【感想・ネタバレ】カタロニア讃歌のレビュー

ジョージ・オーウェル / 高畠文夫

1936年、スペインに成立した左翼系共和政府に対して、右翼勢力はフランコを指導者に反乱を企てた。独・伊のファシズム勢力はこの反乱をバックアップしたが、英・仏は不干渉政策をとった。これがスペイン内乱である。共和政府を支持したのはソ連と、各国から自発的に参加した義勇軍であった。当初記事を書くためスペインを訪れたオーウェルはこの義勇軍に一員として加わり、実際の戦場へ。彼がそこで見たものは……20世紀を代表するルポルタージュの記念碑的作品!

[こんぺいとう · ★★★★★]

代表作動物農場や1984年に繋がる本作はスペイン内戦に従軍した記録でもある。一流の文筆家でもあるオーウェルはウィットに富んだ、どことなくクールな筆致で書いてますが、体験していることは壮絶です。

[じゃがいも · ★★★★★]

実体験を本に

スペイン内戦の実体験を描いた本。代表作の1984年や動物農場はこの体験をもとに書かれたのだ ということに納得がゆく。
前半はいささか間の抜けたところもある戦闘の話だが、中盤後半に至ると単なるファシズムと民主主義の戦争ではなく共産主義 無政府主義など様々な政治勢力のエゴの争いだという実態が露わになってくる。
イギリス人らしいややユーモアを帯びた文体でこのような惨状を淡々と描き出している。
主義主張が直接表に出ないだけに考えさせられる事の多い作品。