ヤマシタトモコのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
両親を交通事故で亡くした15歳の朝を、死んだ母親の妹にあたる槙生が引き取り、2人の同居生活が始まるという物語。
あなたを愛せるかどうかはわからない。でもわたしは決してあなたを踏みにじらない。
槙生が放つこういった言葉に現れてるように、とにかくパンチラインの連打が続く「言葉」の作品。そこを際立たせるために、描き込みすぎておらず抜け感のある人物たちのタッチが重い言葉たちにスッと溶け込んでおり、大袈裟やけど「現段階の漫画における一つの到達点」みたいに思えた。
1, 2巻で特に心掴まれたのはやはり槙生。おそらく注意欠陥で発達障害である槙生が、人生において最も避けてきた人に対し愛情を持つという行為を、朝を引き取ることで否が応でも強いられるシチュエーションとなる。そこからの槙生は、変に肉親ぶるでもなくフィジカリーにでもなく、あくまで己のスタンスで「言葉」で朝と対話する。
本当にやりたいと思ったならどんなにつまんないことでもやりなさい。
誰のために何をしたって人の心も行動も決して動かせるものではないと思っておくといい。ほとんどの行動は実を結ばない、まして感謝も見返りもない。そうわかっていてなおすることが尊いんだとも思うよ。
ただここでどうしても気になる点が1つ、、、、
人への愛情や意思疎通にこれまで苦しんできたとされる槙生ですが、物語の中盤以降で、現代まで関係が続く学生時代の友人との戯れや、笠町くんというハイスペックな元恋人との、これまた現代まで続く関係性を知ったとき、
「なんか、めちゃめちゃ愛に溢れた、とても満たされた人なのでは、、?」
と思ってしまった。
もちろん、これだけの言葉の連打をライトに行う上では、ある程度キャラクターもライトに/愛され系に描かなくては重すぎる作品になってしまうというのは理解できるのですが、
ならば俺はいっそ小説という形態で、 もっととんがって、生き辛くて、息が詰まるような人物描写で言葉の連打を浴びたかったなぁ、、と感じてしまいました。
苦言失礼いたしました。
一方、サブキャラクターのキャラ立ちっぷりはホント見事の一言。特に好きなのは槙生の元恋人・笠町くんと朝の友人・エミリさん。
他にいくらでも「なっていい自分」はあったし、そんなチキンレースで自分の価値を試す必要なんてなかったのに。
もう絶対友達やめられないじゃん。
医学部不正入試問題、性的マイノリティ、発達障害、アダルトチルドレンと、
全11冊の中にこれでもかと、けれど決して無理のない設定やセリフで社会問題を提起し、そして同じく無理のない言葉で帰着させる。映画『怪物』を観た時も似たような印象やったけど、こういった作品がメインストリームで売れるというのは、特に若い世代にめちゃくちゃ大事なことやと思う。
最も重要な登場人物である槙生さんは映画では新垣結衣さんとのこと。個人的には『正欲』で新境地っぽい新垣さんを感じたし、予告を観る限り良い配役な気がするので、どこまで細かく描かれるか(個人的にはエミリの章は是非映画に含めてほしい、、)期待! -
匿名
ネタバレ 無料版購入済み三話目
女子高校生の小田薪葉菜とアラフォーの自動車工の木根正吾はお互いの体が入れ替わってしまうという事態に見舞われる。
周りから記憶喪失を疑われなんとか暮らしている葉菜と違い若く美しい体を手に入れた正吾は読モとして第二の人生を生きていた。
正吾の取り計らいにより雑誌の編集部で雑用として働き始めた葉菜だが、自信に満ち溢れた正吾が実は周りからいろいろ言われていることに気づく。
そんな中一応女子高校生の体を好き勝手するのは遠慮していた正吾はかつての同僚同士が付き合っていることを知ってしまい自暴自棄になりデザイン会社のイケメンバイトと寝てしまう。
その後読モ仲間でいつまでこの仕事をやれるかという話をしているときに「この体」もいずれ老いていくことに気づいた正吾は……。
年老いていくと捉えるか年を重ねていくと捉えるかで人生だいぶ変わると思うけどなぁと考えてしまった。
