ロリコンで、犬や猫の捜索などを請け負う探偵事務所に務める三代目花咲太郎(はなさき・たろう)と、彼の部屋に暮らす家出少女の「トウキ」こと上真桑桃子(かみまくわ・ももこ)の物語です。
トウキは、身の回りで殺人事件が起きるという名探偵体質で、しかも犯人が直観的に分かるという特殊能力の持ち主です。彼女がいきなり真犯人を告げ、「閃かない探偵」の花咲がその後始末に追われる、という物語。なのですが、このパタンに収まらない展開も多く、どちらかというとストーリーよりも著者の入間人間氏らしい独特の作品世界を楽しむというのが、正しい読み方かな、と思います。
第1章では、山中のペンションに宿泊することになった花咲とトウキが、殺人事件に巻き込まれてしまいます。いきなりトウキが、木曽川という男が犯人だと言い出しますが、彼女の言葉に不審を覚えた探偵気取りの中村という大学生が、逆に花咲とトウキが疑わしいと騒ぎ出します。
第2章は、犬の失踪事件を追う花咲が、火かき棒を持った男に襲われる話です。第3章は、いつものように殺人事件に出くわした花咲が、めずらしく推理を試みる話。第4章は、猫の失踪事件を追う二代目花咲太郎と、彼に憧れる少年との出会いを描いた物語。
第5章は、ふたたび木曽川が登場します。中家ソウという家出女子高生の殺害を請け負った木曽川が、彼女の居場所を探してほしいという依頼を花咲のところに持ちかけます。ところが、花咲も中家ソウの親から、彼女の捜索依頼を受けていたのでした。そこへ現われた探偵事務所の所長・飛騨牛が、思わぬ形で中家ソウの居場所を報せるという展開になり、花咲と木曽川は先を争って彼女のもとへ駆けつけようとします。
なお、探偵事務所の同僚として、『電波女と青春男』(電撃文庫)のヒロインである藤和エリオの父・エリオットも登場します。