ジョージ・オーウェルのレビュー一覧

  • 一杯のおいしい紅茶 ジョージ・オーウェルのエッセイ

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    J.オーウェルというと1984年と動物農場のイメージしかなく、生活のために書評や短文エッセイを書いていたとは知らなかった。
    文化や自然に関してあくまで保守的な態度である点、産業主義的な娯楽や全体主義に関しては批判的である点、洞察力に優れている点はイメージ通りだが、あの理知的な文章で食器洗いに毒付いているのには笑った。先進的技術憎しではなく、あくまでそれによって社会に齎される負の影響に懸念を抱いていたのだということがよく分かる。
    また、オーウェルの書物・文章への美学と拘りを知ることができた。
    彼が風刺した未来の只中であっても、「一杯のおいしい紅茶」を楽しむ心の余裕は持ちたいものだと思う。

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    2024年03月08日
  • 動物農場 ――おとぎばなし――

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    本作品もテーマが著者オーウェルの代表作「1984年」の中で描かれる「ニュースピーク」に重なる。

    それは「全体主義の恐怖政治」において、法(作中では7つの掟)や歴史の解釈(作中では追放された元リーダーのスノーボールが活躍した事実)がこっそり政治の中枢で改訂され、それが知識人らによって流布され、大衆が簡略化されたスローガンを連呼して全体主義が浸透していくという流れ。

    資本家の象徴として描かれる元荘園主を追い出して動物による動物のための農場を作ったリーダーのナポレオンだったが、最後は隣接する農園主の人間と密会を重ねるうちに豚のナポレオンが2本足で歩くようになり、服を着るようになり、人間と見分けがつかなくなっていく。
    これは労働者のリーダーのはずのスターリンが資本主義国家の英国や米国首脳と会談を重ねて彼らに同化していく様子を風刺している。

    オーウェルは言う。
    【現代の戦争】とは、支配集団が自国民に対して仕掛けるものであり、戦争の目的は領土の征服やその阻止ではなく『支配構造の保持』にある、と。

    そして法や歴史的解釈、ニュースの真相といった政治的教養は、いかにマスコミやフェイクニュース、プラットフォームのアルゴリズムによって自在にプロパガンダに変貌しうるのかを示している。

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    2023年12月07日
  • 動物農場 ――おとぎばなし――

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    ネタバレ

    岩波文庫と中央公論新社(絵付き)を併読。オーウェルがなぜこれを書いたのかを学びつつ「おとぎばなし」を読めてよかった。人間を追い出した動物たちの農園でも、やはり支配する側とされる側の構図は変わらない。権力者は利権を守ること、支える側をいかに従えるかが命題となる。自分も支える側の一人として、闘った多くの動物よりも、現状の中にあった喜びを求め農園を出て行った馬のモリーが印象的だった。様々な立場と力量で考え動く動物たちを、読み手のように一歩引いて俯瞰でみることって大事だなと思った。

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    2023年11月02日
  • 動物農場 ――おとぎばなし――

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    一気に読み切れました。
    なんとも言えないもどかしさが続きながらも、最後の反乱を期待しつつ一気にに読み切らされたという感じです。
    動物に擬態化することで切なさや滑稽さが自然に感じられました。

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    2023年05月06日
  • 動物農場 ――おとぎばなし――

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    おとぎばなしというサブタイトルの通り読みやすい本ではあったが、内容については子供が理解できるのかという疑問は残る
    ソ連についての社会風刺を題材として書かれており内容もそこそこ歴史を周到しているとは思うが、私は本文よりもその後に挿入されている「出版の自由について」という序文に、より興味をひかれた
    現代日本においても有害図書の指定など中世の黒歴史を想起させるような悪法が存在し、明らかにその法自体が害を為しているわけであるが、この本をきっかけに法規制等の妥当性についても関心が深まり、社会へ目を向ける一助になったと感じている

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    2022年09月16日
  • 動物農場 ――おとぎばなし――

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     動物たちが自由を求めて立ち上がるも、徐々に獲得した自由が束縛されていき、結局は最初の状態に戻っていく..
     ..といった内容に共産主義批判にテイストした内容。


     アイロニーでシニックな文章を好む人にオススメ

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    2022年09月05日
  • 一杯のおいしい紅茶 ジョージ・オーウェルのエッセイ

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    タイトルになっている紅茶の淹れ方(ミルクが先か紅茶が先か)から始まるエッセイ。
    冬に故障する水道管や終わらない皿洗いに文句を言っていたりはわかるぞ、となる。

    手紙に丁寧に自分の住む田舎への行き方の記載(何時の船に乗って、ここからはハイヤーで、この町で宿をとった方が、等)が細かく丁寧。

    しかしよくよく読んでいくと戦争や国家の体制への考えなどは『1984』の著者なんだなあ、と感じさせるものがある。
    巻末の「ウクライナ版への序文」は今のロシアとウクライナの戦争状態を想起する。

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    2022年03月16日
  • 一杯のおいしい紅茶 ジョージ・オーウェルのエッセイ

