【感想・ネタバレ】無私の日本人のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2024年01月24日

貧しくとも、人のために何かができる。
貧しくとも、幸せに生きることができる。

日本人のもつ美徳を、教えていただいた。

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Posted by ブクログ 2023年01月23日

涙流さずして読めないような三話でしたが改めて…「この国は豊かになった」のだと思いました。貧しさや悲劇の傍らにある心ある人の心に触れ、心温まる思い出した。何故そこまで他人の為に…自らを犠牲にしてまで…主に忠誠を(この本ではありませんが)誓うことができる? 本作歴史小説ですが、説明がとても丁寧で読みやす...続きを読むく、かつての日本人の心に触れられた気がします。感動です。

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Posted by ブクログ 2022年09月10日

磯田さんの別著作を先に読み、「殿、利息でござる!」を見たあとで本書を読みました。穀田屋十三郎の話は映画の復習の感がありましたが、中根東里、大田垣蓮月の話は、私にとって初めての内容であり、とても心打たれました。藤原正彦の解説に私も同意です。良書です。

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Posted by ブクログ 2021年02月13日

これは「ボン書店の幻」に匹敵する名著だと思う。

真の才能に恵まれた人間だからこそ、このような清貧の極限のような思想に至れるのだろうか。

資本主義の限界が見えてきた今こそ読むべき本かもしれない。

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Posted by ブクログ 2021年02月09日

無私の日本人として、穀田屋十三郎、中根桃李、大田垣蓮月の三人が紹介されている。

前書の「武士の家計簿」が歴史として面白く、一個人の成功譚だったのに対して、本書は、現代・未来への問題提起がある。

現代は競争経済で、経済成長しているのに、昔ほど皆の生活は良くなっておらず(生きるには十分ですが)、数%...続きを読むの高所得者に資産が集まっている。そしてお金持ちさえも、お金だけでは、満たされない何かにぶつかっている。日本もGDPが他国に追い抜かれそう。そういった状況に対する日本人が幸せに生きるヒントがあるように思った。

サピエンス全史にもある、人間が想像して作り出したやっかいなもの、神、国、貨幣は、無いと困るけど、争いごとのタネになる。

無私の日本人の3人は、これに囚われず、大きな視点で人生を歩み、葛藤し、そして喜びを得ている。

①穀田屋十三郎
仙台藩からの重い負担(伝馬役)に苦しむ宿場を、私財を投げ打って助ける。

重い負担は、戦国時代から平安の世になって、余っている武士を食わすために、ひとつの仕事を二重三重、更には細かすぎる分業にする仕組みが、逆に平安の世をねじ曲げて、お百姓を苦しめている。

では、どう宿場を救うかだが、もうひとり重要人物として、菅原屋という人が登場する。この人物は、知恵ものとして、皆から一目置かれている。菅原屋は、金利を取られる方から、取る方への転換を提案する。お殿様にお金を貸して、利子を取って、永続的に宿場を潤そうという、お百姓から投資家への発想の転換。

衝撃的!

何を解決すべきかの課題の設定が、素晴らしい。
お百姓でも、学が備わっている。

そして幾多の苦難の末、村民9人で1000両、今にして、1億3000万円を用意する。お百姓って、サラリーマンより金持ってない?と動揺する。

ただ、これだけだと話がドライすぎて、お上の気持ちを揺さぶることが出来ず、ろくに検討もされず、却下される。(お上の足元を見るとは如何なる所存か!)

しかし、却下されても諦めない。

江戸時代は、家意識、家の存続、子々孫々の繁栄こそ最高の価値、先祖を尊ぶ意識が強く、物語の端々にそういった文化が見られる。

この意識に、浅野屋甚平が先祖代々、十三郎と同じ思想で、コツコツと先代から人知れず、お金を蓄え、家全体で慎ましい暮らしを、自らに課して生活しているということが判明する。(この浅野屋と十三郎の関係性が泣けるが、それは本書をお読み下さい)

