あらすじ
史料「土芥寇讎記」――それは、元禄時代に大名の行状を秘かに探索した報告書だったのか。名君の誉れ高い水戸の黄門様は、じつは悪所通いをしていたと記され、あの赤穂事件の浅野内匠頭は、女色に耽るひきこもりで、事件前から家を滅ぼすと予言されていた。各種の史料も併用しながら、従来の評価を一変させる大名たちの生々しすぎる姿を史学界の俊秀が活写する歴史エッセイの傑作。
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【あとがきまでが一作品】
NHKの番組「英雄たちの選択」で著者磯田さんのことを知り、話がとても面白かったので選んだ一冊。
長らく積んでいたけど(ていうか何を読むかって本当にタイミングだなぁと思って。気持ちの旬を逃すとなかなか次が来ない)、いざ読み出すと、『こんな面白い本、なんでほっぽってたかなぁ!』という思い。
戦国末期から江戸中期くらいまでに登場した大名を中心に、資料を元にその人の生き様や人となりを紐解いていくんだけれども、今の「日本らしさ」と言われるものの始まりとも思える歴史の流れにも思い及ぶ、本当に興味深い1冊だった。
しかも最初からあとがきまでを読むと、
単に史実をたどっていただけではなかった?
とびっくりさせられる場面転換になっていて、もう一度...とまた初めから頁を捲りたくなる結びになっている。
楽しい読書時間だったなぁ!
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「土芥寇讎記(どかいこうしゅうき)」という、元禄時代の大名の評価などが書かれた資料などをもとに、殿様たちの実像にせまる。とりあげられた人物は7人と少ないが、単純に資料に書かれた内容だけでなく、当時の時代背景や様々なエピソードも交えて実像を考察している。どの人物にも興味がわいた。戦国を知る世代から、戦を知らない世代へと移った時代。今と重なる部分もある。読みやすくて面白かった。
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大河ドラマ「葵、三代」を見て、秀忠の娘、珠姫が加賀の前田家に嫁ぐシーン、涙なくしては見れなかった方は多いのではなかろうか。輿入れはわずか3歳。その珠姫の行く末をこの本で知るとは思っていなかった。珠姫の夫は前田利常。前だけ3代目であり、前田利家の孫。彼がどんなかはともかく、夫婦仲は睦まじかった。2人が話をすると笑いが耐えなかったという。16歳で初産その後8人も子をなしたというと仲が良くてよかった、とほっと胸をなでおろしたくなるが、そうは問屋がおろさない。珠姫は徳川の仮想敵たる前田家に嫁いたのだから実は従者は徳川のスパイといっていい。珠姫だってそんな役割を期待されているのに敵(利常)と仲良くするものだから、なんと乳母は激しく叱責したという。乳母は一計を案じ利常を近づかせないようにしたという。悲しみくれた姫はどうやら癌になり(ここは本来孤独と関係はなかろうが)24歳の若さで逝去。悲嘆の利常、乳母を憎むこと凄まじく、蛇責めの拷問にて処刑したという。色々と悲しい側面が伺えるエピソードである。
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「土芥寇讎記(どかいこうしゅうき)」
今でいうと、スパイが書いた敵国の人物報告書?
優秀なスパイが書いたら、事実は小説より奇なりです。笑
孟子の出典に土芥寇讎とは、
「殿様が家来をゴミのように扱えば、家来は殿様を仇のようにみる」
とあるらしい。
歴史って、人に近付くほど面白さが倍増するなー。
歴史を俯瞰すればするほど、逆にもやもやで一杯。
その意味で、こういった「人を切り取る」紹介本は、ホントに大切!
著者のあとがきに、
「豊かになれば、人間というものは、歌舞音曲と恋愛と宗教にしか興味をもたなくなる。これは古今東西を通して歴史の法則であるといってよい」
とあった。
法則であるなら、その豊かな時代に生きれるのって、幸せなのかも、しれませんね。
ただし、世を動かす歴史は生まれないかもですが、心を動かす芸術は生まれそうですね。笑
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歴史家として名前は知っていたが、初めて読んだ磯田氏の本。
史実をもとに書かれた小説はいろいろあるが、この本は小説ではなく、ある一冊の書物に書かれていた、江戸時代の殿様の詳しい内情の暴露本を紹介したものである。ただ、この本が面白いのは、この本がただ現代語で紹介されているのではなく、取り上げた殿様に対する磯田氏の思い入れが相当含まれているところだ。登場する殿様のうち、知っていたのは一人だけだったが、どの人物も非常に興味深い人物に思え、さらに深く知りたくなった。
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「土芥寇讎記」(どかいこうしゅうき),こんな記録が残っているとは,そしてこのことを紹介してくださって,感謝です.こういうところから案外世間の言い伝えと違った本当の史実が現れてくるようで,馬鹿にできないというか非常に面白いです.
