磯田道史のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ豊臣兄弟本、出自について弥右衛門と竹阿弥は同一人物説に傾いていたのですが、磯田先生の太閤素性記を残した人物への話を聞くと異父兄弟に思えてくる
φ(.. )メモメモ
著者土屋知貞は家光に仕えた旗本、父親は円都(えんいち)といい失明して今川家時代の家康に近習、そして北条氏政へと近侍していた記憶力抜群の情報通、知貞の祖母は浜松時代の秀吉に会っているし養母は中村時代の秀吉を知っていた、家康に嫁いだ朝日姫(秀吉妹)もさぞや昔話に円都を付き合わせた事だろう
要検討が必要な資料(古文書)にも書かれた背景や意味をくみ取り「論文」には採用せずともその時代の空気を解説してくれる『古文書マニア』の磯田先生の逸話はおもしろい -
Posted by ブクログ
興味深く思った点を幾つか列挙。
・実録執筆者の中に“エース”(昭和史の核心を担う執筆者)を想定し、“エース”が昭和天皇の「天皇像」を明確にし、天皇に「プラスに働く材料」(p.128)がない箇所は、記述が少なくなったりするという保阪正康の指摘。
・「軍部にとって天皇とは、最高指揮官などではなく、神殿の壁のようなもの」(p.81)で、それは幕末の長州藩の藩主が“そうせい様”(報告さえすれば、「そうせい」としか言わず、自由に行動させてくれる)で、この長州藩が後の明治政府の担い手となったことで、この「神殿の壁」構造が引き継がれていったのだ、という磯田道史の指摘。
・戦中戦後を通じて、短波放送が昭和天皇にとっての重要な情報源だったという話。(p.253~)
・昭和天皇が、立憲君主である「天皇」、軍を統帥する「大元帥」のほかに、皇祖皇宗に連なる大祭司である「大天皇」という三つの顔を持っていて、開戦・終戦の時期において「天皇」と「大元帥」の間に生じる齟齬に悩む「大天皇」という図式の話(p.100)と、「国体」について軍部と意識が違っていたという話(p.231)。ページは飛んでいるがこの話は一つながりのものと思う。「大天皇」であるところに昭和天皇自身のアイデンティティを置かざるを得なかったがゆえに、終戦時の昭和天皇にとって、国体護持とは、領土や戦争責任よりも「三種の神器をいかに守るか」(p.230)にあった。 -
Posted by ブクログ
『武士の家計簿』の作者で有名な磯田氏の著作である。
日本を代表する日本史の学者でありながら、小説を書くだけあって、実に文章が面白い。
軽快なリズムと、読者を飽きさせないような歯切れの良いテンポがある。
興味深く読み進めるのだが、途中から実に良くない。
最後の第四章に至っては、確実にコロナを意識してしまったため、日本史として、あまりメインではないであろう病気に対する隔離政策が行われていたことが書かれている。
依頼されたために書かれたと思うぐらい本人の乗ってきた筆の勢いが落ちている。
一章、二章と、テンポよく読み進めていただけあって、残念な感じがあった。
タイトルにある『日本史を暴く』という割には、江戸以降の記述が多すぎた。
もっと他に、多くのことを知っておられる方であろうが、大半が江戸以降の逸話になってくるところが少し残念な部分があった。
古文書のくずし文字を「新聞を読むように すらすらと読める」ところや「京都に行って安売りの古文書を見ては宝物のように喜ぶ姿」などが、学者ならではの興奮だ、と好感が持てる。
また所々に大物が現れ、大河ドラマの監修等々、 さらりと書かれているところに。やはりこの方は、日本でも権威のある学者なのだと思わせる。
索引を作るぐらいなので、かなり気合の入った書籍のはずだろうが、家に置いておいて辞書のように使うという気持ちにはなれなかった。
どちらかといえば、随筆風の小話が散見される感じであり、 何度も繰り返し読んで、というようなものではなかった。
とりあえず、読まないよりは良い、というぐらいであった。
「日本の歴史にあまり興味のない方でも軽い感じで興味が持てるような工夫がある」といえば、そうした本であろうと思われる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「知らないという事と忘れたという事は違う。忘れるには学問をしなければならない。忘れた後に本当の学問の効果が残る」
読んだ本の内容を忘れてしまう。忘れないようにメモするが、それを見返すこともなく、また同じ本を買ってしまうことがある。
でも、それでもいいのかもしれない。
