若竹七海のレビュー一覧
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「葉崎市シリーズ」を読むのは4作目。殺人、3億円強奪、覚醒剤売買などを盛り込みながら、深刻にはならずクスクス笑いながら軽く読み通せるのがコージーミステリの醍醐味。
今回の舞台は猫が島民の3倍も暮らしているという、葉崎半島の先に位置する通称・猫島。
長閑な島で起こった物騒な事件に、お馴染み葉崎署の駒持警部補と二村巡査部長、それに島の派出所勤務の七瀬巡査とポリス猫・DCが絡んできてのひと騒動。
ミステリの真相そのものは、思ったよりも拍子抜けで辻褄合わせで急ぎ足の解説が展開されるのはコージーミステリ故仕方のないことか?
一応伏線はしっかり回収されたものの、既刊のヴィラ・マグノリアとか古書店アゼリアと比べると少し残念。
それでも、猫アレルギーの駒持警部補が毒ガス用のマスクをして島内を闊歩する姿は想像するだけでも笑えるし、ヴィラ・マグノリアの双子ちゃんが高校生になっていたり、葉崎FMの千秋がしっかりDJを続けていたり、シリーズ前作の後日談も楽しめるのは嬉しい。
ポリス猫は別に主役となる作品もあるみたいだし、今後のシリーズの展開が楽しみ。
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やっぱり面白いわ、若竹七海の作品。
読んだらやめられずあっという間に終わっていた。
葉村晶シリーズ7つの特徴。
1.のっけからのスピードあるアクションで引き込まれる。
2.おかしみのある会話で笑ってしまう。
3.主人公、女探偵葉村晶はけっしてオールマイティではなく普通の女。
4.失敗したり、悩んだり、怒ったりする。
5.掃除をしたり、食事を作ったりする様子が好もしい。
6.すさまじい事件のようなだが、非日常ではなく。
7.怪我をしたり、精神がボロボロなりながらも、不屈の闘志を棄てない。
あらすじをいうのはやめる。
うさぎはかわいい。文庫本のカバーの絵も意味深。章ごとのうさぎのカットもなかなかのもの。でもこわーい。
「依頼人は死んだ」の次の葉村晶シリーズ第二弾。 -
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若竹さんの本でコージー・ミステリーというジャンルを知った。
コージーとは居心地のよい、くつろいだ親しみやすいという意味だそう。
小さな町を舞台として、登場人物のキャラクターを書き込み、あまり暴力的でない凄くない殺人が起こり、誰が犯人かという謎解きを楽しむ、後味のよいミステリー。
そのコージー・ミステリーである。
始めのページに登場人物、23人。次ページに「葉崎」という架空の市の説明。3ページ目に「ヴィラ・葉崎マグノリア」の見取り図。
おーお、相変わらずきちっとしている若竹さん、安心して読みに取り掛かれる。
なるほど、なるほどキャラクターが面白い。本関係がとくによい。
海の見えるひな壇の瀟洒な建売住宅の住人たち。
姉妹編の「古書店アゼリアの死体」の前田紅子を思わせる、翻訳家である入江菖子。
古本屋「鬼頭堂」の経営者、鬼頭典子。
そしてその上なる丘に建つ元「前田家」の別荘を、すてきな邸宅にして住んでいるハードボイルド作家で、かっこいい角田港大。
前田家!葉崎市一帯を所有していた大地主。この前田家が「古書店アゼリアの死体」に繋がっているのも興がある。
その建売住宅「ヴィラ・葉崎マグノリア」全棟10軒。
1軒空家、そこに死体が転がっていたのだのだから、静かな海の見えるのどかな住宅地の住人は大騒ぎとなる。
死体もミステリーなのだが、普通の人である住人の過去の謎がおかしくも哀しい。人間性は様々、過去も様々。アガサクリスティーのように深層心理までは暴いていないが、そのさらっとした描写がコージー(cozy)なのだろう。 -