この先祖代々、そして子々孫々までの繁栄、そして個人への見返りを求めないストーリーが合わさり、とうとうお上の心を動かし、宿場を救う。

穀田屋十三郎、菅原屋、浅野屋甚平は、宿場を救っただけでない。自分達が救ったことは、秘密にし、そして集まりでも下座に座ることを、決める。子孫にも同じことを引き継いでいく。要するに、名誉さえ手放してしまう。

無私の日本人、すごい。

②中根桃李
儒者。詩文の天才。

荻生徂徠に弟子入りし、中国語を操り、師に認められ、名声を得る。しかし、文名が上がるにつれ、彼の心は何故か虚しく落ちていく。

その彼を救ったのが、「孟子」の浩然の気。
物事にとらわれない、おおらかな心持ち。

そして一時の徂徠の虚名に頼り、文明をあげようとした自分を恥じて、作りためられた名文をすべて燃やしてしまう。

その後も幾多の書物をカラクリ人形のごとく読み続けるも、せっかく得た学問では、禄をもらうわけにはいかないと、ろくに士官もしない。

しかし、自分の使命は、人々に説き、自ら行うこととして、「天地万物一体の理」を説く。

天地万物は一物、我でないものはない。
自分にこだわらない。
自分を無にすれば、みんな同じ。

人を育て、戦いをやめる、乱暴しない、いじめをしない、これはちっとも他人事ではなく、自分の病を治しているようなもの。

学問は道に近づくためのもので、四書五経は案内書。ほんとうの価値はその外にあると説く。

この時代の誰もが疑わない真実(四書五行)をひっくり返して、更に広い視点で世界を捉えている。

③大田垣蓮月
尼僧、歌人、陶芸家。

美しさ、強さ、好奇心から幾多の才能を輝かすが、家族とは辛い別れを繰り返し、尼になるが、美しさゆえに苦しむ。(中盤まで結構長く、ツライ気持ちになる)

しかし、苦しみの果てに、自他平等の修業に辿り着く。心に自分と他人の差別をなくする修業。そして、物にこだわらない。

そして、その悟りを得てから、蓮と和歌の陶器を手ぐすねで作りだす。

のちの文人画家の富岡鉄斎との出会い。
そして少年時代の彼との会話、注ぐ愛情には、心揺さぶられる。

自分に必要なものを、必要な分だけ、時代の大きなうねりにも動じず、徹底して自他平等を貫く。

ただ、辞世の歌で「願わくは のちの蓮の花の上に 曇らぬ月をみるよしもがな」と書き残されている。
清らかな生をまっとうしたように見えても、来世は曇らぬ心の月をもちたいと願っていた。

ずっと心の内では、己と戦っていたということ。
もう言葉にならない。


余談ですが、筆者の磯田さんは、古文書ハンターと呼ばれ、小さい頃に古文書に引き込まれ、学校の勉強をほったらかして、古文書を読む為の勉強に邁進される。歴史のことを本当に楽しそうに興奮気味に話されると、こちらまで引き込まれる。とても魅力的な人です。

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Posted by ブクログ 2019年07月23日

あっぱれな人がたくさん登場します。慈愛に満ちているのか、それともただの怖いもの知らずかは定かではありますが、大変素晴らしい人々です。映画館には思わず何度も足を運びました。本が苦手な方はぜひそちらからでも観賞していただければと思います。

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Posted by ブクログ 2019年03月06日

話はもちろんとても感動でき、公のためにこれほど尽くせる人が昔の日本にいたことをとても誇らしく思えた。
また、江戸時代の価値観(磯田さんは先祖、子孫を最も尊ぶ一種の宗教と呼んだ)も知ることができ勉強になった。

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Posted by ブクログ 2018年12月31日

穀田屋十三郎、中根東里、太田垣蓮月。
タイトルどおり「私」を捨てて民のために事を成した人たちの物語。
すごかった。ただただスゴカッタ。
なれないけど、少しでもこうありたい。
ありがとう。

