入間人間のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
“大学一年生の三月上旬に、私と瀬川は出会った。
確かやつは老婆に絡まれていた。いや、これは正確に言うと違うか。やつが大学の掲示板前で妙な格好の老婆に服の袖を引っ張られて、いわゆるナンパされていたのは、私が最初に瀬川を見かけた日のことだった。それから一週間ほど経った後に、瀬川と初めて話したのだ。
春期休講中の大学内だった為、人気はなかった。扉を開けた瞬間にラベンダーの香りが鼻をつく研究棟の入り口には、プラスチックの青いベンチがある。大抵はそこに寝袋の学生が寝転んで仮眠を取っているのだが、その日は瀬川が座りこんでいた。前屈みに指を組み、両腕で作られた輪の中に頭を下ろす姿勢でジッとしていた。私はその -
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体育館で体育の授業を、まーちゃんと壇上の袖に隠れてマットの上で戯れながら過ごしていると、
猟銃を手に、パーカーのフードを被った不審な男が闖入し、生徒や体育教師を撃ち始め、
この難局を切り抜ける、というお話。
久し振りに『みーまーシリーズ』を読み進めたけど、
相変わらず意地の悪い文章で、
難しい熟語や、独特の言い回し、長い文が多用されており、
読むのになかなか神経を使う。
今回、この作品を読んで気付いたのが、
名言っぽいことが沢山言われていることだ。
どの言葉と言われれば思い出せないけど、
3ヶ所ほど、自分の心に響いた言葉があった。
登場人物には、僕とまーちゃんは当然として、長瀬や伏見も -
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ネタバレ【小さな離島に住む僕。車いすに乗る少女・マチ。
僕とマチは不仲だ。いつからかそうなってしまった。そんな二人が、島に住む変わったおっさん(自称天才科学者)の発明したタイムマシン(死語)によって、時空を超えた。
はじめは二人はどこにいるのかわからなかった。なぜなら、島の景観なんて、十年やそこらじゃあまり変わらないから。
僕たちが『過去』に来たと分かったのは、自分の足で全力で向こうから走ってくる、『小さいマチ』を見たからだ。
僕は驚き、そして思いつく。やり直すことができると。ずっと後悔していたことを、この、過去という『現在』で。】
『探偵・花咲太郎は閃かない 』があまりにも面白くなく、
不 -
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ネタバレどこまで裸をさらけ出せるか。
◎小説と全裸
小説を書くとはどういうことか。
小説家になるとはどういうことか。
リアルな生態がそこにある。
主人公はライトノベルという現代的なジャンルのルーキー。
京都に住む男子大学生。
しかも、同じ大学に売れっ子女性小説家がいるという展開。
しかし、小説を書くことは裸で走ること。
自らをさらけ出す覚悟のいる商売。
そこんところが赤裸々に出ている。
恰好も考えず、一日中部屋にこもって
パソコンに向かい合う。
それは自分と向かい合うということ。
先輩作家の女子大生も同じ。
そして、二人は同業のよしみからか良く一緒に食事をする。
話をする。
そして。
◎同業者とい -