あらすじ
「あなたのこと全く好きではないけど、付き合ってもいいわ。その代わりに、わたしをちゃんと守ってね。理想として、あなたが死んでもいいから」彼女に告白し、そして奇妙な条件付きの返事をもらった瞬間から、僕は彼女の為に生きはじめた。この状況が僕に回ってきたことが、神様からの贈り物であるようにも思える。この結果が、いつの日か、遠い遠い全く別の物語に生まれ変わりますように。入間人間の名作が、『六百六十円の事情』 『ぼっちーズ』 でコンビを組んだ宇木敦哉のイラストによって、待望の文庫化!
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Posted by ブクログ
身の回りに起こることがどれも楽しくてしょうがない、あれもこれも全部やってみたい、首筋にひたっと果物ナイフの峰が押し当てられているけれど。
身体を少しでも動かしたら血が噴き上がる妄想をしながら、心を目いっぱいはしゃがせて読むべし。
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近々、僕は死ぬ。
名前も何度も言わないと覚えきれないような病気で。
よし、死ぬ前に好きな子に告白して振られてこよう。
そんなわけで外出したら靴屋の前で
――――通り魔にナイフで刺された。
はい、そんなわけで面白かったよ。
このなんともいえない人間関係とか。
2組の兄妹がそれぞれ交差して結婚したら
お互いに「お義兄さん」と呼び合うのかどうか。
難しい問題ですね。
「僕の小規模な奇跡」面白かったよ。
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凄く良かった。
花咲太郎もそうだが偏った、自分本位な価値観を貫くブレない視点に目が眩みそうになる。
あと単純に、彼女が可愛すぎる。。
強力に好み。
この作品に限らないがクロスオーバー多くて楽しい反面、取っつきにくくなってしまってる一因ではある。ファン的にはそこがまた良い訳だが。
書店にて新品購入。
Posted by ブクログ
“「別に。ただストーカーが、あっちの方にいたわ。多分」
「へぇ、そっか」それは丁度良い。「じゃあ退治してくるよ」
「は?」
彼女が露骨に固まった。そうやって隙だらけに、感情を露出するのは珍しいなぁ。
「複数を単体に出来れば、俺だけでも対処出来るようになるから」
鞄の隙間から、ナイフの柄を彼女に見せる。些か心許ない状態だけど、武器は常備している。退けることも、追い払うこともこの刃では難しいけれど、先端はまだ鋭い。
突き刺すことぐらいなら、出来るだろう。
「いやあのちょっと、待ちなさい」
「講義をサボるわけだから、成果が出るといいんだけど」
「待てと。ウェイト。何を武闘派宣言してるの、優男の外見で」
意外にも、被害者である彼女が引き留めてくる。困惑しながらも、俺の手綱を握るように声を荒げて、手の平を突き出してきた。
「んー、でもいつまでもストーカーが周りにいたら、きみが危ないし。顔面を少し破壊してから、二度ときみに近寄らないと宣誓書の一つでも書かせるべきかなぁって」
デートもしづらいし、集中出来ないし。何より彼女が危険に晒される前に、行動は終わらせてしまった方が良い。その方がきっと、後悔は少ない。
それ以上、強く止める気はないのか彼女は、また中央講義棟の方に目を向けている。ストーカーをその視線の先に捕捉しているのかな。
(中略)
「わたし、ひょっとして人選を誤ったかも」
「大丈夫だよ。腕っ節には自信がないから、本当は怪我なんか相手に負わせられない」
そう本気で主張して、二の腕を撫でる。筋肉の不足した、細身の腕。握り拳を叩きつけても、こっちの手と骨が痛んでお終いになるような。
彼女は下らない冗談とでも解釈したのか、頬を引きつらせて俺の非力を受け止める。
「でもあなたには、ナイフがあるじゃない」
そう指摘されたので、にこりと微笑んで顎を引く。
「だからきみを守れる」
そう返すと彼女は天啓、もしくは呪詛に首筋を潰されたように息を詰まらせ、目を剝く。
そっちから言い出したのに。
守られる覚悟は、出来てなかったのかな。うーん......いや、後でまた話し合おう。
「あなたって......何だか、ひょっとして」
彼女が何か呟いているけど、音量を抑えすぎて聞き取れない。これ以上話していたら、ストーカーを捕縛する時間が足りなくなるかも知れない。
名残惜しいけど「よーし」とわざと陽気に前振って、駆け出した。”
んーやっぱり読んでてちょっとひっかかるなぁ。
破壊する、とか夜に走り回ってた、とか。
ただの演出か彼の中身に関する意味があるのか。
単行本読んだけど、再読。
俺のするストレートな感情主張が好きだなー。
「そのあと」も良かった。
“二人で目を合わせたり、曖昧に笑ったりの時間が過ぎる。その波が完全に引いた後、彼はわざとらしく咳払いした。なにかを区切るように、自信の始まりを演出するように。
