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BL界の直木賞受賞でもOK!
愛する人は他にいるけど生きるために必要な心の支えは目の前の男、そんな身勝手で打算的である意味リアルな恋愛のあり方に途中何度も胸がもやつく。そして身勝手な男の心情が状況の変化と共に切実に移り変わる度、胸のもやつきは濃霧となり、何とも切なくやるせなく、時にヒリヒリと胸に痛い。ああ、もう勘弁してくれよ、と何度も思い、幸せな落とし処を祈りながら読んだ。読者にこれほど過多なストレスを与えながらもグイグイと惹き付けてやまないなんて、やっぱり木原音瀬さんって作家は凄い。だが中でも、ラストがちゃんとストレスフリーにまでもってってある本作は特に凄いエンターテイメント作品だ。『箱の中』『檻の外』がBL界の芥川賞ならば、コレはBL界の直木賞でも受賞して欲しいくらい。ちなみにコミカライズされた方も読んだが、こちらは力不足、小説だけで120%充分だった。
今回も先生特々のクズ攻め登板でした。すごく嵌って残りが少なくなるのがくやしいほどでした。本当に良かったです。
さて、
66%の「宇野は小松という汚部屋や遺品整理をメインにやっている、同い年の正社員と組んで仕事をすることになった。」
ここの「宇野」は多分「村上」の誤字ではないでしょうか?
Posted by ブクログ
私が耽美が好きではない、と言うのは『ヴェニスに死す』を読んでいた時にも思っていたことだ。年寄と少年と言う対比と共に美醜の対比が残酷に突きつけられる時に、見ていた自分はアッシェンバッハに少しも同情心を持っていなかった。、老いて醜くなってしまった自分を恥じてじいさんの癖に化粧したりする様が無様である様を見せる映画が「耽美」ではあるまい、と思っていたのだが、タジオ(ビョルン・アンドレセンの)の美を愛でると言う意味では確かに耽溺であった。耽美とは、美しいものを愛でる方でしかない人間を指す言葉で、美そのものではない、と言う事なのだ。この差は大きい。映画を見ながらタジオのように美しくありたいと思うだけで、耽溺したいと言うのとは違うな、と気づいていた。そう考えているとふと、木原作品のこっぴどく痛い描写に差し掛かった時に、痛い目を見る人間の恐怖よりも、今まさに痛い目に遭わせようとしている人物の方に同調してある種の高揚感を感じながら読んでいる自分がいる。だから私は木原作品を「痛い」とは描写するが「容赦なくて辛い」とか「可哀想」と言う風に捉える筈がない、と言う事に気付かされた。痛い目を見せる方に肩入れして読んでいる訳だから、自分は「痛く」ないわけだから平然と読んでいるのかもしれん。かと言ってあのような所業を働きたい願望がある訳ではないが、精神構造上、そっちに傾いている性質なんだろうな。自分の名誉の為に(笑)くどくど書いてしまうが、酷い目に遭う人間に同情してない訳じゃないが、痛い目を見せている人間の方の気持ちと言うか、なぜそうしてしまうか、の方に反射的に自分の視点が切り替わるんだろうな。これ辺で木原作品のどこに惹かれているのか、二分されるかもしれんな。
耽美話からなんで木原作品考察になったんだ…あ、そうか、美を振りまく方、痛さを振りまく方に視点が固定される、と言う意味で同じと言う事か。木原作品の痛い描写に差し掛かると、不謹慎かもしれんがどこかでぞくぞくしている自分がいて、そう言うのは自分の中に嗜虐趣味があると誤解されるかもしれん、でもそれは違う、理不尽だ、と思い色々考えてたら、あのぞくぞくは「好きな子に意地悪する・している時」の気持ちと同じだ、と気づいた今日…登場人物がそういう行為に及ぼうとしているのを見ていると、好きな子にそれは強烈過ぎて誤解されるよ、気持ち解るけどさぁ…って思いながら読んでる為、痛めつける行為が如何に冷酷に見えても、どこかで(今この瞬間は先にある想いに気付いてないだけだな、こいつばかだなぁ)って眺めてる自分がいる。どんなに愛がなさそうに見えても、屈折して歪んでて決して綺麗じゃないとしても、愛がある(だって、好きだからそうしたい気持ちが湧くんだから)って「幼稚」な動機が解るからだろうな、私自身に照らし合わせて。未熟で何が悪い、完璧で正義に溢れた愛だけが愛じゃないぞ、って思うからだろうな。人間の小悪党な部分を(性根が悪い、と言うか)文字にして書いてしまうと言う…やっぱ木原さん凄いわ。この人はこう言う人である、と言う書き方の方が簡単なんだよね、創作物だから。
Posted by ブクログ
10月27日㊗︎木原音瀬誕生日記念
拾う系BL 2013年作品『期限切れの初恋』
さて、BL系師匠みんみんにお知らせいただき、定価よりお安くBOOKOFF注文、無事入手する事ができました。
帯付き、シミなし、完全美品。
きっとワンオーナーのクローゼットに大切にしまわれていた一冊。
それでも、有川浩『植物図鑑』(2009年)の拾う系元祖の地位は揺るがず。
けれど、木原さんの手にかかると「拾う」から始まる出会いが、優しさと痛みの間を行き来する。
初恋に「期限」はあるのかしら
木原さんの中では(ご本人もあとがきで触れていますが)“普通の人の話”。
ただしその「普通」は、恋をしたことのある人なら痛いほど思い当たる“人間の揺らぎ”を含んでいます。
BLなので内容には触れませんが、
好きになってはいけない人を、
それでも好きでい続けたことのある人へ。
胸の奥で小さく鳴る“痛さ”が心地よい一冊です。
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