あらすじ
『携帯電波』 ―― 少女が台所で偶然見つけた携帯電話。耳を傾けた向こう側には、もう一人の自分がいて……。 『未来を待った男』 ―― この時代にタイムトラベラーを呼び寄せる。それが男の目標だった。『やり直したいことがある』 のだという。そして、ついにその時が訪れる。 『ベストオーダー』 ―― 四人の俺が、同じ場所に現れた。自分自身が複数いるこの状況を前に、俺達四人はしばし考えた後、全員で共謀し、『完全犯罪』 を企てる。 ほか、書き下ろし短編 『時間のおとしもの』 を含む、時間に囚われた人間たちの、淡く切ない短編集。
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Posted by ブクログ
未来を待った男、と、時間のおとしもの、が好き。
太郎が出てくるなんておもってなくて、出てきた時は嬉しくてテンションあがった。違う話の登場人物が何気無く登場するととても嬉しくなる。
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いつも、終盤でのどんでん返しをくらう。
そしていつも良い意味で期待を裏切られるんだよ。
入間作品ずは初盤より終盤でより一層輝き始めるのが多い。
勿論、初盤から中盤そして終盤までもぶれずに輝いてるんだけどね。
ほんわかするところも、青春を感じるところも、切なく感じるところも盛りだくさん!
今回もやられたなぁー
今回もまた、だね
Posted by ブクログ
時間軸をテーマにしてる?短編集。
うわ、こえーって話から、ほんのり心があたたまるようなお話までありました。
こわーってのは『携帯電波』『ベストオーダー』かなぁ。携帯電波はラストを読むともっかい読みたくなる。こわーっ。ベストオーダーはあー、やっぱこーゆーとこで穴があるよねぇ、って感じ。
『未来を待った男』はうわ、やられたよ。短編なのに(笑)。
でもこっちのはなんだか微笑ましい終わり方であたたまる。
『時間のおとしもの』これはただただええ話。入間さん、こーゆーの書くんだね。っていう。締め方が個人的に好き。
また入間さんの短編集が出たら欲しいなぁ。
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「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」シリーズの入間人間の短編集。
「時間」をテーマに、ホラー風、コメディ風、ミステリー風、恋愛風の4つが収録されている。
細かい伏線が綺麗に回収されていく感じは、素敵。
Posted by ブクログ
どの作品も面白い、SF短編集。
「携帯電波」はいかにもSFっぽいテーマ。
時間改変が行われるとき、そのスタートはどこになるのか?
「未来を待った男」にはやられた。
学生、貧乏、独特の語り口調とくると森見登見彦っぽい?と思うのは安直か。
「ベストオーダー」
ドラえもんでこんな話あったな。
「やろうぶっ殺してやる!」「わあ、自分殺し!」のやつ。
全部自分のはずなのに、ちょっとした「違い」が連鎖して……というのがおもしろい。
「時間のおとしもの」
「時が止まればいいのに」が口癖の彼女。
「追いつこうとしたのか、それとも留めようとしたのか」
周囲との時間のずれというか、流れの速さの違いを感じることがあるから、なんとなく共感。
Posted by ブクログ
「時間」を軸とした短編集。
タイムマシンやらタイムリープ、
パラレルワールドなど、テーマはまぁよくある。
が、入間糸独特の気の抜けたような(失礼!)文体で
重い話もカラッとサラッと読める。
氏の得意とする(と私が思っている)
叙述トリックも健在。
この人の作品は、そのまま映像化できん(^ ^;
どっかで見たことのある探偵も登場(^ ^
花咲太郎シリーズを読んでると、より楽しめます(^ ^
Posted by ブクログ
時間をテーマにした不思議で独特な短編集。
『時間のおとしもの』が凄く好きかもしれない。
どうしたって時間は流れてゆくし、昔のままではいれない。
けど思い出とするか、針を自主的に進めるかは自分次第だよね。
『未来を待った男』は最初ミスリードしてた!
