堺屋太一のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ紙の本で読んだものを、アンリミテッドにて再読。かつては星五つだったが、再読では下記の理由で星三つにした。面白くはあった。
初読の時は豊臣秀吉の弟、秀長について知らなかったので、本書の記述はすべて知的興奮を起こさせるような内容だった。上下2巻が短く感じられたほど。
再読では小説というより説明文が長いので、新書の歴史解説を読んでいるようで長く感じた。新書版の本のところどころに台詞がある、といった感じ。ドラマで言えばやたらとナレーションが入る感じ。
堺屋氏の小説はほかに読んだ覚えがないので、他の小説については不明。然し小説を楽しむ感じではなかった。
面白かったが小説を読みたかったので星三つとした。
ハイライトは小説としては多い。
下記にハイライトした個所をコピペ:
16
ピンク色のハイライト | 位置: 24
もし、「この人」の事績を歴史の表面からわざと隠した者があるとすれば、「この人」自身だろ
メモ以下の記述は慧眼といえる。コピペ:もし、「この人」の事績を歴史の表面からわざと隠した者があるとすれば、「この人」自身だろう。
ピンク色のハイライト | 位置: 35
「この人」が生きた時代、戦闘騒乱が絶えなかった十六世紀後半の日本には、英雄人傑が輩出し、それぞれに一家を成し一国を築いた。しかし、急速な成功者の多かったこの時代でも、「この人」以上の大封を得た人物は「天下人」と呼ばれる三人── 織田信長、 豊臣秀吉、 徳川家康 ──のほかにはほとんどいない。 敢えて捜せば、中国の雄・毛利元就 が、不安定な状況ながら、かろうじてそれに 匹敵 する封領を持てたといえる程度である。つまり、「この人」は三人の「天下人」に次ぐ地位に昇ったのだ。 この一事だけでも、「この人」のなし得た成功がいかに大きかったかが分るだろ
メモこれも確かにいえる。以下コピペ:「この人」が生きた時代、戦闘騒乱が絶えなかった十六世紀後半の日本には、英雄人傑が輩出し、それぞれに一家を成し一国を築いた。しかし、急速な成功者の多かったこの時代でも、「この人」以上の大封を得た人物は「天下人」と呼ばれる三人──織田信長、豊臣秀吉、徳川家康──のほかにはほとんどいない。敢えて捜せば、中国の雄・毛利元就が、不安定な状況ながら、かろうじてそれに匹敵する封領を持てたといえる程度である。つまり、「この人」は三人の「天下人」に次ぐ地位に昇ったのだ。 この一事だけでも、「この人」のなし得た成功がいかに大きかったかが分るだろう。
ピンク色のハイライト | 位置: 81
つまり、「この人」は常に脇役として登場する。そしてそれが、「この人」の果した役割に最もふさわしい出方なのだ。そんな役回りを、今日の言葉では「補佐役」と呼ぶ。「この人」は、日本史上最も典型的な、最も有能な補佐役であった。そして、そうあること以外を望まなかった。私がこれから描こうとしている人物・豊臣秀長とはそんな生涯を送った人で
黄色のハイライト | 位置: 1,754
この当時、敵方の使者を 斬ることは滅多にない。どういうわけか、それだけはこの国の武士社会のよく守られた慣習になっている。 高 天神 城に監禁されていた徳川の臣・大河内 政局 や 伊丹 城で捕えられた黒田官兵衛など、使者に行った者が長年月獄に 繫 がれた例はあるが、斬られたことは
黄色のハイライト | 位置: 3,007
美濃を陥し、北伊勢を攻めた織田信長は、いよいよこの「天下布武」の大構想をはっきりと打ち出す。その第一は、新たな本拠とした稲葉山城を岐阜城と改名したことだ。 この名は、昔、 周 の 文王 が、 岐山 より 興って天下を収めたのに 因んだものといわれ、信長の天下征服の意図を打ち上げたものとされて
黄色のハイライト | 位置: 3,133
織田信長が、足利義昭を迎えるに先立って、三河の徳川、近江の浅井、甲斐の武田、越後の上杉らと婚姻を結んだり贈物をばら 撒いたりしたのはこのため
メモ堺屋氏の解釈だが、興味深い。信長が西の大名らと婚姻を結んだのは、嫉妬を押さえるためとのこと。
黄色のハイライト | 位置: 3,136
織田信長は、これだけの準備をした上で、ようやく足利義昭を美濃・立政寺に迎え
黄色のハイライト | 位置: 6,263
出雲 の名族・尼子は全く亡び去ったのである。ただ、山中鹿之介の幼い遺児だけは生き残り、その子孫が清酒を発明、巨富を成して 鴻池 両替店を開くことになる。かつての 三和銀行の元祖で
黄色のハイライト | 位置: 6,734
