金井壽宏のレビュー一覧
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"リーダーとは何か"を旅に見立てて、自分自身を動かす一歩(=リード・ザ・セルフ)から、社会を変える(=リード・ザ・ソサエティ)までのプロセスを哲学的かつ実践的に描いた一冊。例えば並行して読んでいた成瀬シリーズ(宮島未奈)の成瀬あかりはまさに「見えないものを見て」行動を起こし(リード・ザ・セルフ)、島崎みゆきというフォロワーを得て(リード・ザ・ピープル)、ぐるりんワイドや現地で成瀬を見た視聴者・来客に行動させた(リード・ザ・ソサエティ)という、リーダーの経る旅をしているんだなと解像度が高くなった。
会社でチームリードになったばかりの人には特におすすめで、プレイヤーとして培った信頼貯金の使い方であったり、魅力的な人間力の高め方(人の営みに対する理解と尊敬)がとても学びになる本だった。最近読んだ「14歳からの社会学」「アルケミスト」などの言及があり少し嬉しくなった。 -
Posted by ブクログ
大学生時代に尊敬する人にお勧めされ読んだ一冊。
改めて転職や30代を前に読み直ししてみた。
当時は、リーダーになるためには自分→周り→社会というプロセスを踏むのだくらいの理解であった。
改めて自身が様々な経験を重ねた上で読んだ時に得られた気づきは大きかった。
特に徳や人間力などがいかにリーダーシップに欠かせないか、そのための教養の必要性も学べたのは大きかった。
また、映画『生きる』で示されていたように本当に自分が何を成し遂げたいのか(周囲の評価や声と関係なく)、ということの意味の深さと向き合う大切さを感じられた。
今のタイミングだからこそ改めてそのテーマに向き合い、どう生きるか問うてみたい。 -
Posted by ブクログ
[新版]組織行動の考え方
個人と組織と社会に元気を届ける実践知
著:金井 壽宏
著:高橋 潔
著:服部 泰宏
出版社:東洋経済新報社
良書、組織、人に関する百科事典のようなイメージです
組織行動(OB;organizational Behavior) とは組織のなかで起こる様々な人間の行動を、科学的に理解しようとする学問分野とあります。
経営学の大きな一分野である。しかも多岐にわたっている。
他、経営戦略、マーケティング、財務会計、管理会計、人材管理、IT、技術管理、オペレーション管理等
組織行動の対象分野
パーソナリティ、キャリア、モチベーション、組織コミットメント、組織の中の感情、職場ストレス、職務満足、公平性、採用、能力開発、意思決定、グループダイナミクス、コンフリクト、対人コミュニケーション、リーダシップ、組織文化、組織変革
それぞれのテーマについて
・理論の提唱者、その大学、理論名、理論の概要の紹介
・モデル、考え方、フレームワーク、分類の提示
・名言、キーワードの紹介
ウェルチ CEOの仕事の9割は人にまつわること
レヴィン 良い理論ほど実践的でなければならない
論語 吾十五にして学に志す……
等々です
OBの意義、それは人に係る辛辣な問いに答えんがためのものとうつりました。
その問いとは以下のようなものです
能力
・人間の行動を捉えるためのもっとも基本的な要素とはなにか
・人間の能力を捉えるためには何に注目したらいいのであろうか
・職業と知能との関係は
・人間の性格をどうとらえるか
・仕事でもっとも生産性を高めるには何が必要か
・どうやったら、人のモチベーションを維持し、また、高めることができるのか
採用
・特定の仕事に向いた人をどうやったら選別できるのか
・技能を熟練するためには何をしたらいいのか、また、その段階とは
・その人は優秀なのか
・どうやったら優秀な人を採用できるのか、そのためには、面接で何をやるべきなのか、選別をどうするのか
・採用後に、やめないでもらえるようにするのはどうしたらいいのか
・その人をどう育てるのか、そのキャリアは
人間心理
・どうやったら熱心に仕事をしてもらえるのか
・どんなインセンティブを与えれば、人はモチベーションを保てるのか、金か、地位か
・職場環境をよくするには
・どんな目的を与えるのがいいのか
・夢とロマンをどうもつか
・職場で幸せを感じるか
成果と評価
・人をどう評価するか、絶対評価、相対評価
・人を公平に評価できるのか、その方法は、その基準は
・研修をどうすすめるのか
・自分自身の能力をどう認識するのか、自分の評価をどう受け止めるのか