前田家の殿様たちはことの外詳しく書かれていて,淡々とした語り口ながら熱い思いも感じられ,とても読みやすく読み物として最高でした.
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通信簿と優しい表現にしているが、幕府隠密が調べ上げた機密文書である。徳川が支配した各地の殿様の査定書で、本書では中でも問題児を扱っているところに面白味がある。外様の雄・前田家に紙面を割いているのも良い。平和な世になるにつれ武士が官僚化されていく。稟議書に判を押すだけの管理職の悲哀……『保科正之』の文体と違って、書下し文と現代語訳を併記する著者の心遣いがありがたい。
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めちゃめちゃ面白い。
歴史が急に色彩を帯びて、目の前にあるかのように蘇る面白さがある。
磯田さんの書き方が上手いのだろうし、着目点・解釈も分かりやすく興味を持ちやすいものなのだからかな。
電子書籍でなく、印刷版を持って、人にも貸したい一冊です。
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テレビに出てたときのお話が好きだったので、磯田先生!とお呼びしたくなる。
歴史エッセイ。おもしろかった~。
ゆるっと『どうする家康』を見てたんだけど、この本を先に読んでたらもっと楽しめたかも。
このエピソードやあのエピソードって劇中にもあったのかな?って。
ぐぐったら残念ながら本多作左衛門は出てなかったよう。
こんなにキャラが強いのに…。
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元禄期に書かれた諸大名の内情を幕府の高官がまとめた書物をもとに、戦国末期から元禄期の大名の暮らしぶりやその人となりを取り上げた本です。
磯田さんの歴史愛があふれ、とても楽しいです。
生々しい生活ぶりや辛辣な人物評など本当におもしろくて、大名たちも同じ普通の人間で、生身の人間らしく生きていたのだなと身近に感じられました。
「戦国から元禄」という時代を生きた人々をみることで、「変革から安定へという時代のなかに生きた日本人の姿がそこにみえるように思える。」
「殿様の暮らしぶりをみていて思うのは、ひとつには、生活が豊かになり、ぜいたくが可能になってきた段階で、人間はどのようになってゆくのか、ということである。」
歴史は繰り返し、日本人の習性はなかなか変わらないのかな。
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自分が不勉強なのもあるが、マイナーな殿様のマイナーなネタも多いのであるが面白く読めた本。
テレビの歴史番組に出演されていることもある磯田先生の著作。
一般に向けた本であるが、学者として押さえるべきところはしっかり押さえている感じで良い文章だと感じる。
磯田先生の本を読みたい本リストに追加した。
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歴史学者磯田道史さんの歴史エッセイ。
元禄期に書かれた「土芥寇讎記 どかいこうしゅうき」という書物があり、これは幕府隠密の秘密諜報をまとめたものという説があるとのこと。これを殿様の通信簿と称して、その中から、選りすぐった7名の殿様の人事評価的な紹介をされています。そして、さすがマル秘文書で現存は、1冊のみという貴重品なのです。
この著者は、子供の頃からの歴史通(家系的にも恵まれて)で、高校生の時には、古文書を古文書として読んでらしたというので、歴史通の方にも面白く読めるエッセイかと思います。
浅野内匠頭が女色を好むとか、池田綱政は、子供が70人いたとか、そちら方面の報告は、なかなか厳しかった様ですね。池田藩の側室の様子が書かれており、側室は「長局」という部屋に住まわせていて、部屋が7つ並んでいたそうです。だから定員7名。そこを真面目に一日づつ一週間?これを読んだ時、乙一のzooだったか、7つの部屋に監禁されて順番に殺される話をすぐ思い出してしまった。
譜代大名の悲哀とか、家康のしたたかさとか、
日本史が苦手で、全く面白さを伝えられそうにないので、退散します。
著者あとがきにある、膨大な史料の中から今の日本人の世代的な変移を観察できる、という日本史を若い頃修得しとくべきですね。