低い地位の者が成功し、大組織の高位に 就く間には、この種の変質が不可欠だ。今日の企業社会でも、中小、零細企業が大企業に成長する過程では、人間臭い家族主義を捨て法規と組織を確立することが必要となる。それを現代人は経営の近代化と呼んでいる。だが、この間には、法規と組織になじめぬ古い功労者は脱落する。そこに、古参の家族主義者の反発が生じ、内部対立が生じるのが常で
メモ19人がハイライトする箇所とのこと。堺屋氏の小説の特徴的記述。
黄色のハイライト | 位置: 8,273
だが、この日、兄・秀吉が、大村 由 己 に書かせた『惟任退治記』を公表したのには、小一郎も舌を巻いた。事件からたった四カ月での出版は、この当時としては異例の速さである。しかも秀吉は、その写しを何百と作り、京洛から 遠国 にまで配らせ
オレンジ色のハイライト | 位置: 8,699
世に、長久手での徳川の勝利ばかりが名高く、伊勢での羽柴方の働きはあまり伝わっていない。自らの武名を 轟かせたかった一方の主役・徳川家康と、あくまでも補佐役に徹した小一郎秀長の違いであろ
オレンジ色のハイライト | 位置: 8,708
長久手の戦いで局地的勝利を収めた徳川家康が、結局は秀吉の軍門に 降らざるを得なかったのも、小一郎秀長が四隣を平定してしまったから
青色のハイライト | 位置: 8,710
小牧の対陣から一年経つと、徳川は依然として五カ国を持つだけなのに、羽柴は七カ国の領地を加え、北畠・長宗我部を味方にしていたのだから、家康も抵抗のしようがなかったの
青色のハイライト | 位置: 8,716
小一郎は生涯のうちに大小百回以上も戦場に立ったが、一度として失敗したことがなかっ
青色のハイライト | 位置: 8,725
しかし、小一郎秀長が賤ケ岳の合戦以降に尽した功績は、軍事よりも内治にこそ
青色のハイライト | 位置: 8,735
天正十三年、紀州、四国を平定し、徳川家康を配下に加えた頃の羽柴家とは、そんなものだっ
例えば、今、どこかの大企業の子会社だった中堅企業が、三年の間に事業規模が十倍になり、従業員数が一万人から十万人になり、かつての親会社をはじめ数々の一流大企業を買収して足下に収める好運に恵まれたとしたら、この会社の経営陣はどれほど忙しいだろうか。かつては親会社の人事本部や財務本部に統括されていた人事・資金も、今はこちらが指導しなければならない。グループ全体の調整も必要だし、政治家、役所、諸外国との付き合いも一挙に増える。しかもこの会社は、もとはといえば二流の子会社、人材は乏しいとあっては、トップのオーバーワークは避けられまい。 -
Posted by ブクログ
2002年(平成13年)に単行本で読んだことがありましたが、平成の世が終わるまでにもう一度読み返してみました。もともとは新聞に連載していたそうですが、単行本化することに、経済企画庁長官になったので手直しが遅れたそうです。
長官時代の功績は色々とあると思いますが、私の印象に残っているのは、通信回線(光回線)の導入を加速したこと、インターネット博覧会を開催したことでしょうか。ISDN回線でなんとか行っていた通信を、光回線に変えて、文章だけでなく、静止画そして動画まで送れるような環境を整備したことは凄いと思います。
さて、彼の予測した平成30年ですが、資源価格高騰による世界経済危機、少子高齢化の進展、アジア諸国の成長による日本の国際的位置の低下は、予想通りと思われますが、インフレが進んでいない点、中国韓国の製造業が競争力を持っている点は少し違うと思いました。
小説で紹介されていた、パソエン(カラオケの進化版)
は近い将来出てくることを期待しました。
以下は気になったポイントです。
・日本では突飛な新薬は許可されないので、成分の配合を変えた程度の新薬を出して、高い参考薬価を認めてもらうのが一番儲かる仕事(p37)
・かつては財政赤字のみであったが、人口高齢化・工場の海外立地により貿易赤字、さらにサービス収支も赤字となる、資本収支の黒字を食いつぶす。ついに、日本中の企業の損益を合計すると赤字になる(p43)
・貯金が流行らないのは、若者たちは親譲りの住宅を当てにしているし、中年以降は年金と介護保険を当てにしている、収入の半分近くを税金・社会保険に天引きされ、消費税が12%もあるので(p80)
・外務省、財務省、警察が最要職をしめるのが常である、国防外交、財政徴収、治安警備が大事なので(p82)
・アルゼンチンは第一次世界大戦、第二次世界大戦でも戦火を浴びなかったので、社会改革が進まず、非効率的な利権構造が残った(p90)