グループに働きかける
・マネジメントと、リーダシップは何が違うのか
・優れたマネージャーとは
・優れたリーダーとは
・組織は変えるにはどうすればいいか
・人にどういう権限をあたえ、何を管理させるのか
・どういうタイプが、マネージャーに向いているのか、リーダに向いているのか
個を活かし、組織も活かす
・どう人材育成を進めるのか
・組織としてのリスキリングをどうすすめるのか
・OJTをどうすすめるのか
・組織の文化をどう育成するのか
・組織の知的財産をどう守り、どう育成するのか
目次
まえがき
Chapter 0 なぜ組織行動を学ばなければならないのか
Part Ⅰ 組織のなかの個人
Chapter 1 一人ひとりの違いを知る
Chapter 2 働く個人の初期値を定める
Chapter 3 キャリアを建築のように美しくデザインする
Part Ⅱ 組織のなかの人間心理
Chapter 4 モチベーションの迷宮への招待
Chapter 5 職場のウェルビーイング
Chapter 6 組織に欠かせない感情とストレスのメンテナンス
Part Ⅲ 成果と評価の問題
Chapter 7 仕事の成果をどう捉えるか
Chapter 8 人事評価の目のつけ所
Chapter 9 自己認識のための他者視点
Part Ⅳ 組織のなかのグループに働きかける
Chapter 10 マネジメントとリーダーシップは双子なのか
Chapter 11 リーダーシップのリテラシーを高める視点
Chapter 12 ヨコのつながりを活かす
Part Ⅴ 個を活かし、組織の力を高める
Chapter 13 人を伸ばす組織の考え方
Chapter 14 組織に息吹を吹き込む
Chapter 15 現実を変える知識創造のパワー
参考文献
注
索引
著者紹介
ISBN:9784492522424
判型:4-6
ページ数:638ページ
定価:3400円(本体)
2025年06月12日発行 -
Posted by ブクログ
2007年初版刊行。
ISLの創設者である野田氏と、組織心理学と経営学を専門とする神戸大学名誉教授の金井氏による共著。
本書では、リーダーシップを「旅」というメタファーを使い、著者らが考えるリーダーのあるべきスタンスを説明する。
実践と理論の両方に精通し、リーダーシップというものを考え尽くした著者らだからこそ、本書で語られる内容には重みがあり、個人的にとても納得できるものだった。
久々に繰り返し読みたい本に出会うことができた。
本書ではまず、「マネジメント」と「リーダーシップ」を区別する。
マネージャーは、既存の組織の成員に対して、権威と権限をもって働きかけ、コントロールしようとする人たちを言う。
一方、リーダーは、「見えないもの」、つまり新しい世界を掲げ、人々の内在的な意欲に基づく行動を誘発し、同じ方向に歩みを共にする。
その上で、リーダーシップの発生を旅に例え、三段階に分ける。
①lead the self 自らをリードする
何のために行動するのか、何のために生きるのか、についての自分なりの納得感のある答えを明確に持つ。
②lead the people 人々をリードする
フォロワーの共感を呼び起こす。自分の夢が周囲の人たちに伝播し、周囲のみんなが、リーダーが見る「見えないもの」を見ようとして、自発的に動き始める。
③lead the society 社会をリードする
「我々の夢」となった段階の後で、その夢は社会のために、次世代のために、意味のあるものを残すという世代継承性というテーマが見えてくる。
その他、リーダーに必要な資質や、経営組織論に基づく理論などが豊富に解説されており、短い本でありながらも読み応えがあった。
また、後半では「日本の最大の問題は、「エリート」の不在」だと警鐘を鳴らす。
近代以降、人類の絶え間ない努力によって、我々は自由という最大のギフトを手に入れた。
しかし、個人が全員、自由を自分のためだけに謳歌すると、自由を支えている社会は維持できなくなる。
個々人の自由を守るためには、誰かが自分の意志で、社会に対する責務を果たさなければならない。
社会に内包されたこのジレンマに耐え、責任を負う個人がエリートであり、リーダーシップの旅を歩き続け、リーダーになる人である。
そしてリーダーの旅を経て得たものを再び社会に還流させていく。
それが、「ノブリス・オブリージュ」だと。
この一連の主張に、私は強く共感を覚えた。
