ジョージ・オーウェルのレビュー一覧
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ジョージ・オーウェルが何を思い描き「動物農場」や「1984」を綴ったか、そして彼の生活を愛する様子がエッセイや手紙を通して語られている。
彼は意外にも愛しく思う女性と結ばれ、家庭を持ち、親しい友人と適度な頻度で文通していた。全体主義を文学的に批判する様子を見て、鋭い洞察力を磨き、鍛練に勤しんでいる、若干ではあるが冷徹な人であると思い込んでいた。
しかし、本書を読み終えて、彼もイギリスで貧しいながらも執筆を積み重ね、また、その中で戦争や貧困、ファシズムを経験し、苦労の末に書き上げた一作なのだと理解することができた。
文学者の生涯を追いつつ、彼らの思いを想像するというのも粋な体験だなと思った。 -
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弟の知り合いが人生を変えた本(高校生の時に読んだらしい)と言っていたということを聞き、気になって熟読。
とても衝撃的な内容で、人生を変えるのも納得。
文章がストレートで無駄がなく、かつテンポが良いため先が気になりあっという間に読んでしまった。
ストーリーの前半は「〜していたそうです」という文体が展開が進んでいくにつれて「〜と確信しました」「〜がわかっていました」と徐々に根拠の無い出来事があたかも事実であるかのように言いくるめられているところが恐怖である。
色々な観点から沢山のことを考えるが、まず2点、無知であるということ、間違っていると思っても自分の意見(丸め込まれないように言い返す術が必要で -
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権力や平等をテーマに書かれた風刺的な寓話。
人間の支配から自由を勝ち取った動物たちが自ら農場を運営するようになるが、その中で権力や階級が生まれていく。権力社会や権力国家を批判した作品。
力を持った途端私利私欲にまみれていく賢い豚や、そのお零れに群がる手下、搾取されてるとは思いもせず働き続ける馬や羊、鶏などの愚かな動物たち。
支配者が人間から豚に変わっただけで動物たちの生活は何も豊かになっていないのに自分たちは豊かになっていると洗脳され続けている様子が中々グロい。1番の働き者だった馬のボクサーが過労に倒れた時も、労られることなく馬肉やらに加工され、支配者にとって労働者は捨て駒に過ぎないのだと痛 -
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「戦争は平和なり、自由は隷従なり、無知は力なり」というスローガンのもとに、「ビッグ・ブラザー(偉大なる兄弟)」が心身ともに国民を支配するディストピア世界に抵抗する一人の男の話。
半世紀も前に書かれた小説なのに、ここ最近のマスメディア(SNS含む)の騒動に通じるものを感じる。
この本が「予言の書」と呼ばれる所以だろうか。
ロシアによるウクライナ侵略戦争が始まってすぐぐらいの時のロシアでこの本が発禁になり、戦争を反対する人がストリートで売っていたのをテレビで見た(今は禁止されていないそうだが、良くも思われていないらしい)
本を売っていたあのおじいさんはご無事だろうか。
発禁になるのも納得の内容 -
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購入済み
代表作動物農場や1984年に繋がる本作はスペイン内戦に従軍した記録でもある。一流の文筆家でもあるオーウェルはウィットに富んだ、どことなくクールな筆致で書いてますが、体験していることは壮絶です。
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立場上、学生に「どうして勉強をしなくてはならないのか?」訊かれることがある。これにシンプルに答えるのは難しい。
頭脳労働と社会運営を他者に任せきりにした動物達の行末を描いたこの本は、その回答のひとつとして比較的分かりやすいと思う。
知識を蓄えること、頭を使うことの重要さが、全体主義への風刺を込めて描かれている。学生にこそ読んでもらいたい。
本書を読んでしまうと、会社員と家畜をかけて"社畜"と呼ぶ皮肉はそう笑えない。自分のために生きることを決意しなければ、本当に豚と人間の見分けがつかなくなってしまう。
また、トップさえすげ替えれば自分の暮らしは良くなるに違いないと信じる考え -
