ジョージ・オーウェルのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ディストピア小説ととして有名なお話
原作は1949年に刊行
そして作者の命日が1950年1月21日(46歳没)
作者は、数十年後に世界がこんな風になっていると思っていたのかいなかったのか……
執筆された当時、世界はアメリカとソ連の二大勢力が対立する冷戦へと突入していた時期
ビッグ・ブラザーのモデルはソ連のスターリンなのでしょうね
東側諸国の全体主義の脅威に対する警鐘という意味合いをどうしても読み取ってしまう
作中の世界の現状
オセアニア、ユーラシア、イースタシアの三つの大国による戦争が起こっていると思われる
オセアニアの旧イギリスに住む党員は、テレスクリーンと呼ばれるモニタに党のプロパガンダ映像が常に流れ、内蔵されているマイクやカメラで常に監視されている生活
主人公のウィンストン・スミスは、党の発表した情報と現実の齟齬に対して、過去の記録を改竄する事で整合性を保つ省庁に勤務している
そんな生活の中、禁止されている日記を記録として残そうとしているところから物語は始まる
公に手に入れられる情報は過去に遡って改竄させられたもの
何が事実で真実かがまったくわからない社会
既存の言語は、ニュースピークと呼ばれる言語に置き換えられつつある
不適切な単語や不要な単語を排除し、簡略化した言語
人は存在しない言葉ではその事について考える事はできず、言語により思考の枠を決められている
ダブルシンク(二重思考)と呼ばれる、「矛盾した2つの信念を同時に持ち、同時に受け入れる」という思考能力がオセアニア国民には要求されている
二分間憎悪という、毎日仕事を中断してホールに集まり、大きなテレスクリーンの前で、党と人民の敵に対してありったけの憎悪を見せなければならない日課が課せられている
もうこの設定だけでもディストピア小説とわかる
そんな社会でもレジスタンスのような存在が噂されているが、実在するかは不明
また同じく、ビッグ・ブラザーの存在も確かではない
主人公のウィンストン・スミス
日々の生活に不満があるのかないのか
過去に目にした一枚の写真が、彼の党への不審感の目覚め
読者としては、いっそのこと長いものには巻かれろ的な生き方をした方が楽に生きられるのにと思ってしまう
でも、それこそが全体主義の狙いなのですけどね
ジュリアはオブライエンの手先の可能性がある
拷問を受けたような形跡はあるだろうか?
ウィンストンに近づいたタイミングも怪しい
政治的な思想もないのが怪しいけど、でも人を騙す目的があるとしたら、その辺まむしろ作り込んだ設定で演じそうかな
まぁだとしても、ウィンストンは党が禁止している恋愛や性愛によるハニートラップに引っかかってる時点で反体制的な人物ではある
後半、三国の戦争状態の真実(?)がわかるあたり、ちょっと恐ろしい
こんな社会なので、権力というものは他人よりも多くを得たい
でも、その権力は何かの為の権力ではなく、権力の為の権力という構造になっているあたりがエグい
それでもオブライエンはそこそこいい暮らしをしてるように見えるし
純粋に権力のためだけの権力でもない気がするけどね
同じくディストピア小説として有名な「華氏451度」(レイ・ブラッドベリ)では、過去の文書の改竄まで行っているのかは不明だけど
不都合な書物は焼いている
もしかして、1984のような世界の前段階なのかもしれないなぁ
他の人も言及している通り、作中のような状況が現実でも起こっている
監視カメラの普及や、SNS上での言論統制(言葉狩り)
直接的な単語が規制されても、スラングで表現できてしまうので、ここまでは行っていないけど
それでも、作中の色々な事がこの時代になって顕在化しているのは恐ろしい事ではある
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ディストピア小説の最高傑作。圧倒的リーダビリティの新訳版!解説・内田樹