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Posted by ブクログ 2018年08月31日

実写映画化したタイトルは「殿、利息でござる!」って
なんてひどいタイトルだと思っていた…
小説のタイトルそのまま使えばいいのに。なんでかね
キャッチーだったとでも思ったのかね。
まぁいいけど。
映画見たけど。
映画面白かったけど。
私は小説のほうがやっぱりいいなーと思ってしまった
宮城県黒川郡大和町...続きを読む吉岡であった実話で
著者は涙涙で古文書を読んだそうだ。
こんな風に本や映画で取り上げられなかったら
地元の人しか知らなかったんではないかと思ってしまう
著者の磯田道史氏に、良く描いた!でかした!!!と言いたい。
本は読んだ後スッキリするし
映画は観た後スッキリする。

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Posted by ブクログ 2018年05月03日

邦画の原作として、主人公1人の人生譚を期待して読み始めました。ひとつつまづいた点は、歴史物に読み慣れておらず漢字は難しく感じました。しかし、大志を胸に仲間を作り駆け上がる桃太郎っぽい興奮で、分量はちょうど、半分くらいでしたが一気に読み切りました。評伝として注釈が丁寧なので、理解しやすいです。めでたし...続きを読むとなることが分かっていましたが、苦難に直面する場面ではぐっと胸が苦しくなりました。日本人として、多大な勇気が貰えます。作家の人間愛や知識が伝わる書きっぷりで、胸に深く熱く、奇跡と希望の伝説が刻まれます。残り2人の人生の物語も楽しみです。

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Posted by ブクログ 2018年02月21日

純粋に感動する。特に第1章。無私。凄すぎる。こんな日本人がいることを知ってほしい。そして誇りに思います。※映画版は、CMみるかぎり、コメディタッチになっていると思われる。ノンフィクションとして読むなら文庫が良いかと思います。

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Posted by ブクログ 2024年03月10日

自分の利益のためではなく、純粋に人のために人生を生きた江戸時代の三人のお話。

伝わった古文書や資料を探し紐解き、こうして伝えてくださる磯田さんに感謝。
おかげで三人の立派な生き方を知ることができました。

穀田屋十三朗さんのご子孫は今でも「先祖が偉いことをしたなどというてはならぬと言われてきた」と...続きを読むおっしゃり、その心を受け継いでおられ、そのことにもとても心打たれます。
宮城県の吉岡宿に行ってみたい。

日本の歴史の中にはこうした無私の日本人がきっとたくさんいて、今の日本が作られているのだろうな。
そしてきっと今もいる立派な無私の日本人たちが次の日本を作っていくことでしょう。

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Posted by ブクログ 2022年09月01日

穀田屋十三郎、中根東里、大田垣連月
実在した3人を古文書からわかる事実をもとにストーリー仕立てにして読ませる評伝。

欲を持たず他人のために生きた代表的な3人の話。

とてもじゃないけどマネできないですが、こういう素晴らしい人がいたということを語り継いでいきたいという磯田さんの想いが感じられる本でし...続きを読むた。

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Posted by ブクログ 2022年06月27日

私達はこの方たちの未来にある。私は頑張れてますか?社会も大地も変わってしまったけど磯田道史先生は古を掘り起こし人の在り方、大地の棲み方を示してくれてると思いました

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Posted by ブクログ 2021年08月22日

いい話。金ばかり追い求める今の生活が間違ってると思えてくる。あとがきまで感動する。
普通、歴史小説は後世の創作だろうとか穿った見方をどうしてもしてしまうが、磯田先生の小説の信頼感はすごい。

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Posted by ブクログ 2021年08月17日

本気で何かを成し遂げようとする強い意志、不可能と思われる事を可能に変えるための考え抜く力。

学ばせていただきました。

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Posted by ブクログ 2020年02月14日

中編「穀田屋十三郎」「中根東里」「大田垣蓮月」の3作品所収

「穀田屋十三郎」は最近、映画「殿、利息でござる!」になっている

この中編も感動したけれども、「中根東里」に強く惹かれた

中根東里
天才詩人と言われていても(当時、江戸時代は漢詩であるが)後世に名を知られず
作品がほとんど遺されてい...続きを読むず、生涯もあまりわかっていない人らしい