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現在の官僚制度は徳川幕府で作られたんだね。 一見、大臣は強い権限を有しているようでいて、実際は規則に縛られて大きな改革は出来ず、政策の根幹は規則に精通した官僚に頼ざるを得ない。 ◯◯藩も老中や家老が政策を担い、殿様は今の大臣と同じく、藩のトップとしての地位だけ与えられ、目眩しのオモチャに溺れる道しか選択出来なかったのだろう。 何不自由のない暮らしに羨ましい一面もあるけど、殿様も辛い商売だな〜と同情したくもなる。 磯田さんのおかげで歴史が面白くなってきた。(o^^o)v
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磯田先生の本は読みやすくサクッと読める。元禄前後の幕府隠密が幕閣に報告した大名の素行調査報告書と言われる土芥冠讎記をベースに、その他の文献も含めて、大名の人格や性格に迫ろうとしている。殿様が、目の前に現れて身近に見ているように感じられて、面白い。
あとがきに書かれた離見の見、大事な事だ。昔生きた人たちを感じて、己の生活や考えを振り返るそんな時を持とうと思う。
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人の世はいつの時代でも理不尽なことが多く
その中で人生を生きぬくしたたかさは変わりません
戦のない平和な江戸時代なのに
武士の日常は食うか食われるか
便利で平和な現代は
便利さに縛られ平和と信じることを強制されています
遠い時代の人びとなのに
己と重ね合わせて興味深く読みました
Posted by ブクログ
戦国時代から江戸時代にかけての大名たち、殿様と呼ばれる人たちの逸話を紹介する本。小説家ではなくて歴史学者が書いた、一次資料を解説した本であり、物語ではない。しかし読みにくい退屈な本かと思いきや、下手な歴史小説よりはずっとおもしろい。一次資料を読むというのはこんなに面白いことなのかと思わされるが、それはこの著者が単に資料の文字面をなぞるだけでなく、そこに登場する歴史上の人物の人となりを読み取ろうとするからなのだろう。
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はじめに
徳川光圀――ひそかに悪所に通い、酒宴遊興甚だし
浅野内匠頭と大石内蔵助――長矩、女色を好むこと切なり
池田綱政――曹源公の子、七十人おわせし
前田利家――信長、利家をお犬と申候
前田利常 其之壱――家康曰く、其方、何としても殺さん
前田利常 其之弐――百万石に毒を飼うべきや
前田利常 其之参――小便こらえ難く候
内藤家長――猛火のうちに飛入りて焚死す
本多作左衛門――作左衛門砕き候と申されよ
あとがき
文庫版あとがき
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史料「土芥寇讎記」とは元禄期に書かれた書物であるが、これは書物というよりも幕府隠密の「秘密諜報」であり、いまの表現で言えば作者の磯田先生の「殿様の通信簿」なのである。
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『武士の家計簿』の作者で歴史家の磯田道史さんは、様々な古文書をひもとき昔の人たちの生活をわかりやすく解説してくれる方です。本書『殿様の通信簿』は、元禄時代に編纂された書物をもとに、大名たちの知られざる素顔に迫るという趣向。
冒頭、黄門様で有名な水戸光圀の悪所通いが紹介されます。大日本史の編纂など堅苦しいイメージの光圀が悪所通いとは!と驚くのですが、光圀の名誉のため、政治はおろそかにしなかったことも併せて示されています。磯田さんの見立ては、昔の大名は行動が制約され、唯一、人と自由に会えたのが当時のサロンだった遊郭で、そこへの出入りがほうぼう出歩くという評判となり、後年の黄門伝説につながったというもの。なるほど。
また、赤穂浪士で有名な浅野内匠頭。色白で線の細い青年大名というイメージを持っていましたが、実際には女色に耽ること甚だしく全く政務を顧みない問題人物だったそう。浅野家は内匠頭の代でつぶれるとまで酷評されていたというから驚きです。やはり事件が起こるにはそれだけの前提条件があったんだなと、妙に納得しました。
磯田さんの筆は、加賀前田家の項に至ってますます冴えわたります。
