【感想・ネタバレ】素顔の西郷隆盛(新潮新書)のレビュー

あらすじ

今から百五十年前、この国のかたちを一変させた西郷隆盛とは、いったい何者か。薩摩での生い立ちから、悩み多き青春と心中未遂、流謫の南島から幕末の渦中へと舞い戻り、策謀と戦闘の果てに倒幕を成し遂げ、ついには賊軍として西南戦争で自決するまで――後代の神格化と英雄視を離れて、「大西郷」の意外な素顔を活写、その人間像と維新史を浮き彫りにする。

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Posted by ブクログ

この本を読んで、西郷隆盛の姿をより深く知ることができました。
本の帯にあるように、彼が「愛すべき異端児」でありながら、新しい日本国家を作るために徹底した破壊を断行したことから、畏敬の念と感謝の情を抱かざるを得ません。
西郷隆盛は強烈な個性をもった男であり、「傷がある金の玉」というような存在であったと聞いて納得できました。
彼は少年時代から「ややこしい奴」であり、「面倒くさい男」、本人が述べている「始末に困る人」ではあったとのことです。
しかしながら、「観念を現実に具体的に変換する能力」や「人間平等の原理」を持ち、大久保のように「規格内の人材リーダ」ではなく、「規格外の人物リーダ」として活躍していきました。
国内で内戦するのではなく、国防に重点を置き、近隣諸国とは親善外交を促進する方針を固めていった、ということもわかりました。
私は西郷隆盛の情緒的には、空間的に離れたところへ行くと、その誰かと同じ気持ちになる性質を持っている「餅のような男」や金銭感覚としての「子孫のために美田を残さない」といった人生観に引き付けられました。
こういうことで、「完全無欠の銀玊」よりも、「傷あり金の玉」だからこそ、現在でも日本国民や鹿児島県民に親しみを持って慕われている存在だと再認識しました。
本書をベースに、周辺の人物や時代背景、近代日本史について、さらなる興味が湧いてきました。
以上

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2023年02月22日

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再読したいと思わせてた本。
磯田さんの本は好きだが中でも好きな本の一つ。
学生時代に読みたかったな〜と思った

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2022年11月19日

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ネタバレ

勉強熱心な長州藩では、とかく抽象的な議論がまかり通るため、しまいには成否に関係なく討ち死にしても良いと言う話になりがちでした
斉彬の考え方は、大雑把に言えば、アジアは西洋から辱めを受けてはならない、日本は一つとなって西洋列強に立ち向かわなければならない、と言うものでした
西郷はせっかちな人に多い、味の濃い、塩辛いものが好きでした
西郷の目的は、最初から朝鮮を攻めとろうと言うのではなく、朝鮮も共に近代化しよう言うことにあったと思います
古文書を読むとき、どういう目的でその資料が作られたか、きちんと見る必要があります
要するに、結局は人であり、人間が世の中を動かしている。制度や法律の類ではなく、人間が物事を動かしていることに核がある

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2019年06月11日

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今や司馬遼太郎の後継者として引っ張りだこの著者であるが、本作も実に西郷を調べ尽くしている。西郷の周りでは多くの人間が死んでいくというのは言い得て妙である。司馬遼太郎の「翔ぶが如く」でも地元では西郷はあまりよく思われていないと書かれていたと思う、多分西郷は時代の破壊者として生まれてきたのであろう。ところで本作はひとつの論文としては面白いのだけれど、これを「翔ぶが如く」や「花神」のような歴史小説とするにはもっと筆力が入りそうだが、最近の史実を無視したトンデモ歴史小説を書くぐらいならやめたほうがよさそうに思う。

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2019年04月09日

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磯田氏のこの本と司馬遼太郎氏の翔ぶが如く読んだ。もちろん磯田氏は古文書から日本歴史家として歴史を忠実にかかれている。それに対し司馬氏はあくまでも小説家であるため、史実は忠実に再現され、それに創作部分をくわえられている。両書に描かれている共通部分が史実として私は捉えている。
この歳になって、古文書から読み通すのは極めて困難なため、複数の本を読んで自分なりの西郷隆盛像を作り上げることしかできません。ただし、真実と創作の部分の見極めが出来ないといけませんがね。
そのためにも、歴史家の磯田氏のこのような本が大変貴重です。