彼が私の正面に立つ。試しに私が左へ一歩動くと、彼も追従してきた。素早く左右に跳んでみる。勿論、一緒に跳んできた。ふむ、なかなか大事な用事のようだ。
「あのさ」
「うん」
彼が口もとに手を添えて、目を泳がせる。そうして少し、逃げるように間を取った後、背筋を伸ばして私に言った。
「実は来週、告白するつもりなんだけどその日にデートしてくれない?」
「..........................................」
無言で耳の穴をほじった。それを見て取って、彼が人差し指を立てる。
「もう一回言おうか?」
「お願い」
「実は来週、告白するつもりなんだけどその日にデートしてくれない?」
二回目ともなると羞恥心が薄れるのか、彼の舌もスムーズに回った。
「告発じゃないよね?」
「違う違う」
「じゃ、じゃあそのままの意味か」
「う、うん。そうだね」
「そうか、そうか......」
腕を組んで、頬の熱をごまかすように大げさに、首を縦に振る。こ、告白だと。
段取りってものを無視して、いきなりそんなこと言いに来るとは。
侮りがたし、ハンサム丸。攻め入り方が大胆にも程がある。
無謀にして無策、のはずなのに。相手がこの男だとそれで十分、効果的すぎるのだ。”
Posted by ブクログ
傑作でした。なんで入間作品をなんだかんだで読んでしまうんだろうというのに自噴の中で結論がでてしまう作品でした。
20年前の話からはじまる物語ですがここの序章の展開がすごい好きです。余命僅かな僕が既婚の片思いの人にに告白しにいくのですが、道中に包丁で刺されてしまうが構わず続行。そして振られる。
このあたりまでは思わずいつもののりじゃないなという感じで真面目に小説でした。
本編は序章の出来事が現在にどのように影響してて、登場人物がどのような関係なのかわくわくしながら読みました。
で、気がつくといつものようにバカップルの入間節。
そしてその結末と、20年前の出来事結末は?
なんだかんだもういつ死んでもいいなっとそんな風に思いました。後世に何かを残せるなら。
僕の妹である私の心理描写をみると入間さんはよくわかってるなーと思います。引きこもりの心理を。
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おいおいどうするんだこの話って思ったまま進んでいく物語。
語り芸ですよね。
投球フォームはめちゃくちゃなんだけど、打てない球を投げるピッチャーみたいである。かっこいい。
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KnifeとShoesと美術館、それが今回の人間関係を紡ぐ糸です。この小説では大どんでん返しやトリックはありませんが、読み進めるにつれ登場人物の関係と接点が明かされる書き方は入間さんならではですね。恋愛関係の進展が面白くて、ニヤニヤしながら何度か読み返してしまいました。・・・「お義兄さん」の回答を知りたいなぁ。
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まったりと進むストーリーにも、時折妙な盛り上がりがあって良かったです。
頭空っぽにして読み進めていたのでまんまと驚かされ、笑いました。全てが繋がる瞬間がトイレだなんて。
Posted by ブクログ
登場人物の性格が、作者の他の作品の登場人物に似ている気がします。特に兄の性格が他の作品で見た気がします。作者の性格なのでしようか。
実際に居たら相当破天荒な性格ですが。
登場人物が、それぞれ個性的で楽しいです。兄妹の恋愛と日常の話ですが、キツい性格の彼女とのやり取りや、ハンサム丸とのやり取りも楽しいです。
長さを感じず楽しめました。なので、
文庫版で追加の部分は、個人的には有ってうれしかったです。
Posted by ブクログ
改めてこの作者の文体がツボだと実感。
ライトノベルで
キャラは萌え痛要素満点だし
色々ぶっ飛んだりしてるけど
要所要所でやっぱりグッとくる。
なんだか登場人物のひねくれ方が自分を見ているようで…
おっと閑話休題。
とにかく。
何だか続き?がありそーなので引き続き入間人間作品収集に努める事にします。
Posted by ブクログ
日常って、奇跡の連続なんですよね
今ここでこうしていることも、多分すごい奇跡
一つ一つの奇跡は小規模でも、それが無数に重なったとき、その確率は、分母がいくつになるか分からない
タイトルをふまえてこの話を読むと、そんな奇跡をチラホラ感じた
一見二つの物語が平行しているが、
実は平行ではなく、徐々に近づいていく。
綺麗な構成でした。
確かに内容のボリュームのわりに、文章が長い気もしたが、
その分いろんな表現が楽しめたから満足
章題カッコイイ!