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本書で登場する人物は主に3人。フリーターの葉村晶、警部補の小林舜太郎、それに刑事の御子柴だ。この人たちが遭遇する事件が8つ収録された短編集。葉村晶はシリーズとして文春文庫から出版誰ているが、その葉村晶シリーズが本格的に始まる前の作品集といった趣が強い。また、御子柴刑事はこの後、この中公文庫でシリーズとして登場している。
葉村晶と小林舜太郎が交互に活躍するようになっているが、葉村晶のほうが急転直下突然の解決を見る感触が強い。よく動くがゆえに犯人に遭遇することも多く、偶然解決に至るケースもある。一方、小林舜太郎は刑事らしく筋立てていく感が強い。そのため、二つの味を楽しめる作品集となっている。 -
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若竹七海さんを代表する探偵「葉村晶」が主人公を務める2編と、ノンシリーズの3編が収録されています。シリーズものならではの面白さと、ノンシリーズならではの面白さが感じられるミステリ短編集でした。
最初に収録されている「蠅男」と最後に収録されている「道楽者の金庫」が、葉村晶の登場する作品。
アラフォー、独身、彼氏なし、かつ不幸体質だという葉村晶。葉村晶シリーズを読むのは初めてでしたが、青春ミステリやライトミステリの探偵たちのような、甘酸っぱさや初々しさ、特異なキャラづけとは無縁。
なんとなく地味で、そしてこの年代ならでは……と書いてしまっていいかどうかあれだけど、気怠さというか、めんどくさそうというか、どこか諦観を交えつつ、依頼者や状況に振り回されていく語り口が、なんとも可笑しかった。
事件自体も入りからして珍しい。「蠅男」は母親の遺骨を運んでほしいという依頼。そして「道楽者の金庫」はこけしに隠されている、金庫を開けるカギの話。奇妙な依頼から、予期せぬ展開にキレイに流れ込んでいく。どちらも巧さが光る作品です。
対してのノンシリーズの3編も負けず劣らず技巧が光る。日本推理作家協会賞を受賞した、死刑囚に届いたファンレターの真意を探っていく短編「暗い越流」
行方不明になった雑誌編集長を探す「幸せの家」
教会に立て籠もった男の独白で綴られる「狂酔」
いずれも思いもよらない展開に引っ張られていって、その巧さに思わず唸ってしまう。そして、最後の最後に思わぬところから、ボディに重たい一撃を喰らわせてくるような、後味の悪さを残していくところが、これもまたたまらない……
イヤミス3編を、シリーズもの2編でサンドイッチされているので、最終的な読後感はややマイルドに収まっているのが、個人的に優しい構成だと思いました。
イヤミスの後味の悪さを楽しみつつ、シリーズものの安定した書きっぷりや、乾いたユーモアも楽しみつつ、そしていずれの短編もミステリの技巧にうならされる。若竹七海さんは初読でしたが、この一冊でそうした二面性と、ミステリ作家としての確かな実力を感じました。
第66回日本推理作家協会賞〈短編部門〉 -
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このミス2019年版3位。葉村晶シリーズ5作目くらい。独特の文体。主人公の探偵の頭が切れてクール。アクションシーンもこなすけど不器用っぽい。探偵の発言や探偵視点の地の文が、友達同士で軽口をたたくようなノリで楽しい。軽い雰囲気だけど、推理の展開が早く、推理内容の説明も少ないので、ほとんど展開についていけない。このミスでいつも評価高いんだけど、皆さんこれきちんと理解しながら読んでるんですかね。登場人物も誰が誰だか覚えられなくって、これ、自分の頭が老化してるからなのかが気になる。平易な文章でユーモアにあふれており、一見、ラノベのようなんだけど、実はストーリーが難解で時間かかる。多分、自分が読むのは4作目なんだけど、もう少し頭が回って展開についていければもっと面白いのかもという消化不良感がいつも残ってしまうのです。あと、ミステリーのうんちくが多いのもちょっとしんどい。