1984年、世界は〈オセアニア〉〈ユーラシア〉〈イースタシア〉という3つの国に分割統治されていた。オセアニアは、ビッグ・ブラザー率いる一党独裁制。市中に「ビッグ・ブラザーは見ている」と書かれたポスターが張られ、国民はテレスクリーンと呼ばれる装置で24時間監視されていた。党員のウィンストン・スミスは、この絶対的統治に疑念を抱き、体制の転覆をもくろむ〈ブラザー連合〉に興味を持ちはじめていた。一方、美しい党員ジュリアと親密になり、隠れ家でひそかに逢瀬を重ねるようになる。つかの間、自由と生きる喜びを噛みしめるふたり。しかし、そこには、冷酷で絶望的な罠がしかけられていたのだった――。
全体主義が支配する近未来社会の恐怖を描いた本作品が、1949年に発表されるや、当時の東西冷戦が進む世界情勢を反映し、西側諸国で爆発的な支持を得た。1998年「英語で書かれた20世紀の小説ベスト100」に、2002年には「史上最高の文学100」に選出され、その後も、思想・芸術など数多くの分野で多大な影響を与えつづけている。
解説・内田樹
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Posted by ブクログ
途中まではオーディブルで聴き、最後は岩波文庫からの単行本を購入して読んだ。
オーディブルの口コミでナレーションが絶賛されていたので聴いてみたら、確かにとても聴きとりやすく、動物それぞれ声質まで違いすごくよかった!やっぱりプロってすごい!
ただオーディブルは早川文庫のもので、翻訳が残念だった。物語の根幹にも関わる大事な用語(荘園農場)があえてなのか翻訳されておらず、メイナー農場となってて、固有名詞に聞こえてしまう。更に物語が悲劇的展開を迎えていくその最中「ギャロップした」といきなりのルー大柴調、ずっこけそうになった。意味は分かるけど、心音を表す時くらいしか聞いたことないよ!と思わず心の中でつっこみを入れる。それで岩波文庫のものを買って読んでみたらこちらの翻訳はとてもよかった。
付録の部分では、オーウェルの人生やどのような経緯で本書を書くことになったのか、オーウェル自身の言葉で語られている。更に時代背景も記されていて理解が深まった。
オーウェルがこの本を書いた目的は「ソヴィエト神話の正体をあばくこと」であった。
物語では人間に支配されてきた農場の動物が、全ての動物が平等な、動物のための自立した農場をつくるという高尚な理念の下で立ち上がった。
当初はうまくいっているようだったが、徐々に動物の中で特権階級と被支配階級に分かれていき、段々その差が歴然としてくる様子が分かりやすく描かれていた。
本書を読んで「ある人間の本当の性格を知りたければ、その人に権力を与えてみよ」というリンカーンの格言を思い出す。
権力を組織のためではなく、己のためにしか使わないような者がリーダーになってしまうと組織は腐敗する。
独裁社会がどのように形成されていくのか分かりやすく描かれていた。
恐怖を与え、孤立させ、情報を統治し、共通の敵をつくること、そして諸悪の根源はその敵のせいだと被支配階級の動物たちへの洗脳を繰り返す。やがてそこには感情が麻痺し思考することのない機械のような労働者たちがたくさん仕立て上げられていた。
この話はソ連への批判だけには留まらず、大なり小なり現代の我々の社会にも通じるところがあった。
決していい気分になる内容ではないけど、歴史を繰り返さないためにどうすれば良いのか考えさせられる本だった。 -
Posted by ブクログ
「1984」で有名なジョージオーウェルによる、底辺生活の体験ルポである。彼自身はアッパークラスの出身で超名門イートン校を出ているエリートである。どういうわけか、パリとロンドンで、その日暮らしの肉体労働に就き、周りの様子などを克明につづっている。一部フェイクになっているようだが、当時の労働者の暮らしぶりを描く貴重な本らしい。