「はじめから知らないのと、知ったうえで忘れるのでは雲泥の差がある。その人に効果を発揮するのは忘れたあと。役に立つかということばかり考えるのは墜落の第一歩」
「内容を忘れるのを必要以上に心配する必要はない。いったん覚え、そして忘れたものは後になって必ずその人に効いてくる」
人生の先輩たちがそう言っているのだから。 -
Posted by ブクログ
「穀田屋十三郎」寂れる宿場町を立て直そうと村人・百姓・庄屋が立ち上がり資金を集め、金貸業を計画。貸付先は金策で難儀している藩・武士でいくつもの難儀を乗り越えていく村人の勇姿を映し出す史実の物語だ。現代風では道理にない発想から国民が固い頭の国を動かし、敷いては国に承認させ、国の仕組みを変えさせる、と言う筋書きとなる。「逆転の発想」的な嘆願書で国を納得させるのだ。国は国民から多くの税金を搾取し、政治家らが思いのある事業へ、企業への分配で税金を使う。一旦政治の腐敗、もしくは独走が起きても国民は選挙でしか合否ができない仕組みは不都合だ。政治家等の特権、不当な行動、振る舞いなどを監視しする第3者的存在、国民的組織が必須だと考える。本書にある「中根東里」博学があっても無欲な人間の人生は哀れなもの。人の欲はほどほどにあることが大切だ。「大田垣蓮月」才能ある人は何をやっても成就する、だがそれを恵まれない人に分け与える心に感動する。「素直なる心の言葉は古に、帰らん道の姿なりけり」(言葉というものはいくら言い散らしても、花を思えば、実はない。言葉というのは、人の心の声だから、思いの丈を延べるほかない。思うことを言わずにいられないと思うと、草木でさえも風に託して声を立てるのだから)
-
Posted by ブクログ
今年から始まる大河ドラマ「豊臣兄弟」に向けての関連本。
磯田先生なら間違いなし。参考文献を紹介しながら秀長に関する史実を紐解いていく。
政治や会社経営において、歴史から学べることは限りなくある。歴史を知ることに人生を捧げた磯田氏だからこそ言える言葉がある。
・日本しゃかいが高い価値を置く、丁寧さ、精巧さ、正確さも、もちろん重要なのですが、とらわれすぎると衰退の原因になります。日本で組織が古くなると形式主義・完璧主義・責任回避主義が始まります。無駄を省き、形式を捨て速度と効率を重んじたとき、日本の組織は勃興するのです。
‥豊臣兄弟はまさに速度と効率を重んじて戦略を立てた武将だった‥と。
・案外、人間は奇妙な「情」で動く側面があるのです。学校教科書の歴史は、あまりにも、そこを軽視しています。学問的とは見せかけで、その実、人間やせいじの真髄がわかる叙述にはなってないのです。
‥関ヶ原の戦いに至った時、毛利輝元も上杉景勝も西軍について家康と戦いました。家康との戦いを決断するとき、彼らの頭を無意識に動かしたのは、豊臣兄弟の懇切を極めたおもてなしだったのではないでしょうか‥
BSNHK磯田先生の「英雄たちの選択」はまさに歴史が動く時の英雄たちの心の動きを考える番組だ。 -
Posted by ブクログ
磯田道史の歴史小説集『無私の日本人』を読みました。
磯田道史の作品を読むのは初めてですね。
-----story-------------
貧しい宿場町の行く末を心底から憂う商人・穀田屋十三郎が同志と出会い、心願成就のためには自らの破産も一家離散も辞さない決意を固めた時、奇跡への道は開かれた―無名の、ふつうの江戸人に宿っていた深い哲学と、中根東里、大田垣蓮月ら三人の生きざまを通して「日本人の幸福」を発見した感動の傑作評伝。
----------------------
2012年(平成24年)に刊行された作品で、以下の3篇が収録されています。
■穀田屋十三郎
■中根東里
■大田垣蓮月
■あとがき
■解説 論理と情緒を兼ね備えた人 藤原正彦
感涙必至! 人気歴史家が描く、美しい日本人……江戸に生きた3人の清冽な日本人の人生を、人気歴史家が資料をもとに緻密に描きあげた感涙必至の物語、、、
真に偉い人物がここに! 貧しい宿場町の行く末を心底から憂う商人・穀田屋十三郎が同志と出会い、心願成就のためには自らの破産も一家離散も辞さない決意を固めた時、奇跡への道は開かれた―無名の、ふつうの江戸人に宿っていた深い哲学と、中根東里、大田垣蓮月ら三人の生きざまを通して「日本人の幸福」を発見した感動の傑作評伝。
歴史学者・磯田道史が古文書を丹念に読み解き、江戸期に「無私」の精神で生きた3人の人物を描いた作品集……庶民、知識人、女性という、それぞれの立場で「自分より他者を優先する」生き方を選んだ人々の姿が浮かび上がっていましたね、、、