作者の磯田さん「じゃあ、どうやって調べて、書くのか?」
という疑問がわくが、文学研究者で社会経済史的な史料を読みこなす術にたけた方

『武士の家計簿 「加賀藩御算用者」の幕末維新』
と、これも映画でブレイク「武士の家計簿」の原作者でもあり

司馬遼太郎さんの史観とはまた一味違う、どちらかと言えば山本周五郎さんに近い
この3編をまとめて「無私の日本人」としているところが
性善説に富んだ史観から書いていらっしゃると思う

さて
「中根東里」という儒者の人物像
書物が好きで朝から晩まで寝食忘れて読んでいる人

貧なるが故、小坊主としてお寺に出される
そこで成長したが好奇心旺盛な彼は
漢詩を極めるため唐音(中国語)を学びたいとて京都黄檗山万福寺に行く

(余談だが、わが家はこの黄檗宗の宗派、親近感を持ったけれど)
彼は初期の目的、中国語はすぐ上達したが
禅宗とは「禅の心は行住坐臥のふるまいに宿る」で書見を禁じる場所
書物からも学びたい彼は失望し、そこも離れる

(えええっ、わたしも興を削がれた、というのはどうでもいいが)
江戸にもどって「荻生徂徠」なる博識・文章家の評判を聞く

そしてそこでもかれは失望するのだ、紆余曲折があって
書物を読みに読み
ついに道をさとるというか、今でいう哲学を知るのである

磯田さんの文章による東里の到達したことは

「みなさん、書物には読み方というものがあります。書を読む人は、読む前に、まず大どころは、どこかを考え、そこをきちんと読むことを心掛けてください。(後略)・・・みなさんは道を得るために、まっしぐらに、書物のなかの大切なところをみつけて読んでいかなくてはなりません・・・」

書物は解説を解いていくのではなくみつけるもの、言うなれば書物は読まなくてもいいくらい
「天地万物一体」がわかればいいらしい

なんか、わたしもこう書いてきてわかったようなわからないような(笑

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年09月09日

穀田屋の末裔を探す番組を見て興味を持った。現代まで「何も驕らず、高ぶらず、地道に暮らせ」を守った末裔は、本当に素晴らしいなと。
本を読んで、そのひたむきな姿に心を打たれた。映画も見てみたい。

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Posted by ブクログ 2019年03月31日

かつて実際した日本人で私利私欲を捨てて、ひたすら人のために活動した人達の物語。

3人紹介されてますが、一番有名なのは穀田屋十三郎のエピソードだと思います。

私は観てませんが「殿、利息でござる!」というタイトルで映画化されています。

予告編だとひたすらテンション高めの音楽で楽しげな雰囲気を醸し出...続きを読むしてますが、原作は悲壮感漂ってます。

仙台藩の吉岡宿はこれと言った特産もなく、米作と宿街の収益によって細々と生活していた。
時代は江戸時代。
参勤交代の莫大な費用負担によって農民の生活は苦しく、さらに夫役によって疲弊していた。
仙台藩は救済のため公的補助的なものを出したが、吉岡宿は家老に与えたれた土地のためそれも望めなかった。

このままでは孫の代には吉岡宿は滅ぶ。

穀田屋十三郎は危機感に押しつぶされそうになっていた。

その救済策が、藩にお金を貸し付けることで利子収益をもらい、村人に配布すると言うことだった。

厳格な身分制度がある江戸時代なので、殿を騙す(というか、会うこともできない)なんてことはせず、代官経由で申請する形式です。

それでも大変(武士は事なかれ主義なので)なんですが、心ある代官に恵まれ計画は進みます。

しかし、肝心な資金集めはまさに命がけ。

出資者は店の蓄えから、家財、衣類、家族まで抵当に入れて資金を集めます。
足りない資金を貸してくれる商人に交渉する際には、断られたら腹を切る覚悟で死装束まで着て臨みます。

