若竹七海のレビュー一覧
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若竹七海さんを代表する探偵「葉村晶」が主人公を務める2編と、ノンシリーズの3編が収録されています。シリーズものならではの面白さと、ノンシリーズならではの面白さが感じられるミステリ短編集でした。
最初に収録されている「蠅男」と最後に収録されている「道楽者の金庫」が、葉村晶の登場する作品。
アラフォー、独身、彼氏なし、かつ不幸体質だという葉村晶。葉村晶シリーズを読むのは初めてでしたが、青春ミステリやライトミステリの探偵たちのような、甘酸っぱさや初々しさ、特異なキャラづけとは無縁。
なんとなく地味で、そしてこの年代ならでは……と書いてしまっていいかどうかあれだけど、気怠さというか、めんどくさそう -
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ちょっと前に読んだ『悪いうさぎ』の続編
『悪いうさぎ』から13年も経っての刊行だったんですね
女探偵葉村晶シリーズです
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『悪いうさぎ』では学生時代、同クラだったら葉村さんとはお友達にはなれない…と思ったけど、13年経ち、葉村さんも大人の分別を身に付けており、今だったら図書委員くらいなら一緒にできるかもと思いました
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葉村さん…相変わらず、怪我ばっかしてます
冒頭では探偵は辞め、古本屋のバイトをしてるのに事件に巻き込まれます
しかも、二つも!
40代の身体に鞭打って頑張ってます
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本作を渡してくれる時の母の反応は微妙でしたが、私は『悪いうさぎ』よ -
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このミス2019年版3位。葉村晶シリーズ5作目くらい。独特の文体。主人公の探偵の頭が切れてクール。アクションシーンもこなすけど不器用っぽい。探偵の発言や探偵視点の地の文が、友達同士で軽口をたたくようなノリで楽しい。軽い雰囲気だけど、推理の展開が早く、推理内容の説明も少ないので、ほとんど展開についていけない。このミスでいつも評価高いんだけど、皆さんこれきちんと理解しながら読んでるんですかね。登場人物も誰が誰だか覚えられなくって、これ、自分の頭が老化してるからなのかが気になる。平易な文章でユーモアにあふれており、一見、ラノベのようなんだけど、実はストーリーが難解で時間かかる。多分、自分が読むのは4
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元刑事の大道寺圭は幼馴染の編集者に強引に勧められて、刑事の時に遭遇したおまぬけな犯罪者たちの本を出版する。ところが、本に取り上げた犯罪者たちが、出版をきっかけに様々なトラブルを持ち込んでくる。命の危機さえ訪れるが、なんとか頭を働かせて解決する。出てくる登場人物たちがなにか間が抜けていて笑えるのだが、どうも自分勝手な奴らばかりでやれやれという感じである。それぞれの短編の終わり方も笑えないというか、結構ダークだ。間に挟まれた刑事時代の事件が最後に他の短編とつながってくる。若竹さんの小説って、こんな感じで人間の嫌なところばかりを描いていて、ちょっとやるせない気分になる。
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何だか読む順番が滅茶苦茶になっているのだけど、もう仕方がないな。
ここに至って、葉村が最初に登場したこの本。
葉村が出てくる話と、小林警部補&御子柴君のコンビが出てくる話が交互にあって、最後の話で3人が交わる。
葉村は、2話目に『26歳になる』と出て来て、その後の話では28歳。3話目では長谷川探偵事務所に勤めていて、最後の話では辞めている。
背表紙には“トラブルメイカーのフリーター”とあるが、正確には最終話の作中で長谷川が言うように『トラブルのほうが、彼女を慕ってやってくる』ということで、既にこの頃から、“世界で最も不幸な探偵”の片鱗。
禄でもない知り合いたちにかき乱されながら、熱中し出すと -
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空が降ってきた、とは『愛の讃歌』を歌う時のセリフの一つだが、本作では人が降ってきた。
不幸中の幸いが、生死に関するような怪我を誰もしなかったということ。
青沼ミツエ、石和梅子。
このご婦人方が降ってきた人々。
ちょっとした調査のはずが、たくさんの人を巻き込み、葉村晶自身も巻き込まれ、心が痛む。
何より、青沼家の秘密が、心苦しくてたまらない。
めんどくさいことに巻き込まれつつも、微笑ましい、ほっとする、そんな暖かな情景は、炎に包まれた。
炎はあらゆるものを焼き尽くす。
何もかも。
大切な、ウサギの常夜灯も、なくなってしまった。(『悪いうさぎ』参照)
やりきれない思いを残す本シリーズだが、見事な -
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「ハードボイルドで悲しい事件」(裏表紙より)から、励まされるとは思ってもみなかった。
4月に勤務部署が変わり、コロナ禍のため、最近になって仕事を本格的に教えてもらうようになった。
私が不器用なせいなのか、ダメ出しばかりだ。
ここもダメ、あそこもダメ、とばかり言われると私はダメな人間なんじゃないかと思い込むようになる。
仕事に行くモチベーションも下がった。
ビジネス書は「努力せよ、できないのは全てお前のせい」ばかり(これだからビジネス書は嫌いだ)。
上司の評価も、先輩の評価も、気になる。
何より、私が私自身に下す評価が。
『海の底』
新進の作家が消えた。
大男であったらしい彼の姿をみたものは