堺屋太一のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ良かった。日本史や日本軍を例にして、組織の衰退について、詳細に分析している本。
どの組織も成熟してくると、人事圧力シンドロームに陥り、それが衰退の要因になるといったことが印象深い。この事象は、組織の安定欲求と個人の成長欲求の軋轢によるもの。
例えば、ベンチャー企業が規模を拡大して大企業になる際に起こる。創業時からの成長意欲の高い社員や成長を期待して入社する社員は、更なる成長を求めるものの、会社側は仕組みや制度づくりで安定させたり、新たな市場を開拓する必要がある。組織内の成長欲求の圧力に屈して、拡大しようとした結果、失敗してしまう。
これを本書では、豊臣秀吉を例にして説明してい -
Posted by ブクログ
本書の目的は、2つ
①現在の組織の現状を点検して正確に観察認識し、その改革改善と新しい創造に役立つような発想と手法を提供すること
②この国に組織論または、組織の体系を広めること
です。
単行本で一度読んだのですが、ちょっとニュアンスが変わった感じがします。
気になることは以下です。
■日本史上劇的な組織の事例が3つ
①豊臣家 史上まれにみる急成長した組織
組織の規模の拡大にしたがって、管理の方法がかわる
1)中小企業 船乗りの人数 200人ぐらいまで いわゆる全員顔のみえる組織
2)中堅企業 管理監督のための組織を入れる 1000人くらいまで
3)大企業 管理監督機構自体を管理 -
Posted by ブクログ
豊臣秀吉の実弟にして補佐役を務めた豊臣秀長の人生を描いた歴史小説。とても面白かった。小説の書き手としての素晴らしさもさることながら、著者の歴史に対する丁寧な理解と豊臣秀長への愛着が伝わる的確な思考に触れ、「この人は日本史、豊臣秀長が本当に大好きなんだな」と思い、好印象を覚えた。
そして、豊臣秀長。数ある文献の中でも、その名が記されているものは少ないそう。それでも、その貴重な記載から浮かび上がる補佐役としての優秀さ、兄を支える影の存在に徹底し、面倒で厄介な仕事を粛々とこなす肝と力量。輝かしい実績を持つ人の裏には、いつもこういった人がいるんだろうなと、妙に納得してしまった。
好きな戦国武将(? -
Posted by ブクログ
従来からの著者堺屋太一氏の基本スタンスは「脱東京」
東京は国の資金投入の特権階級 この東京を活用することで全国の地方活性化が実現
今は、その熱狂すらがない
高い価値のある東京を始め、各地を時価評価の上、道州制に国債負担とセットで譲渡
国鉄の分割民営化と同じやり方による、国家財政の再建、これしかない!
2020年のオリンピック後
「偉大なる凡庸」(ハンナ・アーレント)(82)
優秀なキャリア官僚は、善良・勤勉・調査能力と記憶力に長けている
それぞれの省に忠実 2年ごとに異動
考える間も変える期間も無しに前例踏襲
問題を小さくして小手先の対症療法、抜本策の先送り
みなその場凌ぎ、本質論を避 -
Posted by ブクログ
海賊とよばれた男をきっかけに、映画から本へ、そして主人公だった出光さんの本を何冊か読み、石油産業のリスクに興味を持ってたどりついた1冊。もしこの国でいきなり石油供給がとだえたら、どんな混乱が起こるかを物語形式で描かれていてすごくわかりやすく危機的状況を想像でき、だからこその今受けている恩恵も感じることができた1冊でした。時代は変わっているのでそのまま適用はできないだろうけど、起こりうる事態はあまり変わらないのかもしれない。なんにせよ、他の人に、他の地域に、他の国に依存しているものが断たれると自分の生活もいきなり苦境に陥る可能性は常にあるよな、と再確認させられた一冊でした。
-
Posted by ブクログ
内容紹介
「よいことも悪いことも大阪からはじまる」といわれる。長引く経済の低迷、莫大な負債など、大阪を取り巻く情勢はまさに日本の縮図だ。そんな大阪が変われば、日本全体が変わる! いままでの改革はなぜ全て失敗してきたのか? どうして「大阪都」でなければならないのか。いま何をすべきか。橋下徹が掲げる「大阪都構想」は、大阪、そして日本革命の切り札となるか──その全貌を橋下徹と堺屋太一が論じ尽くし、衰退から成長への具体的な「オンリープラン」を提案する。
内容(「BOOK」データベースより)
「よいことも悪いことも大阪からはじまる」といわれる。経済の低迷、莫大な負債など大阪を取り巻く情勢は日 -
Posted by ブクログ
ネタバレ名著。歴史的史実なども参照しながら、組織について深く考察し、まとめた本。バイブルとして手元に置きたいと思った。情報としては古い部分ももちろんあるが、時を経ても繰り返される組織の本質的な内容を考察されている。
<メモ>
・豊臣家の盛衰。徳川家の盛衰を成長戦略、人事組織という切り口からわかりやすく分析をされているところは素晴らしい。
・全体の手段が部分の目的となるということ。
・組織の規模が拡大する質的な転換が発生する。数十人から二百人までは顔も気心もわかる中小企業の組織。これをこえると一人の長では目が届かなくなり、管理監督のための組織が必要になる。中小企業から中堅企業に組織の質も飛躍する。管理