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    『1984年』のジョージ・オーウェルの随筆および書簡集とあったので読んでみた。
    これを読むと、ごくありふれた生活感情の持ち主だったことがわかる。紅茶の淹れ方のこだわりや、ビール大好きなところなど、何だか微笑ましくさえ感じられる。だからこそ、『1984年』や『動物農場』がこの人によって書かれたのだということに意味を感じる。当たり前の生活感情を持った一個人だからこそ、当たり前でない「何か」が生活の中に忍び込んでくることにアンテナを立てられたのかもしれないということ。そして、当たり前の生活感情と非凡な表現能力は乖離しないものなのだということ。当たり前に暮らしながら、当たり前でない何かを残せることに、ますます畏敬の念が深まった。

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    2021年12月23日
  • COMIC 1984 20世紀暗黒近未来小説の傑作

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    小説の前にこの漫画版を読もうか迷い、結果的に小説版から読んだが、正解だった。でも絵の雰囲気も物語にあっていたので読んで損はなし。

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    2021年10月01日
  • 一九八四年[新訳版]

    購入済み

    はじめて読み終わったときはそこまで大好きな作品にはならなかったけど、読めば読むほど夢中になる小説だった。

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    2021年10月01日
  • 一杯のおいしい紅茶 ジョージ・オーウェルのエッセイ

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    1984の作者ってこういう人だったのか、という驚き、安心。最後の「なぜ書くか」があって1984の見方が変わった。

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    2021年05月15日
  • パリ・ロンドン放浪記

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    ジャック・ロンドンと違い、著者はイギリス人=ヨーロッパ人であること、そして、必要に迫られて貧乏暮らしをしたことなど、貧しさが他人事ではない印象。
    そして面白いのは、母国については批判的なのに、パリに対しては友人のような気安さがある。

    「金が人間を労働から解放してくれるように、貧乏は人間を常識的な行動基準から解放してくれる」
    そして、考えないようになっていく。
    本当の貧乏の中で、革命は生まれないのではないかという気づきが新鮮だった。

    そういう意味で、今の日本は全体的に貧しいと思う。誰も自分で考えず、誰かが考えてくれるのを待ち、それが気に入らないと「批判」する。

    そんな仕組みの中で、埋もれないようにしたいものだ。

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    2021年04月17日
  • 村上春樹の「螢」・オーウェルの「一九八四年」

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    ネタバレ

    無関係な原作小説が2つ並んでいるのですが、そのチョイスするセンスは素晴らしい。
    雰囲気、画力も魅力的。

    個人的に最も気になったのが、1984年のジュリアが可愛くないんです…!僕の原作読んだイメージのジュリアは活発な美人というイメージだったのですが、この漫画だと全然可愛くない(笑)
    可愛いからこそ、最後の変貌ぶりにインパクトがあると思うんですけどね。何で可愛く描かなかったんだろ。

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    2021年02月11日
  • 1984年 (まんがで読破)

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    独特の世界観で面白い。ディストピアとも現実の風刺とも取れる。

    ただ主人公の男クソでは?
    ほとんどの行動を起こす動機がセックスだし、いざピンチになると自分のことしか考えておらず、同罪になるジュリアのことも、部屋を提供してくれたプロールの心配もしない。おまけに脅されてすぐ自白するし。

    最後に漫画家の名前が記載されていないことが気になった。オーウェルの著作権は切れているだろうけど、漫画家の著作権は切れてないのでは?

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    2021年02月04日
  • 動物農場 ――おとぎばなし――

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    佐伯塾長の推薦本。共産主義を皮肉たっぷりに動物(しかも豚)に置き換えて痛烈に批判している。
    政治に疎くとも世界がどのような政治思想で動いているのかをざっくりと理解することができる。

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    2020年12月10日
  • パリ・ロンドン放浪記

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    オーウェル最初の単行本のせいか、それとも小説よりこういうルポのほうが本人の気質に合っていつのか、実にイキイキして面白い。1920年代の貧乏な人々の暮らしと息づかいが目の前に。

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    2020年09月01日
  • 村上春樹の「螢」・オーウェルの「一九八四年」

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    ついにジョージ・オーウェルの1984を読んだ。いや、厳密には読んでいないが、森泉岳土による漫画版「オーウェルの一九八四年」を読んだ(オーウェルの、と付くところが良い)。
    救いがないとは聞いていたが、本当に。


    でも何より救いがないのは、読み終わったときに「ああ良かった、怖い話は終わった、"あんなんとは無縁の"現実へ戻ろう」と心から思えないところだ。


    あとは備忘メモ。(ネタバレもあり)


