木原音瀬のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「COLD HEART in NEWYORK 」以来、久々の新刊は97年小説ビーボーイ掲載作品に加筆修正した旧作品の改稿版。
10年前のBLとしてはありえないほど型破りな糖分ゼロの内容で、当時どう評価されたのか非常に気になるところです。
性格が良いとはお世辞にも言えない受が登場します。西崎というこの人物は、周囲を見下し見栄っ張りで高校時代は伯父のおかげで羽振りの良い生活を送っていたのですが、その後伯父の死により底辺生活へと転落。
しかし、自己中な上にプライドだけは底辺でも異常に高いままで、それがその後の負の連鎖への引き金となっています。
ストーリーがこの性悪な西崎視点で進行しているので、一 -
BL界の直木賞受賞でもOK!
愛する人は他にいるけど生きるために必要な心の支えは目の前の男、そんな身勝手で打算的である意味リアルな恋愛のあり方に途中何度も胸がもやつく。そして身勝手な男の心情が状況の変化と共に切実に移り変わる度、胸のもやつきは濃霧となり、何とも切なくやるせなく、時にヒリヒリと胸に痛い。ああ、もう勘弁してくれよ、と何度も思い、幸せな落とし処を祈りながら読んだ。読者にこれほど過多なストレスを与えながらもグイグイと惹き付けてやまないなんて、やっぱり木原音瀬さんって作家は凄い。だが中でも、ラストがちゃんとストレスフリーにまでもってってある本作は特に凄いエンターテイメント作品だ。『箱の中』『檻の外』がBL界の芥川賞な
-
Posted by ブクログ
やはり東京編は嵐の前の静けさだったらしい。ここからが木原さんの本領発揮…痛いです。痛いんだけど夢中でページを捲る手が止まらず一気読みでした。ニューヨーク編になってからも秋沢が殆ど成長していない思考回路なのはさすがw人間そんなに簡単に成長する訳はありません。ただ少しずつ引くことを覚えているのかなぁ 一途なのは変わらないしこのまま少しずつでも相手の気持ちが分かるようになっていってほしい。まだまだ時間はかかりそうだけど。救いはラスト楠田が怯えるでもなく本来の楠田に少し戻っていたことかな。いろんな意味で楠田も時間が止まったままだしそれが少しでも動きだしたらいいと願わずにいられないラストでした。
木原さ -
Posted by ブクログ
またしても強烈な攻めキャラに木原さんの文章の面白さが相まってコメディじゃないのにクスクス笑いながら読みました。図体だけ大きくて中身は子供で常識の欠片もないとんでもない男なのにだんだんいじらしく可愛く見えてくるのが木原マジック!そんな彼に振り回される楠田は至って常識的な普通な男なのに読者同様だんだん絆されて煩がりながらも秋沢を憎からず思っている様子…ん?今回痛くないぞ?つか木原さんにしては甘い?ような気もするけれどまだ前半戦。きっとこのまま穏やかに愛を育む訳ないんだろうな…嵐の前の静けさ的な?ニューヨーク編怖いけど期待して読みたいと思います。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ予想以上に糖度の高い前編から、一体どんな酷い展開が
待ち構えてるのかと、ありとあらゆる想像を巡らせて
読み始めた後編ですが……。
いやぁ……予想の斜め上いきすぎてたわ。
酷いなんてもんじゃなく、痛い。
アイタッ、アイタタタッ!
って感じで身も心も痛い。
楠田が気の毒すぎて、前編でちょっと可愛いなと思った
秋沢、じゃないアホ沢、楠田じゃないけどこいつ本当に
死ねばいいのに、とまで思いました。
普通のBLだと強姦輪姦された受って、怖がりつつも攻に
お清めエッチされてめでたしめでたしなんですが、そこは
やっぱり木原さんでした。
そうよね、これが普通の反応なのよね、と妙に納得。
とにかくこのアホ沢 -
Posted by ブクログ
ネタバレなんで、こんなどうしようもない男に惚れるのか
イヤイヤ付き合ってたくせに
こんなことになってんのか
意味わかんない、と思った『~IN TOKYO』の続き。
かくして無茶苦茶にされて
相手が怖くなって死んだことにして逃げて
それから、な『~IN NEWYORK』
どう落としどころを見つけるんだろうと思ったけれど
上手いな、と思った。
楠田は秋沢をいつかは許せるのかもしれないと
そういう期待を抱かせる終わり方は
本音を言えばありえないだろう、だけど
BL的にはまぁいいんじゃない。
個人的には追いかける秋沢が、なんでなんでと
自分に問いかける様が凄くよかった。
それでもまだ不十分なんだよ、と思い -
Posted by ブクログ
木原作品は、やはり一筋縄ではいかない手強さでした…
前回の成り行きにふんわりしていたかと思ったら、奈落の底へ一直線。案の定、突き落とされます。
きっかけは相手を御するための恋愛モードだったのが、もはや本気の付き合いであることを自認する楠田。
だからこそ、受け入れられないこと許せないことが、秋沢にはまったくわかっていません。
人の心がわからないアホと愛し合うことで味わう失望に震撼とさせられます。失望どころか、これはもう恐怖の段階。
楠田は何とかして自分の気持ちを秋沢に伝えようとするものの、人の気持ちを慮ることができず、自分の感情ばかりを人に押し付け、好かれるための努力もしない相手には何ひとつ -
Posted by ブクログ
COLDシリーズのスピンオフ。楠田編はちらちらと雑誌で読んでいました…
こうして一冊になると、けっこうラブラブな話になっていて、いいところで終わっているような。続きは怯えながら覚悟して読まなくちゃいけないですね。
最初はラブがひとかけらも見えてこないお仕事もののような展開なんですが、その語り口の面白さ、描写の上手さであっという間に引き込まれてしまいます。
華やかな芸能界やアクセサリー業界が舞台になっているのも、興味津々になるところです。
楠田は登場人物の中ではとても常識人なキャラなので、ぜひふつうに幸せになって欲しいと願っていたんですけどね~
変な芸能人にロックオンされてしまうのです!
