あらすじ
悪い人間を追い出してけものたちが築くユートピア。「すべての動物は平等である」と七戒を掲げ、革命歌のもと産声をあげた動物農場。だがやがて、ぶたたちの奇妙な振舞が始まる──ソビエト神話の実態を知らせ、スターリン体制の粛清を暴いた、『一九八四年』と並ぶオーウェル(一九〇三―一九五〇)の名高い寓話。
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Posted by ブクログ
あまりにも有名な寓話……なんだけど、私はあらすじすらほぼ知らない状態でaudibleで聴いて、あまりのラストに紙本でしっかり最初から読み直すというなかなか特殊な読み方をした一冊。
おとぎばなし……なんだけど……ねぇ
1回目はaudibleだったのもあり、冒頭の動物たちの反乱を興味深く聴きつつ、後半ナポレオンが不穏だなーってかスクィーラーがやな奴だな、とか、ボクサーァァァァって感じでラストのラストでゾクリとした感じだったんだけど、2回目、しっかりと紙本で読み返したらスノーボールのあたりからもうめちゃくちゃ怖い。まさに、坂道を転げ落ちる感覚。これ、当事者だと気づかないんだろうな、と思う。
頭を使う、自分の頭で考えることは大事だし、幼きものたちにはそういう場を用意すべきなんよな。義務教育って大事。これは、無くしてはならないものなんよな。
付録もすごい。このお話は付録のオーウェルの文章とセットになっているからこそ、なんだろうな。
Posted by ブクログ
物語序盤では、農場でよく見かける動物たちを、漠然と登場させているかのようにも見える展開ではあるが、
中盤から終盤にかけ、動物たちに当てはまるイメージが顕著に表れてきて、なぜその動物を登場させていたのかが分かるものとなっていた。
付録と解説から読んだ方が、時代背景や状況が理解できて良い。
Posted by ブクログ
立場上、学生に「どうして勉強をしなくてはならないのか?」訊かれることがある。これにシンプルに答えるのは難しい。
頭脳労働と社会運営を他者に任せきりにした動物達の行末を描いたこの本は、その回答のひとつとして比較的分かりやすいと思う。
知識を蓄えること、頭を使うことの重要さが、全体主義への風刺を込めて描かれている。学生にこそ読んでもらいたい。
本書を読んでしまうと、会社員と家畜をかけて"社畜"と呼ぶ皮肉はそう笑えない。自分のために生きることを決意しなければ、本当に豚と人間の見分けがつかなくなってしまう。
また、トップさえすげ替えれば自分の暮らしは良くなるに違いないと信じる考え方も安直だなあとつくづく思ってしまう。
Posted by ブクログ
面白かった…..
ナポレオンはわたしの会社の課長をみているようだった………そりゃ世の中、良くならないよね……..。七戒の文字が足されていくのがやばかった。記憶と思い出って、想像よりも随分と脆い。
読後、付録のオーウェルの言葉を読んで、史実どどこが重なるか具体的に知れて、それも興味深かった。確かに当時出版するのは大変だったんだろうなぁ……
Posted by ブクログ
面白かった。スターリン時代のロシア情勢の風刺らしい。興味湧いたからあとで調べよう。知ってて読んでたらまた違った印象かも。物語としては寓話として良質だった。希望を胸に奴隷農場から独立したのに結局独裁者が生まれて奴隷農場に逆戻りってオチが良かった。
Posted by ブクログ
物語形式で誰でも読みやすい。
シンプルなようで非常に面白い。
国と大衆のありようが非常に鋭く描かれている。
無残なほどにおバカな動物達と、いつのまにか全体にとっての正義が利己的な利益の追求にすり替わりつつも、これは全体のための犠牲であるという、このように客観的に見れば、アホらしく思えることも、現実世界では実際に起こっていることだと思うと、ただただ笑ってはいられなくなる。
最後の「ボクサー」という豚の末路は、悲惨すぎて只事ではないように思えるが、これは現実の世界でも今起こっていることだ。
今や古典的ロングセラーであるこの本も当社は出版社がなかなかokを出してくれず、出版もスムーズではなかった。しかし、こうしたタブーを指摘する本というのは、その時代の本質をえぐっている、のみではなく、普遍的に流れる人間と社会とありようを描いているものだと、改めて思った良書。
Posted by ブクログ
事実が刻々と修正されていく様が特に恐ろしい。
なんとなく、ロバのベンジャミンの鋭さが『1984年』の主人公ウィンストン・スミスに重なる気もした。が、どちらかというとベンジャミンはプロール側なのかもしれない。
Posted by ブクログ
邪魔な人間を追い出し、動物たちだけの理想の暮らし!……かと思いきや。どんどん雲行きが怪しくなり、物語が進むにつれ気分は沈んでいった。ぶたが「ふたつあし」になり、人間とトランプに興じる最後のシーンは心底ゾッとした。イカサマが露見している以上、ぶたと人間の関係悪化もそう遠くない未来の話だろう。その時にはもう一度反乱が起こるのだろうか? 今度は誰を指導者にして?
