磯田道史のレビュー一覧
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ネタバレ映画化もされた『武士の家計簿』の著者でNHKの歴史系番組への出演などでも有名な磯田道史先生による2019年6月11日に鎌倉女学院高等学校にて行われた特別授業の講義録と「ビリギャル」小林さやかさん及び名古屋のアパレルショップ店長で歴史好きの外山莉佳子さんとのミニ対談付き。
いわゆる歴史の授業ではなく、磯田先生による「歴史学」の講義で分かりやすく、かつ奥が深い。
どうしても学校の授業では暗記科目になりがちな「歴史」についていろいろな例えや事例を用いて解説してくれる。
印象に残ったのが、タイトルにもなっている「歴史とは靴である」、「歴史的にものを考えると、前より安全に世のなかが歩けます。歴史はむしろ -
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サクサクと読めて、まるで授業を受けているような錯覚になる本。
磯田さんが磯田さんである理由がよくわかります。
磯田さん曰く、歴史とは他者理解。
自分とは異なる誰かの了見を理解しようと思いを巡らせす作業だそう。
仕事や私生活でもその作業は必要なこと。
どんな学びも抽象化して自分の生き方に転用することが大事だと感じていて、磯田さんはとてもそれが上手い方だと思う。
教養は無駄の積み重ねという名言もこの本の中にはありましたが、まさに。
忘れてしまったような学びも次に出会った時に違う顔を見せてくれる、これが大事。
しかし、こんな先生が娘の学校に来てくれたらいいなぁ(まだ保育園生) -
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加賀藩の御算用者、猪山家の家計簿を発見した磯田先生がその時代の武士の暮らしや習わし、生き方を分析する歴史探検ができる本。
武士の身分故に交際費が高くついて実はめちゃくちゃ貧乏なのに、自分より懐のあったかい草履取りより偉そうにしていなければならないなど、身分と裕福さには関連性がないという事実が面白い。
家計簿は数字の羅列ではあるけれど、少ない情報の中から意味を見出し、その時代や背景を推察する能力。磯田先生の真骨頂という感じです。
そのテクニックは、仕事でも必要なことだなぁと思います。
猪山家は実直で真面目な方が多く、人間として魅力のある方々です。 -
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第六波の最中に読んだので、この本が書かれていた頃に比べワクチン接種が一巡したり内服薬が開発されたり状況は変わってはいるものの、歴史から学ぶことは多いなと感じる一冊。
歴史の中の感染症も面白いのだけど、患者史として一人ひとりの日記から掘り下げる感染の歴史がとても興味深かった!
スペイン風邪は言っても100年前なのでたくさんの文献が残っていて、大正天皇、志賀直哉、原敬など誰もが知ってる人々だけではなく一般人の日記からも当時の状況をリアリティーを持って読み解けるのが良い。
個人的には最後の章の磯田さんが師と仰いだ速水先生に学んだ歴史人口学のところがとてもおもしろかった。
新型コロナもそうだけど、 -
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著者である歴史学者の磯田道史氏が大量の古文書を読み込んで日本の災害の歴史を研究(磯田氏は新聞と同じスピードで古文書を読めるということ)。江戸時代は識字率が高かったこともあり、様々な記録が残されている。本書はそれをマンガという形にして、若者でも受けられられやすいようにまとめたもののようで、ところどころ漢字にルビがふられている。
しかしマンガだからといってあなどるなかれ。文章量も多く、なかなか読みごたえがある。日本は本当に災害大国だ。記録を丹念に見ていくと、同じ場所で何度も同じような災害が起きているのがわかる。果たして現代人は、この教訓は生かせているだろうか…?