本編 -
Posted by ブクログ
あのCOLDシリーズのスピンオフということで楽しみにしていました。
楠田くん、まさかの展開です(笑)
そしてまだ続きます。でも、元祖COLDの二人みたいにはこじれないんじゃないかな……。
しかも、ステージは、楠田兄弟の立ち上げたアクセブランドのイメージポスターに、透と藤島さんの写真が使われたエピソードの後で、ちらりと元祖カップルも出てきます。それがなによりご馳走様、かつ、読み出したら止められず一気に読み切りました。
あの楠田が、な展開ではありますが、個性的なその相手役の役者がまたとても魅力的で早くも続きが気になります。
藤島さんと透の話は読むのも聴くのも体力が入りましたが、こちらはわ -
Posted by ブクログ
COLDシリーズコミカライズ第2弾。やっとコミックスになりましたね。3年以上待ってた甲斐のあるクオリティでした。原作の持ち味を壊さず、繊細かつ丁寧な作画で物語を描き出していて素晴らしいと思います。
読んでいると、またしてもどっぷりはまりきってしまい、何度も泣いてるはずなのにやっぱりラストは涙が止まらなくなりました。
涙、涙です。
どれもこれも印象的で衝撃的な場面の連続なんですが、特にコミカライズにあたってこれは…!と思ったのが藤島の母親。絵にするとまたいっそう怖いです。イメージどおりだけど。回想シーンの透の脹れ方もハンパなくて、いたましさがいっそうこみあげてきます。
こういった、大切なシーン -
Posted by ブクログ
ネタバレ木原さんにしては珍しくあったかい恋愛モノのお話です。
書き下ろしの深呼吸2では、受けの榛野さんがかわいくって胸がぎゅんぎゅんしました。
欲求を満たすために男とは寝ていたけど、ちゃんと恋をしたのは初めてだったんですよね。谷地さんに嫌われたくなくて不器用ながら一生懸命なところとか、たまりませんでした。
個人的に一番ファッ!となったのは谷地さんの脇を見て鼻血出すシーンです(笑)
谷地さんも最初は榛野さんに押され気味だったのに、思いが通じてからはグイグイくるタイプだったので、終盤はずっとドキドキさせられました!
物語は完結していますが、その後の2人がとても気になる素晴らしい作品でした。 -
Posted by ブクログ
木原さんの作品は読んだうち1/3くらいは、BLというジャンルに入れるのをためらいます。
BLのレーベルからでてるからそこに入れてるだけ、、といった感じで、読み物としては純文学でもいいのじゃないかと思っています。(もっとも、この純文学と言う分け方も、どうも個人的には眉唾物で好きじゃないんですが、行ってしまえば、そもそもジャンル分けに何の意味があるのか?とか言う疑問から始めなくてはいけないので、あくまで、あとで思い出す時の目安程度、、、ということで)
さて、妄想癖のある主人公と、彼が出会った脳機能障害のある男性との話ですが、この主人公の感情の推移に絡ませる妄想の扱い。その表現の上手さに、ページを -
Posted by ブクログ
ヘテロでプライドの高い頭のいいお兄ちゃんが、ワイルドだけど堅真面目なゲイのAV監督とプラトニックな恋人関係になり!?
とにかく萌えまくる!真面目にデートをしようとする十亀も可愛いし、冷静にみえて子供っぽい万も可愛い!
2巻もすごく楽しみだ
あらすじ>
ラブホテル『キャッスルマンゴー』に住む兄弟、万(よろず)と悟(さとる)。ある日、AV撮影のために訪れたゲイの監督・十亀が悟と仲良くしているのを心配した万は、一晩寝たフリをして十亀を騙し、自分と付き合うように仕向ける。高校生とは肉体関係をもたないという倫理観がある十亀は、キスまでしか手を出してこない。ゲイではない万は最初は引いているけど、快感によ