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2018年07月09日

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磯田氏の人気の秘密は、埋もれていた古文書を掘り出し、拾い集めて、ミクロの視点で歴史を解釈して見せることにあるでしょう。
西郷隆盛という人間は体格も、人物スケールも大きい。
いわばマクロの代表のような人です。
それを、ミクロから解釈して見せるのですから、面白くないはずがない。
この組み合わせですから、成功が約束されたようなものです。
ミクロの視点は本を読んでもらうしかないのですが、例えば西郷の下男の証言がちょくちょく出てくる。
この下男は西南の役の相当最後の部分まで西郷に付き従っていたようですが、ハイレベルな視点とは正反対だけれど、これほど身近に仕えていた人物ですから、人物をあぶりだすには格好の視点なのです。
西郷という人間は評価が分かれると思います。
磯田氏はどちらかと言うと、あえて欠点を多く書いているので、好意的には描いていない。
しかし、彼が歴史で果たした役割の大きさには全面的に認めている。
NHKは見ていないが、あの男優で西郷の心の闇の部分を描けているのか、はなはだ疑問ではあります。

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2018年07月05日

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西郷隆盛の本はだいぶ読んだが、一生を客観的に記載されており、歴史学者ならではの評伝である。
西郷隆盛を知れば知るほど、わからなくなる。だからこそ、西郷は語り継がれていくのが理解できた。

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2023年08月06日

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質素倹約・自己犠牲をいとわない、他者を自己と同一化する優しさと、調査・分析を怠らない冷徹さを持った革命家の一生を描いたノンフィクション。

司馬遼太郎「翔ぶが如く」やNHK大河で終わっていた革命家としての西郷隆盛を深掘りしてくれた作品。

家族にとって困った長男坊という著者の指摘には苦笑いしかできないぐらいその通りだと思う。

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2020年05月21日

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西郷隆盛についてはいろいろな見方がある。この本はその理解しにくい西郷の人物像がわかりやすく書かれており読んでよかった。

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2019年05月12日

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★★★2019年5月★★★


『武士の家計簿』などの著作で知られる、磯田氏による西郷論。西郷こと吉之助少年は、周囲から「ややこしい奴」だと思われていたらしい。自らの高い志のため、妥協する事がなかったからだろうか。


君主斉彬の死、自らの入水自殺未遂、弟吉二郎の死、多くの出来事が西郷に影響を与えた。命知らずの西郷はこうして形成されてゆく。


西郷は征韓論者であったかという議論については、西郷は積極的な征韓論者ではなかったと筆者は述べる。


岩倉らが欧州視察に赴いた際の留守政府が非常に優秀だったという考えは、井沢氏の意見と一致。そもそも「留守」政府という言い方自体がおかしいという考えには僕も賛成だ。


なんだかまとまりの無い感想文になってしまった。
西郷の生涯をダイジェストでたどるには格好の一冊だと思う。

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2019年05月06日

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 西郷隆盛という人がいなかったら、今のこの国のかたちはなかったかもしれない。

 しかしそのキャラクターは子供のように自然体すぎる。人にはない大きな愛と力を持ちながら、ときには全てをほりだして逃げ、脱力し、自然へと帰っていってしまう。

 子供みたいな純真な側面がありながら、策謀をはじめるといくらでも悪辣なことを思いつく頭脳、自分が思う世の中を創ると決めたら、それに必要な作業へと変換できる天才的な革命家、人を選ぶ時の抜群の上手さ(西南戦争時の桐野、篠原らは例外?)、そして理不尽な身分制や差別に対する怒り、いずれ人は死ぬのだという諦観。

 「人間、いかに大きな仕事をしても、後を残さないことこそ大事」と言った言葉通り、写真一枚残していない。知れば知るほど謎多き人物だ。

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2019年03月23日

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ネタバレ

大河ドラマと一緒に、1年かけて少しずつ読んでみました。西郷がなぜこんなに愛されているか、とても面白く読ませてもらいました。

傷のある金の玉(西郷)と、まったく傷のない銀の玉(大久保)という表現がぴったり!
ドラマとともに楽しめました。

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2018年12月28日

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今年の大河ドラマの主人公の西郷隆盛。
そのドラマ『西郷どん』で時代考証を担当している磯田道史さんが、様々な文献から西郷隆盛の人物像を掘り下げる。

西郷は純粋すぎるからこれだと思ったらひたすらそれに向かって突き進む熱い男。 
それゆえに人を惹きつけ魅了するが、事を成す為には手段を択ばないので周りには常に死の影が。

そんな西郷の為人がどのように形成されていったのかに興味がある人におすすめ。

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2018年10月02日

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西郷隆盛について、知らなかったエピソードがいっぱい。西郷隆盛が矛盾の塊でありながらも人気が高く、大久保利通がなぜ不人気なのか、の理由の一端がわかる。

