磯田道史のレビュー一覧
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ネタバレ新書であまり5は付けないんですが、いやー
これは良かった。日本人ならぜひ一読すべき。
長崎にいたオランダ商館長が、毎年将軍への謁見として江戸参府を義務付けられていて、
その過程の中で火災や地震に巻き込まれており、その詳細を商館長それぞれの個性で日記に描いている、という新しい視点で
日本の江戸災害史をまとめた1冊。
明暦の大火を生き抜いた冷静なワーヘナール、
神経質で元禄地震に敏感なタント、
地震が怖すぎて描写が全て悲劇的なハルヒト、
京都大火に偶然にも遭遇したファンレーデ、
全て個性が違ってて非常に面白い。またわかりやすい文体で読みやすい。
随所に入る磯田さんの解説もいい。
面白いなと思う -
Posted by ブクログ
ネタバレ表題通り歴史を心から愉しむ本です。
この本を読むと磯田さんが心から歴史が好きで、いくつになっても好奇心の塊なのがひしひしと伝わります…
ほんとに好きで好きで仕方ないことを見つけてそれを仕事にするのは幸せなことだと思わざるを得ない!
印象的なのは歴史学者になる前の、子どもの頃のエピソード。
出雲大社を自分で設計して作ってしまったり、それが台風でこわれたら、「歴史と一緒だ…!」と身震いしたり。
古文書を読みたくて、勉強を一時辞めて(!)解読に全振りしたり。
そんな磯田少年の好きなものを否定せずに付き合ってあげていた親御さんも素敵。
最後の関ヶ原に思いを馳せる新幹線の乗り方は(良い意味で)オ -
Posted by ブクログ
「賢者は歴史に学ぶ」
まさにそれを地でいくのが今回のコロナ禍では
ないでしょうか。
スペイン風邪をはじめとして、人類の歴史は感
染症との戦いなのです。
過去の文献を紐解くと、現在のコロナ禍と同じ
状況がいくらでも出て来ます。
特に今回スウェーデンが実施しようとした「集
団免疫」を行うべき、と言う議論は過去にも同
様にあったようです。
しかし「免疫」にはまだまだ謎が多く、集団免
疫は必ずしも効果があると判断できない経緯が
あったようです。これは現代でも同様です。
さらに昔の日本人の生活習慣にも目を引くもの
があります。
昔の高級布団には片側の隅に「フサ」が付いて
いました。これは頭の -
Posted by ブクログ
はしがきから引き込まれました。その筆致も見事なのですが、積み上げられた膨大なナレッジから飛躍のない考察を展開する点はいかにも歴史学者らしく、それらのバランスが本書を良書たらしめています。
明治維新は家の由緒で禄を食んでいた旧弊な士族を没落させた一方で、実務の才覚を頼りに細々とやりくりしていた士族にスポットライトを当てました。磯田先生も折に触れて述べられているように、維新後の士族についての一面的な理解を改める必要があります。
目を見張るべきは、猪山家が現代の平均的な家庭より遥かに高い金融リテラシーを有していた点です。
・自力で債務整理。債権者を相手に有利に交渉し残額を無利子に
・家禄奉還を申 -
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Posted by ブクログ
無私の日本人として、穀田屋十三郎、中根桃李、大田垣蓮月の三人が紹介されている。
前書の「武士の家計簿」が歴史として面白く、一個人の成功譚だったのに対して、本書は、現代・未来への問題提起がある。
現代は競争経済で、経済成長しているのに、昔ほど皆の生活は良くなっておらず(生きるには十分ですが)、数%の高所得者に資産が集まっている。そしてお金持ちさえも、お金だけでは、満たされない何かにぶつかっている。日本もGDPが他国に追い抜かれそう。そういった状況に対する日本人が幸せに生きるヒントがあるように思った。
サピエンス全史にもある、人間が想像して作り出したやっかいなもの、神、国、貨幣は、無いと困る