2022年年末に購入したのに寝かせてしまっていた本書。
こういうナマモノはわりと直ぐ新情報で上書きされることもあるから、熱いうちに読むのが一番なのに。
が、本書内の磯田先生は変わらず熱かった!
テレビでお見掛けする回数も多いので、
古文書が読めるとんでもない方でいらっしゃることは存じ上げていた。
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またお見掛けする度に、歴史研究が大好きで大好きでたまらないという熱が伝わり、
少年のようなお姿が眩しく、解説も楽しい先生だ。
本書もまた然り。
前書きの終盤で先生は、
「最近、歴史について、インターネット上に、雑多な情報が"コピペ"すなわちコピー&ペーストされて流れている。どこかで聞いたような話が多い。本書は、毎日、私が古文書のホコリと戦いながら、まことにアナログな手法で、自分で一つずつ集め、日本史のある面を暴いていったものである。ミミズがのたくったような古文書を解読しながら、自分で探した歴史だから、現場の一次情報である。こういうリアルな話が好きな方々に読んで頂きたい。」
とお話されている。
お気持ちが伝わってくる。
ただ本書は、歴史好き、歴史に詳しい、そんな読者しか楽しめないものではない。
帯の項目どれか1つでも気になったら、
本当に気軽に、手にして良いものだと思う。
テレビで見たままの磯田先生が、熱く、とても解りやすく読者を楽しませてくれる。
ただ、暴く!とタイトルにはあるが、やはり謎は謎のままと結ばれるものもある。
魅力的なキャラクターだが、歴史学者なのだ。
はっきり判明していないものについては書けない。
勿論、そこに至る経緯には、先生ご自身が調査した新しい内容が加えられている。
難しい文章はない。
というか、解りにくい文章は一切ない。
少しでも解りにくいところは、先生が括弧書きで注釈をつけてくれている。
様々な文献を引用していれば、同じく括弧書きされている。
また、「信長の遺体の行方」冒頭。
遺体焼失の謎を探るテレビ番組をご自身で企画提案し、出演もされて作ったが、
テレビ番組というものは編集がある。
カットされてしまう。
だから言えなかったことを書いておく。
とあった。
ニヤニヤしてしまう。
磯田先生らしいというか、なんと言うか。
けれど読者としては、これは嬉しいかぎり。
番組ではカットされてしまったらしい部分を、先生の言葉で読めるのだから。
他にも、歴史とは関係がない部分で、あらあらこんな言い方しちゃって大丈夫ですか?と思うような部分も 笑
ヒヤヒヤする。
やっぱり磯田先生だ。
(と思えば引き際も実にあっさりだ。
自書の○○で既に書いたのでここでは繰り返さないとか、
○○というサイトに関係する別件について記してあるので興味があれば、等々。)
とにかくここに書かれている歴史が面白い。
磯田先生が面白い。
そして様々な古文書からの情報、歴史上の人々、ご自身の見解を、
スッキリ解りやすく楽しく纏めた先生の頭脳とバイタリティーが凄いし、読者への優しさもある。
それから磯田先生を囲む優秀な先生方や、磯田先生ご本人の地元への呼び掛けや足を使った調査が実を結んでいる。
磯田先生のお人柄と、日々の地道な調査の賜物であることが良く分かる。
更に、立ち寄った先で「これは!」という資料を見つけても、お金を払って買って帰らねばならない。
本物かどうか調べるのはその後だ。
面白かったのは「比類なき戦国美少年と淀殿」と、続く「秀頼の実父に新候補」。
秀吉が朝鮮出兵の為の留守中、淀殿と密通したのではないかとされる人物について。
とても興味深く、
「私は新聞と同じ速度で古文書が読める」
「私は、この中村という男を追っている。情報があれば欲しい」
との言葉に、
磯田先生カッコイイ!是非頑張って頂いて続報を!
と思ってしまった 笑
他にも、忍者の報酬や失敗した時の対処法、赤穂浪士の最終目的。。。
そうそう、ドラマやコミックで男女入れ違いの大奥なんてあったけれど、「女性の力で出来た藩」も興味深かった。
その後もちょこっと読めて、楽しい話が盛り沢山。
江戸マスク、とか。
ネタバレすると磯田先生が怒りそうなので(笑)、ここまでにします。