パリではホテルの厨房で皿洗いをした。地下の蒸し暑いところでの過酷な労働、パリの道や厨房の不衛生さが生々しい。なけなしの賃金は煙草を買うかパンを買うかの選択のようだ。ロンドンでフリーランスライターの仕事を見つけ移るが、そこでも浮浪者用宿泊施設を毎晩転々とする(1泊しか泊まれない)。なかなか強烈な体験だが、表現の端々にそこはかとなく気品がにじみ出てしまっている。
とても面白かった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ人間から虐げられていた動物たちが反乱を起こして理想の共和国を築こうとするものの、指導者となった豚の独裁によって、結局はかつてと変わらない(あるいはそれ以上に過酷な)支配体制へと変質していく過程を描いた寓話小説
【登場人物(キャラクターとメタファー)】
①指導者の豚たち(支配階級)
・老メジャー(Old Major):カール・マルクス、ウラジーミル・レーニン
12歳の中年豚(ミドルホワイト種)
賢く穏やかな外見で、すべての動物から深く尊敬されていた
人間による支配を「泥棒」と呼び、動物たちに反乱を説いて世を去る
老メジャーが語った「人間を排除すればすべての動物が平等で豊かな社会を築ける」という理想思想(動物主義)は、マルクス主義(共産主義思想)そのもの
・ナポレオン(Napoleon):ヨシフ・スターリン(ソビエト連邦の独裁者)
バークシャー種の大きな雄豚
獰猛な外見で、寡黙だが「自分の考えを押し通す」男として定評があった
密かに犬たちを獰猛な護衛犬へと育て上げ、武力によって農場を独裁支配する
都合の良い「歴史の改ざん」や武力(犬)を用いた「大粛清」によって反対派を次々と処刑し、自らを神格化していった過程が、ソビエトを武力で支配したスターリンと重なる
・スノーボール(Snowball):レフ・トロツキー
ナポレオンよりも陽気で、早口の演説が得意な独創的な豚
風車建設を計画し、動物たちのために数々の「委員会」や読み書きクラスを組織するなど、知的なリーダーシップを発揮する
スノーボールが農場を追放された後、すべてのトラブルや陰謀の責任をなすりつけられ、歴史から彼の功績(「牛舎の戦い」での活躍など)が改ざんされて消し去られた描写は、スターリンとの権力闘争に敗れてソ連を追放されたトロツキーと重なる
・スクイーラー(Squealer):ソ連のプロパガンダ機関(政府機関紙「プラウダ」など)
小柄で太った豚
甲高い声で喋り、難しい説明をする際には尻尾を振って左右に跳ね回る、極めて優れた説得力を持つ演説家
他の動物からは「黒を白に変えることができる」と評されている
指導者(ナポレオン)のいかなる横暴や贅沢も「すべて動物たちのためである」と言葉巧みに美化し、無知な労働者たちを洗脳し、壁の戒律を都合よく書き換え続けた「情報統制と世論誘導」の象徴
②農場の動物たち(労働者・一般市民)
・ボクサー(Boxer):従順で真面目な「プロレタリアート(労働者階級)」
巨大で非常に力強い馬車馬
少し頭は悪いが、粘り強く真面目な性格で、「俺がもっと働けばいい」「ナポレオンは常に正しい」という口癖のもと、風車建設などの重労働を身を粉にして支え続けた
ボクサーは、革命の理想を信じて国家に尽くしたものの、最後は年金も与えられず、豚たちによって馬の解体業者へ売り飛ばされてしまう、最も悲劇的な搾取の象徴
・クローバー(Clover):違和感を抱きつつも、抵抗の手段を持たない「一般市民層」
ボクサーを親身に看病する優しい中年期の雌の馬車馬
現状の農場の変化(粛清や不平等)に漠然とした悲しみや違和感を抱くが、自分の言葉でそれらを表現する知性(ボキャブラリー)が足りず、従うことしかできない
現状への批判的な思考力やそれを表現する言語能力を奪われ、全体主義に絡め取られていく無力な一般大衆を象徴している
・ベンジャミン(Benjamin):冷笑的で沈黙を守る「知識人・高齢市民」