結局変えるのかな?変わるのかな?って思う感じが良い。
『携帯電波』が一番いるまん節が強くて脱落者多そうだけど、
なかなかバラエティに満ちてる作品集なので、
薦めたいなーと思ったり。
Posted by ブクログ
S F的時間をテーマにした短編集。
平行世界一つとっても、単純な平行世界の話ではなくミステリーを絡めてあったり、ループしていたりと、色々趣向が凝らされていて面白いです。
短編で趣向が凝らされているので、その分、読み辛い箇所もありましたが
楽しめました。
Posted by ブクログ
結局のところ、時間のせいにしてやり直したいとか未来に期待したりだとかを願うのではなくて、そんなことを考えても自分の力でどうにかしないと結局願いは叶わない。意味がない。とりあえず今のまましっかり生きていきなさいということかなあ。あとは入間さん自身の「時間」についての考察が混ざっているようにも思えて楽しかった。
Posted by ブクログ
知恵熱でそう・・・
いい意味で・・・
考えさせられた
時間がテーマですが、どこか親しみやすいところがあります
日常に沿った内容だからだろうか
時間って不思議ですね
「未来を待った男」の中では、時間が通る道があり、それをさかのぼることでタイムスリップができる、といった話がありましたが、
実際、「時間」という概念について私たちの知っていることは少ない
本当に時間の通る道があるのかもしれないし、
時間というのは私たちが感じているだけで、本質的には何もないのかもしれない
でも確かなのは、私たちが皆平等に、時間という束縛から逃れられないということ
おそらく、時間の正体は人間の、少なくとも僕の知り得るものではない
時間という不確かなものに引っ張られながら、日常を懸命に生きていくしかないのだ。
Posted by ブクログ
お話としては「未来を待った男」が面白かったけども、気怠い日常を刻む時間と隣り合わせの「特別」に気づかせてくれる、素晴らしい雰囲気の表題作「時間のおとしもの」が凄く好きだった。
他の短編と違って表題作だけSF要素皆無なのも、結局現実を見るしかない事をいつも教えてくれる入間作品らしくて良い。
輝いてます、日常。
Posted by ブクログ
短編集。
他作品とのクロスオーバーがあり楽しめた。
先入観によるどんでん返しも好き。
あとがきにあったように時期的な事情で載せられなかった短編もいつか文庫収録してほしい。
凄く好きだから。
Posted by ブクログ
短編四編を収録しています。
「携帯電波」は、一人の少女が携帯電話にかかってきた並行世界の自分自身からの通話に出たことで、べつの世界に移行してしまう話。
「未来を待った男」は、過去を変えるためにタイム・マシンを呼び寄せる瀬川と、その友人で時間について研究している佐門の二人の物語。ちょっとした叙述トリックがとりいれられています。
「ベストオーダー」は、並行世界からやってきた三人の自分自身と協力して、完全犯罪をもくろむ男の物語。
表題作の「時間のおとしもの」は、「時が止まればいいのに」というのが口癖の少女が登場する、ボーイ・ミーツ・ガール作品です。
いずれも、時間や並行世界などの道具立てを用いた作品ですが、短編ということもあっておおがかりな設定が準備されているわけではなく、すこしふしぎな読後感があじわえるライト文芸といった印象です。
Posted by ブクログ
はじめに言うのもなんですけど、伊坂幸太郎さんのファンなので、86頁の
「蜜柑だか檸檬だかは帰ってきた?」
「それは殺し屋の名前じゃないですか。」
これにはなかなか感動しました。入間人間さんも伊坂幸太郎さんがお好きなんですね。
本編は読みやすく登場人物も特徴的で、軽めではあるけど、なるほどやられた~と、にやっとできる物語でした。