現在の日本では、恵まれた家庭環境に育ち、良い大学を出て、一流と呼ばれる企業や官庁で働く人たちでさえ、まったく主体性に乏しい。
世間的には一流と称される企業で働いている自分だからこそよく分かる。
自分のビジョンがなく、上司や周りが言うことに流され、保守と既存エコシステムのメンテナンスに専念している人が多い。
厄介なのが、彼らが無自覚的だということだ。
自分のビジョンと保身を天秤にかけ、葛藤と苦悩の末に保身を選んでいるわけではなく、視野が狭く、視座が低い故に自分のビジョンがない。
本書で言えば、①lead the self すらできていない状態だ。当然、リーダーシップの欠片も持ち合わせない。
とはいえ、この状況の全責任が彼ら自身にあるわけでははい。
同じようにグランドデザインを欠いた日本の教育、オールドメディアの洗脳の影響も当然ある。
だから、今やるべきことは、一刻も早く、一人でも多くの強いリーダーを日本から排出できる環境を整えることだ。
リーダーシップの素養がある若い人をスクリーニングし、彼らに学習と挑戦の舞台を与える。
そして、無能と嫉妬によって若い有能なリーダーの足を引っ張る老害を排除する。
官民の両方がこれに取り組まなければならない。
この不安定で流動的な時代において、日本の復活のためには、変革と創造を取り扱うリーダーを一人でも多く増やさなければならない。
この想いを強くさせてくれた良書だった。
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Posted by ブクログ
経歴含め取り組まれてきたことはとてもすごいと感じるが、自然体でそれを成し遂げているのがさらにすごいと感じた。
本にも書かれていますが 「doing」で示すリーダーではなく「being(在り方)」で示すリーダーなんだろうなと思った。
ロールモデルやリーダーシップの考え方についても根底にあるのは自分らしくというアイデンティティをしっかり持つことなんだろうなと感じた。グローバル企業で働いてきたからこその姿だなと思うし、自分も自分らしさとはなにか。を持っていたい。
私のやりたいことにも通じるものがあり、共感できるポイントが多かった
育成する=その人の可能性を最大限に引き出し、能力を最大化する -
Posted by ブクログ
組織変革の実践方法について実例を交えて解説。トップダウン方式・改革派とミドルの組み合わせなど、最終的には実践が物を言う世界。
〇ハイライト:
・組織変革は、最終的には、その組織にいる大半の個人の発想と行動パターンが変わらないと実現しない
・変化と変革の違い。変化は変わること(意図的に主体性を持つか不明確)。変革は意識的に変化をもたらす事
・旗を立て、みんなが元気が出るような旗(ビジョン)でなければ使える旗ではない。組織変革は実践が要諦である
・変革は難易度の高い挑戦である。成功する確率はそもそも低く、最後までやりぬいて成功するケースが少しある程度。その認識で取り組んだ方が良い。
上層部の支援を得ながら、ミドルがネットワークを構築し、反対勢力を抑えながら小さな成功体験を積み重ねていくストーリー。最終的にはそこにいる人の考えが変わる必要がある、考えが変われば行動が変わり、組織が変わる。
・変革型リーダーシップのエッセンス=ビジュアルな大きな絵(地図)を描き、その絵の実現に向けて、それを緻密にアジェンダ項目に落としていって、人々を巻き込むこと
・エクスキューションを「実行」と訳さず、わざと「最後までとことんやり抜くこと」と言うようにしている -
Posted by ブクログ
リーダーシップは筋肉みたいなもので、適切にトレーニングすればどんどん大きくなっていく。つまり特定の誰かしか持っていない才能のようなものではなく、発揮できていない人は鍛えていないだけなのである。
会社や家庭、趣味を共有する人たちの中で、自分がその集団にいなければその集団は何を失うか、そして自分がその集団を去った後にもその集団に遺るものは何かというこの二つを念頭に置くことで、そこでやるべきことが見えてくる。
さらに、自分の周りの上司や同僚、部下、家族を自分のクライアントとして考えることで、相手が求めているものは何か?今必要なことは何か?ということを考えるようになるし、それが分かると、自分の能力の現在地と成し遂げる必要があることとの距離が分かる。
これはアドラー心理学における自己受容である。
自己受容を通して人の役に立つ、このことをこの本は著者の経験を持って教えてくれる素晴らしい本です。