磯田道史のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ私は正直言ってしまえば歴史には疎いです。
本当にある種の時代(この本中の時代じゃないよ)には
もうそれはそれはひどいほどに。
本当にこの本は読者にとっても大変有意義な本です。
新書としてのレベルもずば抜けて高いです。
「司馬遼太郎」という名作家を軸に取り上げていますが
なぜ彼が自分の生きたであろう時代を取り上げなかったか…
それはきっと、そのくらい「暗黒も暗黒」な時代を
恥じていたのかもしれませんね。
だからこそ、その歴史小説は
深い感銘を与えるのだと。
読んだシリーズはこの本の時代のものではありませんが
まさしく彼の取り上げた法則通りの人物が
出てきました。
(そして決してその後も明る -
Posted by ブクログ
2022/5/5
歴史に対する考え方を学べる、磯田先生の講義録みたいな形式。
高校生に行った授業をそのまま文章に起こしているので、内容もとてもわかりやすく、読みやすかったです。
どうして歴史を学ぶのかと言う問いに対する磯田先生なりの答えにとても納得してしまい、自分も好きなもの×歴史で調べてみようかなと思わされました。
過去の歴史を学んで何の役に立つのかと言う、現代の勉強に対する疑問への回答もあり、内容が太宰治のパンドラの匣に書かれていた内容と全く同じ共通点だったところも興味深いなと思います。
無駄を大事にできるようにならなければいけないという言葉を自分も大切にしたいなと思いました。 -
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ネタバレ新書であまり5は付けないんですが、いやー
これは良かった。日本人ならぜひ一読すべき。
長崎にいたオランダ商館長が、毎年将軍への謁見として江戸参府を義務付けられていて、
その過程の中で火災や地震に巻き込まれており、その詳細を商館長それぞれの個性で日記に描いている、という新しい視点で
日本の江戸災害史をまとめた1冊。
明暦の大火を生き抜いた冷静なワーヘナール、
神経質で元禄地震に敏感なタント、
地震が怖すぎて描写が全て悲劇的なハルヒト、
京都大火に偶然にも遭遇したファンレーデ、
全て個性が違ってて非常に面白い。またわかりやすい文体で読みやすい。
随所に入る磯田さんの解説もいい。
面白いなと思う -
Posted by ブクログ
ネタバレ表題通り歴史を心から愉しむ本です。
この本を読むと磯田さんが心から歴史が好きで、いくつになっても好奇心の塊なのがひしひしと伝わります…
ほんとに好きで好きで仕方ないことを見つけてそれを仕事にするのは幸せなことだと思わざるを得ない!
印象的なのは歴史学者になる前の、子どもの頃のエピソード。
出雲大社を自分で設計して作ってしまったり、それが台風でこわれたら、「歴史と一緒だ…!」と身震いしたり。
古文書を読みたくて、勉強を一時辞めて(!)解読に全振りしたり。
そんな磯田少年の好きなものを否定せずに付き合ってあげていた親御さんも素敵。
最後の関ヶ原に思いを馳せる新幹線の乗り方は(良い意味で)オ -
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「賢者は歴史に学ぶ」
まさにそれを地でいくのが今回のコロナ禍では
ないでしょうか。
スペイン風邪をはじめとして、人類の歴史は感
染症との戦いなのです。
過去の文献を紐解くと、現在のコロナ禍と同じ
状況がいくらでも出て来ます。
特に今回スウェーデンが実施しようとした「集
団免疫」を行うべき、と言う議論は過去にも同
様にあったようです。
しかし「免疫」にはまだまだ謎が多く、集団免
疫は必ずしも効果があると判断できない経緯が
あったようです。これは現代でも同様です。
さらに昔の日本人の生活習慣にも目を引くもの
があります。
昔の高級布団には片側の隅に「フサ」が付いて
いました。これは頭の -
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はしがきから引き込まれました。その筆致も見事なのですが、積み上げられた膨大なナレッジから飛躍のない考察を展開する点はいかにも歴史学者らしく、それらのバランスが本書を良書たらしめています。
明治維新は家の由緒で禄を食んでいた旧弊な士族を没落させた一方で、実務の才覚を頼りに細々とやりくりしていた士族にスポットライトを当てました。磯田先生も折に触れて述べられているように、維新後の士族についての一面的な理解を改める必要があります。
目を見張るべきは、猪山家が現代の平均的な家庭より遥かに高い金融リテラシーを有していた点です。
・自力で債務整理。債権者を相手に有利に交渉し残額を無利子に
・家禄奉還を申