楽しげな雰囲気を出さないと映画として成立しませんが、彼らの崇高で鬼気迫る理念と決意はぜひとも原作で味わうべきです。

眠くて感想がまとまらないです。

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Posted by ブクログ 2019年03月21日

日本人をよく知ろうシリーズ。教科書に載ったりするような人ではないけれど、地域のため、人のため、国のために尽力した3人の史実を描いたもの。伊達藩吉野宿の極貧の民を救うべく、全財産を投げ打って資金を集め、藩に貸し付け、金利を取るという前代未聞の策を実現した穀田屋十三郎。このエピソードは映画化もされている...続きを読む。史上最高の儒者、詩文家と言われた中根東里。西郷の江戸攻めの際、自重をもたらした影の張本人と言われる大田垣蓮月。なんでも金で解決しようとしたり、成長のみが成功であり幸福であるという価値観や強迫観念。このままではもう保たないというぼんやりとした懸念を持っている所に、こう行った無私、憐憫の情、献身、謙虚と行った美徳を示されると、なんだか安心する。

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Posted by ブクログ 2019年01月20日

多分、小説の範疇

映画タイトルのインパクトが大きすぎて思わず手にとったものの、積読になっておりました。
小説の文体としてはいささかひっかかるところがないわけでもないのだが、素直な筆致で読み進んでしまう。

淡々と描かれてゆく光景に、あるとき突然ぐっと胸を掴まれてしまう。喉がつまり、あふれるものを必...続きを読む死でこらえなければいけない。人々のなんの気ない行動に心揺さぶられる。

積読にしておくにはもったいない作品でした。いや、もしかして今読んだからこそ良かったのかもしれませんが。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年01月01日

こちらも映画化原作ということで、読みました。
相変わらずのミーハー。

歴史ものも久しぶりだったけれど、昔も税金ってのは苦しみの一つなんだと実感。今は使われ方にものを申せるけど、いわれるがままだったんだね。そこを知恵と「覚悟」で乗り換える彼らに心あらわれました。

自分も覚悟を持って・・・お小遣い貯...続きを読むめようかな。コンビニ買い食い減らして(笑)

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Posted by ブクログ 2017年10月23日

磯田さんの哲学ですね。司馬さんのように、どうしても伝えたい思想を乗せる。それが端的に『無私』なのでしょう。

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Posted by ブクログ 2017年08月19日

映画化というミーハーな購入動機ではあったが、良い作品と巡り合えた。「穀田屋十三郎」の舞台は、あと100年後には幕府が瓦解するという江戸中期の話。それは現代の政治不信をいかんともし難いと思う中で生きるのと同じだと思う。無私、滅私という日本人の美徳に感動できることは幸いだ。古文書を原文で読んで涙できる著...続きを読む者が羨ましい。ぜひ他の著作も読んでいきたい。

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Posted by ブクログ 2020年07月27日

吉岡宿の話は凄いの一言に尽きる。◆江戸期の庶民の無邪気さに惚れ惚れする。◆ああいう無私の日本人になりたい。◆◆中根東里の話も初めて知る。◆ ◆「壁書」◆◆一 父母をいとをしみ、兄弟にむつまじきは、身を修むる本なり。本かたければ末しげし。◆ 一 老を敬ひ、幼をいつくしみ、有?を貴び、無能をあはれむ。◆...続きを読む一 忠臣は國あることを知りて、家あることを知らず。孝子は親あることを知りて、己れあることを知らず。◆一 祖先の祭を愼み、子孫の?を忽にせず。◆一 辭はゆるくして、誠ならむことを願ひ、行は敏くして、厚からんことを

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年01月06日

江戸時代、特にその後期は、庶民の輝いた時代である。江戸期の庶民は、親切優しさと言うことでは、この地球上のあらゆる文明が経験したことがないほどの美しさを見せた
心は種である。果てしない未来を開く種である。1粒の種が全山を満開の桜の山に変えるように、心さえしっかりしていれば、驚くほどの奇跡もなし遂げられ...続きを読む
300年、党を組まぬように、しつけられてきたこの国民が、明治になって、政党政治と言うものを、うまく飲み込めなかったのは、至極、当然のことで、それは後々までこの国の政党政治をみすぼらしいものにした
金と言うものは、雪玉に似ている。一旦核になる資金ができると、雪玉が転がるように、金が金を呼び、玉は大きくなっていく
江戸時代、特にその後期は、庶民の輝いた時代である。江戸期の庶民は、親切、優しさと言う事では、この地球上のあらゆる文明が経験したことがないほどの美しさを見せた
本当に大きな人間と言うのは、世間的にえらくならずとも金を儲けずとも、ほんの少しでも良い、濁ったものを清らかな方に変える浄化の力を宿らせた人である。この国の歴史の中で、私は、そういう大きな人間を確かに目撃した。その確信を持って、私は、この本を書いた