・役所の意に反する医療施設には、健康保険医の資格を与えない(p181)
・高齢者には、数が多く、金持ち、時間(余命)がある(p224)
・日本の高齢者も、自分が本当に欲しいものや好きなことにお金を使うべき、このほうがずっと子孫のためになる(p227)
・ハイテク兵器が極度に進んだ今日では、陸軍、海軍、空軍は時代遅れ、国土防衛、シーレーン護送・在留邦人の救出、災害救助・治安維持にあたる、三種類の軍にわける(p246)
・日本の歴史は、奈良・平安・鎌倉・室町・安土桃山・江戸、そして東京時代、すべて首都機能の所在地で呼ばれている。江戸から東京に変わった時は、その間5年間は、徳川将軍・有力諸大名は京都にいた(p281)
・世界の冷戦構造が消滅してから、日本の政界にもイデオロギーによる政党の色分けは無くなった、今の与野党は、支持母体・伝統的人脈・最初に立候補したときの選挙区情勢で分かれている(p338)
・日本は太平洋戦争後、45年間の努力・幸運で、1990年には冷戦の戦勝国となったが、その後は敗戦続き、それは明治維新からの73年間に似ている、第一次大戦の戦勝から28年目には太平洋戦争の敗戦を迎えている(p424)
2019年4月27日作成 -
Posted by ブクログ
舞台は2026年。
あらゆる状況が悪化した日本でどのように対処していくか?というフィクション。がところどころ現実味があり空恐ろしい。
日本は「3ない社会。よくなし、ゆめなし、やるきなし。ゼロ金利にしても需要が増えない。金利をさげれば投資がふえると想定されていたがそれでも増えない。
むしろものをもつことの心理コストのことをみんなかんがえはじめた。無料でもいらないものはいらないという世代」
と定義。
ようするに天国のような国をつくってしまった。
「日本は天国をつくってしまった。理想の国。でも天国の仕組みを守るのは大変だし天国にはさらにうえにいく階段がない。地獄は1丁目から8丁目まであってうえがある。天国にはうえがない。」
つまりがんばりすぎて進退きわまった状態と定義。
でまず人口減署については生産性の低い仕事を日本人がしないようにする。だからとくに流通業を人でやらない流通の無言化を推進。
また移民についても「日本の歴史は移民受け入れの歴史。日本が質のよい移民をいれるには日本の良さをちゃんとアピールしないといけない。」。でそれも単純労働ではなく高度技術移民の歴史だった。この流れを踏襲する。
地方分権に関しては
「日本の自治体はいろいろ変わってきた。明治には1万以上あった市町村が今では1600。それなのに都道府県の範囲は明治以来かわっていない。徒歩と川船だけの交通輸送を前提とした都道府県は全く時代にあっていない。」
世の中を変えるのは戦争をするとかそういう暴力的なことは必要ない。えんじゃないか踊りでかつてかわった。
宝永2年(1705年)では公式記録では360万人が伊勢まで10日で旅行して騒いだ。これは60年に一度あったけど倫理の変更のイベントであった。
道州制の実施と州都建設。それを現代のええじゃないか踊りに。
第一に日本、明治の日本は先進諸国に負けない強い国を目指した。二度目の日本、戦後日本は豊かな国を目指した。これからはじまる三度目の日本は楽しい国にしたい。
道州制は都道府県の廃止、すなわち廃藩置県はやらない。当面は知事会で運営し、各府県会合同の合同会議で会議を。廃藩置県ではなく融県生州。都道府県議員を失職させない作戦。
二つ目の仕事の公務員の解禁。そして推奨で所得がふえて活性化していく。
敵のいない敗戦。
3つの政策
1.議員を増やす
日本は西欧諸国に比べて人口のわりに国会議員が少ない。それが政治の力を弱めて官僚主導の原因になる。
東京などの人口の伸びそうな地域の議員は大幅に増やす。議員がふえることで新人がたくさんうまれ議会が活性化する
2,税財政改正
いまは敗戦状態。敵のいない敗戦。黒船もないし連合軍もない。手本とする先進国も指導を受ける戦勝国もない。日本は何かに失敗したわけではなくより高みに進んできわまり行き詰まった。
日本は世界のどの国よりも安全だ。時間も正確。天国のような国。天国にはうえがない。
天国脱出宣言。
税収の増加に責任をもつものがその税源をもつべき。景気や外交など国政によって左右されやすい法人税や書ごく勢、関税などは国の財源が不泡しく、地域の振興施策でかわる消費税や燃料税、購買者が買う場所によって納税地を選べる酒/タバコ税は地方自治体の財源にする。
