磯田道史のレビュー一覧
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お馴染み磯田先生の、楽しんで読みながら歴史の勘どころを押さえる事ができる、江戸雑学集。
家康始め代々の徳川将軍、戦国期から江戸時代にかけての名のある有名武将や大名、幕末期の英雄たちのエピソードも興味深かったが、それ以上にこの時代の社会を支えた名もなき市井の人々の生き方に惹かれた。江戸時代のおじいちゃんと孫の会話、相撲今昔物語、寺子屋事情や江戸の会談集など、可笑しくて何処となくホッとする逸話も満載。
貧しく過酷な生活ではあっても、それぞれの立場で良く働き、正しく生きたこの時代の人々に学ぶところは多い。自分も姿勢を正して「しっかり生きなければ」とあらためて思う。 -
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歴史エッセイ集。戦国の怪物たち、江戸の殿様・庶民・猫、幕末維新の光と影、疫病と災害の歴史に学ぶ、の四部構成で、それぞれに古文書研究をベースとした小話が散りばめられている。
なによりも良かったのは一話、3-4ページ。すぐに完結するので、通勤その他の隙間時間の教養本として極めて優秀で内容も面白い。この時代、まだまだこれだけの古文書が古本屋から出てくることにびっくり。個人的には江戸の庶民の名物好き嫌いや、風俗遊びの書付けが往時の人の息遣いが聞こえて来るようで最も楽しかった。
歴史を深く学ぶというよりも、いろんな時代、いろんなジャンルの雑学をちょこちょこ得られて持ち運びも容易な200ページ強のお手 -
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歴史学者の磯田道史さんと各界著名人の対談集。12の対談がおさめられているが、雑誌掲載の古いものは2008年。最新のものは2023年。堺屋太一や半藤一利といった故人となった人との対談は、今となっては貴重。
2013年掲載の『日本人の起源』についての遺伝学者たちとの対談は、その後の技術革新のスピードがとてつもなく速く、脚注で最新情報が付されているのがありがたい。
掲載雑誌の持つカラーや対談相手の選定、対談テーマの設定なども様々なので、内容は玉石混交。相手の立場•立ち位置もあるだろうし。
どれも面白かったが、半藤一利はやはり別格。双方の言説が本当に深い。女優の杏はこの時24歳。歴史好き•読書好きらし -
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著者の大胆な仮説がダイナミックにわかりやすく描かれていて面白かった。
織田徳川同盟が棲み分けを本質とすることや、信玄との戦いではいざという時に戦うリーダーであることを示す決断をしたこと、武田勝頼との戦いで、強者の得意パターンを敢えて現出させて誘い出しつつ鉄砲と高性能な弾薬と柵による横一線の防御陣地という罠を設けたこと、武田の家臣団や軍制を積極的に取り入れることで強力になったことなど、家康の戦略の勘所がよく伝わってきた。
長篠後の武田の諜報と調略が信康殺害や、本能寺まで誘発した可能性(武田と繋がっていた光秀が天目山の後に織田に従属した穴山梅雪から信長に情報が漏れることを警戒して潰される前に謀反を -
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日本の歴史において感染症がどのような影響をもたらしたのか、考えたことなかったことに気づき、何らかの気づきを得ることを期待して、本書を手にした。
本書では、江戸時代以降(特にスペイン風邪)が日本社会に与えた影響を、統計的な観点と患者史の観点から、探る。
「感染症の歴史」と聞くと、感染症がどのように当地に至り、流行し、収束したかという一点のみが取り出されてしまう場合が多い。だが、感染症が流行していても、当時の人々の生活、政治はその期間も続いていること。そして、感染症の流行そのもののみならず、感染症が世の中を大きく動かす原動力になり、為政者が成す感染症対策もそれらに大きな影響を受けていること。以