若竹七海のレビュー一覧
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何だか読む順番が滅茶苦茶になっているのだけど、もう仕方がないな。
ここに至って、葉村が最初に登場したこの本。
葉村が出てくる話と、小林警部補&御子柴君のコンビが出てくる話が交互にあって、最後の話で3人が交わる。
葉村は、2話目に『26歳になる』と出て来て、その後の話では28歳。3話目では長谷川探偵事務所に勤めていて、最後の話では辞めている。
背表紙には“トラブルメイカーのフリーター”とあるが、正確には最終話の作中で長谷川が言うように『トラブルのほうが、彼女を慕ってやってくる』ということで、既にこの頃から、“世界で最も不幸な探偵”の片鱗。
禄でもない知り合いたちにかき乱されながら、熱中し出すと -
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空が降ってきた、とは『愛の讃歌』を歌う時のセリフの一つだが、本作では人が降ってきた。
不幸中の幸いが、生死に関するような怪我を誰もしなかったということ。
青沼ミツエ、石和梅子。
このご婦人方が降ってきた人々。
ちょっとした調査のはずが、たくさんの人を巻き込み、葉村晶自身も巻き込まれ、心が痛む。
何より、青沼家の秘密が、心苦しくてたまらない。
めんどくさいことに巻き込まれつつも、微笑ましい、ほっとする、そんな暖かな情景は、炎に包まれた。
炎はあらゆるものを焼き尽くす。
何もかも。
大切な、ウサギの常夜灯も、なくなってしまった。(『悪いうさぎ』参照)
やりきれない思いを残す本シリーズだが、見事な -
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「ハードボイルドで悲しい事件」(裏表紙より)から、励まされるとは思ってもみなかった。
4月に勤務部署が変わり、コロナ禍のため、最近になって仕事を本格的に教えてもらうようになった。
私が不器用なせいなのか、ダメ出しばかりだ。
ここもダメ、あそこもダメ、とばかり言われると私はダメな人間なんじゃないかと思い込むようになる。
仕事に行くモチベーションも下がった。
ビジネス書は「努力せよ、できないのは全てお前のせい」ばかり(これだからビジネス書は嫌いだ)。
上司の評価も、先輩の評価も、気になる。
何より、私が私自身に下す評価が。
『海の底』
新進の作家が消えた。
大男であったらしい彼の姿をみたものは -
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シリーズ4作目にして、6篇の連作短編。
といってもこのシリーズはこれが初めて。
でも大丈夫だ。
NHKのドラマを見て、そんなに期待をせずに見てみたら「面白い」「これは原作に当たらなくては!」と読み始めた。
もうイメージはシシド・カフカ氏なのだが、本作では四十肩を発症するという、ちょっとイメージとは異なる主人公、葉村晶。
解説では海外ミステリ のようだ、と評されているが、確かに、このハードボイルドで、洒落っけと、重厚感を併せ持った感じがそれらしい。
しかし、当たり前だが母語で書かれた作品なので、海外ミステリにありがちな、とっつきにくいような(それが文化の差なのか、外国語を日本語に直す際のニュア -
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昭和初期、豪華客船「箱根丸」を舞台に次々と起こる事件を描いたオムニバス形式の短編集。
横浜から倫敦までの長い船旅中、殺人事件や令嬢の逃亡騒ぎや密航騒ぎなど、個性的な乗客たちが起こす魅力的な事件はそれぞれ趣向が凝らされていて、まったく退屈しません。
少し不思議で奇妙な話もあれば後味の悪い話もあり、ロジックできちんと解決される話もあり…。
ひとつひとつの密度の濃い謎もさることながら、全編を通した仕掛けもあり、豪華な気分にさせてくれます。
自分も旅をしているかのような、昭和初期のゆったりとした旅情ムードに浸りつつ、サスペンスフルな気持ちも味わわせてくれるという、なんともお得感あふれる短編集でし -
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人間より猫の方が多い猫の楽園・通称「猫島」の海岸で、ナイフの突き立った猫のはく製が見つかる。
さらに、マリンバイクで海を暴走する男が、崖から落ちた男と衝突して死ぬという事件が起こる。
猫アレルギーの警部補が辿り着いた真相とは?
葉崎市シリーズのミステリ長編作。
殺人や麻薬事件等、起こる事件は不穏そのものだけども、猫が随所に現れるせいなのか、のどかでとぼけた雰囲気を醸し出しています。
出てくるどのキャラクターも一癖あり、人間味あふれていて何だか憎めません。
皆、まるきりの善人というわけでもないし悪人なわけでもない。
でもちょっとズレていて、奇妙な事件が起こっているのに緊張感に欠けるところが笑