朝倉かすみのレビュー一覧

  • けんぐゎい

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    著者初の時代小説ということだが、現代を舞台にしたこれまでの作品に負けず劣らず濃密な筆致を堪能できる。
    本作では当時の言葉遣いを現代語に変換せず、恐らくだが忠実に再現させており、そこに著者お得意のインパクトある心情描写が重なることで、比類なき作品世界が構築されている。
    個人的には主人公およびその周囲の女性の生と性、そして自立していく様が現代にも通じるテーマを孕んでいて面白かった。
    タイトルの「けんぐゎい」=「圏外」という部分があまりしっくりこなかったのだけど、それを差し引いても優れた作品だと思う。
    『平場の月』『よむよむかたる』と同じ著者とは思えないくらい幅広い作風でありつつ、この作品でも「朝倉

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    2026年07月14日
  • けんぐゎい

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    読み始めてから20ページ位でこの小説のホンモノぶりに圧倒された。おー、自分はすごい小説を読みはじめてるぞとブルっと震えた。

    朝倉かすみ、底が知れない…。

    他の作家たちはこの才能に嫉妬するだろうなぁ。
    ちょうど直木賞の候補作になったと言うニュースが飛び込んできて思ったのは、選考委員たちは、選ぶ側の自分の作家としての実力を問われるだろうなということ。
    だから、「平場の月」で受賞させればよかったのに。

    ふゆを始めとする「けんぐぁい」の女たちへの溢れる愛に満ちて、胸が熱くなる。
    その女たちのそれぞれの心の中に深く深く入っていって、その女たちが生まれ持ったものをどう始末していくか、どう飼い馴らして

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    2026年06月16日
  • よむよむかたる

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    超高齢者(平均年齢85歳!)の読書会の物語。
    最初は、すぐ気分を害して怒鳴りつけたり、空気の読めない発言をしたり、何度も思い違いの混じった同じ話を繰り返したりする老人たちに、冷やかな、そして自分もいずれそうなるのかと怖いような気持ちで読んでいた。語り手である喫茶店店長(ちょっと自意識強めの28歳)の視点に共感しながら読み進めた。
    でも、仲間と本を読み語るときだけは、自分らしい、1番いい自分でいられる、そんな場所が彼らにとっては読書会なのだ。わかる。と思った。
    読書会って、そうだよね!

    老いへの怖さは、本人達が1番感じている。理性を失い、身体の自由を失っていくことを恐れながら、その気持ちを冗談

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    2026年06月15日
  • よむよむかたる

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    再読希望。少し時間をおいて、また読みたい。

    『有る程の菊抛げ入れよ棺の中』を引用した会長のおはなしが、会員の心中におけるこの読書会の在り様をよく表していると感じ、自分の棺桶もたくさんの花で蓋が閉まらないくらいにしたいと思った。
    沢山印象に残るフレーズがありすぎて、いちいち書けないくらい堪能した。やはり数年後再読しよう

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    2026年06月08日
  • よむよむかたる

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    中年という枠も後半に差し掛かっている今、老後をどのように過ごすのかは、私にとってかなり関心の高いテーマだ。正直、健康に楽しく老後を過ごせるイメージはあまりなく、自分の気力や体力があるうちに、自分で人生をたたみたいとすら思っている。
    そんな老後観を持つ私にとって、本作で描かれる、人生の最終盤で楽しく集まる老人たちの存在は、とても明るく、素敵な営みに見えた。
    彼らを見つめる若年層もとても優しい人たちだし、心理描写もすっと腹に落ちてくるような言葉が多く、深く共感しながら楽しめた。私にとっては、シリアスになりがちなテーマをコミカルに、そして温かくまとめた素敵な一冊であった。

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    2026年05月30日
  • けんぐゎい

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    ジャケ買いで帯と装丁を見るなりレジに持って行きました。禍福は糾える縄の如し、というフレーズはあらゆる本で語られますよね。本作中では江戸ならでは、これはちと粋じゃないと言うことで賽の目の1の裏は6理論ってのが小洒落ていて、人生はくじ引きだけどその結末は誰にも分からないよ、ということらしい。作中のふゆも幼いときは痘瘡を周囲からいじられて作り笑いを見せる姿があり、やがて自分を"けんぐわい"に生きるしかない人間だ、と痘瘡面の自分は普通には生きられないと思い込ませられるんですけど、果たしてそうなのか?を問う作品です。思い込ませられたのは、それはそれとして、それを背負い自ら螺旋階段を降

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    2026年05月24日
  • 平場の月

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    同世代ということと、この年齢で友人を亡くす経験をしたものには、とても心に感じる作品でした。
    いちばん、ふさわしいのは共感かもしれません。深い感慨がありました。
    映画もみました。ロケ地。聖地巡礼の真似事もしました。

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    2026年05月23日
  • 平場の月

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    青砥目線で描かれているからこそ、
    「どうして今言わないの?」「今動くところじゃないの?」と、もどかしさを感じる場面が多かった。

    でもその一方で、須藤の気持ちは痛いくらい伝わってきて、どちらの立場にも共感してしまう。

    切ないけれど、どこか美しさもある恋で、
    読み終えたあとにじんわりと余韻が残る作品だった。

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    2026年04月27日
  • よむよむかたる

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    いやー何と言うか、読み聞かせのボランティアをし、そして誰も知らない小さな国が大好きな私の為のお話だと読み進めるうちにしみじみ感じる作品でした。いま65歳の私の所属する団体はほぼ私位の年齢のメンバーで、もし読書会を開くとしたら今ですね。本好きの優しい人達の集まりでなにか嬉しいことがあるとすぐにメッセージが皆さんから届きます。坂の途中の方々の月一の集まりでの会話が私達だとLINEで繰り広げられます。本を通しての繋がり素敵ですね。