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匿名
ネタバレ 無料版購入済み入れ替わり
小田薪葉菜は17歳の女性高校生。
スクールカーストは中の中くらいで無趣味で猫背でその体格の割には声が低いという自己分析をしている彼女はある日、自分の身体が知らない中年男性になってしまったことによって人生が激変してしまった。
木根正吾という自動車工をやっている38歳の中年男性になってしまった葉菜は知らない人達に囲まれて本当の自分のことを話しても記憶喪失などと言われる人生になってしまったがある日、「自分」が読者モデルをしていることを知る。
「自分」と接触を図ると「この体」の持ち主である木根正吾が中に入っていた。
なぜか入れ替わっていた二人だが葉菜は日常生活もままならないのに正吾は葉菜の体を使い人生を謳歌していて……。
入れ替わりの物語はいくつも読んだけどここまで閉塞感を感じる作品はあまりないと思った。
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購入済み
自分の心と対話
二人を取り巻くそれぞれの関係性の中で調度良い距離感になっていったな〜何より子育てには、誠実に向き合う大人が傍にいるってことが本当に大事なことなんだと実感。見た読み返したいな。
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Posted by ブクログ
悲しくなるときがきたらそのとき悲しめばいい。
あなたの感じ方はあなただけのもので誰にも責める権利はない。
日記をつけはじめるといいかも知れない。この先、誰があなたに何を言って、誰が何を言わなかったか、何を感じて何を感じないのか、今、あなたが。
たとえ二度と開かなくてもいつか悲しくなったとき、それがあなたの灯台になる。
あなたはもっと美しいものを受けるに値する。
今、書きたいことを書けばいい。書きたくないことは書かなくていい。本当のことを書く必要もない。
別に誰にも怒られないし、書いていて苦しいことをわざわざ書くことはない。
わたしは君が「自分にはこんなこともできない」とか言って泣くのは絶対見たくないのよね!
頼るべきところは頼る。 -
Posted by ブクログ
明暗多岐に渡る短編集。短編なのにそれぞれキッチリまとまってるのは流石で尊敬。
タイトルがギャクっぽく、表紙絵もピンクの薔薇だし『おもしろいやつ』と思って読み始めて、1作目に衝撃を受け考えさせられ、2作目に『あれ?おもしろいやつではなくて???』となり、3.4.5.6作目に『あ、やっぱりおもしろいやつ〜』と楽しく読んで、7作目でまた考えさせられるという… ジェットコースター的な一冊でした。
作中にも後書きにもあった『電車の中にエスパーがいて考えが全部読まれていたらどうしよう、死ねる!』に超共感!!電車に乗る度に一度はそれを考えるし、死ねると思う程度にロクナコト考えてない自分…でも多分そうは見えないだろう自分…腐女子という言葉が世に蔓延る前から隠れソレだった自分…
エスパーイタラコワイヨ………… -
Posted by ブクログ
漫画で些細に描かれる問題を自分事として受け取ったことのある人には非常に刺さると思う。
不満があるとすると、朝ちゃんが何にでもなれる、つまり空っぽな人として描かれすぎていること。逆に、あさチャンの特性はマキオと対立しないので、マキオの主張を分かりやすくさせるための装置になっていないという長所を生んでいる。評価が難しい。
あと、これは、繊細な問題なのだけど、自死の評価が「最悪」なのかどうかは未決かと思う。その人の生にとって「最悪」なのか、自体の収め方として「最悪」なのか、とある人からして「最悪」なのか、色々な意味が取れてしまうから、それこそ物書きであるマキオ君に「最悪」という言葉を使って欲しくなかった。(でも最悪な出来事=自死であるとは明確には述べられていない。私が感想を述べることで、「つまり、あなたにとっての最悪とは自死なんですね?」と提示された形か。ずるーい。)
ガサツな言葉で日々を生きるような粗雑さを体現する私には難しかったです。