秋元孝文の作品一覧
「秋元孝文」の「あなたと原爆~オーウェル評論集~」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「秋元孝文」の「あなたと原爆~オーウェル評論集~」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
ビジネス・実用
Posted by ブクログ
なんと20世紀のアメリカとソ連の、あの状態を世界で始めて「冷戦」という言葉で評したのが、ジョージ・オーウェルで、しかもそれが掲題作の「あなたと原爆」なのですよ!しかもしかも、日本に原爆が落とされた、たった2か月後に執筆されたのだとか!
そんな鋭い洞察力のジョージ・オーウェルの評論集のひとつが2019年に出版された本書。評論集は数あれど、絶版になってしまった本も多い中で、今現在の時流に合わせて読むべき評論を絶妙なチョイスで編纂していて、あとがきに解説も添えて一冊の本にまとめて上げて出版してくれたことに感謝しかないです!めっちゃ面白かったです!当時のヨーロッパ事情をよく知らないので、ちょっとわかりにくいところはありましたが(トーリー主義ってなに?トロツキストってどっち寄りの主義の人たちだっけ?とか)、(オーウェル定義の)ナショナリストの性質とか、反ユダヤ主義者の特徴とか…なんか身近な気がするんですけど〜!
あとがきでも指摘されていたけれど、ジョージ・オーウェルはすごい「現場の人」なんですよね。パリで貧乏生活したり、スペインで戦争に参加して銃で喉を撃たれたり。だから、頭でっかちなインテリが大嫌い。
インテリではないけれど、世間知らず&苦労知らずな自分も批判されていてるように感じて、身が引き締まります!めっちゃ良書でした!次読むオーウェルの本はどれにしようかな?と、今わくわく中です♪
Posted by ブクログ
開高健が言及していた (と記憶している) 『象を撃つ』を目当てに購入した。
せいぜい十数ページのエッセイにこれほどまでに魅了されるとは思ってもいなかったのだが、その卓越は凡そ次のようなところだろう。
ライフルで頭部を撃たれた象はその肢体から力を失い頽れる。殺到するビルマの群衆。なかなか事切れない象にさらに銃弾を撃ち込むも血が溢れるばかりで、あまりの痛々しさにその場から逃げ出してしまう。オーウェルにその引き金を引かしめこのスペクタクルを演出したのは、白人は主人然としてなければならないという情けない矜持だったのだ。オーウェルにそれなりに深い罪の意識を植え付けたのがいかにつまらない動機だったか。その描写に力点が置かれている。
母国の帝国主義を憎みながらも若さゆえに支配者たる白人像と決別しきれず、結果帝国主義とビルマの群衆に踊らされた著者の告白が、白人支配の虚しさとして結実している。
その他のエッセイも概ね面白かった。
物書きという職業にどう向き合っているかについて著者は、時代が彼や人々に要請する公的な事柄と彼の内的な好き嫌いを和解させることが使命だという。
「子どもの頃に手に入れた世界観を完全に捨て去ることは私にはできない」
時に文学的均整を、また時に政治的目的を劣後させながらも伝えたいことを伝える。その姿勢に好感を持った。
Posted by ブクログ
ジョージ・オーウェルの評論集。
16編の短編が4部構成で収録されている。
1部ではオーウェルの鋭い視点や先見性、2部から3部ではその表現力や観察力、4部では人間らしさが垣間見える構成になっていると感じた。
どれも大体70年前くらいに書かれた作品であるが、現代を生きる上でも大切な知恵が得られる本だと思った。
特に印象に残っているのは以下の4作。
表題作「あなたと原爆」
10ページ程度だが、内容はページ数以上に濃く、本の初めから圧倒された。
オーウェルの鋭い視点や思考、先見性が凝縮されているように感じ、この最初の作品だけでもこの本を読んでよかったと思えた。
WW2終戦の年に、核兵器の出現によってわずかな超大国が世界を分ける「平和なき平和」の到来を予想しているが、まさに世界はその通りとなった。後から書いたのではないかと疑ってしまうほどに素晴らしい評論だった。
「科学とは何か?」
理系的な意味での科学偏重に傾く社会を具体例に、広い教養を持つことの重要性を説いている。広い教養を持たなければ、正しさは得られないのかもしれないと感じた。
「イギリスにおける反ユダヤ主義」
反ユダヤ主義という差別の状況をふまえ、理性と感情のねじれが記されている。ナチスの反ユダヤ主義が発覚したせいで反ユダヤ主義というものが消えなくなったという着眼点は非常に興味深い。様々な差別問題に対する現代人の態度にも同じことが言えるように思い、戒めにしたいと思った。
「ガンジーについて」
他人に対しても家族や友達のように平等に接するべきと言った考えをはじめとした聖者のようなガンジーの主張に対し、「特定の人を他の人間以上に愛するからこそ愛」であり、人間ならば聖者であることも避けるべきという主張はとても人間味にあふれていて共感できた。
特にp271、11行目「人間であることの本質とは、完璧を求めないこと...」から始まる一文はとても素敵で印象に残った。