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    2026年02月14日
  • 田村はまだか

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    ネタバレ

    『平場の月』から朝倉かすみが気になって、まずはこちらから。吉川英治文学新人賞受賞作。いやはや、面白かった。
    「ゴドーを待ちながら」風に展開される連作短編集。1話から2話にかけて、おっこれは?という仕掛けあり、終盤にはまさかのハプニングあり。でも結末はやっぱりほっこりできて。
    おまけの「おまえ、井上鏡子だろう」もかなり良かった。ただただ、中年を書くのがうますぎる。二十歳そこそこの小娘にそう思わせるなんて、凄い!の一言である。マスターの花輪春彦さん、すごく好きなキャラなので表紙が大変気に入りました。かなりステキな装丁センス。

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    2025年12月15日
  • よむよむかたる

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    安田松生(やすだ まつお)28歳、小説家(いちおう)。新人賞をとって、1年後に単行本を上梓したものの、ある出来事がきっかけで小説を書くことが怖くなってしまった。今の仕事は、叔母の美智留(みちる)から引き継いだ『喫茶シトロン』の雇われ店長。
    美智留がとりわけ心を砕いて安田に託したのは、月に一回例会が開かれる、「坂の途中で本を読む会」という、老人ばかりの読書会だった。

    読書会の老人たちは、とても個性的。歳をとると「濃く」なるらしい。
    安田は心の中で愛称をつけた(増田夫妻は例外)
    ・『会長』大槻克巳(おおつき かつみ)88歳。元人気アナウンサーだったので、常に自分に注目を集めたい。誰かがその場の空

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    2025年12月01日
  • 棺桶も花もいらない

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    長塚節とかプロレタリア文学とかからの距離は100年分の死ななくなった分なのかもしれない。諦念とか執念とかいう言葉との距離かもしれない。非常用持ちだし袋が一番と思った。どれがよかったか聞いてみると、その人らしさが出る気がする。

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    2025年11月17日
  • 泥酔懺悔

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    小学校から大学まで同じだった友人に勧められて読んだ。
    語彙力なくて上手く感想言えないけど、個人的に中島たい子さんのが好きだった。
    もともとほぼ飲めなかったから下戸の気持ちもわかるし、世間的なお酒の立ち位置とか共感だったし、記憶なくす友達と重ね合わせて見てしまった。
    勧めてくれた友人はいつも私に新しい感性や向上心を与えてくれる。またおすすめを聞きたい。

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    2025年11月14日
  • よむよむかたる

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    読書会に参加してみたくなりました。
    読書を通じた人との繋がりの物語で、読み終ったときに心が温まるのを感じました。

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    2025年10月21日
  • 棺桶も花もいらない

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    どの短編にもコロナ禍は出てくるのだけれどそんな話ではなく、どの主人公も人生順調ではないけれど決してそんな話ではなく。ただ目の前の道を進むのみ。とても良かった。

    「令和枯れすすき」
    「ドトールにて」
    「もう充分マジで」
    「非常用持ちだし袋」
    「みんな夢のなか」

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    2025年08月19日
  • 棺桶も花もいらない

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    5話のどの話も面白かったがその中でも「令和枯れすすき」は、ホラーで特に好き。これを読んだ直後は、小川洋子ぽいと思ってしまった。(小川洋子のファンですが、ずいぶんと長い間読んでいません)しかし、2話からはイヤイヤそんなことは全くないなと改めた。
    「非常用持ち出し袋」も好き。この家族が愛おしいし主人公が愛おしい。
    それから、発行者がU-NEXTなのにはビックリした。紙も出しているとは。

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    2025年08月13日
  • 棺桶も花もいらない

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    葬式とかお墓とかって、よくよく考えたら、死んでしまった後のことだから、どうでもいいか。

    今や明日の幸せが大事かな

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    2025年07月01日
  • にぎやかな落日

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    ネタバレ

    北海道でひとり暮らしのおもちさん、だんだん認知機能が落ちてくる本人の気持ちが見え隠れして、せつない。理解できないけど私はここにいる、いない人扱いしないでほしい。今、介護をしている訳ではないので冷静に感じられるが、当事者なら分かるけどそうもいかないと揺れるだろうな。
    今、頭の中を何かが通り過ぎた、楽しい思い出、それがカタツムリの這った跡みたいにキラキラ残ってる
    感情のネジ、制御するネジどちらもバカになったようで
    そういうふうに感じるんだ。
    いい本だったし、読むべき本だった。
    それにしても金銭的に余裕がないと何もできないことは痛感する。

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    2024年11月14日
  • 少女奇譚 あたしたちは無敵

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    ただの不思議な短編の集いではない。漫然とそう感じるのではなく、少女性やその周辺の共通項にも思いを巡らせたい。

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    2023年09月22日
  • 田村はまだか

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    面白い。迷ったけど星5つ。
    そもそも、タイトルと装丁と設定でもう、やられてしまっていた。
    読んでガッカリしたらどうしようと思ったけど、そんなことはなく、次々と繰り出されるエピソードを、僕も田村を待ちながら読んだ。僕と同じように、多くの読者が田村を待ちながら読んだことだろう。

    登場人物は全員、元こども。中年になった今を描写する言葉たちは辛辣で、決して順風満帆ではない現実を受け止める感情は、それは諦めだったり、達観だったり、未整理の感情だったりするけれど、それもこれも、「田村はまだか」というフレーズに集約されて、エピソードの最後には少しだけ救われていく。見事だ。

    田村は来なかった、というエンデ

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    2023年09月13日