秋元孝文のレビュー一覧
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なんと20世紀のアメリカとソ連の、あの状態を世界で始めて「冷戦」という言葉で評したのが、ジョージ・オーウェルで、しかもそれが掲題作の「あなたと原爆」なのですよ!しかもしかも、日本に原爆が落とされた、たった2か月後に執筆されたのだとか!
そんな鋭い洞察力のジョージ・オーウェルの評論集のひとつが2019年に出版された本書。評論集は数あれど、絶版になってしまった本も多い中で、今現在の時流に合わせて読むべき評論を絶妙なチョイスで編纂していて、あとがきに解説も添えて一冊の本にまとめて上げて出版してくれたことに感謝しかないです!めっちゃ面白かったです!当時のヨーロッパ事情をよく知らないので、ちょっとわか -
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開高健が言及していた (と記憶している) 『象を撃つ』を目当てに購入した。
せいぜい十数ページのエッセイにこれほどまでに魅了されるとは思ってもいなかったのだが、その卓越は凡そ次のようなところだろう。
ライフルで頭部を撃たれた象はその肢体から力を失い頽れる。殺到するビルマの群衆。なかなか事切れない象にさらに銃弾を撃ち込むも血が溢れるばかりで、あまりの痛々しさにその場から逃げ出してしまう。オーウェルにその引き金を引かしめこのスペクタクルを演出したのは、白人は主人然としてなければならないという情けない矜持だったのだ。オーウェルにそれなりに深い罪の意識を植え付けたのがいかにつまらない動機だったか。そ -
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ジョージ・オーウェルの評論集。
16編の短編が4部構成で収録されている。
1部ではオーウェルの鋭い視点や先見性、2部から3部ではその表現力や観察力、4部では人間らしさが垣間見える構成になっていると感じた。
どれも大体70年前くらいに書かれた作品であるが、現代を生きる上でも大切な知恵が得られる本だと思った。
特に印象に残っているのは以下の4作。
表題作「あなたと原爆」
10ページ程度だが、内容はページ数以上に濃く、本の初めから圧倒された。
オーウェルの鋭い視点や思考、先見性が凝縮されているように感じ、この最初の作品だけでもこの本を読んでよかったと思えた。
WW2終戦の年に、核兵器の出現によっ -
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オーウェル、鋭いっ!
と言いたい場面が多々あった。
『スポーツ精神』では、スポーツとは本来的に競争であって銃撃戦のない戦争と変わりないとバッサリ言い切られる。オリンピックに浮かれる日本に水を差されているみたいだがその通りかもしれない。韓国とこんな風になっている時にオリンピックをすることにいささか恐怖を覚えた。
「サッカー場での清く健康的な対抗意識や、国民を統一するためにオリンピックが果たす多大な役割について戯言を言うよりも、現代のスポーツ崇拝がどのように、そしてなぜ、起こったのかを問うてみることの方が有益だろう。」
なぜかというと、スポーツは
「自分自身をより巨大な権力の単位と同一化して全てを -
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全部で16篇のエッセイ。良かったのは、以下の5篇
Ⅰ
あなたと原爆
復讐の味は苦い
Ⅱ
象を撃つ
Ⅲ
イギリスにおける反ユダヤ主義
Ⅳ
ガンジーについて
1945年10月19日にトリビューン紙上に発表された表題作は、原爆投下の僅か2ヶ月後に、米ソ両超大国間の冷戦を予言したもので、冷戦(Cold War)という言葉自体、このエッセイが世界で初出らしい。フランス革命に対するエドマンド・バークの省察といい、イギリス人知識人の先見性は大したものだと思う。
「ガンジーについて」では、聖人視されることの多いガンジーは、聖人ではなく、イギリスからのインドの平和裡の独立を最終目的とする政治家である、と -
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毎年8月は太平洋戦争(第二次大戦を含む)とりわけ原爆について書かれたものについて読むことにしてるんです
と言っても今年で2年目ですがw
8月になると急にそんなこと言い出すのは偽善的な匂いもしちゃいますが、まぁなんにも考えずにいるよりは、はるかにマシかなとも思うのですよ
ちなみに去年は『ある晴れた夏の朝』を読みました(これは本当に良書なんで特に中高生にはもう強制的にも読ませたいです)
で、今年はその段階で本書を読もうと決めてたんですが、ちょっと思ってたのと違った
もっと原爆についてたくさん書かれてるんかと思ったら違かったです
それでも、第二次大戦前後に書かれた評論集は戦争について多くのこと