【感想・ネタバレ】動物農場 ――おとぎばなし――のレビュー

あらすじ

悪い人間を追い出してけものたちが築くユートピア。「すべての動物は平等である」と七戒を掲げ、革命歌のもと産声をあげた動物農場。だがやがて、ぶたたちの奇妙な振舞が始まる──ソビエト神話の実態を知らせ、スターリン体制の粛清を暴いた、『一九八四年』と並ぶオーウェル(一九〇三―一九五〇)の名高い寓話。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった…..
ナポレオンはわたしの会社の課長をみているようだった………そりゃ世の中、良くならないよね……..。七戒の文字が足されていくのがやばかった。記憶と思い出って、想像よりも随分と脆い。 

読後、付録のオーウェルの言葉を読んで、史実どどこが重なるか具体的に知れて、それも興味深かった。確かに当時出版するのは大変だったんだろうなぁ……

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2024年04月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった。スターリン時代のロシア情勢の風刺らしい。興味湧いたからあとで調べよう。知ってて読んでたらまた違った印象かも。物語としては寓話として良質だった。希望を胸に奴隷農場から独立したのに結局独裁者が生まれて奴隷農場に逆戻りってオチが良かった。

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2024年04月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

邪魔な人間を追い出し、動物たちだけの理想の暮らし!……かと思いきや。どんどん雲行きが怪しくなり、物語が進むにつれ気分は沈んでいった。ぶたが「ふたつあし」になり、人間とトランプに興じる最後のシーンは心底ゾッとした。イカサマが露見している以上、ぶたと人間の関係悪化もそう遠くない未来の話だろう。その時にはもう一度反乱が起こるのだろうか? 今度は誰を指導者にして?

動物の間にどうしても知性の差がある以上、誰かが指揮を執る必要があったとは思うが、公共的なリーダーというものが本当に存在し得るのかは疑問だ。結局はその善性に賭けるしか無い。だからきっと、ひつじのように利用されないように、大事なのは自分で考えることを止めないことなのだろう。自分たち「人間」の世界においても。

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2020年11月02日

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ネタバレ

本作品もテーマが著者オーウェルの代表作「1984年」の中で描かれる「ニュースピーク」に重なる。

それは「全体主義の恐怖政治」において、法(作中では7つの掟)や歴史の解釈(作中では追放された元リーダーのスノーボールが活躍した事実)がこっそり政治の中枢で改訂され、それが知識人らによって流布され、大衆が簡略化されたスローガンを連呼して全体主義が浸透していくという流れ。

資本家の象徴として描かれる元荘園主を追い出して動物による動物のための農場を作ったリーダーのナポレオンだったが、最後は隣接する農園主の人間と密会を重ねるうちに豚のナポレオンが2本足で歩くようになり、服を着るようになり、人間と見分けがつかなくなっていく。
これは労働者のリーダーのはずのスターリンが資本主義国家の英国や米国首脳と会談を重ねて彼らに同化していく様子を風刺している。

オーウェルは言う。
【現代の戦争】とは、支配集団が自国民に対して仕掛けるものであり、戦争の目的は領土の征服やその阻止ではなく『支配構造の保持』にある、と。

そして法や歴史的解釈、ニュースの真相といった政治的教養は、いかにマスコミやフェイクニュース、プラットフォームのアルゴリズムによって自在にプロパガンダに変貌しうるのかを示している。

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2023年12月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

岩波文庫と中央公論新社(絵付き)を併読。オーウェルがなぜこれを書いたのかを学びつつ「おとぎばなし」を読めてよかった。人間を追い出した動物たちの農園でも、やはり支配する側とされる側の構図は変わらない。権力者は利権を守ること、支える側をいかに従えるかが命題となる。自分も支える側の一人として、闘った多くの動物よりも、現状の中にあった喜びを求め農園を出て行った馬のモリーが印象的だった。様々な立場と力量で考え動く動物たちを、読み手のように一歩引いて俯瞰でみることって大事だなと思った。

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2023年11月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