『穀田屋十三郎』は『殿、利息でござる!』というタイトルで映画化されているようですね。
3人のそれぞれの生き方に感銘を受けましたが、やはり印象的だったのは『穀田屋十三郎』、、、
伊達藩の財政難と宿場町・吉岡宿の疲弊を救うため、十三郎ら町人が「藩に金を貸し、その利息を町民に分配する」という前代未聞の奇策を実行……破産覚悟で資金を集める姿は、共同体のために私財を投げ打つ「無私」の精神を体現しており感動的だったし、現代における地域再生や公共性のあり方を考える上で示唆に富んだ内容だと思いますね。
財布を落としても戻ってくる……という日本の社会の基盤は、こうした「無私」の精神が根底にあるんだろうな と感じました、、、
また、親切ややさしさ、対面、身分相応、公共心、家意識、家格、廉恥……等々、当時の価値観について、詳しく触れられていたことも印象的でした。
これらの価値観が、現代社会を形成するうえでの根本になっていたんでしょうね……これからも残していきたい価値観や考え方、美徳について考えさせられた一冊でした。 -
Posted by ブクログ
坂本龍馬は幕末に活躍した志士の代表格であり、薩長同盟を実現して船中八策や大政奉還の原案を出した人というイメージがある。果たして、現代に流布されている坂本龍馬の功績はどこまでが本当で、どこまでが司馬遼太郎などのフィクションによって作られたものなのだろうか。そして、誰がなぜ龍馬を暗殺したのか。
気鋭の歴史学者によって、龍馬の手紙など実存する資料を丹念に調査した結果、シンプルな龍馬像が浮かび上がってくる。そもそも、龍馬は姉などに宛てた手紙が数多く残っている。筆まめかつ、自身の考えや恋愛までも開けっ広げに書いている。だからこそ後世の人々は龍馬を扱いやすいし、様々な創作が生まれる余地がある。
一方で龍馬の功績については慎重な評価が必要である。薩長同盟や大政奉還のような出来事については、歴史の流れとして不可避の状況になっておりそこに龍馬の働きが活きたとは考えづらい。しかし実質的に日本初の海軍であった海援隊の設立については、むしろもっと評価されても良い。
誰が龍馬を殺したのか。新選組や京都見廻組といった幕府側の暗殺なのか、それとも薩摩藩説や土佐藩説など味方に殺されたのか。これらについてもむしろ龍馬は殺されやすい宿場に逗留し、目立ちやすい行動を数多くしていた部分に原因があるとも考えられる。
龍馬が現代に生きていたら、恐らくはTwitterなどのソーシャルメディアをまめに更新し、自身がどこにいて何をしているのかを事細かにアピールするような自己顕示欲とオープンさを発揮したことだろう。それが周囲との軋轢や争いごとを生み時には炎上といった事態も辞さないベンチャー社長といった感じではないか。 -
Posted by ブクログ
戦国時代の三英傑の1人、徳川家康。彼の功績を弱者という立場から解説していく新書。著者の磯田さんは歴史研究の中でも分かりやすく解説してくれるので読みやすかった。実際に家康は家柄が良くとも幼い頃から人質として今川家に仕えていたためいつ殺されるか分からない状況でもあったため弱者といえるだろう。その後も家柄を守るため強者の信長や信玄、秀吉たちと上手く立ち回り最終的に天下をとる。これを読むと家康はバランスがよく強弱の使い分けが上手かったように思う。また家臣との関係性をこれも上手く使いこなしていたように思う。興味深かったのは酒井忠次をナンバー2とする書き方。実際に有能な武将であっただろうがあまり細かい書き方をされないタイプの武将だったため面白かった。
-
Posted by ブクログ
youtubeで紹介されていたので読んでみました。
日本史の小ネタをかなり詳細に紹介されている本です。
家康、信長、光秀、坂本龍馬や歴代天皇陛下など、有名人の話も出てきますが、日記などから著者が発掘した、昔の時代を生きたなんでもない庶民の「生の姿」が見えてくるのも面白い。
ちょんまげのやめ方や江戸時代の感染隔離の話、果ては女遊び事情まで。
著者の方は歴史オタクの古文書マニアで忍者マニア。
文章からそれらに対する情熱が伝わってきます。
公的な文化財ではないけれど歴史的な価値のある建物が消されようとしており一念発起、偉い人に連絡をとってそれを阻止したという話、正に日本人の鑑じゃないですか?
観光客のためにホテルを建設しまくった挙句、歴史的名所が減っていくという本末転倒に警鐘を鳴らされていますが、私も本当にその通りだと思います。