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2018年05月22日

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ネタバレ

毀誉褒貶の多い(「毀」「貶」の割合が勝ってるかな?)今年の大河ドラマ『西郷どん』。その時代考証を担当している磯田道史氏による「大西郷とは何者か?」論。
その生涯を軸とし、幕末の薩摩藩の状況、取り巻く人々、歴史の流れなど、史料を駆使してさまざまな視座から“西郷どん”の人となりを語り下ろす。

【以下、ネタバレあり】





やはり西郷さんは「純」そのものの人だったんだな。と言うのが率直な感想。ただ、「純」という言葉にもいろんな意味があるわけで、まさにつかみどころがない。文中にもあるとおり「面倒くさいヤツ」だったのだろう。
けっこう躁うつ気質だったみたいだけど、そのあたりを中野信子先生にも解き明かしてもらいたいと思う。

ところで、ドラマの時代考証では史実と脚本とのせめぎ合いがあるみたいで、時代考証担当者も妥協を強いられることが多いのだとか。(歴史が得意ではない)脚本家にまかせたツケは、当の脚本家や制作者、時代考証担当者だけではなく、視聴者含むすべての関係者にも回ってくるんだぞと戒めておきたい(何様?)。

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2018年05月21日

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私自身が今までふれたことのある西郷隆盛像とは一線を引く、聖人君子ではない描かれ方に興味を惹かれました。

緩慢な自殺としての、人生。
死の影。

偉人であることには変わりなく、影の部分にも魅力を感じることのできる姿がそこにありました。
当時の考え方についても具体的に紹介されており、背景と合わせて人物のあり方が描かれているのもいいなと思いました。

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2018年04月23日

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西郷の生涯とその時代をかなり平易に解説されている書。

西郷の思想原点の一つは、奄美大島。中世で取り残されたこの地では「ヒザ」という奴隷身分が存在した。平等思想を信望していた西郷はこれを「奴隷解放」した94

新政府軍として江戸城に入った西郷には、唯一欲しいものがあった。それは二宮尊徳の農書。これを天下に刊行したいと思っていたという168

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2023年12月24日

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幕末の志士の中でも豪傑なイメージのあった西郷隆盛だが、意外と繊細でお茶目な一面もあったのかもしれない。
しかし、力があればその力を使い、決める時は決める。幕末の戦時のリーダーとしての振る舞いは感銘を受ける。

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2022年08月19日

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今回も磯田先生の本です。大河「西郷どん」で時代考証も担当されました。

西郷については「翔ぶが如く」を読んだし、「西郷どん」も見たのですが、何か人物像がモヤモヤしてはっきりつかめません。
本書を読んでも結局、西郷には色んな側面がありモヤモヤ感はとれなかったです。

そんな中、印象に残ったのは、「瑕ある黄金の玉、瑕なき銀の玉」という言葉ですね。
これは薩摩の有名な人が残した言葉で、前者を西郷、後者を大久保で評したものです。
愛すべき欠点はあるがすごく愛される西郷と、完璧だが愛されない大久保。うまく言ったなと思いました。

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2021年06月04日

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西郷隆盛って、実はよく知らない気がしてね。幕末の英雄というと坂本龍馬がすごい有名だし、小説やドラマでなじみがある。土方歳三も新撰組で印象が強い。でも、それらにたいてい大物の脇役として出てくる西郷隆盛って、なんでそこまで有名だったのか、というとイマイチよくわからない。それほど身分は高くなかったみたいだけど、いつのまにか有名になり、実力者になり、という印象で、きっかけがわからないんだよね。島流しにもあってるし、二度も島流しになっているにも関わらず、連れ戻されている。その理由がいまいちわかんないんだよね。

そのあたり、実をいうとまだピンとこないところはある。やっぱり、いつのまにか、なんだよね。

ただ、有名になったあとの西郷像というのは、とてもよくわかった気がする。こういう人がいたんだね。闇をかかえつつ、仁というか徳というか、人格者だったのだろう。闇というのも、新しい国家をつくるため、という大義があってのこと。一貫した人物であり、強烈な個性だったのだろうな。

歴史を読む、学ぶ面白さを感じられる本だった。

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2020年05月05日

Posted by ブクログ

まずまず。
今まで知らなかった、認識と違っていた西郷隆盛を知ることが出来た。明治維新の中心人物である事は間違いない。私欲がない事が人気の理由だろう。
薩摩藩は特異な組織で、太平の江戸時代に軍事に備えていたことが幕末に生きた。

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2018年12月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今NHKで「せごどん」を放映していますが、本当の西郷吉之助とはどういう人物だったんだろうと読み始めました。
西郷さんはどうも色々な顔を持っていたようですが、人に影響されやすい側面もあったようです。影響されると一気にそっちの方向に行ってしまう。残酷でもあったし、無情でもあった。頑固でもあったようです。

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2018年07月20日

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