朝倉かすみのレビュー一覧
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第175回直木賞受賞作。
インパクトのあるカバーが目を惹き、朝倉かすみさんの作品を初読み。
利発だがほぼ体一面に酷い痘痕の姉ふゆ。縹緻よしだが逆上せ癖の妹りよ。幼くして父を亡くし、ふゆは手習師匠の手伝いに、りよは船宿の下女奉公に出された。ある日、ふゆの師匠は跡取りとして、医師の三男である宗三郎を養子に迎える。丈高くしなやかなからだつき、人あたりもよく、物腰も柔らかで疵もないように見えたが、禍々しいほどに歪んだ性癖があり…
男尊女卑やルッキズムが当たり前の時代に、完全に圏外であるふゆが、過酷な環境に流されながらも生き抜いていく。その描写があまりにも痛ましく、読み手を選ぶんじゃないかと思った。
個人的には好みではなかったかな… -
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十代の少女二人が描いた、叶うはずも無い夢はある物の偶然な発見により、現実化へと突き進む
嘘を重ねることへの罪悪感も無く、互いの自己表現出来る場を見つけたことで、自信や知恵を身に着けて行く様は、サクセスストーリーのようにも思えるが、現実は甘くない
大金を得ることで二人の計画に綻びが出始める
小賢しいようでいて、やはり子供、一人は恋人に助けを求め、一人は飲酒に逃げる
この子達どうなるの?と、ハラハラしながらも一気に読み進めた
現実にはもっと大事になるだろうが、お話しはそれぞれの着地点を見つけ前に進もうとしていた
ミステリーでも無く、青春小説でもない不思議な物語だった -
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直木賞受賞作。
江戸時代、ふゆは6つの時に重い疱瘡で顔面や身体中に痘痕があった。しかし、賢く、手習い所に通い、そのまま手伝いのようなことをして過ごしていた。ひとつしたの妹りよは縹緻(きりょう)よしだが逆上せ(のぼせ)癖があり、憑かれたように昂り喋りに喋る。2人とも大層仲良く見目や性質は違うのにお互いをよく理解している。時代のため、2人とも、奉公先やお手伝い先で犯され、しかし、それを咎め立てることもできず、受け入れるしかない。という前半。特に手習い所の重右衛門が跡取りとして養子にした宗三郎の性癖の見苦しさが重苦しい。宗三郎の見目麗しさに対比するように、抑圧する力は凄まじく、ふゆの痘痕をひたすらおとしめ、おまえは圏外。一生、外側にいるしかないという呪いをかける。ふゆがここから逃れて行くと本当に今までずっと疱瘡を気にやんでいたのが解放され、別の物語かと思うくらい清々しく生きる。そして、最後の揺さぶりが来て…。
重厚な文体と抑圧展開は流石でしたが、あまりにも好みと外れた内容に★を下げてしまいました。
犯されたり血なまぐさいことが沢山でてくるので、高校以上向け。 -
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直木賞作家となった朝倉さんの 少女をめぐる謎めいた短編集
「留守番」
雑誌Mei(冥)2014 掲載 初めて名前を聞いた雑誌です。 女のコのためのこわ~い文芸誌としてKADOKAWAで少しでてたみたい。
始まりから終わりまで 謎めいた短編。
主人公は少女っぽいんだけど それさえも定かではなくなる。でも結局なんだかんだかわからないm(_ _)m
「カワラケ」
ウェブサイト ダヴィンチニュース 2015
歴史ある女系の家系の小学生の少女。
謎めいた「カワラケ」という事象を体質的に受け継ぐ。そのための忌み屋への籠り。
どこかにありそうでいて、ラストの冷ややかさが斬新。
「あたしたちは無敵」
ダヴィンチニュース 2015掲載
村田さんの丸の内魔法少女ミラクリーナ の小学生少女迷走版みたいな。
奇譚系は好みですが、あんまり続いて来ると レビューしようがないですわ
「おもいで」
ぼんぼん時計で タイムスリップする小学生女子と思いきや。これも ダヴィンチニュース2015掲載。
このあたりの文章は おしゃまな小学生女子に受けるんじゃないかな。ラストは厳しめだけど。
「へっちゃらイーナちゃん」
へっちゃらではなくなった父子家庭から 逃げ出す少女達。イーナちゃんに乗って。
昭和前期の父親像って、こんな感じが多いかも。
星一徹氏と磯野波平さんのミックスみたいな。