気難しく滅多に笑わない、農場で最も年寄りのロバ
豚と同じくらい字が読める知性を持つが、「文字を読めて得なことは何もない」と静観し、反乱に対しても冷淡
「状況が良くなろうが悪くなろうが、人生の厳しさは変わらない」という諦念を持ち、全体主義の欺瞞を見抜きながらも何もしようとしない冷笑的な層を象徴している
しかし、親友のボクサーが解体業者へ連れ去られる土壇場になって初めて、必死に声を上げて周囲に警告を促した
・モリー(Mollie):革命に非協力的な「プチブルジョワ(中産階級・資産家層)」
バカで白い雌馬
働くことよりも、角砂糖を食べることや、たてがみに人間からもらった赤いリボンを飾ってうっとりすることに関心がある
反乱後、労働を嫌がって農場から脱走し、別の人間に飼われて満足そうに暮らした
革命運動によってそれまでのささやかな特権や贅沢を奪われることを嫌い、革命から離脱して西側諸国や旧体制の庇護へと逃れていった亡命者たちの象徴
・モーゼス(Moses):宗教(ロシア正教会)
ジョーンズ氏のペットだった飼いならされた渡りガラス
働こうとせず、死後にすべての動物が行くという神秘の国「シュガーキャンディーマウンテン(砂糖菓子の山)」についておとぎ話を聞かせる
豚たちは彼の話を「大嘘」と叩きつつも、なぜか農場に置くことを許し、ビールを支給し続ける
過酷な現実から民衆の不満をそらすための「天国の話(阿片としての宗教)」の象徴
初期の革命政府(豚たち)はこれを否定するが、やがて独裁が深刻化すると、労働者の不満のガス抜きのために教会・宗教勢力(モーゼス)を黙認し、体制維持に利用した
③周辺の人間たち(対外的な国家)
・ジョーンズ氏(Mr. Jones):ロシア皇帝ニコライ2世、旧支配階級・資本家
マナー農場の元の主
酒に溺れて荒れ、動物たちに餌をやらずに追放される
搾取を繰り返し、最後は自らの怠慢と無能によって国(農場)を追われ、二度と戻れなくなった旧体制の象徴
・ピルキントン氏(Mr. Pilkington):イギリスやアメリカなどの「西側民主主義国家」
隣の「フォックスウッド農場」の主
農場は荒れているが、本人は気楽で、釣りや狩りに大半の時間を費やしている
物語の最後、ピルキントンとナポレオンが和解のゲーム(テヘラン会談)を行いながらも、お互いに「スペードのエース」を同時に出して大喧嘩になるラストシーンは、第二次世界大戦後の米ソ冷戦の到来を予言している
・フレデリック氏(Mr. Frederick):アドルフ・ヒトラー(ナチス・ドイツ)
隣の「ピンチフィールド農場」の主
小規模ながらもしっかり手入れの行き届いた農場を経営しており、抜け目なく、動物に残酷な虐待をしていると噂されている
ナポレオンを偽札で欺いて材木を奪い、風車を爆破した
不可侵条約を結ぶフリ(材木取引)をしながら、突然裏切ってソ連に侵攻した独ソ戦(風車爆破の戦闘)を象徴している
【要約】
①反乱と「動物農場」の誕生
マナー農場の老豚メジャーは、人間こそがすべての搾取の元凶であり、人間を追い出せば動物たちは自由で平等な社会を築けると説き、反乱を促して世を去る
その後、農場主ジョーンズの怠慢をきっかけに、計画よりも早く動物たちの不意の反乱が成功し、人間たちは農場から追放される
農場は「動物農場」と改名され、最も知能の高い豚たち(特にスノーボールとナポレオンという2頭の若い豚)が指導的立場に立つ
彼らはメジャーの教えを「動物主義」という思想体系にまとめ、大納屋の壁に「すべての動物は平等である」を含む「7つの戒律」を書き記して、自分たちの手による自主運営をスタートさせる
②権力闘争と独裁体制の確立
農場の運営や風車建設をめぐり、行動的で雄弁なスノーボールと、寡黙ながら裏で根回しに長けたナポレオンの間で激しい意見対立が生じるようになる
スノーボールの風車計画案に対する決議の際、ナポレオンは密かに母犬から引き離して育てていた9頭の獰猛な犬を放ち、スノーボールを襲撃して農場から追放する
