史学者の観点から切り込み、彼の思想を読み解き、その思想を理解した上で司馬遼太郎の作品を楽しむべきとした本作。
司馬史観の存在は知っていたものの、体系立てて整理したことがなかったため、大変勉強になった。
ここからはややネタバレになるが、司馬遼太郎の思想として、昭和初期を鬼胎の時代と位置づけ、日本にとって非常に悪い時代とし、そこに至る過程を整理する中で、特に江戸、幕末、明治を紐解き、さらにその源流として織田信長の時代にまで遡っている。
そのため、国盗り物語→竜馬が行く→飛ぶが如く→坂の上の雲、という作品が彼の思想の本筋として存在している。
それに付随する作品、特に作者は花神を推奨していたが、これらの中にも名作が多く、そこには本筋以外の彼の思想が現れている。
彼の作品は、荒唐無稽な日本礼賛ではなく、本質的な日本人の良さを浮き彫りにし、そうした良さを理解した上で国家の形成に役立ててほしいということを伝えている。
歴史的に正しいかということも、もちろん大切ではあるが、そうした彼のメッセージを理解した上で、日本の、特に近現代史に触れることはメリットしかないように思える。
そうしたことに気付かされる、大変有意義な書籍であった。 -
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災害という視点で見ていくことで、日本史をより深く理解できるようにもなる一冊。
日本に住む以上、地震、津波などの天災と無縁ではいられない。これは多くの日本人が肌感覚でわかっていると思う。
古来より日本は天災の多い国だった。本書を読めば、それがよくわかる。
歴史から学ばなければ、僕らは命を奪うような天災には対処できない。なぜなら、一人の人間が幾度も経験できることではないからだ。人は失敗からしか学べないともいわれるが、失敗すなわち死に直結するような災害を何度も乗り越えながら学んでいくのはあまりにもリスクが高い。
だから思う。すべての日本人の基礎教養として、この手の知識をもっと学ぶべきであると。小学生でも読めるように書かれた本書は、その入門書としておすすめできる。
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新型コロナウィルスで世界が一転した現在だからこそ読んでほしい一冊
日本はいかにして感染症を乗り越えてきたか?
感染症の歴史や予防、そしてワクチンやウィルスという概念のなかった時代にいかにして日本人は戦ってきたのか?
平安の史記、江戸時代の随筆、政治家や文豪たちの日記や記録から見る感染症の歴史を記した本。
日本人のゾーニング文化
疫病を忌神としてとらえた「張り紙」護符文化
歴史を変えた「はしか」パンデミック
攘夷を加速させた「麻疹」
スペイン風邪の脅威
皇室や宰相を襲った感染症
文学者たちが残したスペイン風邪の記録
などなど…
目に見えないウィルスと戦ってきた日本人の歴史
今も昔も変わらないのかもしれないな~と思うことも多々
例えば…
スペイン風邪を恐れるあまり自粛警察気味になった志賀直哉の話などは「おお~!あなたもですか!?」でも志賀直哉のすごいところは自分で「わちゃ~やりすぎてるよオレ…」的に自虐&反省してそれを克明に文章で残しているところ。イマドキの自粛警察に比べればかわいいものです。
他にも…給付金
コロナ禍で様々な物議を醸した給付金。
実は江戸時代にもありました。
パンデミックとなった疱瘡。
山口の岩国藩では藩民にまんべんなく米の給付を与え、さらに隔離措置もとったう。
ところがその対極に長崎の大村藩はなんと給付なき隔離…つまりほとんど棄民という措置を取ったのだとか。
ひい~!!
他にも名君と言われた上杉鷹山は「自粛」をやめて政治や経済を動かすことを考えたとか…
このあたりは今の政治家にも通じる悩ましい話です。
あと、読んでみたいと思ったのは
一般庶民がパンデミックの中でどう過ごしてきたのかということを記した十二歳のスペイン風邪 大叔母の百年前日記野田正子日記抄」
スペイン風邪が流行る中、街に繰り出す人、休校で時間ができたので遊びに行く人、お祭りやパレードなどでにぎわう街など…実は人の思うことや行動ってあまり変わっていないのかもしれない…。