前田家はもともと織田家臣団から起り、初代の利家が秀吉の盟友として天下道を伴走したことから、大名間で重きをなした家。利家もつねづね「家康が豊臣家を攻めるようなことがあったら前田は断固として戦う」と広言し、その行動律は二代目の利長にも受け継がれていた由。関ケ原合戦後、天下を握った家康が最も気にしたのは天下第二の勢力を誇る前田家の動向で、前田を味方につけるため、利長の養子(利家の庶子)利常を秀忠の娘婿に取り込みます。家康の豊臣攻めが迫るなか、利家の遺訓と家の存続という両立しえない課題に直面した利長がとった手段とは…
このあたり、司馬遼太郎さんの見立てとは違った歴史の一側面を教えてもらえます。
平和な現代から戦国時代をみれば、信長や秀吉、謙信ら英雄が闊歩するロマンあふれる時代に映りますが、実際には大名それぞれが必死で生き残りに知恵をしぼり、政略を巡らせるすさまじい時代だったことがわかります。掛け値なしに面白い。
2011年の東日本大震災以降、震災関連の文書の発掘にも力を入れられて、この国と災害の関わりについて貴重な知恵を伝えてくれます。今後もどんな古文書を発掘され、新しい知見を私たちに示してくれるのか、楽しみです。
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大名の行状を隠密が調べたという文書「土芥寇讎記」の
記述を中心に、幾人かの殿様の真実に迫る。
徳川光圀の悪所通いとは?
浅野内匠頭と浅野家の情勢、池田光政と子の綱政の確執。
前田家三代の苦悩、内藤家長の忠義、本多作左衛門と家康。
戦国時代から江戸時代への変化が大名家にもたらすもの・・・
池田家と前田家のその変化の中でのジレンマ・・・殿様、大変だなぁ。
殿様ではないけれど、内藤家長と本多佐左衛門の生き様は、
大いに興味をそそられました。
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元禄時代に大名の行状を秘かに幕府隠密が探索した報告書「土芥寇讎記」から史実が見える?!徳川光圀、浅野長矩、池田綱政、前田利常、内藤家長、本多作左衛門などの事実だと思われる逸話が楽しい。夜毎に悪所に通い、酒宴遊興甚だしという光圀だが、事実は?刃傷事件を招いた浅野長矩は「矩」を越えてしまい歴史に名を残してしまった人、更にこの報告では色に溺れていたバカ殿を放置していた内蔵助は稀代の悪臣として非難されている!一方、遊び人でバカ殿と言われたという岡山藩・池田綱政の書からは知性が垣間見えてくる!、前田家3代の利常と彼を養子にした2代の兄・利長の悩み。家康の遺言で「お前を殺そうと思ってきた」とまで言われた利常。そして徳川何するものぞという姿勢の3代の豪快さ、蛇攻めの残忍さが印象的。バカ殿を演じるために鼻毛を伸ばしていたのは実は、馬鹿将軍に会いに行くのに、わざわざ鼻毛などぬけるか!との本心だったとのこと。内藤家の初代家長の光成軍の犠牲になった豪快な姿と、損な役回りになった延岡という領地。作左の忠義ぶりは、衆目の見守る前で、家康に「わしの間違いに気づいてくれたこと、かたじけなく思う」と、詫びさせた場面が感動的!
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元禄時代に大名の行状を隠密が調べた報告書「土芥寇讎記」や、歴史資料から殿さまの生活を紐解く本。
戦国時代から太平の世の中にかけて、3代4代続くうちに、殿様や藩がどう変わっていったか、とても興味深く読んだ。
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著者いわく「江戸の平和が250年以上続いたのは加賀藩前田家が謀叛を起こさなかったから」という、江戸時代のナンバー2加賀藩。前田利家のイメージがあったけど、三代利常という名君がいたことは初めて知った。徳川幕府にいわせれば「従順ならざる最後の殿様」といったところか。
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歴史書から殿様達の生き方、性格などが浮かび上がってくるのが非常に面白い。昔の話ではなく日本人としての生き方や生活が現代に共通する部分も多く感慨深い。
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本多作左衛門、「一筆啓上、火の用心、お仙泣かすな、馬肥やせ」(原文?「一筆申す、火の用心、おせん痩さすな、馬肥やせ、かしく」の作者である豪胆で一途な男が、家康に対し、「釜で煎殺すような罪人ができるようでは天下国家を治ることは成り申さず」として諌めた話が印象に残る。