磯田道史のレビュー一覧

  • 歴史のミカタ
    【日本人の行動パターンを読み解くうえで「形」と「見立て」は重要な要素です】(文中より引用)

    教科書的な歴史から離れ、人生を豊かにする歴史の「ミカタ」とは何かを語り尽くした対談録。著者は、国際日本文化研究センターで上司・部下の関係でもある井上章一と磯田道史。

    この2人が語り手とあっては面白くないは...続きを読む
  • 武士の家計簿―「加賀藩御算用者」の幕末維新―
    はしがきから引き込まれました。その筆致も見事なのですが、積み上げられた膨大なナレッジから飛躍のない考察を展開する点はいかにも歴史学者らしく、それらのバランスが本書を良書たらしめています。

    明治維新は家の由緒で禄を食んでいた旧弊な士族を没落させた一方で、実務の才覚を頼りに細々とやりくりしていた士族に...続きを読む
  • マンガでわかる 災害の日本史(池田書店)
    日本の各種災害の歴史が分かりやすく書かれています。これから台風の季節だし地震はいつ来てもおかしくないと言われています。今一度気を引き締めさせてくれる本です。
  • 感染症の日本史
    今回のコロナで政治家がよく口にする「専門家の話を聞いて判断する」。
    この専門家の中に歴史学者はいるのだろうか。
    100年前のスペイン風邪の教訓は?歴史に学ぶべきことは多い。
  • 龍馬史
    第三章の龍馬暗殺に関する記述は、偶然にも読んだばかりの「陰謀の日本中世史」の幕末編みたいな感じ。数々の陰謀説を否定し、冷静に事実を結論づけているのが良かった。
  • 感染症の日本史
    先程読み終えた。
    はじめは教訓くさかったが、読みすすめるうちに、こういうアプローチ・切り口もあるのか、と関心。
    文は読みやすく、出典も確かなので、過去に日本は疫病に対してどのような対処をしてきたのかの知識をえることができる。
    良書。
  • 感染症の日本史
    磯田先生の解説で、感染症を軸に歴史を振り返る。どれほど医学が進歩しても、人の行動は変わらないことがよくわかる。
    人の歴史は感染症との戦いでもある。
    その昔、感染症に対して祈祷を行なっていたが、江戸後期あたりから、隔離を行うようになっている。大正時代のスペイン風邪では、その隔離政策がうまくいかず何度も...続きを読む
  • 天災から日本史を読みなおす 先人に学ぶ防災
    天災と日本史の関わりについてわかりやすく解説されている。
    非常に読みやすい。
    人間同士の関係性についつい目が向きがちだが、歴史を学ぶときにはその時代の自然環境・気候なども含めて理解することが必要だということに気づかされる。
  • オランダ商館長が見た 江戸の災害
    第一章、第二章では、江戸時代に火災が非常に多かったということに驚いた。細かな火災に関する記録だけではなく、商館長の心情も記録されていて興味深い。また、火災が多い理由や明暦の大火以降に発展していく深川の町についても書かれており江戸時代を知ることができる部分もおもしろいと思った。第六章の島原大変肥後迷惑...続きを読む
  • 武士の家計簿―「加賀藩御算用者」の幕末維新―
    ゲームのルールはいつか必ず変わる。その時に、今いる状況の外に出ても必要とされる能力を持っているかが人の死活をわける。

    かつて家柄を誇った士族の多くは、家柄など、過去を懐かしみ、現状に不平を言い、そして将来を不安がった。
    一方、自分の現状を嘆くより、社会に役立つ能力を身につけようとした士族には未来が...続きを読む
  • 感染症の日本史
    歴史は繰り返すことをまさに示してくれる本です。江戸時代から感染症には隔離がある程度認識されていたこと、ただその知恵があまり広まらなかったことや、スペイン風邪の時にも、なかなか行政が動けなかったことなどが具体的に述べられています。今と同じだと痛感させられます。それでも現代では科学が発達したおかげで、対...続きを読む
  • 無私の日本人
    これは「ボン書店の幻」に匹敵する名著だと思う。

    真の才能に恵まれた人間だからこそ、このような清貧の極限のような思想に至れるのだろうか。

    資本主義の限界が見えてきた今こそ読むべき本かもしれない。
  • 無私の日本人
    無私の日本人として、穀田屋十三郎、中根桃李、大田垣蓮月の三人が紹介されている。

    前書の「武士の家計簿」が歴史として面白く、一個人の成功譚だったのに対して、本書は、現代・未来への問題提起がある。

    現代は競争経済で、経済成長しているのに、昔ほど皆の生活は良くなっておらず(生きるには十分ですが)、数%...続きを読む
  • 歴史の愉しみ方 忍者・合戦・幕末史に学ぶ
    啓蒙短編エッセイという感じで、短時間で面白く読めた。また、磯田先生が茨城大学を去られた経緯も分かって良かった。
  • 武士の家計簿―「加賀藩御算用者」の幕末維新―
    古文書読みの磯田氏が古本屋で入手した「武士の家計簿」。幕末から激動の明治維新をこの一家はどう乗り越えたのか。

    興味を引いたのは主人公が自力で債務整理をすること。返すだけ返し、残額をりそくなしの10年賦にする。現代の任意整理そのもの。

    大村益次郎など、有名な人物も登場する。

    加賀藩の御算用者が明...続きを読む
  • 武士の家計簿―「加賀藩御算用者」の幕末維新―
    面白かった~!
    幕末から明治にかけて、約37年間にわたって記録された武士の家計簿。この家計簿を残したのは、金沢藩の御算用者である猪山家だ。この貴重な記録をもとに、幕末の武士の経済状態はどうだったのか、何にいくら使っていたのかを考察する。また、猪山家は家族間の書簡も残していて、幕末から明治にかけての激...続きを読む
  • 龍馬史
    坂本龍馬を通して幕末の歴史を大いに語ったこの本。

    坂本龍馬といえば、薩長同盟や大政奉還などが評価されているが彼の真骨頂は海軍の創設という話、さすが歴史家。
    彼の生まれ育った環境や様々な史料から分析されていてとても面白かった。

    彼の為人を自筆の手紙から分析した第一章。
    龍馬を中心とした幕末の流れを...続きを読む
  • 江戸の備忘録
    歴史家磯田道史さんの随筆集。

    歴史に名を残す信長、秀吉、家康などの為人やエピソードあり、からくり儀右衛門など政治に直接関係のなかった人のエピソードそして学び、昔の人の日記などから暮らしぶりや生き方をわかりやすく解説してくれたり、歴史の中での離婚の位置付けや名前の由来の歴史などなど、いろんな角度から...続きを読む
  • オランダ商館長が見た 江戸の災害
    江戸初期から幕末まで日本との貿易が続けられたオランダ。布教目的を持たない東インド会社で、商館長をはじめ幹部には報告書を兼ねた日記を義務付けていたことで、はからずも江戸の災害を記録・保存できた。明暦の大火、元禄地震など商館長が体験した大災害の様子がよく理解できた。長崎でも地震が頻発していたとは、管見に...続きを読む
  • 天災から日本史を読みなおす 先人に学ぶ防災
    「歴史学は生きている。我々の命をも守りうる現代に必要な学問である。」筆者の強い信念の元書かれた本書は防災史に残る名著であろう。

    歴史研究は決して過去のものではない。現代の目から過去を見つめることにより、未来に活かしていく学問。そんな筆者の考えが本書から伝わってくる作品。

    地震や火山活動には周期が...続きを読む