Posted by ブクログ
時間とはなんぞや。もし時間を操ったら。操るというと違うな、時間を使うというのか。タイムトラベラーは夢があっておもしろかった。左門さんすごいよ。予想外だったよ。4人の俺もおもしろかった。まさか彼がでてくるとは思わなかったから。
Posted by ブクログ
時間(移動)がある4つの短編集。
・携帯電波・・・知らない箱に入っていた携帯電話。繋がった相手は知らない人の筈なのだが、実はパラレルワールドにいる自分。そして、電話で話した後、その世界の私と私が入れ替わってしまう!?充電が切れた携帯に、元の世界に戻れる事はあきらめて、ガラリとかわってしまった私の世界で、何とか生きてゆく。でも、その携帯から、聞き覚えのある声、そして会話が再現されて・・・
・未来を待った男・・・私と瀬川は、同じ大学で、同じく貧乏学生だった。瀬川は未来を変える研究をしたいと語る。未来を呼び寄せる研究。成功させてやり直したい事があるのだと言う。数十年後、タイムマシンを成功させた私が行った過去では・・・
・ベストオーダー・・・さびれたバッティングセンターで、俺と、俺と、俺と、俺!?少しの時間をずらして俺の世界に居合わせた俺4人。これは、完全犯罪の強盗をするしかない。その役割のベストオーダーは・・・
・時間のおとしもの・・・中学の時のクラスメイトの病弱な彼女。タイムマシンも魔法もない時代。僕と彼女に自館おとしものは、彼女は時間をとめられるのか。
Posted by ブクログ
タイムトラベルなど時間モノの短編集。設定としてはベタなものも多いけど、なかなか面白く読めました。
入間人間さん、ラノベ色強すぎなようで敬遠してたけど、こんな感じなら他作品も読んでみてもいいかも。
Posted by ブクログ
入間人間の短篇集。時間を題材にした作品は好きなので買ってみたが、割りとオチが読めてしまったり、話そのものにあまり起伏がなかったりしてそこまで面白いとは思えなかった。この人はやっぱ長編向きなのかなー。
Posted by ブクログ
表題作「時間のおとしもの」のほか、「携帯電話」、「未来を待った男」、「ベストオーダー」の全4話。すべて時間に関係したお話。好きだったのは「未来を待った男」。
2012/6/27
Posted by ブクログ
短編集、初期の作品もあるらしいけどどれかわからない
「携帯電波」最初はどこだ?わからん。電波女やまーちゃんみたいな描写が読み手を敬遠させてしまいそうだが、まさに人間節ってかんじ
「未来を待った男」って題名からミスリードだったのか、一番よかった
上社奈月と花咲太郎は交流があるのか!!
最後は結婚してるのか、ちょっとさみしくなった、あの八九寺みたいな小学生はなんだ?
Posted by ブクログ
“大学一年生の三月上旬に、私と瀬川は出会った。
確かやつは老婆に絡まれていた。いや、これは正確に言うと違うか。やつが大学の掲示板前で妙な格好の老婆に服の袖を引っ張られて、いわゆるナンパされていたのは、私が最初に瀬川を見かけた日のことだった。それから一週間ほど経った後に、瀬川と初めて話したのだ。
春期休講中の大学内だった為、人気はなかった。扉を開けた瞬間にラベンダーの香りが鼻をつく研究棟の入り口には、プラスチックの青いベンチがある。大抵はそこに寝袋の学生が寝転んで仮眠を取っているのだが、その日は瀬川が座りこんでいた。前屈みに指を組み、両腕で作られた輪の中に頭を下ろす姿勢でジッとしていた。私はその後頭部を、小突いた。
言うまでもないが、私は外から研究棟にやってきたわけではなかった。春期休講中は単位稼ぎの煩わしい講義に参加する必要もないため、嬉々として研究に取り組んでいたのだ。研究棟内に泊まり込んでいるに決まっている。そしてその時の私は、酷く寝不足で不機嫌だった。