動物の間にどうしても知性の差がある以上、誰かが指揮を執る必要があったとは思うが、公共的なリーダーというものが本当に存在し得るのかは疑問だ。結局はその善性に賭けるしか無い。だからきっと、ひつじのように利用されないように、大事なのは自分で考えることを止めないことなのだろう。自分たち「人間」の世界においても。
Posted by ブクログ
人間を追い出して動物たちで自治を始めた「動物農場」だが、自治が進んだ先には…というおとぎばなしを通して、ソビエトの共産主義体制をやゆした話。
話はおとぎばなしなので、小学校高学年〜中学生くらいから理解できる内容です。(たぶん)
ただ、過去の歴史や現実の社会情勢を知ったうえでこの話を読めば、書かれた内容の辛辣さを含めて本当の意味で本書を楽しむことができると思います。
話の中に、邪魔者を追い落とす方法、情報統制の仕方、被支配階級に思考させないためのテクニックなどがうまく混ぜ込まれていて、
隣国に北朝鮮中国を持つ我々が読むと「あーなるほど、そういう話聞くよね」と腹落ちしながら読むことができると思います。
また、動物みんなに平等な農場建設を目指す中でのちの権力者が権力の階段を登っていく様、
施政者の思い通りに法律が変わっていく様、
第三者が見れば明らかに異常な状況を当事者達はそれを当たり前として受け入れる様、
などがごく自然に描かれていて、共産主義国家の成り立ちをつぶさに観察することもできます。
そして、本書を読んで抱いた感想は、共産主義というイデオロギーがこの話において唯一の悪だと思えない、というものでした。
この話では、支配する側に思考を鈍らせられてついには考えることをやめてしまった者、そもそも自ら進んで思考することを放棄した者、思考はするものの現状に悲観して明るい未来をあきらめた者が描かれています。
こういう人たちって何も共産主義国家だけに存在する訳ではないと思います。
私たち日本人の中にもたくさん存在すると思っていて、権力者の都合の良いように法律や施策が進むにも関わらず、国民が声を上げないから、大多数の国民にとって不利益な状況ができてしまう、ということは過去を振り返っても多々あります。
人間の大多数はそういったサイレントマジョリティだという前提で民衆支配するには、共産主義は良いシステム・考え方なのかもしれません。
あぁ。本を閉じた後も、頭の奥で羊の鳴き声がこだまします。
「よつあしいい、ふたつあしだめー」
Posted by ブクログ
50年以上も前に書かれた本だとは…衝撃でした。
このおとぎ話口調がまたぞっとさせる。。
無知ってこわい。
というか、独裁者の下では感覚を麻痺させるほか自分を守る術はないのかもしれない。
ボクサーの最後はほんまにつらかった。
罰を受けるのをわかっていて告白する動物たちも。
こういう状況下ではすべてが狂ってんのかも。。
1984年も読んでみようと思います。
Posted by ブクログ
結局、権力というのは自分の理想をみんなの理想とすり替えて語るのが好きなのだ。動物の格好をしているが誰も彼もきっちりと欲望を持った人間である。この幕切れは呆気ないが、ブラックで何故だか黙示録的に思えて仕方なかった。
考えすぎ、拡大解釈が過ぎると言われても仕方ないかもしれないが、名前を変えて、姿を変えても権力は権力、右だの左だのリベラルだの言っても名前や姿が違うだけの同じものなのである。
Posted by ブクログ
A good read but I’m still traumatized from the animation… and it still gives me creeps. Bought 1984, but don’t gotta a courage to read it after this one…
Posted by ブクログ