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Posted by ブクログ 2019年07月31日

私は気に入った文章がある時はページの隅を小さく折るのだが、本作は最近の中で最も多くの端折りがあった作品である。所々で出てくる作者の歴史観に興味を引かれ、かつ日本人の本質、何より日本史を知ることの最も面白い部分を再認識させてくれた。

ただ、1つの作品としては、前半の『穀田屋〜』と後半の2作の色合いが...続きを読む大きく違いすぎるように思える。前者は映画になっただけあって、ストーリーに大きな魅力があり、その中で私欲のない日本人が描かれる。一方で、後者はある種、特異な人物の一生を淡々と描くもので、タイトルに合致しているのはこちらだが、少し退屈に感じられ、その特異性に感情が寄せきれない感じがした。

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Posted by ブクログ 2018年07月17日

持っていかれるばかりで、日々貧しくなっていく宿場町。
それをどうにかせんと、立ち上がった人達。

自分のためではなく、子供達のため
ひいてはほかの人達のため。
必死になってお金をかき集め、どうにか生活の基盤を
立て直そうとする姿がすごいです。
一体何をどうそこまで駆り立たせるものがあるのか。
そもそ...続きを読むもここまで頑張れるのか。
しかもその後、子孫がそれを利用しないように…まで
考えるのもすごいです。

そんな真実あった話が、後2話。
男性と女性、の話ですが、どこまでも澄みやかに
生きて行こうとする姿は、見習わねば、と思わせます。
とはいえ、ここまで他者を思いやり
悟って生きていくには、煩悩がありすぎます…。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年01月29日

著者は、江戸期に生きた、世にあまり知られていない穀田屋十三郎、中根東里、大田垣蓮月という3人の生き方を、あまり残されていない史料を繋ぎ再現してくれた。

動機は、日本人ならではの清い生き方を、自らの子どもや、未来の人たちに伝えたいと思ったからだそうだ。

最初の穀田屋十三郎は、映画「殿、利息でござる...続きを読む」を観たので、ここを読むのは省略してしまった。本当は、原作と映画でそれぞれ味わってみるというのがよいとも思うのですが。

余談だが、著者もこの映画に出演しているとの事だが、それをあとから知ったので全く気がつかなかった。

二つ目の中根東里については、彼の清貧な生き方よりも、その師であった荻生徂徠の悪徳ぶりのほうが印象に残った。歴史の教科書では、偉人の一人として称えられているが、本書を読むとクソ野郎としか思えない(笑)。磯田氏が教科書に書かれていない本当の歴史を追究されている意味がよくわかる。

三つめ、大田垣蓮月の生き方もまさに無私の歌人であり、陶芸家だ。晩年、陶芸を通じて富岡鉄舟を育てた。鉄舟は西郷とも関係が深い。

少なからず、その人格形成に影響を与えたことからすると、彼女は幕末の流れに影響を与えた女性であると言えると思う。

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Posted by ブクログ 2018年01月02日

不勉強な為、知らない言葉や表現が多く、細かい描写やその時代を把握することができないこともあった。
勿体ない。
読後の感想だが、これは歴史書であるのだろう。3人の生き方に感じるものがある人もいれば、時代に興味を持つ人もいるだろうな、と。
私は日本人ってなんだろう、と、思った。日本に生きているけど日本の...続きを読むことは知らないって、有名な歌のようだけども、自分の子どもに伝えられるものはないな。
最近は日本はすごいってバラエティは多くて好きじゃないが、日本は好きだ。日本人の自分が子どもや孫に残したいものは、日本人らしさかもしれないと考えている。

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