少女たちが置かれた厳しめの現実を、不思議系の奇譚にして描く5編。
私は 好きですわ。
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再読。札幌、ススキノのスナックで、同窓会帰り、四十歳、五人の男女が田村を待っている。田村は、男をとっかえひっかえするろくでなしの母親のもとに生まれ、いつもお下がりのジャージを来、遠足のとき、お弁当のおかずを持たせてもらえないような貧しい暮らしをしていたが、頭はよく、かけっこも早く、しかし目立たず、性格は潔癖というか、ざっくりいうと「ロンリー」というのが、五人の評。「小六でロンリーをやられたら、近づきにくいよ」そんな田村だったが、ある時、クラスの問題児だった女子を、声を荒げて叱咤する。「どうせ死ぬから、今、生きてるんじゃないのか」その女子と田村は結婚し、子供をもうけている。その田村を、待っているのである。
五人、そしてスナックのマスターの抱える事情が、連作短編として語られる。その多くは色恋沙汰で、なんというか、どこにでもあるような人間模様で、だけどそれが、田村の存在でつながっている。人間って、こうして生きてるんだよなと、思わせられる。
まったく覚えてなかったけれど、併録されていた「おまえ、井上鏡子だろう」も、衝撃的でよかった。人物像や出来事は、どちらも、まあまあ、ベタな感じである。けれど、ふだんは見落としている奇跡のようなものを、見せてくれる。いい小説だった。 -
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ネタバレ6つの短編からなる小説。
表題のとおり、熟年を過ぎて老いを感じてきた頃の男女の日常を描いたまさに『たそがれどき』の話だ。
表題の『たそがれどきに見つけたもの』は、高校の同級生同士で結婚した女性が、フェイスブックで久しぶりに会った女友達に会い、自分の結婚相手を教えたらすごくびっくりされたという話。
またこの短編で印象に残るのが、「人生を80年とし、4で割る。 20歳までが春、40歳までが夏、60歳までが秋、それ以降は冬…』という一節だ。物語の女性は50歳なので『私は、ちょうど秋の真ん中にいる。』と書いてあるが、読者の自分は冬なんだなぁ…とあらためて思った。
『王子と温泉』という話では、真面目に専業主婦をしてきて子どもたちが手にかからなくなってきた52歳の女性が、ファンクラブ会員限定の中年スター(王子)との温泉一泊ツアーにはじめて参加するという内容。温泉地にある旅館につき、初対面の女性らと同じ部屋になって自己紹介したら、実は派手な女性が裏で王子とLINE交換をしているという話を聞いて、落胆する。
これもなんとなくわかるなあ。アイドルに夢中になる女性ファンが、アイドルの恋人発覚や結婚報告で急にロス状態になる。
他の短編はあまり印象には残らなかったので⭐️3とした。
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Posted by ブクログ
ネタバレ3点台前半
・学生時代、恋心を抱き合いながら結ばれなかった青砥健奨と須藤葉子が、50歳になり偶然再会。互いに紆余曲折の人生を経て独り身、金銭的にも裕福ではないながらも、少しずつ友情の枠をはみ出して心近づいていく2人。
・そんな中で須藤は大腸癌を患い、人工肛門装着を余儀なくされるなど生活が大きく変わる。目一杯支えたいと願う青砥に対し、須藤は全てを頼ることをよしとせず、ゆっくりと手探りするような2人の闘病生活は続いていく。
・手術、抗がん剤治療を終えた最初の検診を終えた日、青砥は須藤に「一緒にならないか」と思いを伝える。しかし須藤はそれを受けず、さらにはもう会わないと伝える。青砥はなんとか1年後に温泉旅行で再会する約束を取り付けるが、2人は離れ、以後青砥のLINEにも須藤は反応しない。
・須藤の状況がわからないまま時は流れ、再会を約束した日が迫ったある日、青砥は職場の同僚から須藤が亡くなったことを知る。失意のまま訪れた須藤のアパートで須藤の妹と会い、別れを切り出された日の検診で、実は須藤は癌転移の診断を受けていたことを知る。須藤は青砥への連絡はしないよう、妹に強く言い含めていたという。
・結局、青砥にあてられた遺書も伝言も残っていなかった。青砥はあの日、検診結果をよく確認しないままに求婚を口走った己を悔やむとともに、ただ須藤と一緒に生きていきたかったと振り返り、物語りは終わる。
(感想)