動物農場の指導者になる豚たちは旧ソ連の指導者たちを模しているが、この話は現代日本にも通じるものがあった。恐ろしいのが、終わりのない辛い労働と少ない配給、働けなくなった仲間を馬肉屋に売られたことに気づいても止められず流されていく、自分たちも同じ道を辿るのが明白なのに、今が辛いのに昔を思い出せなくなって、比較すらできない支配される動物たち。そして憎んでいたはずの人間と変わらない存在になっていく豚たち。
今回の参院選で、ヘイトスピーカーとそれに踊らされる大勢の人を思い出させ、暗澹たる気分にさせられた。
Posted by ブクログ
物語の形で、ソ連批判のメッセージを伝える。言葉の力を感じさせられた。それが冷戦下にアメリカに利用されたのも皮肉。
<ものを生み出さずに消費ばかりする生き物といえば、人間ぐらいしかおらぬ>
Posted by ブクログ
本作品もテーマが著者オーウェルの代表作「1984年」の中で描かれる「ニュースピーク」に重なる。
それは「全体主義の恐怖政治」において、法(作中では7つの掟)や歴史の解釈(作中では追放された元リーダーのスノーボールが活躍した事実)がこっそり政治の中枢で改訂され、それが知識人らによって流布され、大衆が簡略化されたスローガンを連呼して全体主義が浸透していくという流れ。
資本家の象徴として描かれる元荘園主を追い出して動物による動物のための農場を作ったリーダーのナポレオンだったが、最後は隣接する農園主の人間と密会を重ねるうちに豚のナポレオンが2本足で歩くようになり、服を着るようになり、人間と見分けがつかなくなっていく。
これは労働者のリーダーのはずのスターリンが資本主義国家の英国や米国首脳と会談を重ねて彼らに同化していく様子を風刺している。
オーウェルは言う。
【現代の戦争】とは、支配集団が自国民に対して仕掛けるものであり、戦争の目的は領土の征服やその阻止ではなく『支配構造の保持』にある、と。
そして法や歴史的解釈、ニュースの真相といった政治的教養は、いかにマスコミやフェイクニュース、プラットフォームのアルゴリズムによって自在にプロパガンダに変貌しうるのかを示している。
Posted by ブクログ
岩波文庫と中央公論新社(絵付き)を併読。オーウェルがなぜこれを書いたのかを学びつつ「おとぎばなし」を読めてよかった。人間を追い出した動物たちの農園でも、やはり支配する側とされる側の構図は変わらない。権力者は利権を守ること、支える側をいかに従えるかが命題となる。自分も支える側の一人として、闘った多くの動物よりも、現状の中にあった喜びを求め農園を出て行った馬のモリーが印象的だった。様々な立場と力量で考え動く動物たちを、読み手のように一歩引いて俯瞰でみることって大事だなと思った。
Posted by ブクログ
一気に読み切れました。
なんとも言えないもどかしさが続きながらも、最後の反乱を期待しつつ一気にに読み切らされたという感じです。
動物に擬態化することで切なさや滑稽さが自然に感じられました。
Posted by ブクログ
おとぎばなしというサブタイトルの通り読みやすい本ではあったが、内容については子供が理解できるのかという疑問は残る
ソ連についての社会風刺を題材として書かれており内容もそこそこ歴史を周到しているとは思うが、私は本文よりもその後に挿入されている「出版の自由について」という序文に、より興味をひかれた
現代日本においても有害図書の指定など中世の黒歴史を想起させるような悪法が存在し、明らかにその法自体が害を為しているわけであるが、この本をきっかけに法規制等の妥当性についても関心が深まり、社会へ目を向ける一助になったと感じている
Posted by ブクログ
動物たちが自由を求めて立ち上がるも、徐々に獲得した自由が束縛されていき、結局は最初の状態に戻っていく..