Posted by ブクログ
わりといつもどおりの入間作品といった感じです。
どいつもこいつもぶっとんだ性格してるのに・・・美男美女は得ですね。
文量が多い上に、淡々とした文章でぬるっと流れてゆくので人によっては読むのが辛いかもしれませんが、彼女のかわいらしさだけでも一見の価値ありです。
Posted by ブクログ
面白かったです。そして2組の兄妹がそれぞれ別々に関わっていて、ふたとおりの物語になってるところがよかったです。そして最後には繋がりますね。彼女と俺の話、私とハンサム丸の話、二十年前の彼女と僕の話。
みーまーでは色々騙されたので今回は予想をしまくりながら読んだのですが、トマトがハンサム丸なのはほんとに予想もしてなかったです!でも読み返してみるとトマトの言動や口調、さりげなく彼女のことを気にしているところ…ハンサム丸だった
Posted by ブクログ
ハードカバーのを全然読んでなかったら、文庫版が出やがって遺憾ながら購入したら後日談が書き下ろされててやっほい。なんか続編みたいなのを促す一文があったりあとがきでも何か書いてあって、色々と楽しみです。
Posted by ブクログ
表紙にキャラの絵が綺麗に書かれているため、キャラのイメージがしやすく、読みやすいです。
とりあえず、最初に寿命の話が出てくるので?と思いましたが、最後まで読むと「へ~っ」となります。かつ丼と同じく、いろいろな所でキャラが関わっているので、読むのが止まらなくなります
Posted by ブクログ
最後にしっかりと伏線を回収してくる感じが安心しました。独特な言い回しや表現方法は人によって好みはあると思いますが、私的には面白いなと思いました。伏線を回収するまでにあたっての過程の長さを考えると、ある程度読書に慣れていらっしゃる方なら楽しめる作品なのではないかなと思います。
Posted by ブクログ
靴とナイフが印象的なお話。
ナイフが俺と彼女、靴が妹とハンサム丸のつながりを生んでいる。
面白いことは登場人物の中であまり変化が見られないということだ。○○しなかった人が○○するようになるというような劇的な成長はない。しかしそれでも、20年前の僕の行動が、二組のカップルの絆を生んだ。
「小規模な奇跡」と聞くと矛盾していて違和感を覚えるが、大きな変化はないながらもつながりが生まれたことを考えると、しっくりきた。
Posted by ブクログ
運の良い奴は、周囲が暗い。そして自分だけ明るく輝いているから、何も気づかない。朗らかで、健康そうで。理想的だけど問題は、運に対して努力出来ることはないことなのだ。
最後にその努力が来る。こいつが一番残酷。そして不便。
(P.215)
Posted by ブクログ
典型的なラノベ文章
ま、ある意味でリアリティはあるからなぁ・・・
靴だらけ&S彼女&元引きこもり妹のお話し
ラノベ文章なのでサクサク読めるんだけど、やはり無駄に長い
ある程度の伏線はあるので、多分そーだろーなーと思ってたらその通りだった
ただ、トマトは予想外でした
あとがきの後のお話しもよかった
ただ、やはり無駄に長い印象は残る
Posted by ブクログ
某掲示板で、「このラノベを読め!」と薦められていたのに踊ってみて読んだ作品。入間人間さんの作品は初読。
20年前、余命を伝えられた青年が、好きだった女性に告白に行く。
彼女は既に結婚している、だから当然フラレて死んでいく。
奇跡など必要ない舞台の中で、彼女の家に向かう道中、唐突に暴漢に襲われてケガをして……そしてその加害者は彼女の夫だった。
その20年後、"僕"は大学のキャンパスで一目惚れした"彼女"に、「あなたのこと全く好きではないけど、付き合ってもいいわ。その代わりに、わたしをちゃんと守ってね。理想として、あなたが死んでもいいから」と奇妙な条件付きで交際を認められる。さて、"僕"はどうしようか……
好きなタイプの物語です。
ライトノベルらしいと言えば良いのか、文体もまとまらない考えをそのまま表現しているように見えてしまう"ハマる人にはハマるけど、駄目な人は徹底的に駄目"な感じで、ウチみたいに中年になると、人には薦めにくい作品です。
出来すぎの「小規模な奇跡」が鼻につくと感じるか、好ましく思えるかで評価が変わるかと思いますが、ウチはやっぱり好きですね。
あと、ツンツンタイプ(でも実際はデレ要素有り)の"彼女"が結構好きです。
あと2,3冊、入間さんの作品を読んでみようかな。
Posted by ブクログ
ラノベを全く読めない私ですが、宇木氏のイラストとあらすじに惹かれて読んでみました。ちょっとありえないけど変なファンタジー設定とかはないし、ほどよくロマンティックなサスペンスラブコメディ、といった感じ。
最後まで楽しく読めたのだけど、正直文章が相当読みづらかったです。
恐らくはそれがこの作家の特徴なのでしょうが、ひとつの文章をこねくりまわしすぎていて、なにが書いてあるのか捉えにくい。すごく草臥れました。もっと素直に書けばいいのでは?と思わずにはいられない。
西尾維新のような小気味よいテンポ感があるでもなし、文章が物語の邪魔になっているように思います。