堺屋太一のレビュー一覧
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企業や役所は、もともと「機能体」として作られた組織だが、組織そのものに、「共同体」化していく契機が埋め込まれているというのは、その通り。下部組織含め、構成員の満足が目的となってしまう。マネジメントは、その揺らぎを感じつつ、「機能体」としての「強さ」を最大限発揮するようにすること(企業なら、最小のコストで最大の利益を上げること)。確かになぁ。
面白かったのは、組織を動かす上で欠かせない人と、その評価。
漢の劉邦の言葉から、組織を動かす上では、①現場のトップ(将軍)、②参謀、③補佐役の3種類の人が欠かせないとのこと。③補佐役は、なかなか思いつかない。
さらに、プロイセンのモルトケの法則を取り -
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1.この本を一言で表すと?
組織が滅ぶ条件、組織が変革する要因について、著者がまとめた本。
2.よかった点を3~5つ
・「共同体」と「機能体」(p107)
→この定義が本書の中で重要。
・軍隊の二つの定義(p47)
→自己完結性は知らなかったので、興味を持った。
・「機能体の共同体化」(p170)
→とても理解しやすく納得できる。共同体化は「正論」で誤魔化されやすいと思う。
・環境への過剰適応(p187)
→常に変化を受け入れることが重要だと思う。
・組織の欠陥を隠す予算不足と人材論(p212)
→自分はいつもヒト不足を言っていたので考えを改めたい。
2.参考にならなかった所(つっ -
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ネタバレ日経ビジネス人文庫は過去に読んだことがあるけれど,それに比べて随分骨太な本(過去の本が悪いわけではない)。著者の堺屋太一氏は知ってはいたけれど,こんな歴史への眼差しがある方とは存じ上げなかった。
単純に持ち上げるわけでもなく,貶めるわけでもない。どこまでも冷静で客観的。「勝てる組織」について書いているのに,最後では「それに属する人々に幸福をもたらすかどうかはわからない」と言い切ってしまうくらい。
ここにはヒントは書かれているけれど,経緯だけではなく,最終的な答えすら書かれていない。自分でどうするかを考えることを促される。本書を読む価値のひとつに、歴史について書かれているのに現代の時代性を知るヒ -
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豊臣秀吉の弟で、たぐいまれな補佐役だった豊臣秀長に光を当てた作品。分冊文庫もあるけど1冊版を買ったら760ページ以上で片手で持って読むのもしんどい(笑)、ポケットにも入らない(笑)。長くて重い本だったけど面白かった(^^
大河ドラマ「秀吉」の原作にもなっているだけに読んでいても登場人物が竹中直人だったり、高嶋政伸に見えてきます。
強力なリーダーや指導者に優秀な補佐役。軍師より参謀に近いと言えますが、この物語での秀長の立ち位置は参謀よりやはり補佐役が似合っている感じです。
じゃ、完全に補佐役かと言うと、むしろ最近のリーダーシップのひとつとして挙げられるようになった「サーバントリーダーシップ -
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フィクションとしての面白さ以上に、はたしてこれを絵空事としておけるのかという恐怖を感じる。
50年近く前の情報と時代背景に基づいた小説であるため、エネルギー環境は劇的に変化している。
石油への依存は依然として高いものの、その供給元は中東のみのかつてに比べると、アメリカを含めて多様化している。
しかし、はたしてその多様化した石油供給に何か安全性を求める根拠があるのだろうか。
エネルギーの一部を原子力に頼る政策もあったが、そのエネルギー体制は、震災とともに崩壊してしまった。
地球環境の変化を考えると、化石燃料の利用の再検討が迫られている。
この10年ほどの間に、私たちは、その経験から私たちの生活を -
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今週月曜日(2019.4.1)にとうとう新元号が発表されましたね、1130からの発表、仕事中でしたがYutubeで見てしまいました。「令和」と聞いてしっくりこないのは、平成の発表があった時も同じだったように思います。
さて、平成6年頃に単行本で、通産省官僚・経済企画庁長官も務めたこともある、堺屋太一によって書かれた経済予測小節です。社会人になって数年ほど経過したころに、平成30年にもなると、日本はこうなって(衰退して)しまうのか、と思いながら読みましたが、まだまだ先のことで、他人事のように思って読んだのを覚えています。
あれから20年以上経って、気づいてみれば、平成30年は終わってしまい、 -
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正直、東京に住んでいると、大阪都構想が実現すると何がよくなるのかピンとこなかったんですけど、これを読んで非常によく理解できた。
主張されていることはごくごくシンプルなんですよね。
中央が号令かけて地方を画一的に統制し、恣意的に分配するやり方はもう時代に合わない。
地域地域で、最適な形を自ら選択できるようにすることで活力を生む。
シンプルかつ真っ当な考え方です。
それと、政治と行政の役割分担について。
政治家はビジョンと方針を示し、行政は実務が回るよう細部を組み上げる。
お互いが衝突する際は、とことん議論を尽くす。
これもまたシンプルかつ真っ当。
そして、組織マネジメントの大切さ。
政治家は -
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大阪都構想のことがよくわかります。
堺屋氏が書いている 一章「大阪の衰退、日本の衰退」で大阪都構想の必要性が明快に書かれています。ここだけ読めば本質はわかると思います。
対談部分は同じことの繰り返しな感じがしたので読み飛ばしてもよいでしょう。
橋下氏の執筆部分は具体例、府知事時代の体験話もあり面白かったですが、あらゆる反対意見に反論・論破しようとしているので、本として冗長な部分が多いかと思います。
政治と行政の役割分担についてよくわかり勉強になりました。
大阪都構想は日本全体の構造的問題を指摘しているので大阪府民以外も読んで役に立つと思います。 -
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橋下知事(当時)と堺屋太一による大阪都構想を始めとする体制改革についての考えを書いた本。今まで漠然としかわかっていなかった橋下氏の考え方がよくわかった。考えには全く同意であり、官僚機構の特徴をよく理解していると思う。同じような内容が何カ所かに出てきており、冗長な感じはある。
「新聞は、もっと話し合いをしろ、議論を尽くせと書きます。もちろん議論すべき問題は議論を尽くすべきだと思います。しかし権力の再配置に関しては、話し合いでは絶対に決着がつきません」p74
「あれだけ「市町村別(試験の)結果の公表をしたら過度な競争が生じる、不当な学校序列が生じる」と主張していた文科省や教育委員会、そして有識者 -
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堺屋太一氏が、通産官僚時代に大きく関わった大阪万博を中心に、万博について書いたもの。開催までの経緯と苦労がよくわかった。
「人間は好きに働き、知恵と感覚を研ぎ澄ますべきだ」p40
「(黒くすすで汚れた街大阪)大阪人は自ら「煙の都」と称し、空が煙で曇って見えるのを「大阪の繁栄の証」として自慢していたものだ」p67
「国がいくつかの選択肢の中から三里塚を選んだ理由の一つは、この地域に400ヘクタールを超える国有地・下総御料牧場が広がっていたからであった。国はこの国有地に、取得した民有地をくっつけて空港を造ろうとしたわけだが、この戦略は結果的に大きな反対運動を引き起こすことになった。国有地を広げて、 -