その後、ナポレオンは日曜日の会議をすべて廃止し、すべての意思決定を自身が率いる豚の特別委員会へと集約させ、恐怖による完全な独裁体制を確立する
③戒律の改ざんと粛清
ナポレオンをはじめとする豚たちは、かつて自分たちで禁じたはずの「人間との売買取引」や「農場屋敷への居住」を始め、ベッドでの睡眠、さらには酒(ウイスキー)を飲むといった特権や贅沢を貪るようになる
これらの行動に疑問や不満を漏らす動物たちに対し、豚の広報担当であるスクイーラーが言葉巧みな演説で丸め込み、壁の「7つの戒律」も豚の都合に合わせて「理由なくして他を殺してはならない」「シーツを敷いたベッドで眠ってはならない」などと密かに書き換えられていく
農場の様々なトラブルや風車の崩壊はすべて、追放されたスノーボールの陰謀のせいにされる
ナポレオンは犬の武力を用いて、かつてスノーボールの陰謀に協力した、あるいは不服従の意思を見せたとする動物たち(豚、鶏、羊など)に次々と自白を強要し、その場で犬に喉笛を引き裂かせる「大粛清」を断行する
農場で最も献身的に働き、どんな困難にも「俺がもっと働けばいい」「ナポレオンは常に正しい」と自分を追い込んできた馬のボクサーさえも、過労で倒れた末、豚たちによって病気治療の名目で馬の解体業者(肉粉・ニカワ製造業者)に売り飛ばされ、豚たちのウイスキー代へと変えられてしまう
④人間との同化と結末
年月が流れ、反乱以前の記憶を持つ動物はほとんどいなくなる
豚たちは、かつて敵と定義した人間のように「二本足」で歩くようになり、手に鞭を持ち、ジョーンズらの衣服を着るようになる
壁の戒律はすべて消され、ただ一つの歪んだ原則だけが残された
「すべての動物は平等である ただし一部の動物はもっと平等である」
農場名は元の「マナー農場」に戻され、豚たちは近隣の人間(農場主たち)を屋敷に招いて宴会を催し、対等な関係で友好を深める
最後、その様子を窓から覗いていた他の動物たちは、豚が人間のように見え、人間が豚のように見え、もはやどちらがどちらであるか区別がつかなくなっていることに気づき、物語は幕を閉じる -
Posted by ブクログ
ネタバレもう凄すぎて言葉が出ない。人々をシャ⚪︎付けにしてるみたいだ。人々から自由を奪うために党が全力を尽くしている。言葉を奪い、貧困にさせる。戦争をして、経済を低迷させ発展させない。なぜなら人々の生活水準を下げることが権利を維持させるから。いや、戦争すらしてないのかもしれない。勝手に爆弾を落としているだけかもしれない。党がこういえばこうなのだ。自分の精神は存在しない。党が全てだ。考える自由すらない。考えたとしても党の言うことにしなければならない。過去は存在しない。
希望が持てなさすぎる。でもそんな社会がきてもおかしく無い。いや、来ているのかもしれない。そんな社会に対抗するためには、考え続けなければならない。考え続けなければいずれこうなるだろう。20代前半で出会えたことに感謝だ。私たちが高校よころ勉強していて、なんの役に立つんだと思っていた。しかし、役に立たない情報を削除していった先にこの社会があるのかもしれない。効率とか、役に立つとかそれだけで削除するのは、恐ろしいことだ。言葉を無くすとは、考える範囲が狭くなる。狭くなった先に自由とは全く反対の事になっている。AI時代に突入し、なんでも答えてくれる世の中になりつつある。そんな世の中だからこそ警鐘を鳴らさなければならない。考え続けることができる幸福に感謝し、享受し伝えていかなければならない。 -
Posted by ブクログ
アレゴリーに富んだディストピア寓話。短めで読みやすいのに色んな示唆に富んでる。
社会主義の批判ではなく、意思決定者に倫理が問われるという話だと受け取った。理念を実行するには体制が必要になる。そこには運営者の意思が介在するので、人格化された手段が理念にとって変わることが起こり得る。これを抑止するためのシステムが権力の外側に必要とされるが動物たちは盲目あるいは事勿れ主義でなす術がない。