一気に読み切れました。
なんとも言えないもどかしさが続きながらも、最後の反乱を期待しつつ一気にに読み切らされたという感じです。
動物に擬態化することで切なさや滑稽さが自然に感じられました。

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2023年05月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 動物たちが自由を求めて立ち上がるも、徐々に獲得した自由が束縛されていき、結局は最初の状態に戻っていく..
 ..といった内容に共産主義批判にテイストした内容。


 アイロニーでシニックな文章を好む人にオススメ

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2022年09月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

動物たちが反乱をおこして人間を追い払う。
そして独立した「動物農場」はどのような共同体になっていくのか?
1945年に出版された作品で、
ソビエト連邦の真実をあぶりだしたようなおとぎ話だということです。

以下、ネタバレありです。

人間に完全に支配されている動物たちの蜂起は、
はじめ平等と平和という理念のためでしたが、
反乱が成功してからはちょっとずつ変容していく。
知識階級が牛耳るようになっていくのが
悪い方向へ行く徴候なのだけれど、
外敵がいるから知識階級が指示をだしたり計画を練る立場に
ならざるをえないんですよね。
そして、知識層の「ぶた」たちには公共心が薄いところが、
他の動物たちにはみえていなかった。

知識階級が権力を手中にするのをためらわず、
そしてその権力欲と支配欲を詭弁をつかってめくらまししつつ、
いつのまにやら支配体系ができあがっていく。
平民にはわからないインテリ言葉で彼らを欺きながら、
ウソも用いて、洗脳とも言えるようなことをし、
さらに暴力で脅かして掌握するという方法。
ソ連とスターリンの風刺だそうです。

人間、頭が回らない老人になっても
「ずるさ」ははっきり残るひとには残るし、
頭の回転が速くて人生の全盛時にいるようなひとも
「ずるさ」から離れられないひとは離れられないし、
そういうひとたちって多いと思う。
公共心の有無だとか強弱ですかね。
人間の「ずるさ」という根本的な性質が、
共産主義なんかを成立させないポイントだと思ったり。

そういうのもありますから、
インテリ層が力を与えられて、
計画を練り政策を行うということになったとき、
彼らに求められるのは、
公共心をはっきり持てないならば、
「善いことをしているときには、
悪いことをしていると思ってやんなさい」
という吉本隆明的、ポール・ヴァレリー的姿勢なんじゃないか。

動物農場のインテリ層が権力を牛耳り始めたのには、
「俺たちは善いことをしているのだから、
ちょっと悪いことをしてもいい」という
モラルライセンシング効果が働いたとみることも
できるんじゃないだろうか。
そして、それは、ソ連にも当てはまるのかもしれない。

根本的な「ずるさ」とモラルライセンシング効果が重要でしょうか。
反乱をおこして、
外敵がいるからインテリ層が指導します、としても、
そこで権力をふところにしまいこむのが間違いだ。

でも、
そこで間違わないやつのいない世界がどこにあるんだ!?
と思うほうなんですよね、ぼくは。

読んでいくと、どんどん腹が立つし、
最後までいくと義憤にかられます。
サブタイトルに「おとぎばなし」と題されていますが、
そういう単純化されてわかりやすいからなお、
憤りを感じるのだと思います。

この「動物農場」で展開されることは、
パロディですけれども、
現代にも通じることだし、
その根っこのところは常につかんでおきたいものです。

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2025年07月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ソビエトを風刺した寓話的作品。

1984の後に読んだので、あっさりした感じがした。

スノーボールとナポレオンという指導者が、トロツキーとスターリンを指してるを指していることは一目瞭然だった。政争に勝ったナポレオンが暴君のようになっていく過程が不気味であり、面白かった。

ジュリアという砂糖とリボンが好きな雌馬が、個人的には好きだった。資本主義を代表しているような感じがして。

付録には、動物農場がなかなか出版できなかった経緯が語られている。また、ウクライナ語の序文では、出版までの経歴が語られている。

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2025年09月10日

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