喜多喜久のレビュー一覧
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事件や事故、病気など様々な形で支払われる保険金。死んでしまったからすぐに保険金が支払われるわけではなく、そこに不審な点はないかなどを調査した上で保険会社が支払うことになる。その調査業務を代行するのが保険調査員である。一見何もないようなケースでも、主人公の調査員・江崎は気になって仕方がない。そんな時に頼りになるのは意中の女性研究者・友永久理子である。何よりも研究優先のリケジョが持てる限りの知識を駆使して、研究の合間に事件解決に乗り出す。
二人の恋の行方も気になる4編収録の連作短編集。事件解決への流れはあまりなく急転直下という印象がかなり強い。鮮やかではあるが、そのあたりの押したり引いたりする -
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ネタバレ結論は分かっているけれど、そうなるに至った想いを解明するミステリというのは発想が面白かった。
想いだから正解かどうかは分からないこともある。
特に相手が亡くなっている場合は。
それでも、正解でなかったとしても、何かしらの答えを導き出せたのなら、残された人にとっては救いになるかもしれない。
まあこの話の場合は正解するパターンなんですけど。
しかも、明らかにしてはいけない事実も発覚する場合もあるんですけど。
そこはフィクションとはいえ容赦はない。
AIの研究のためとしながらも、実際は喜怒哀楽の感情を持てない准教授自身のための調査だったような気がする。
彼こそAIのように様々なパターンから察して、 -
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ネタバレ3
1人の難病患者のために、病の原因を突き止め命をつなぐ創薬探偵。患者や状況等の調査担当薬師寺千佳と、構造を見ただけで全合成ルートが分かる合成者遠藤宗史の2人体勢。URT超希少疾患特別治療なる架空の制度のもと、創薬に挑む。(ウルトラ)オーファンドラッグ制度もあるが、面白い設定。病気の原因を犯人・創薬するのを探偵と呼び、ビトロ試験から人体へあたりの人体実験感が気になってしまうからか、会話の感動感が薄い。iPS細胞も出てきて創薬の進め方が出てくるあたりは面白い。姉の婚約者である遠藤に対する千佳の想いの行方も気になる所。
URTについて、実質的な人体実験ではないかという批判。費用は全て患者負担で高 -
Posted by ブクログ
それなりに手の込んだ設定(構成)、の割に、人間関係描写がだいぶ限定的だったり、ちょっとアレげなキャラ設定(幼い頃に妹を過失で亡くした高坂の、妹への思慕ともロリコンとも表現しにくい行動諸々とか)に読者がどこまで心惹かれながら読み続けられるか?みたいなところだったり、そういうモノが後半に行くにつれてズシンと突きつけられてお、おう…的な気持ちになるのにキャラクター達は変なところでポジティブな台詞をポンポン繰り出して〆に向かって来るという。
ミステリとしての構造を理解できても読後感のスッキリさは(作者が意図的にポジティブでハートフルな空気を出そうとしてるのが空回りして)うーん?だった。