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前半のパリでは、高級ホテル、高級レストランで働いていた筆者がその裏側のとんでもないカオスぶりを面白おかしく描き出す。人物描写が巧みで、活気にあふれた破茶滅茶な喧騒があたかも目の前で起きているかのような臨場感。どんちゃん騒ぎのパリ、ちょっとみてみたい。
後半のロンドンは、浮浪者に身を窶した筆者の、まさしく放浪記である。魅力ある浮浪者仲間の生き様はときに明るく読める瞬間もあるが、根本的にはイギリスの制度上の問題や大衆の意識について、鋭い疑問を投げかけている。
ブレイディみかこ氏の「労働者階級の反乱-地べたからみた英国EU離脱-」でも似たようなことが述べられていた点は非常に面白い。
本書は約100 -
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開高健が言及していた (と記憶している) 『象を撃つ』を目当てに購入した。
せいぜい十数ページのエッセイにこれほどまでに魅了されるとは思ってもいなかったのだが、その卓越は凡そ次のようなところだろう。
ライフルで頭部を撃たれた象はその肢体から力を失い頽れる。殺到するビルマの群衆。なかなか事切れない象にさらに銃弾を撃ち込むも血が溢れるばかりで、あまりの痛々しさにその場から逃げ出してしまう。オーウェルにその引き金を引かしめこのスペクタクルを演出したのは、白人は主人然としてなければならないという情けない矜持だったのだ。オーウェルにそれなりに深い罪の意識を植え付けたのがいかにつまらない動機だったか。そ -
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ジョージ・オーウェルの評論集。
16編の短編が4部構成で収録されている。
1部ではオーウェルの鋭い視点や先見性、2部から3部ではその表現力や観察力、4部では人間らしさが垣間見える構成になっていると感じた。
どれも大体70年前くらいに書かれた作品であるが、現代を生きる上でも大切な知恵が得られる本だと思った。
特に印象に残っているのは以下の4作。
表題作「あなたと原爆」
10ページ程度だが、内容はページ数以上に濃く、本の初めから圧倒された。
オーウェルの鋭い視点や思考、先見性が凝縮されているように感じ、この最初の作品だけでもこの本を読んでよかったと思えた。
WW2終戦の年に、核兵器の出現によっ -
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言わずと知れた『動物農場』『1984年』の著者、ジョージ・オーウェルのエッセイ!どんな人なのかと思ったら、回顧主義者のちょっとメンドクサイおっさんで、食器洗いに苦心している庶民的なところもあり、全文通して真面目な文体なのにめっちゃ面白い人だった(interestingというよりfunny)!
第2部の『ジュラ島便り』はジョージ・オーウェルが知人にあてた書簡をとりまとめたものなのだけど、この時に、あの『1984年』を書いていたんだなぁ、と思うと不思議な感じです。この手紙を書いた2、3年後には亡くなってるんですよね。人生は短い。
もし、ジョージ・オーウェルが現代に蘇ったら、私なら間違いなく、い -
購入済み
実体験を本に
スペイン内戦の実体験を描いた本。代表作の1984年や動物農場はこの体験をもとに書かれたのだ ということに納得がゆく。
前半はいささか間の抜けたところもある戦闘の話だが、中盤後半に至ると単なるファシズムと民主主義の戦争ではなく共産主義 無政府主義など様々な政治勢力のエゴの争いだという実態が露わになってくる。
イギリス人らしいややユーモアを帯びた文体でこのような惨状を淡々と描き出している。
主義主張が直接表に出ないだけに考えさせられる事の多い作品。 -
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物語形式で誰でも読みやすい。
シンプルなようで非常に面白い。
国と大衆のありようが非常に鋭く描かれている。
無残なほどにおバカな動物達と、いつのまにか全体にとっての正義が利己的な利益の追求にすり替わりつつも、これは全体のための犠牲であるという、このように客観的に見れば、アホらしく思えることも、現実世界では実際に起こっていることだと思うと、ただただ笑ってはいられなくなる。
最後の「ボクサー」という豚の末路は、悲惨すぎて只事ではないように思えるが、これは現実の世界でも今起こっていることだ。
今や古典的ロングセラーであるこの本も当社は出版社がなかなかokを出してくれず、出版もスムーズではなかった。し -