世界には別々の軸上の問題がごちゃ混ぜになっていて、それを解きほぐしていけば、目的の設定された構造的な問題は解決可能だが、目的や在り方自体を問う倫理的な問題は解決が難しいのだと思う。
別の軸の問題を混同すると、焦点がずらされて障害の根本原因ではない理念自体への批判にすり替わってしまう。理念の善悪と、それを実現するシステムの善悪と、システムを運用する人間の善悪は、別々に評価する必要がある。
全体として、根源的な人の欲への警鐘を感じた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレずいぶん前に買ったんですが内容が怖すぎて途中で積んでいた 今読むと余計怖かった
ディストピア物を読んでいるとこういう世界に生きてなくてよかったなと思うことがあるんですけど、一九八四年や侍女の物語ってそう思えないのが恐ろしい 現実が寄って行っている
昔はテレスクリーンとか人がモニターで逐一監視してるのかな、さすがディストピアは狂気的にマメだな〜とか思ってたけど今ならAIで出来てしまうだろうし…
こういう話に架空の歴史研究文書みたいなのがついてると嬉しいので巻末のニュースピークの部分があって良かった 米国の読書クラブから削るように要請された経緯があったそうで、オーウェルの反対によって残ったそう
ピンチョンの解説でも書かれていたけど、あの文章があることで後世ではあの寡頭支配体制は倒れたのでは?という可能性が出てくるのが希望が持てて良かった ピンチョンの解説すごくいいので読む人は解説飛ばさないで〜〜!!と思う -
Posted by ブクログ
読むべき小説に出会った。
『集団浅慮/古賀史健』で、「二重思考」の概念を知り、『1984年/ジョージ・オーウェル』に興味を持ったんだけど、「二重思考」はやっぱり面白かった。
この先の人生で、この小説は何度も私の思考に現れる気がする。
権力と嘘は親和性が高いよね。
権力って魅力的なんだろうな。
プロール(労働者階級)は「平等」を求めるって、この本が出版された当時と今と何も変わらないね。
「無知は力なり」
「戦争は平和なり」
「自由は隷属なり」
最後、「ニュースピーク」は過去のものとなり、ディストピアは終わったのだろうか。
それとも、別のディストピアが始まっているのだろうか。
二重の結末も最高に面白かった。
(以下、すぐにディストピアが何なのかわからなくなるのでAIに聞いた覚書。claudeより引用)
ディストピアって何?
「ディストピア」は、理想郷(ユートピア)の反対の概念で、抑圧的で望ましくない社会や世界を描いた言葉です。
特徴:
•全体主義的な支配や監視社会
•個人の自由や権利が厳しく制限される
•表面上は秩序だっているが、実は恐怖や統制で成り立っている
•格差、環境破壊、テクノロジーの暴走などが背景にあることも多い
代表的な作品:
•ジョージ・オーウェル『1984年』(監視社会・思想統制)
•オルダス・ハクスリー『すばらしい新世界』(快楽と管理による支配)
•レイ・ブラッドベリ『華氏451度』(思想統制と焚書)
現実社会への警鐘や批判として書かれることが多く、SFやフィクションのジャンルとしてもよく使われます。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ1984
政治小説としての完成度もさることながら、感情や自然も鮮やかに描き出す表現力にも驚かされた
世界は革命を経て中産階級がブルジョワジーににるという構造を何度も繰り返し、独裁も民主主義も封建制も長続きはしないし、人の生には限りがある
なので、ビッグブラザーという不滅の概念を作り出して寿命から逃れ、人々の記憶を外部にも内部にも残せぬようにし、ニュースピークという思考を狭める言語を開発することによって革命を不可能にする
それでも科学技術は失わぬように、人々には二重思考という正しいことを知りながら次の瞬間には間違ったことを辛抱できるような思考法を身につける