    ・舞台はロンドン、ただしイギリスではなく「オセアニア」という国。オセアニアを率いるイングソック党の党首ビッグブラザー(BB)がすべてを監視し、好ましくない兆候があれば「思想警察」に連行される。党は人々の行動、音声、表情ばかりでなく、心臓の鼓動まで把握している。(エマワトソンとトムハンクスの映画の原作の)「ザ・サークル」と同じだ…と開始3ページでざわつく私。サークルという会社に入社したメイは、入社オリエンテーションのなかで、これが私たちの誇る新しい社員健康管理の方法なのよ、とアプリ?の仕込まれたスムージーみたいなものを飲まされていた(といってもあの輝かしいサークルの一員になれたことが嬉しいメイは喜んで飲むんだけど)。私事ながら、「端末の利用状況を送信する」のチェックを外させることにはうるさいくせに、人の身長体重歩数をほぼ強制的に送らせる"ヘルスケア"施策、ほんと嫌悪。
    ・党のやり口。景気が回復していると喧伝する(人々は剃刀の刃一枚、穴の空いていない靴下ひとつ都合できない生活だが、チョコレートの配給が増えたとかで喜んで、BBの手腕を褒め称えている)。
    ・そのときどきのBBの発言に合わせて、記録局は出回っているあらゆる文書を修正する(訂正版であるという印などもちろん付けない。「いわば」「すなわち」「するなかにおいて」といった文言を散らしておけば、ありもしなかった演説を捏造するのは容易い、と記録局務めの主人公ウィンストンは言う)。
    ・「二重思考(ダブルシンク)」によって人々の記憶までも改竄させる(矛盾している二つの事柄を両方とも頭から信じ、忘れなければならないことは忘れ、必要があればふたたび思い出す)。
    ・「新言語(ニュースピーク)」という新しい公用語を制定する(実際のところは、言葉の破壊なのである。「良い」で十分なので「素晴らしい」「申し分ない」は削除、「悪い」という曖昧な言葉も無くし「反良い」とする、など。言葉が削られれば思考も縮小される。それが狙いである)。
    ・隣国への憎悪を植え付け、戦争を正当化する。(敵国は「ユーラシア」であったり「イースタシア」であったり、そのときどきによって変わる。この三大国は戦争状態を維持し続けることによって、富の増加による階級社会の不安定化や崩壊を防ぎ、各国の支配階級が永遠に権力を持ち続けることができるという仕組みをもって結託している。この秘密については漫画では描かれておらず、さっきWikipediaで読んで知ったことだ)。
    ・このような社会で教育を受けた子どもは、戦争好きに育つ。無邪気に「人民の敵!」などと叫ぶ。ウィンストンの隣人パーソンズはのちに自分の七歳の娘に告発されて思想警察に連れ去られる。このような一般市民によるスパイ行為は英雄的ということで大いに賛美される。
    ・この社会の仕組みに違和感を覚え、ひそかに日記をつけ続けていたウィンストンは、小道具屋チャリントン、党の高級官僚オブライエンなど、このモヤモヤを共有できるかも?と思える人々との接触を通して、社会転覆の希望をわずかに持って生活しているが、実は体制側の人間であった彼らに裏切られ、恋人ジュリアと共に思想警察に連行される。そして「治療」という名の壮絶な拷問を受け、受け、受け、……党を愛する従順な一市民になるのだった。信念打ち砕かれる瞬間の1ページの表現が、つらかった。

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    2020年01月13日
  • あなたと原爆~オーウェル評論集~

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    オーウェル、鋭いっ!
    と言いたい場面が多々あった。
    『スポーツ精神』では、スポーツとは本来的に競争であって銃撃戦のない戦争と変わりないとバッサリ言い切られる。オリンピックに浮かれる日本に水を差されているみたいだがその通りかもしれない。韓国とこんな風になっている時にオリンピックをすることにいささか恐怖を覚えた。
    「サッカー場での清く健康的な対抗意識や、国民を統一するためにオリンピックが果たす多大な役割について戯言を言うよりも、現代のスポーツ崇拝がどのように、そしてなぜ、起こったのかを問うてみることの方が有益だろう。」
    なぜかというと、スポーツは
    「自分自身をより巨大な権力の単位と同一化して全てを競争的な名声を通して見るという狂気じみた現代的な慣習(=ナショナリズム)と、切っても切れない結びつきを持っている」から。

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    2019年10月03日
  • 1984年 (まんがで読破)

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    まんがで読破を読破するシリーズ。
    村上春樹の「1Q84」が出たときに、そのタイトルの下敷きなっているということで知った「1984」こんな話だったんですね。
    この前読んだ「パリ・ロンドン放浪記」の最後で、考えることをやめ、批判することを忘れる貧民のことも書いていましたが、そこに通じるものがありますね。

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    2018年09月25日
  • パリ・ロンドン放浪記

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    BRUTUSの危険な読書特集で気になった一冊。
    「放浪記」なので、多少は「旅行記」的な内容も期待してはいたんですが、まったくそんなことはなく、1920年代当時のパリとロンドンの底辺での生活を、文字通り放浪しながら綴ったルポタージュ。
    ジョージ・オーウェルって「1984」で名前を聞いたことがあったけど、これが原点なんですね。
    とりあえず、南京虫が気になった。

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    2018年09月20日