消費税は納税地で納税。これまでは全国チェーンの場合は本社でまとめて納税だったがその所在地で納税してもらう。店舗や工場毎に算定して納税を。ネット販売企業は消費者住所を納税先とする。消費税とは本来、消費者が負担する税。
ガソリン税や酒も現在は蔵出しや工場出荷課税だがこれを消費地課税に。
現在の都道府県をにわかに改変はしない。が財源は増える。でやる仕事も増える。その仕事をどう吸収するか?当面は知事会をやって連合議会で。
この国を立ち直らせるんは地域間の公平性を取り戻し、各都道府州の知恵と気迫を競わせることが必要だ。
第一次産業革命で18世紀のイリギスではじまる。蒸気機関を手にいれる。熱エネルギを運動エネルギーん変換。日本は明治維新とともにこれを取り入れ日清日露戦争にかち先進国の仲間入りをはたした。第二次産業革命はドイツやアメリカで19世紀後半にはじまる。電気と内燃機関による技術革新。これによって照明が誕生し昼の時間が延長。通信は発達して地理的距離がせばまり、エネルギー源は小型化されて交通機関い利用。電灯、電信、電車、自動車、航空機が誕生。日本はこれにものれた。
大三次産業革命は規格大量生産の出現と普及。ベルトコンベアやフォードではじまる。日本はここには戦前はいけなかった。よって戦争では規格型兵器を生み出せずに物量の前に惨敗する。大阪万博あたりでようやくそこにのって飛躍した。
がその頃に第4次産業革命がはじまっていた。カー、カラーテレビ、クーラーの3Cブームでリード。
第4次産業革命は規格大量生産にあきた消費者にどれだけ個性的で多様なものを迅速にとどけるかが勝負。そのためにビッグデータでありドローンでありAI.
日本を二都二道八洲に分けてそれぞれが独自の発想と手法で理想を追求できる体制を作る。多種多様なサービスを短時間で提供できるには、一致団結の価値観ではなく多様な価値観が大事。だから地域を分権化する。
官僚主導は恐ろしい、決断できないことが怖い。で、技術論からはいって全体を否定するのが常套手段。
小売店と飲食店は地域の起業の源泉。アメリカでも地方都市でもあたらしい店がたくさんできる。その気分があたらしい業態をうむ。その頂点にシリコンバレーがある。
医者は地方に分散した。が、法文系の士族、弁護士税理士会計士は東京集中。これを分散化させると日本の地域の起業がふえてかわる
戦前の九州は台湾よりも豊かだった。いまや一人当たりGDPで台湾の半分になった。全部東京にすいとられている。
明治維新の際にはどんな新政府をつくるかかんがえあぐねた。それがきまったのは明治4年から。岩倉や大久保が欧米に旅をして構想をねった。国の大枠を考えるのに3年、人員と職員の訓練に3年、手直しに3年。合計9年かかる。
東京はいまや不況都市。東京オリパラで全てをだしきった。わたしは日本の東京、わたしの東京といってきたが、いまや日本の東京に偏ってわたしの東京が抜け落ちた。日本の東京は首都東京のこと、わたしの東京はふるさと東京。地域コミュニティがあり航路のふれあいがあり愛郷精神のある東京。待機児童も減らしたし、残業も減ったし空き家もふえて家賃もさがった。それでも出生率と男性結婚率は下がり続ける。いまや東京こそ日本の衰退の象徴。
これは東京が暮らす街として、ふるさととしてたのしくないからです。国有財産を都が都債をだして買い取る。オリンピック設備やプールやホール。そして民営化していく。近所の街区公園も開放。地元の人が花壇をつくったり遊具をつくれるようにする。そしてふるさと意識をつくっていく。いままでは首都東京の役割が過剰すぎてふるさと東京がなくなっていた。だからすんで楽しくない。子供を産む気になれない。
現在の日本には英雄が生まれる熱狂とそれに従う単純さがない。世に言う英雄待望論は資質のある個人の出現とそれを受け入れる社会の単純さが必要。 -
Posted by ブクログ
私の中で道州制と大阪都構想のイメージが一致しないので、読んでみました。
読んでみると、「国ありき」の発想ではなく「大阪の問題」から「日本の有り様」を見ているので、筋は通っているんだけど分かりにくいし、説明不足感が感じられます。
ただ、大阪維新の会の動きの必然性がよく分かり、実際にこの本が書かれた後、知事選&市長選での動きがあったわけですが、そのままの動きとなっています。
橋下さんが市長になってから、実際にドンドン明るみになる大阪市政のえいかげんだった仕事っぷりが、この本の正当性を証明してくれています。この本に書かれている市政は、犯罪に近いイメージでした。
ただ、、、その後の国政への出方が、「?」だったので、★3です。この本を読んで橋下大阪市長の論理的な行動力がよく分かりました。