世界は常にパネルと個人と家族によって監視されていて、型からはずれた言動をする人は皆’愛上省"におくられる超監視社会
こんなディストピアに生まれた主人公が、日記を購入してビッグブラザーを貶すという思想犯罪を犯すところから始まる
疑心暗鬼と恐怖と期待を感じながら、同胞と敵を探す
最初は敵だと思っていた党へ献身的な女ジュリアにある日「愛してる」とメッセージをもらった主人公
森の奥地で出会い、2人はセッ久とビッグブラザーに反抗的な会話をする
2人は密会を続け、ジュリアの献身でまともな食料品を、主人公の冒険で隠れ家を得た
ある日同胞ではないかと期待を抱いていた党中軸の人間が主人公に対してアクションを起こした
パネルも無く、高級食品のある部屋で反抗勢力のリーダーが描いた本を受け取る約束を締結し、組織に入り忠誠を誓った
その本をジュリアに読み上げてから少しして、部屋に声が聞こえてきた
思想統制はされておらず自由に生きていると思っていたプロレタリアートの家主が、思想警察だったのだ
ここからは拷問の日々が始まる
オブライエン(同胞)も正統派だった
彼の忠誠心の強かった同僚も愛情省に送られる
殴られ、断食させられ、電流を流され、暗闇に放り込まれ、不潔を極めた場所で拷問を続けられる
「自白は本能だ」というようにジュリアとも留意を得ていた主人公は、それをオブライエンに見抜かれる
心身共にボロボロにされても、主人公は「現実と過去は自分の外部に存在すること(党は過去を失わせ現在のみを信じ込ませる)」を主張し続ける
オブライエンは教師のように主人公を電気ショックで痛めつけたりモルヒネを使ったりして、思想統制をする
苦しみが通常になるため、痛みを止めてくれるオブライエンは救世主かのようにもみえる
しばらく耐えていた主人公は、一時的なロボトミー手術のようなものを受けたことと、自身の変わり果てた醜い容姿を見たこととで心が折れてしまい服従した
独房で徐々に健康が戻っていく微々たる安心を感じながら、思想を党に寄せるために書き物をしていたとき、ふと、ジュリアへの愛を叫んでしまう
党はもちろん見逃さない
囚人の一番怖がるものを与える"101号"で、主人公はネズミに肉体を食わせる と脅され
ジュリアを罵倒して生贄に差し出した
主人公が唯一残していた愛情への忠誠も消え去り、主人公は釈放された
心身共に変わり果てて死んだように生きていた主人公は、戦果の報告で心底喜び、ジュリアに出会っても失望し
全ての過程を経て、愛情省でビッグブラザーを愛しながら幸福に死んでいった
これほど、"人間の自由意志には限界がある"ということを痛烈に描いた作品がほかにあるだろうか
言語と思想、痛みと思想、絶望と思想、希望と思想、記憶と思想
全てお膳立てしてしまえば人間は画一的に望まれた結果になる
理性とは充足した条件に残されているだけのもので、極限状態の人間は人間ではない
動物農場を読んだときのような、絶望感をまた小説で感じてしまった
オーウェルの本は、心情や自然の描写が豊かで、設定もよく凝っていて、小説としての精度が高いからこそ感情移入が容易くなる
その末の政治的絶望だから機械的だったり冒険的な文体のsf小説よりよく響く
ジュリアと主人公はお互いを人格として愛していたのでは無く、自分の全てを管理抑圧し、不自由にしてくる党への反抗心のよすがとしていたのだと思う
つまり主人公は拷問されて取り返しのつかない醜い容姿にされようとも、自由意志を捨ててはいなかったんだ
このシーンで僕は一番鳥肌が立った
また、プロレの洗濯女の歌を聴くシーンや、ワインへの失望、コーヒーへの期待、昼下がりの微睡、夢の世界の幻想的なジュリア
主人公が抑圧された状態にあるからこそ、僕たちが普段素通りする日々の小さな感動に大きく反応していて、コーヒーが飲みたくなったし僕も日常に対する感度を高めたくなった
また忘れた頃に読む
スルメでもあるしエンタメとして楽しくもある素晴らしい小説!