..といった内容に共産主義批判にテイストした内容。
アイロニーでシニックな文章を好む人にオススメ
Posted by ブクログ
佐伯塾長の推薦本。共産主義を皮肉たっぷりに動物(しかも豚)に置き換えて痛烈に批判している。
政治に疎くとも世界がどのような政治思想で動いているのかをざっくりと理解することができる。
Posted by ブクログ
資本主義と社会主義の対立が動物を用いて風刺的に描かれていた。個人的には結構好き。
結局は「理想郷なんて人には無理」ということを動物というキャラクターを通して伝えられているように感じた。
Posted by ブクログ
動物たちが反乱をおこして人間を追い払う。
そして独立した「動物農場」はどのような共同体になっていくのか?
1945年に出版された作品で、
ソビエト連邦の真実をあぶりだしたようなおとぎ話だということです。
以下、ネタバレありです。
人間に完全に支配されている動物たちの蜂起は、
はじめ平等と平和という理念のためでしたが、
反乱が成功してからはちょっとずつ変容していく。
知識階級が牛耳るようになっていくのが
悪い方向へ行く徴候なのだけれど、
外敵がいるから知識階級が指示をだしたり計画を練る立場に
ならざるをえないんですよね。
そして、知識層の「ぶた」たちには公共心が薄いところが、
他の動物たちにはみえていなかった。
知識階級が権力を手中にするのをためらわず、
そしてその権力欲と支配欲を詭弁をつかってめくらまししつつ、
いつのまにやら支配体系ができあがっていく。
平民にはわからないインテリ言葉で彼らを欺きながら、
ウソも用いて、洗脳とも言えるようなことをし、
さらに暴力で脅かして掌握するという方法。
ソ連とスターリンの風刺だそうです。
人間、頭が回らない老人になっても
「ずるさ」ははっきり残るひとには残るし、
頭の回転が速くて人生の全盛時にいるようなひとも
「ずるさ」から離れられないひとは離れられないし、
そういうひとたちって多いと思う。
公共心の有無だとか強弱ですかね。
人間の「ずるさ」という根本的な性質が、
共産主義なんかを成立させないポイントだと思ったり。
そういうのもありますから、
インテリ層が力を与えられて、
計画を練り政策を行うということになったとき、
彼らに求められるのは、
公共心をはっきり持てないならば、
「善いことをしているときには、
悪いことをしていると思ってやんなさい」
という吉本隆明的、ポール・ヴァレリー的姿勢なんじゃないか。
動物農場のインテリ層が権力を牛耳り始めたのには、
「俺たちは善いことをしているのだから、
ちょっと悪いことをしてもいい」という
モラルライセンシング効果が働いたとみることも
できるんじゃないだろうか。
そして、それは、ソ連にも当てはまるのかもしれない。
根本的な「ずるさ」とモラルライセンシング効果が重要でしょうか。
反乱をおこして、
外敵がいるからインテリ層が指導します、としても、
そこで権力をふところにしまいこむのが間違いだ。
でも、
そこで間違わないやつのいない世界がどこにあるんだ!?