私と同じく白衣姿の瀬川が慌てて顔を上げる。無精ヒゲもなく、髪もこざっぱりとしていた瀬川には同学年の私が表するのもおかしいが、初々しい雰囲気があった。大学生となって一年が経過するというのに、新入生のような瑞々しさを保ち続けていた。大変に羨ましい。
私はその顔に見覚えがあることにすぐ気づいた。そう、一週間ほど前に老婆に絡まれていた男だ。その様子が面白いから、話こそしていないが印象に残っていたのだ。
瀬川は最初、不機嫌そうな顔つきだったが、私の顔を認めた瞬間、目を見開いた。どうやら、寝不足が重なりすぎている私の方が顔は険しかったようだ。こちらは目を開けているのが億劫なほどなのに、瀬川は贅沢にも目を丸くし続けていた。
瀬川は明らかに怯えていた。その証拠に、
『な、なんでしょう』
言葉遣いが丁寧だった。上級生と間違われたのかも知れない。想像すると腹が立った。
『老け顔で悪かったな、私は一年生だぞ。そう怯えるなよ』
『え?あ、いやあんた……は別に老けてないが』
私は手を振って瀬川を追い払う仕草を取る。
『そこで眠りたいんだ、座っているだけならどいてくれ』”[P.75]
「携帯電話」
「未来を待った男」
「ベストオーダー」
「時間のおとしもの」
時間を巡る短編集。
「未来を待った男」が一番好きかも。
途中まではてっきり左門も男だとばかり。
「老婆」が出てくる辺りまではどっちともとれないこともないしね。面白い。
“「首尾はどうだ?」
「上々だ。ほら、見ろよ」
1号が勿体ぶるように後ろ手に隠し、摑んでいた札束を掲げる。
「うわ、すげ、ぇ?」
それと一緒に隠していた金属バットを逆の手で振り上げる。
「お?」
金。二つとも金。そんな間の抜けたことを考えている間に、1号がバットを振り下ろしてきた。額に赤い線が走る。バットのぶつかる衝撃はまったくなかった。ただ、赤い。亀裂がどんどんと広がり、それに顔が呑みこまれていく。暑苦しい。熱い。拭いたくとも、指が動かない。
え?
あれ?
「悪いな。お前の報告はいらねぇんだわ」
1号の言葉が遠い。そのまま1号は俺を担ぎ上げて三和土へと放り捨てる。俺は気絶間際で指一本動かせないまま、生温い床を転がる。そして、1号が再び金属バットを大上段に構える。
なんでだろう?
俺は、なにをされているんだろう。
あまりに頭部への衝撃が大きかったからか、混乱が解けない。知恵の輪のように。
そして、1号が俺の頭部に金属バットを振り下ろす。
頭はトマトのように潰れはしなかったが、クッションのように大きくへこんだのを感じた。
そこで俺の意識はぷつんと途切れた。もう繋がることはないだろうなと、最後に感じた。
どういうことなんだろう?”[P.192]
Posted by ブクログ
タイムトラベルや並行世界をテーマにした、4編からなる短編集。
4編とも初期設定は定番だけれども、そこからの展開が新しい!やや斜に構えた感じのある、現代的な雰囲気が漂います。読後感は恐ろしかったり微笑ましかったりとそれぞれで、飽きさせません!
Posted by ブクログ
時間、並列世界なんかを扱った短編集。ネタ勝負なところはあるけど、長編よりはおもしろいかも。トリッキーな書き方をするので、少しずるいとおもうようなところがないではないけど、それも含めてまぁ楽しめるかな。
Posted by ブクログ
「携帯電波」はなんか見たことあるような作り…。乙一かなぁ…。あとがきにもあるし。「ベストオーダー」は死んだ1号の未来云々からよくわからなくなってしまいました。貧弱な読解力…。
表題作「時間のおとしもの」がやはり印象的です。やっぱり人間って過去に戻りたがりますよね。ボクもいつも思ってます。あの頃に帰りたい、と。