・今(須藤が死んだことを知る)→過去回想(須藤との日々)→今 という形で構成されているが、果たして始めの今の部分が必要だったのか。ネタバレ的な意味合いもあるが、単純に内容がいきなり過ぎて冒頭から読みにくいことに加え、結局この構成の必要性も最後までわからなかった。
・須藤は、青砥に寄りかかることを良しとしないプライドの高さを持つ、少し浮世離れした感じのあるキャラクター。一方で、過去に略奪婚や貢いでの破綻歴を持つなど俗っぽい面もあり、高潔ともまた違う。一抹のかわいらしさがないこともないが、基本的に面倒な独善さを振り回す印象が強く、あまり感情移入できない。あそこまで引き摺り回した青砥に肝心なことは何も伝えず、孤独に死を迎えるのは流石にやりすぎ。
・トータルとしては平均的な小説という評価にはなるが、印象的な一節はいくつかあり、感じ入る場面もあった。あと、中江有里の読後解説の締め部分が素晴らしい。
(印象的な一節)
・「わたし、このこと、だれかに話してみたかったんだ」「おれもそうかもしれない」だれかになにかを打ち明けたい衝動が湧き上がるのは珍しくなかった。愚痴の吐き出したさよりももっと奥から揺すぶってくるものがある。それが自分の暗部ならいっそう鮮明だ。わざわざ言うことではないと知っているのだが、隠しごとをしているような後ろめたさがあった。
・「青砥には充分助けてもらってるよ。青砥は甘やかしてくれる。この歳で甘やかしてくれるひとに会えるなんて、もはやすでに僥倖だ。」
・身の丈で生きるのは決して楽じゃない。大人としての自虐も客観もこれ以上バカげたことをしないための術である。それでも人は人を好きになる。人生の贖罪と残り時間を照らし合わせて、誰かを好きになり、思いが成就したならばそれは幸運と呼べるだろう。
本書は悲恋に終わるが、幸運に見舞われた二人の軌跡でもある。(中江有里の読後解説より) -
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ネタバレ『平場の月』を上梓した朝倉かすみさんの短編。
表紙絵が懐かしい…小学校の作文とかに、先生がこんなスタンプ押したりしていたなあ…
何かしらに頑張っている人を応援するような話かな…タイトルから想像したこんな内容とはちょっと違う。
7編の短編集なのだが、それぞれ登場人物は何の関連性もない。
『森のような大きな生き物』では、オリンピックに登場した前髪をカラーゴムでゆわえた小柄の女の子選手…これは誰のことか想像つくだろうが、さまざまなスポーツに登場する人気のある女子選手を応援する普通人の話。この話だけが、タイトルに合っている。
「地元裁判」…その小さな町だけのルールがあり、それを守れない家族が排除されていく話。
『相談』…部下から相談を持ちかけられ飲みにいくが、全く予想しなかった展開をみせていく話。こういう勘違い上司は結構いるんだよなあ。
『あなたはいなくなってはいけない』
…はこれまでの波瀾万丈な半生を女性が振り返る話。これまで何でも『飽きちゃった』という理由でやりすごしてきたが、これからもそうやって過ごしているだろう自分を客観的に想像している。深いなあと思った。
ちょっと表紙に騙された感じ。まあ話としてはどれも面白かったけど。
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びっくりした。想像してた短編集と全然違った。
全然違って、想像より面白かった。
「頑張るあなたに届けたい、勝手に応援短編集」と帯にあったので、例えば友人だったり子どもだったり、アイドルだったりを応援する人達が主役の、爽やかな物語たちなんだろうなと思っていた。
物語の幕開け『森のような、大きな生き物』でまず、「誰かを応援すること」で元気を貰えることは確かだし、自分の心の支えにもなるし、自分も頑張ろうと思える、尊い行為であると同時に、他人の人生を消費する行為であることや、垣間見える暴力性、身勝手さをも暴いている。私たちは誰かを応援するとき、往々にしてその誰かに勝手に期待をして、そこから外れた言動を目にすると勝手に失望する。他人の人生を消費しているという自覚を持たなければいけない、と、突然切っ先を向けられた気分になった。
全編が想像と違ったけど、「がんばれ」って、「応援」って誰のどんな人生にもあるし、決してひとつじゃない。それが個人的に面白かった。
あらすじからは全く想像できないので、もしかしたら好き嫌いはわかれるかもしれない。