と思うほうなんですよね、ぼくは。
読んでいくと、どんどん腹が立つし、
最後までいくと義憤にかられます。
サブタイトルに「おとぎばなし」と題されていますが、
そういう単純化されてわかりやすいからなお、
憤りを感じるのだと思います。
この「動物農場」で展開されることは、
パロディですけれども、
現代にも通じることだし、
その根っこのところは常につかんでおきたいものです。
Posted by ブクログ
Animal Farm(1945年、英)
共産主義を批判した寓意小説。動物農場はソビエト社会主義共和国連邦のアレゴリーである。メージャーじいさんはレーニン、ナポレオンはスターリン、スノーボールはトロツキーをモデルとしている。ユートピアを目指していたはずの農園が史上最悪のディストピアへと変貌していく逆説は、人類が忘れてはならない歴史の教訓だ。
しかし、これを読んで「共産主義怖すぎ」と他人事のように言っていられるほど、世界は単純ではない。作品は1944年2月に脱稿していたにも関わらず、その発表は翌年8月17日まで待たねばならなかったという事実がある。日本のポツダム宣言受諾から2日後、米ソの冷戦時代の始まりだ。
発売されるやいなや、本書が世界的ベストセラーとなったのは、傑作だったからには相違あるまい。しかし、他言語への翻訳を積極的に推奨したのは米国だったこと、敗戦直後の日本に本書の翻訳をいち早く許可したのはGHQだったことなどは、銘記しておくべきだ。プロパガンダの愚かさを皮肉った作品が、プロパガンダとして利用されるという二重の皮肉である。
それでも、様々な人々の思惑を超えて、作者のメッセージは21世紀の私達にも強く訴えかけてくる。私の尊敬するクリエイター、宮崎駿氏の言葉を引用させて頂く。
おとぎばなしは、まだ終わってはいない。
「自分が善意であるからといって、自分が善良な存在だとは思ってはいけない。とくべつお金を稼いでいるとか、楽をしているわけじゃないから、自分は無罪だ、とは思ってはいけないんです。しくみのなかでは、自分だってナポレオンなんです。そのしくみの問題はいっぺんには解決できないですけど、だからといって、手をこまねいて、無関心でいられること自体、すでにそれはナポレオンなんだってことなんです。(略)社会にはしくみがあるということ。複雑になってはいるけど、でも根源には、労働者がいて収奪者がいるという、そのしくみは変わってないんです」
Posted by ブクログ
ソビエトを風刺した寓話的作品。
1984の後に読んだので、あっさりした感じがした。
スノーボールとナポレオンという指導者が、トロツキーとスターリンを指してるを指していることは一目瞭然だった。政争に勝ったナポレオンが暴君のようになっていく過程が不気味であり、面白かった。
ジュリアという砂糖とリボンが好きな雌馬が、個人的には好きだった。資本主義を代表しているような感じがして。
付録には、動物農場がなかなか出版できなかった経緯が語られている。また、ウクライナ語の序文では、出版までの経歴が語られている。
Posted by ブクログ
本の三分の一が解説(読んでない)
これからどうなっていくの?と思ってたら突然終わったのでびっくりした。
風刺的な物語なのは想像つくけど、歴史が苦手だからうーん。わからない。
Posted by ブクログ
「1984」で有名なオーウェルだが、個人的には初めて読んだ。農場の動物たちが農場主の人間に反抗して追い出し、動物たちの自治を獲得しながらも、その理想主義的な理念が次第に独裁へと変わっていく様子を「おとぎばなし」として描いている。ロシア革命やソ連内部の路線闘争について詳しくないが、それでも、スターリン派とトロツキー派の抗争とか、残虐な粛清のことだと分かる。おそらく、当時の人たちは、もっとリアルに反ソ的な内容だと分かったのだろう。
独裁者、特権階級、彼らを守る暴力装置たる軍隊・警察、それに対し、革命の理念をあくまで維持しようとする者、現実を理解しながら見て見ぬふりをする者、ニヒリスト、右往左往する大衆などが出てきて、社会主義革命の裏の一面を鋭く描いている。
Posted by ブクログ
自らの意思によって革命によって人間からの支配に解放された農園の動物たち。
その中で新たなリーダーになったのは、他の動物に比べて高い知能を持つ豚たち。
他の動物たちは豚のことを仲間であると信じているからこそ、ナポレオンの搾取に耐え続け働いた。
しかし、支配者が人間から豚に変わっただけであり、知能の高いものが低いものに対して権力を使い、労働を強いるという状況に変わりはないのだ。
みんなのために人一倍働き続けたボクサーを売り飛ばしたシーンが強く印象に残る。それは最初にメジャーじいさんが語った、人間の馬に対して行うことと同じであったからだ。
そして豚は二足歩行をし始めた。
二足歩行は動物の敵であるはずなのに。
ベンジャミンが本当に死なないのならば、彼は以前にこのよう革命がおきても支配者が変わるだけという体験をしたのではないだろうかと思った。